原発労働者

原発労働者

ビジネス・実用
770円 (税込)

3pt

4.1

●炉心屋は真夜中にデータを改竄●ボヤは消さずに見て見ぬふり●アラーム・メーターをつけていたら仕事にならない●燃料プールに潜る外国人労働者? ●原発施工者が一番地震を恐れている●定期検査の短縮で増える燃料漏れ●失われゆく熟練の技……3・11以前、平時の原発はどんなふうに動かされていたか? そこで働いていた6人の人生と証言から浮かびあがった驚きの実態とは? 原発をゼロから考えるための必読書。(講談社現代新書)

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原発労働者 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    著者の取材姿勢や書きぶりは誠実だ。どのような経緯で取材を始めたのか、どのようにしてインタビュイーを見つけたのか、著者自身がどのような気持ちや考え方でインタビューをしたのか、インタビュイーはどんな人なのか、インタビューで、語られたことの信憑性や一般性について、著者自身がどこまで確認できているか、等々、できる限り単純化や図式化を避け、その上で自身の思いを述べている。汚染水の放出や原発再稼働が既得権層によって叫ばれる中、この本が多くの心ある人に人にもっと読まれるべきだと思う。

    0
    2023年08月30日

    購入済み

    私は知らない

    現代ビジネスの連載で、寺尾紗穂さんはコラムの執筆を続けていた。

    原発で働いている人のことを私は知らない。
    そうした知らない人を踏みにじって、私たちは電気を使っている。


    土方さんの仕事の闇は、原発に限ったことではない。
    下請け構造が多層化している分野においては、どこも労働者の待遇はひどいのかもしれない。

    そうした危険を理解しながらも、働かざるをえない人がいる。
    貧しさ、人間関係、生まれ、家庭環境、さまざまな背景とその人の仕事は結び付けられ、縛られている。

    巨大なエネルギーをもった動力を得るために、失われているものは何か。

    本著は失われたもの、失われつつあるものに目を向ける。

    本当に「原発」は仕方のないものだろうか?
    とりあえず、現状維持で徐々に代替エネルギーに減らしていこうよ、そうした技術の進歩を待とう。

    涼しい部屋のなかで、そうした会話がなされ、事故の記憶が風化されていく間にも、原発労働者は汗を流し、被曝し、働いている。

    寺尾さん一人の力で、本書の内容だけで、彼ら労働者を救うことはできない。
    歌をうたう彼女は、それだけでは救えないものがある、多くの状況に直面してきたのだと思う。

    本書が伝えていることは、多くの人がそうした人に寄り添い、自分に身近なものであるという「当事者性」を感じてもらうことだ。

    本書のことを、もっと多くの人に知ってもらいたい。

    0
    2015年07月22日

    Posted by ブクログ

    ここに収録されているのは、たくさんの原発労働者の中のほんの数人の語りでしかない。だけど個人の、生の体験からしか捉えられないものがある。

    0
    2018年12月29日

    Posted by ブクログ

    著者の寺尾紗穂(1981年~)は、元シュガー・ベイブのベーシスト・寺尾次郎を父に持つ、シンガーソングライター、エッセイスト。東京都立大夜間部卒業後、東大大学院に進み、修士論文が『評伝川島芳子 - 男装のエトランゼ』として文春新書より刊行され(2008年)、また、様々なウェブや新聞等でエッセイを連載する異色のキャリアを持つ。
    著者が本書を執筆したのは、学生時代にたまたま山谷の夏祭りに行ったことをきっかけに、自ら主宰する音楽イベントでホームレスの自立支援をサポートするようになり、更に、原発の現場の労働者の少なからぬ人々が山谷や釜ヶ崎のようなドヤ街から流れてきたことを知ったことによるのだという。
    本書では、福島やチェルノブイリのような大事故となった非常時の原発ではなく、“平時の”原発で働き、日常的な定期検査やトラブル処理をこなしていく人々へのインタビューを通して、彼らの視点から、社会にとっての原発、ではなく、労働現場としての原発、労働者にとっての原発を描き出している。
    そして、そこに描かれているのは、驚くような労働現場の様子、及び、現場の労働者がそれらを明らかにして改善を求めにくい多重請負の構造と、原発があるために出稼ぎに行かずに生計が立てられる地域の事情など、メディア等で取り上げられることは少ない(取り上げにくい)実態である。
    著者は、そうした実態を踏まえて、原発について賛成or反対というような結論は導いてはいない。そして、「しばしば原発とその地域の問題については、「いろんな立場の人がいるから・・・」「いろんな問題が絡まってるから・・・」と言葉が濁される。しかし、推進派反対派に二分した、原発問題について、本当に必要なのは、そうやって問題に踏み込まないことではなく、いかに「わがごと」として、問いを立て、問題を考えていけるか、ではないだろうか」、「人間の美しさ、醜さ弱さと強さ。原発立地地域をめぐってあらわになる、人間の在りようを胸にとどめ、これからの選択にどのような答えを出していけるのか、それぞれが一度「わがこと」として考えてみること、その上で意思表示をしていくこと。・・・到底変わりそうもない、原発労働の構造や原発をめぐる問題が少しずつ好転していくとしたら、そんなささやかな、でも裾野の広い、人間のつながりが生まれた時ではないだろうか」と結んでいる。
    原発に対する自らのスタンスを考える上で不可欠である、原発の労働現場の一端を垣間見られる一冊である。
    (2017年9月了)

    0
    2017年09月09日

    Posted by ブクログ

    原発を有する我がまちの市有地に、3号炉の建設作業員さんの飯場があり訪ねたことがある。といっても彼らと接触したわけではなくて、その飯場横の倉庫で仕事をしつつ傍目から見ていたに過ぎんが、昼間から麻雀牌の音が響いていた。その近くの港には、いかにも場末の雰囲気漂う気に入りの居酒屋があり、かつては流れの作業員と地元漁師が酒の勢いで絶えず喧嘩していたという。これまでは「ひとごと」であったそんな諸々も、紗穂さんのこの本で「わがこと」に近づいたやに感じる。今でも廃炉と再稼働炉の工事で3千人近い下請けが入っている我がまちの原発。原発労働者と打ち解けて話せれば学ぶことは多いだろうけど、現職でありのままを語ってはくれまいね。

    0
    2016年05月20日

    Posted by ブクログ

    原発の話題は昨今少なくなりましたが、それ故に人々の記憶から薄れている今、このような書籍の存在は大きいのではないでしょうか。

    一般的な、原子力について賛否両論を唱えたものとは違って、その現場で作業にあたっていた人々の声を纏めたドキュメンタリーはリアルさと報道では知りえない事実が伺えます。

    原発に無関心の方にも、お勧めできる一冊。

    0
    2015年09月05日

    Posted by ブクログ

    東日本大震災以前の「平時における」原発というのは、どのような労働環境で、どんな作業によって運営されているのか、という視点から、原発内の工事請負業者や、中央操作室のオペレーターなどからの証言をまとめた本。ある程度予想はしていたけれど、ここまで労働者の健康や、安全を犠牲にしなければ立ち行かないプラントなのかと恐ろしくなった。「いくら自動化しても、どうしても高線量の現場に人間が入らないと設置できない部品があり、そういう時は被ばく量測定用メーターは外して作業する」、「ボヤが発生しても水をかけたり消火剤を噴霧すると記録に残るので、燃えるものを遠ざけて自然鎮火を待つ」、「被ばく管理区域にはトイレがなく、どうしようもないときは間に合わないので垂れ流す」、「燃料プールに落としてしまった物は被ばく量管理にかからないという理由から外国人労働者が定期検査の時に水を抜いたプール内に降りて拾う」、「原子炉出力が計画値を超えると、係数を書き換えて計画値に収まるように修正する」など。でもこういう危険な作業に従事する人々にとってはその仕事がなければ生きてゆけないという状況に仕向けているのが現在の状況の度し難い罪深さなのか。原発を今後どうするかを考えるとき、エネルギー政策としてだけではなく、労働問題として目を逸らせてはいけない一面であることは確かかと感じた。

    0
    2015年08月06日

    Posted by ブクログ

    なかなか読むのが進まない本だった。
    自分の思いを少し強調しているような気がした。その部分で少し引っかかりを感じる。
    原発の労働現場は過酷なんだと思う。放射線がどれだけ体に悪いのかがハッキリしていないのだと思う。

    0
    2017年07月11日

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