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交通事故で唯一の肉親である父を亡くした、大学生の片瀬在。尊敬する父の「弔いごと一切不要」という遺言に戸惑いつつも、その通りにすませた。しかし、生前は立入禁止だった父の書斎で遺品整理をはじめた矢先、全く知らない女性と自分の名が書かれた母子手帳を見つけてしまい、激しく混乱する。父は一体何を隠していたのか――在は主を亡くした書斎で、まるで葬儀を営むかのように、父親の本当の姿と向き合っていく。単行本『お葬式』を改題。ラストは希望溢れる感動長篇、待望の文庫化。(解説・瀧井朝世)
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Posted by ブクログ
この著者はファンタジーより現代ものがいい! 読み進むたびに謎、疑問が提示され またそれが解決されていく ストーリーも楽しめました
表現力があるので情景が浮かびやすく綺麗な映画のように読めた。 色々真相が明らかになってさらに手記でも二重三重に同じようなことを書いてるのでくどいと思ってしまった。 序盤が面白いので残念。 この人の本はいつも詰め込みすぎな気がする。 でもイヤミスほど読後感は悪くないし、面白いからもうちょっと他のも読ん...続きを読むでみようと思う。
初読みの作家さんです。暗く、苦しい作品なのですが先が気になって止められなくて一気に読んでしまいました。別の作品も読んでみようと思います。
相変わらずの遠田節炸裂。思い出したように読みたくなる。本作もそういう意味では軽く及第点。その一方で、同じ系統にちょっと飽きてきたかもしれないのと、多少の粗が気になるのとで、絶賛高評価!って訳にはいかんかった、個人的に。諸事情はさておき、やっぱり主人公たる私と、その母親に対する仕打ちはあんまりぢゃなか...続きを読むろうか。完璧だった父親にも暗い過去やらはあった訳で、その成長過程とかが示される中で、納得していくべきことなんだろうけど…って感じ。とはいえ、他作品においても、偏屈なまでの自己理論で過去を背負う者たちが語られている訳で、本作が特別成り立っていないのではない。結局、個人的にもう、この世界観に慣れてきてしまっているのが一番の原因かも。でもまだ読むけど。
新刊だと楽しみにしていたら、『お葬式』の改題だったのか…。 というわけで、感想は『お葬式』のところに。 大幅改稿があったら困るなぁ。
身勝手に思える行動も男の性なのだと同性だからか擁護してしまう。男にとって初恋とは一生忘れられない特別な宝物なのだ。だから許してもらえるとは思わないが・・・。個人的にはとても好きな作品でした。 あらすじ(背表紙より) 交通事故で唯一の肉親である父を亡くした、大学生の片瀬在。尊敬する父の「弔いごと一切不...続きを読む要」という遺言に戸惑いつつも、その通りにすませた。しかし、生前は立入禁止だった父の書斎で遺品整理をはじめた矢先、全く知らない女性と自分の名が書かれた母子手帳を見つけてしまい、激しく混乱する。父は一体何を隠していたのか――在は主を亡くした書斎で、まるで葬儀を営むかのように、父親の本当の姿と向き合っていく。単行本『お葬式』を改題。ラストは希望溢れる感動長篇、待望の文庫化。
遠田潤子『あの日のあなた』ハルキ文庫 。 2015年に刊行された『お葬式』の改題、文庫化。確かに『お葬式』という標題では余りにあからさまというか、えげつない感じがする。そういう点で改題は正解だと思う。 遠田潤子の『アンチェルの蝶』『雪の鉄樹』と何とも深く、重い、素晴らしい傑作を堪能したが、本作も...続きを読むまた余韻を残す素晴らしい作品だった。不満を言えば、主人公の片瀬在が極めてファザコンの清純で中性的に描かれている点であろうか。出来れば主人公の在には汚れて欲しかった。 二年前に母親を亡くし、父親の和彦と二人きりで暮らす主人公の片瀬在にとって父親は憧れであり、尊敬する存在だった。ある日、百合の花を買いに出掛けた父親が交通事故死する。父親が残した奇妙な遺言、かつて父親が付き合っていた女性、主人公の名前の書かれた母子手帳…余りにも多くの謎に満ちた伏線に、結末が非常に気になり、物語にのめり込んだ。 まだ遠田潤子の作品は3作しか読んでいないが、信用できる女性作家の一人となった。
主人公とお父さんの感じが、少し現実感に乏しく、読みやすくはあったけど、星3つ。 課題が多い家族と完璧な家族と…人間味がもっとあったらいいのにと思います。
著者の作品としてはミステリー要素があったりで 引き込まれる。 でも他の作品に比べると深い感動はなかった。
遠田さんの作品は、「月桃夜」、「アンチェルの蝶」と読んできての、この作品ですが、何となく共通点というか、伝えたい事が見えてきた気がしました。 人生には、楽しいことだけではなく、辛いこと、苦しいこと、やるせないこと等も存在すること。そして、それに向き合わなければならない。遠田さんの作品は、とても辛い...続きを読むことの方が多いのだけど、その中でも数少ないが、強く在り続けるひかりのようなものが、生き続けていれば見えてくること。そこに、辛い現実を生きてきた甲斐があったなと、思えるような素晴らしさ。この作品では、あたらしい世界ということになるのでしょうが、家族の在り方について、色々考えさせられました。 家族という特別な関係は、思いが深い故に、時に悲しみや怒りとともに、誤った方向へ、人をいざなってしまうこともあるのだろうか。この作品では、家族という関係の素晴らしさと悲しさを、共に示された気がします。ただ、素晴らしさの方には、やるせない部分もあるので、それがまた、作品だから美しいと思えるのかもしれませんが、当事者たちにとっては、本当に大変だっただろうと思いました。 また、登場人物の「片瀬和彦」の、本当に細かくて繊細な心理描写には、脱帽させられました。遠田さんの人物に対する真剣なまでの創造力を感じました。 ただ、物語がほとんど片瀬和彦の息子「在(ある)」の、父親の真実探しに終始するため、そこは、ややもどかしく単調な展開と思われるかもしれません。 以下、ネタバレ含みますので、ご注意を。 私が最も印象に残ったのは、上記した家族の素晴らしさである、片瀬和彦と森下翠のお互いの愛情です。 唯一、翠の吃音を気にしないでいてくれた和彦と、家族から愛情を注がれなかった故に、寂しさを覚えて、ぶっきらぼうに見られた和彦に対して、自然に接した翠のふたりは、正に、お互いがお互いを必要としており、ふたりには、それがしっくりいっていることが無意識に実感出来ていた。それが、これまで体験したことのなかったことで、あたらしい世界と呼んだわけです。 ただ、そう思っていたのは当事者たちだけで、周りとの悲しいくらいの温度差と誤った解釈による悲劇は、本当にやるせないものがありました。 そして、終盤の和彦の手紙を読むと、和彦が本当にどれだけ辛い人生を送っていたのかを痛感させられました。それでも、亡くなった時に、笑うことが出来たって。人はここまで強くなれるのだろうか? 一瞬、疑ってしまう自分自身が恥ずかしいが、物語の力というのは、こういうところにあると、私は思っています。 また、エンディングの、在と、翠の姪の「水樹」の、ささやかだけど、前向きな終わり方も良かったです。物語が終わった後も前途は暗いかもしれない。特に、水樹はまだまだ辛いことがあるだろうけど、そこは成長した在が、正に、和彦のように格好良く支えてくれるだろうといった希望を感じました。 水樹には、本当に幸せになってほしい。
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