天上の火焔

天上の火焔

小説・文芸
1,980円 (税込)

9pt

大らかな性格で孫に優しい偉大な人間国宝の祖父。氷のように冷たく息子に無関心な轆轤の名手の父。物心つく前に母親を亡くした少年・城は、陽と陰のような二者の間で育ち、悩み、苦しんでいた。父に認められたいがゆえに歪んでいく心。それは宿痾のように精神を蝕んでいき・・・・・・。備前市伊部を舞台に、備前焼窯元父子三世代の心の闇に斬り込み、愛と憎しみの狭間でもがく人間たちを描いた家族史。

【著者略歴】
遠田潤子(とおだ・じゅんこ)
1966年大阪府生まれ。大阪府在住。関西大学文学部卒。2009年、第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『月桃夜』でデビュー。『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」で第1位、『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」で第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞、『銀花の蔵』が第一六三回直木賞候補に。他の著書に『アンチェルの蝶』『ドライブインまほろば』『廃墟の白墨』『紅蓮の雪』『人でなしの櫻』『邂逅の滝』『ミナミの春』ほか。

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天上の火焔 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ものすごく良かった。今月の第一位!たぶん。

    深田城は備前焼窯元がおうちで、祖父は人間国宝。だが父としっくりいっていない。浜本香月は父と母が離婚して父方の祖父母の喫茶店を手伝っている。

    中学校に上がって、2人は陸上部に入った。窯焚きの最中に祖父が倒れて亡くなった。高校になり、大学進学を考える。香月は写真の専門学校に行きたがっている。香月の父が東京で死んだ。後片付けにいく。香月と別れる。京都の大学に入る。

    陸上同好会に入る。昔の思い出とは距離を置き、嘘だらけの自分の世界を作り上げる。誰にも祖父のことは言わない。祖母がやってきて父がALSだと教えられる。結局岡山に帰ることにする。

    0
    2026年05月28日

    Posted by ブクログ

    ブクトモの皆さんの高評価&オススメのお陰でめぐり逢えた小説です。素晴らしかったです。個人的には久方ぶりの衝撃。大好きなヒューマンドラマでした。
    洗練されていながら、どこか無骨。
    その絶妙なコントラストが終始心地良く、場面ごとに移り変わる熱を帯びた文章に強く惹き込まれました。
    『人間国宝』『陶芸家』という、自分とは決して近い世界の物語ではないはずなのに、人生とは一本の線だけで形作られるものではなく、散りばめられた点と点を、自ら選び取りながら繋いでいくものなのだと、作中の人物たちを通して深く感じさせられました。
    以前、仕事柄、備前焼の人間国宝の方とお会いする機会があり、一度だけ手を握らせていただいたことがあります。その手は驚くほど柔らかく、温かく、包み込まれるような感触でした。
    本作を読みながら、ふとその時の記憶が蘇りました。
    長い歳月をかけ、ひとつの道を愚直に積み重ねてきた人だけが纏う熱を、この作品から確かに受けとりました。

    0
    2026年05月10日

    Posted by ブクログ

    息の詰まるような読書だった
    ぐいぐい引き込まれ 終章に入ると
    瀬戸内の穏やかな海が見えてきた

    備前の窯を受け継ぐ三世代
    祖父は人間国宝の 深田路傍
    父は轆轤の名手である 深田天河
    物心つく前に母を亡くした城は
    可愛がってくれる祖父に甘えて育つが
    冷徹な父を理解できず苦悩する少年時代を送る

    備前焼には親しみがある
    良質な土で練り上げ
    釉薬をかけない
    窯の熱風で睫毛が焦げるほど
    高温でニ週間かけて焼き締める
    窯出しされた器には
    胡麻、桟切り…そして
    緋襷の赤が鮮やかに浮かび上がる

    本物の備前焼は硬くて割れにくい
    人間の"業"は燃え立つ焔!
    己の餓鬼に喰い尽くされぬよう
    落ちる一歩手前で踏み留まる

    人間の成長していく姿と作陶が
    物語の中で見事に重なって見えた
     

    0
    2026年05月08日

    Posted by ブクログ

    備前焼の名家に生まれ、歪んだ家族の中で揺れ動きながら成長していく主人公。
    人間国宝の祖父と父親の関係に翻弄されながらも、やがて辿り着いた真実は、哀しみを含んだ深い愛情の物語でした。

    0
    2026年04月24日

    Posted by ブクログ

    遠田潤子さん初読み

    序章を読んだだけで、これは好きなやつだと確信し、読むのを中断したくなくないと思った。
    備前焼をよく知らない私はまず画像検索して、作品の特徴などを頭に入れる。
    あとは一気読み
    ──読むのが遅い私は一日では無理だけど(;´д`)

    人間国宝の祖父、深田路傍
    轆轤の名手、父・深田天河
    作風も性格もまるで違う二人の間には何があるのだろうか。
    常にピリピリした空気が漂っている。

    そして主人公の深田城は、おおらかで優しい祖父から沢山の愛情を注がれて育った。
    もちろん大のおじいちゃんっ子だ。

    一方、冷たい氷のような存在の父親からは愛情を感じたことはない。

    そんな父子三代の葛藤が渦巻く熱い熱い物語


    城はいつまでたっても、ぐにゃぐにゃで頼りない男だが、決して腐ることなく踏ん張り続ける。
    だから目が離せない。

    この物語はいったいどこに着地するのだろう

    少々不安に思っていると終盤、父の天河がようやく過去を語り始める。
    しかし彼の抱えている哀しみがあまりにも大きく、涙なしでは読み進められない。


    〝見えない海を一三〇〇度の鬼火を灯した孤独な舟が進んで行く〟

    天河を表したこの一文から見える風景がなんとも切ない。


    もうひとつ印象に残るのは、作中に何度も出てくる【餓鬼】

    〝「もっと」に飢える【餓鬼】を私たちは腹の中に飼っている〟
    という。人間はなんと欲深い生き物なんだろう。

    0
    2026年04月10日

    Posted by ブクログ

    父子三世代の歪んだ愛情に感情が揺さぶられた。
    天上火窯の炎、物原の燃えるような夕焼け、胸に宿る作陶への熱、様々な赤が目に浮かぶような素晴らしい文章だった。
    どれだけこの人たちは苦しんできてしまったのだろうか。
    それ故に、後半は大事に大事に親子の会話を読んだ。

    兵藤さんが城に伝えてくれる話がとてもよかった。
    「大事なことは大声で言わない」P.94
    たくさんの人に向けて喋れば自分にそのつもりがなくても周りに同情を強要する。
    心から思っていることは心から信じている人にだけ聞こえるように言えばいい。

    「本当に大切にすべきなのは、君が理解できないもの、受け入れられないもの、齟齬を感じたものだ。たとえば君のお父さんのようにな。」P.173
    人を成長させるのは優しく染み込んでくる言葉じゃなくて、疑問を持った言葉、違和感を覚えた言葉、君を不快にし、苛立たせる言葉。

    0
    2026年03月29日

    Posted by ブクログ

    父との葛藤、子との葛藤、普遍的なテーマだけど、備前の窯元という極めつけの伝統職人の成長の世界を描きながら、その葛藤を赤裸々に語る。親父っていうのはずるいなと思いつつ、そう思う自分もずるい親父になるからなぁと、どうしても自分にも重ねてしまう。とても読ませる物語です。

    0
    2026年03月11日

    Posted by ブクログ

    プロローグ

    芸術は爆発だ!の一冊
    爆発と言っても、ベクトルは内から外ではなく
    外から内にだ

    窯の中の温度と己の脳内の温度が共にある種の
    到達点に達しようとしている

    予測のできない未来に只々静観を決め込んだ己と
    対峙した!


    本章
    『天上の火焔』★5
    これまたブク友さん高評価の一冊
    そして、これまたお初の遠田さん♪

    いゃ〰素晴らしいの一言

    親、子、孫、(ひ孫)に渡る歪な家族の物語
    飛び抜けた芸術家は、ある意味人間としては
    欠落している
    欠落している箇所が多ければ多いいほど、それは
    突出するのかもしれない、、、

    ただ、それらが瓦解した時、本当の“家族”
    本当の“愛”を知りそして、“人”として逝くのだろう


    遠田作品、また何か手に取ってみよう
    そう思った!


    エピローグ

    ということで、どういうことで!?

    MRIの結果、くも膜下出血及び脳梗塞のダブルの
    危険性があるということで、大事を取って
    1週間の入院を余儀なくされた

    痺れや、目眩とかないんだけどね、、、(-_-;)
    お見舞いは、虎の門病院までよろしくです_(._.)_


    まぁ、時間もあるので沢山本を読むぞー
    最後にそう思った(¯―¯٥)8v♪




                         完

    0
    2026年03月03日

    Posted by ブクログ

    備前焼窯元一家の再生と継承を描いた物語。

    伊部の町の天上火窯の窯元で祖父は、人間国宝・深田路傍として名を馳せている。
    祖父の器は遊びとゆとりがあり、気持ち良くて心が浮き立つ。
    父・深田天河の器は、綺麗だけど哀しいと感じてしまう。

    城は祖父に可愛がられいたが、父は冷たく話すらしてくれなかったことに悩み苦しんでいた。

    陽と陰のような祖父と父の間で悩み苦しんでいた城は、祖父が亡くなり、祖母も亡くなって父も病に侵されていることを知り、高校卒業後京都の大学へ行ったままだったが、卒業後に伊部へ帰る。

    やがて、身体の動きがままならなくなった父からこれまでのことを聞き…。

    なんとも不器用な男たちだ…と。
    特に天河の実の親…のことを聞くと彼は身の置きどころがなかったのではと勝手に想像してしまう。
    妻の死がいちばん辛かったのかもしれないが、城が路傍に懐いたというのも苦しかったのかもしれない。
    そんななかで路傍とは違う己の器を造るというのは大変なことだったと思う。
    息子と向かい合うことの出来ない歯痒さにも自分自身を追い詰めていく。
    もっと早く気持ちを吐露していれば…と。
    父子三代の心の闇に哀しくなりながら再生を祈った。

    最後は幾度となく涙が溢れて仕方なかった。



    0
    2026年02月20日

    Posted by ブクログ

     感動しました❢

    「優しい言葉、温かい言葉、泣かせる言葉、無責任に褒めたり励ましたりする言葉には気を付けろ。大きな声で大きなことを言ったり、人を安心させたり気持ち良くさせたりすることを言うやつは胡散臭いんだ。君という人間に向けてではなく、たくさんの人間に向けて喋るやつは信用するな」

     「人を成長させてくれるのは気持ちのいい言葉じゃない。いつまでもそこにとどまっていたい、浸っていたいと感じる優しい世界じゃない。君を成長させてくれるのは優しく染み込んでくる言葉じゃなくて、疑問を持った言葉、違和感を言って憶えた言葉、もっと言うと君を不快にし、苛立たせる言葉だよ」

    0
    2026年02月10日

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