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第二次大戦以前、日本の植民地だったパラオ。そこには「南洋庁」という役所があり、日本からの移民と現地島民が織りなす「暮らし」がたしかにあった――。当時パラオに赴任した作家・中島敦の小説をきっかけに、著者が当時の南洋諸島に興味を持ち、実際にパラオへ赴き、日本統治時代を知るお年寄りを訪ねて、当時のエピソードを収集した歴史ルポルタージュ。著者はパラオだけでなく、パラオからの帰国者が集団で移住した宮城県蔵王町の北原尾や、宮崎県小林市の環野にも赴いて、当時の証言を集めた。戦中派が世を去って歴史の記憶が薄れる今こそ、広い世代に読まれるべき貴重なエピソードが詰まった一冊。
...続きを読むPosted by ブクログ 2018年01月26日
2年前に「南洋と私」を読み、とても良かったので、今回この本を読むのはとても楽しみだった。
"国境を越えて友情をはぐくまなければ、戦争の本当の愚かさなどわからないのかもしれない。味方が死んだ、家族が死んだ、あの国に攻撃された、そうした次元で戦争をとらえる限り、戦争は人によっては「必要悪」で...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年02月11日
第一次大戦から第二次大戦の間、日本が植民地支配していたパラオの状況を、中島敦らのテキストを手掛かりにしながら、現地での聞き取りの様子も交えて描き出していく。素朴な紀行文のような体裁を取っているのでとても読みやすいが、その一方で、様々な立場への目配りとそれを踏まえた下調べが周到に行われていることもうか...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年11月28日
中島敦の「南洋通信」を読んで戦前戦中の南洋に興味を持ったという点は著者と私とで入り口が同じなのかもしれない。ただ、著者は、中島敦が帰国した後の戦時下のパラオについても現地を訪れ今も残る日本語話者に丹念に取材している。パラオではペリリュー島だけではなくアメリカ軍の侵攻で島民が避難しジャングルの中で飢え...続きを読む
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