作品一覧

  • 若葉の宿
    3.3
    1巻1,584円 (税込)
    京都の町家旅館で祖父母に育てられた、若い女性の揺れる心情を描く「小説すばる新人賞」受賞第1作。京都の小さな町家旅館・山吹屋に生まれた夏目若葉は、父を知らず、母も幼い頃に失踪したため、祖父母に育てられた。旧来のスタイルを守り続ける山吹屋は、グローバル化の波が押し寄せるなかで、年老いた祖父母の手で細々と経営が続けられていた。旅館を継ぐ決心がつかないまま20歳を過ぎた若葉は、祖父の伝手により、老舗の大旅館で新米の仲居として修業を始める。一方、中学からの親友・紗良は、芸妓を志す。失敗を繰り返しながらも仕事を覚えていく若葉は、先輩からの厳しい叱責に戸惑い続ける日々を送っていた。そんなある日、山吹屋に買収の話が持ちかけられる。さらに、若葉が勤める大旅館にも激震が……。
  • 砂漠の青がとける夜
    3.7
    1巻1,320円 (税込)
    【第27回小説すばる新人賞受賞作】東京で雑誌編集をしていた瀬野美月は、姉が亡き父親から譲り受けたカフェを手伝うため、京都に移り住んだ。淡々と日々を過ごす彼女の心をよぎるのは、東京での仕事と不倫相手の記憶だった。飲食店の紹介記事で使う言葉への違和感、別れを告げた不倫相手から送り続けられるメール……。自らの気持ちと、それを表現する言葉とのギャップが、美月の心にわだかまりとして残っていた。そんな美月の前に、どこか現実感がなく不安定さを帯びた男子中学生が現れる。平日の夕方にコーヒーを注文する彼は、大人びた物静かな少年だったが、あどけない面も持っていた。二人が親しくなっていったある日、彼は他人とは異なる世界が見えることを美月に打ち明ける。彼の話を聞くうちに、美月は自分の現実感が揺らぐ感覚を抱き、彼自身の存在さえ確かではないという思いを持つようになる。そして、彼だけが知覚する言葉を、ノートに書き留めるようになった美月に訪れた瞬間とは――。繊細な文章表現とみずみずしい感性が光る受賞作。

ユーザーレビュー

  • 砂漠の青がとける夜

    Posted by ブクログ

    月と六ペンスでふと手に取った1冊。出てくる少年の言葉がすごく素敵で、繊細で、でもどこか痛々しいかんじ。この本に対する評価がそんなにされていないのが不思議で、でもこれが評価されてしまうと孤独が絶望に変わってしまう気がするので、この作者は私の隣にいてくれるのだという安心感をいただける場所にしたい。

    0
    2023年06月26日
  • 砂漠の青がとける夜

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    感想をまとめるのがとても難しい小説だった。

    第一印象では『甘さ』『愛してる』がキーワードとして沢山描かれていると感じ、小説の中で『甘さ』は感情を表していますがそれは一つの感情だけではないと思いました。

    ●『甘さ』に関する疑問点
    小説の最初の方で、主人公の女性・美月は雑誌編集をするにあたってパンケーキを食べる。しかし、その味を決まった常套句でしか表現できない自分に苛立ち、毎晩角砂糖を食べてしまう「角砂糖現象」が起こってしまう。
    パンケーキの特集の仕事が終わるとその現象は消え、美月はバスタブに湯を張って角砂糖を溶かして入る。
    その「甘さ」が活き活きと自分の中に根付いていると感じるがその甘さを表

    0
    2019年12月17日
  • 若葉の宿

    Posted by ブクログ

    若葉があまりにも幼くてイラっとしてしまい、最初はあまり良い印象ではなかった。
    舞台が京都なのと千早茜さんのTwitterで紹介されてたので購入した本作。
    なんだか微妙だなぁと思いながら読んでいたのだけど、途中からなぜだが本の中の情景が頭に自然と描かれ、いつのまにか馴染んで読んでしまった。
    予想通りの展開だし、やっぱり若葉は苦手だけどなんか良かった。

    0
    2017年06月22日
  • 砂漠の青がとける夜

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    注意:今回はいつもより多分に私見が入っており、なおかつそれゆえに作者さんの思惑通りの解釈をできていない可能性が高いです。以上をご理解のうえ、書評をご覧ください。

    この小説、ヤバい。

    亡き父の料理店をカフェに改装した姉から手伝いを頼まれたことを機に、東京での出版社勤めをやめてウェイトレスになった主人公の、カフェに通う不思議な少年や姉と懇意にしていた小学校教諭の青年などとの交流を描いた一年間が書かれた小説。

    これだけ読むと、ただの『スイーツ(笑)向けのふいんき←なぜか変換できない』小説。
    実際そういう側面は強い。
    強いんだけど、その一言で片付けていい作品とは僕には思えなかった。

    この小説、

    0
    2017年03月15日
  • 砂漠の青がとける夜

    Posted by ブクログ

    福井の書店にて。地元出身の作家さんってことで推されてたんだよね。年齢が近めだったこともあり気になって。そういえば新人賞の作品を近い間隔で読んでるなぁ。
    雑誌の編集者の主人公は言葉と自分の思いのギャップ違和感を覚えてきて、仕事をやめて京都で姉と喫茶店をやっている。「そのひとの声と重なって、本音や自分すら気づかない思いが 色づいて 聞こえる」という少年に会って……。というあらすじ。なんかちょっと不思議な感じとか文章が村上春樹的かも。
    流行の最先端!とか絶品グルメ!とか、強い言葉が広告分野ではいまだに必要ではあるけれど、 そういう部分に違和感があるのかなぁ。地の文には境目が曖昧な、そうかもしれないし

    0
    2015年05月05日

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