中村理聖のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ感想をまとめるのがとても難しい小説だった。
第一印象では『甘さ』『愛してる』がキーワードとして沢山描かれていると感じ、小説の中で『甘さ』は感情を表していますがそれは一つの感情だけではないと思いました。
●『甘さ』に関する疑問点
小説の最初の方で、主人公の女性・美月は雑誌編集をするにあたってパンケーキを食べる。しかし、その味を決まった常套句でしか表現できない自分に苛立ち、毎晩角砂糖を食べてしまう「角砂糖現象」が起こってしまう。
パンケーキの特集の仕事が終わるとその現象は消え、美月はバスタブに湯を張って角砂糖を溶かして入る。
その「甘さ」が活き活きと自分の中に根付いていると感じるがその甘さを表 -
Posted by ブクログ
ネタバレ注意:今回はいつもより多分に私見が入っており、なおかつそれゆえに作者さんの思惑通りの解釈をできていない可能性が高いです。以上をご理解のうえ、書評をご覧ください。
この小説、ヤバい。
亡き父の料理店をカフェに改装した姉から手伝いを頼まれたことを機に、東京での出版社勤めをやめてウェイトレスになった主人公の、カフェに通う不思議な少年や姉と懇意にしていた小学校教諭の青年などとの交流を描いた一年間が書かれた小説。
これだけ読むと、ただの『スイーツ(笑)向けのふいんき←なぜか変換できない』小説。
実際そういう側面は強い。
強いんだけど、その一言で片付けていい作品とは僕には思えなかった。
この小説、 -
Posted by ブクログ
福井の書店にて。地元出身の作家さんってことで推されてたんだよね。年齢が近めだったこともあり気になって。そういえば新人賞の作品を近い間隔で読んでるなぁ。
雑誌の編集者の主人公は言葉と自分の思いのギャップ違和感を覚えてきて、仕事をやめて京都で姉と喫茶店をやっている。「そのひとの声と重なって、本音や自分すら気づかない思いが 色づいて 聞こえる」という少年に会って……。というあらすじ。なんかちょっと不思議な感じとか文章が村上春樹的かも。
流行の最先端!とか絶品グルメ!とか、強い言葉が広告分野ではいまだに必要ではあるけれど、 そういう部分に違和感があるのかなぁ。地の文には境目が曖昧な、そうかもしれないし -
Posted by ブクログ
ネタバレ東京で過ごしていた日々を、京都で過ごすようになって思い出す数々のこと。
東京で雑誌の記者として何十軒のお店を回っていたこと。
結婚している溝端さんとずるずるとした関係を捨てて
京都にいる菜々子姉ちゃんのカフェを手伝う日々を送る美月。
カフェに1人でやってくる中学生の準くん。
自分に無関心な両親との関係や、
他人から聞こえてくる不思議な声や雰囲気を感じ取る準くん。
菜々子姉ちゃんの同級生の世界中を旅してきた織田さん。
人が集まる場所で、さまざまな声を聞き
思い出すこと、いろいろ。
最初からなんとも陰鬱な雰囲気で
どうなることやらだったけど
意外と穏やかな方向に行って一安心だったよー。