情熱

情熱

小説・文芸
1,815円 (税込)

9pt

情熱と分別のあわいに揺れるあなたへ。

40年ぶりに再会を果たした同級生のカメラマンとスタイリスト――「兎に角」
「ボケたら関係解消」が条件で、生活をともにする70代ホストと美容師――「ひも」
遅咲き小説家と、過去をあかさぬ女性大学教授――「情熱」
ほか、全6編。

直木賞受賞作『ホテルローヤル』、中央公論文芸賞受賞作『家族じまい』に連なる、静かな大人たちの物語。

【著者略歴】
桜木紫乃 さくらぎ・しの
1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞受賞。07年同作を収めた『氷平線』で単行本デビュー。13年『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で第149回直木賞、20年『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞を受賞。ほかに『ブルース』『裸の華』『緋の河』『ヒロイン』『谷から来た女』『青い絵本』『人生劇場』など著書多数。

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情熱 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    中年過ぎの人たちが主人公の、小編集。
    緊張感と真面目さがいい。面白かった。

    第1話 牧村は現場で20年ぶりに二葉と会う。ランチを一緒にとることにした。その後二葉から撮影の依頼を受けるようになった。

    第2話 老作曲家と老ディレクターの河合は、新しいディレクターの前で1ヶ月かけた新曲を披露する。

    第3話 朗人と江里子は老人ホストクラブで出会った。江里子のボケたら関係解消と言われているので気が抜けない。

    第4話 トニー漆原の葬儀会場。紀和とマスターだけが仕事仲間だった。

    第5話 芙美は札幌から釧路への転勤を打診されている。といっても断れるものではないので、実質命令だ。

    第6話 作家の島村は博多に来ている。

    0
    2026年10月08日

    Posted by ブクログ

    説明めいた記述が全くなく、ただ情景が描かれているだけなのに、そこから登場人物の状況や関係性や思いが鮮やかに見えてくる。
    著者の、「いい歳をした」大人に対する暖かい眼差しがうれしい。

    0
    2026年02月20日

    Posted by ブクログ

    沁みる、沁みる。
    それぞれ独立した6つの短編、「兎に角」「スターダスト」「ひも」「グレーでいいじゃない」「らっきょうとクロッカス」「情熱」。一つの短編を読み終えるたびに、しばらく余韻に浸りたくなり、次の短編へとページをめくる手が止まります。
    桜木作品には『ホテルローヤル』をはじめ、「血」「業(ごう)」「因縁」「宿命」といったキーワードが思い浮ぶものが多いですが、主に60代前後、熟年から老境にさしかかる男女を扱ったせいでしょうか、この作品では、そういったドロドロとした関係性は少なく。もちろん全体を通して暗調で、突き抜けるような解放感はありませんが、柔らかな感じの作品集です。
    特に気に入ったのは「グレーでいいじゃない」。35歳の女性サックス奏者がかつて組んでいた、還暦のジャズピアニストが亡くなった。その葬儀中に一人「G線上のアリア」を弾いていたのは、90歳の母親。彼女はクラシック至上主義の厳格なピアノ教師で、息子がジャズに転向してからは疎遠でした。しかしある日、この母親が主人公の出演するジャズハウスに現れ、見事にジャズを共演してみせます。この90歳の母親が実に格好良い。
    最後の一編「情熱」は、北九州や下関が舞台となっています。「おや、珍しい。桜木さんが北海道以外を舞台にするなんて」と思いましたが、作中で「北海道以外の土地を舞台にするのは、何か心境の変化でも?」と聞かた主人公(北海道出身の男性小説家)が、「毎年ひとつでも何かに挑戦していかないと、仕事がなくなるんです」と語っていました。今後は“脱北海道”になるのでしょうかね。
    角は有っても、その先端を随分と柔らかくして行く事で、年齢を重ねてもなお前に進み続ける人々を描いた作品集。

    0
    2025年08月27日

    Posted by ブクログ

    Audibleで。
    年齢層が高いお話とはいえ、人生の岐路にあってはどの年齢にあっても思いや考え方は同じではないかなと。
    ああしとけばよかったとか、言っておけばよかったとか、何がおかしくてここに居るのか。
    人の悩みにおいて、なんかね寄り添われている感覚の桜木さんのお話。
    兎に角が、一番かなあ。
    あ、らっきょうとクロッカスはその先が欲しくなる。けど好きな内容。
    で、情熱。博多~北九州~下関。いや、桜木さん北海道から離れた(笑)ゆえに興味深い。
    どの短編もその先が知りたいけど、長編も一緒か。
    暑い夏に北海道の厳しい寒さの本。
    だからいい

    0
    2026年08月23日

    Posted by ブクログ

    桜木紫乃さんの短編集。期待以上だった。
    ホテルローヤルから追いかけて読んでいるが年々彼女の描くお話の虜になっているような気がする。胡蝶の城は特に好きな作品。北海道在住だけあって吹き荒ぶ自然を描くのが秀悦。今回は気持ちを揺さぶられるお話が多く、
    表現や読みやすい文章の素晴らしさをひしひしと感じ、表題の情熱以外はのめり込んで読んでいたように思う。情熱は物書きならでは視点が興味深かったが内容は共感できなかったかな。今後も追いかけていきたい

    0
    2026年04月20日

    Posted by ブクログ

    「兎に角」60年振りに再会した同級生と、自分ならどんな言葉を交わすだろう…淡い夢物語がシャボン玉のようにポッと浮いてプチンと消える。「ひも」70代ホストの登場に驚く!さらに”ボケたら関係解消”が条件の美容師のひもだという。70代で、こんなに豆に動けるのは愛情のたまものではないのかと、ほっこりと感動。「グレーでいいじゃない」厳しいピアノ教師に育てられた息子とその母との関係。昔の母は、”背中を読め”と本音なんて見せなかった!「スターダスト」久し振りに、コルトレーンの”スターダスト”を聴いてみた。みんな優しい。短編集。中年と呼ばれる事にもとうに慣れ、体力的にも心の有り様にも、淡白になる男と女の物語。いつからか、何処かにその熱を置いて歩いて行くのだろうか。あの寝ても醒めてもどうしようもない熱を、かつて確かに持っていたと思い出す一冊だった。ただの若造だった男や、既に女であった女の子、年齢を重ねて今、この歳で再会したとしたら。そんな事がふと掠めてしまう。分別か、それは歳を重ねたからこそ手に入れられた私たちの最大の鎧なのかもしれないな。「ひも」「らっきょうとクロッカス」そして「情熱」桜木さんを読んだ気持ちで満たされる。

    0
    2026年03月09日

    Posted by ブクログ

    はじめての桜木紫乃。
    6つのお話が収録されており、前半は、うーん…と思っていたのですが、"らっきょうとクロッカス"、"情熱"を読んで、これは新しい官能小説なのではないか?エッロ!!と思い、最後まで興味深く読み終えました。
    調べてみると、やはり、新官能と言われるジャンルなんですね、納得です!!

    0
    2025年12月21日

    Posted by ブクログ

    俳句を想定するほどギリギリまで削ぎ落とした文章。文学的な修辞も嫌みになっておらずうまいなあと感じた。

    0
    2025年12月17日

    Posted by ブクログ

    帯にある3作品ではない2作品が好き。
    「グレーでいいじゃない」で、最後に亡くなった相棒の母が弾く「ストレンジャー」の演奏の音が聴こえてくる気がした。
    「らっきょうとクロッカス」1人で50過ぎまで目的に向かって目標を達成しながら完璧に生きてきた女性が、ささやかな出会いで穏やかで幸せな生き方を手に入れる、その語り口が、なんか、沁みた。

    0
    2025年11月03日

    Posted by ブクログ

    「情熱と分別のあわいに揺れるあなたへ」という帯書きだが、タイトル作の『情熱』よりも、他の『兎に角』に特に惹かれました。

    どの作品も、還暦過ぎた主人公たちの諦念や枯れ感がいい具合に醸し出されていて、安心して読めました。

    桜木さん、これからも是非この路線で頑張って欲しいです。

    0
    2025年10月29日

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