文春文庫作品一覧

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  • 君がいない夜のごはん
    4.1
    電車の中で読んではいけない絶品エッセイ集 料理が出来ず味オンチと自覚する穂村さんが日常で見出した「食べ物」に関する六十編。深くて笑えて思い当たる。傑作エッセイ集。
  • きみ去りしのち
    3.8
    1巻691円 (税込)
    満1歳の息子を喪った「私」は、休職届を出し、旅に出た。前妻のもとに残してきた娘とともに。かつて「私」が愛した妻もまた、命の尽きる日を迎えようとしていたのだ。恐山、奥尻、オホーツク、ハワイ、与那国島、島原……“この世の彼岸”の圧倒的な風景に向き合い、包まれて、父と娘の巡礼の旅はつづく。決して消えることのない傷を抱えた時、いかにして人は人生を再開させるのか。鎮魂と再生への祈りを込めた、熱い傑作の誕生。
  • 君たちは何のために学ぶのか
    4.2
    “ファーストクラスに乗る人が機上で読む本”として紹介された本書。他人と違うことを強みに、変化の激しい社会を生き抜こう!と「ミスター円」こと榊原英資先生が、グローバル化が進む新しい時代の生き方を若者向けに説く。まずは世界経済の巨大なマーケットの原理からはじまり、激動の時代を生き抜くためにはどのように学び、何をすべきか。学校では教えてくれない、実践的勉強法とサクセス術をわかりやすく指南する! 高校生のための特別なサマースクール「次世代リーダー養成塾」を主催し、彼らとこれからの生き方を考えてきた著者。ビジネスエリートやあらゆる大人にとっても、今すぐ実践したくなるエッセンスがつまった名著!
  • 君と一緒に生きよう
    3.8
    犬が好き――でも愛だけでは守れない。 捨て犬。野良犬。迷い犬。この世は不幸な犬で一杯! どこかの一頭が飼い主にめぐり会えたかと思えば、どこかでまた五十頭が捨てられて、救われる犬は、ほんのひと握り。毎日こんなたくさんの犬が殺されている社会って、何なのだろう? 人と犬の出会いは、時に幸福をよび起こし、時に悲劇をひき起こす。 はかない命を救うために奔走する人々を通じて、現実をつぶさに見つめ、命の声に耳を傾けた傑作ノンフィクション。 絵本作家・スギヤマカナヨさんのイラストコラムも必見です。 ※この電子書籍は2009年3月に毎日新聞社より刊行された単行本を、文春文庫より文庫化したものを底本としています。
  • 君と放課後リスタート
    3.8
    僕は、どんな人間だったのか。どんな君を好きだったのか――。 「理想の三組」と呼ばれた高校のクラス全員が、ある日突然記憶喪失に。すべての人間関係についての記憶が失われた状態で生まれてきた謎を、主人公の「僕」は解き明かせるのか。「僕」・九瀬永一とクラスメートの叉桜澄は今は全く性格が合わないが、記憶を失う前は付き合っていたようで……。 残されたSNSや日記からふたたび理想の姿を取り戻せる日は来るのか――。 主人公自らも記憶喪失というハンデを抱えながら、さまざまな謎を、やはり記憶を失ったクラスメートで恋人(だったらしい)叉桜とともに解き明かしていく。 「謎好き乙女」シリーズや「今夜、君に殺されたとしても」で話題沸騰の著者による、待望の新シリーズ!
  • きみは赤ちゃん
    4.5
    ベストセラー異色エッセイ、待望の文庫化 芥川賞作家の鋭い観察眼で「妊娠・出産」という大事業の現実を率直に描きベストセラーとなった異色エッセイ。 待望の文庫化。 35歳で初めての出産。それは試練の連続だった! つわり、マタニティーブルー、分娩の壮絶な苦しみ、産後クライシス、仕事と育児の両立…… 出産という大事業で誰もが直面することを、芥川賞作家の観察眼で克明に描き、 多くの共感と感動を呼んだ異色エッセイが待望の文庫化。 号泣して、爆笑して、命の愛おしさを感じる一冊。
  • 君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい
    3.6
    「本を読むより外で遊べ」と説教され、「まさか小説家になろうとしているわけじゃなかろうな」と非難された少年時代。生き別れた母を想い、ともに暮らす家族に尽くし、週末ごとの競馬を傍らに全身全霊で小説の神様に向き合ってきた人気作家が、胸熱くする人生の景色を、深く洒脱に紡ぐ。名人の筆に酔いしれる傑作エッセイ集!
  • キミは珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?
    3.8
    フェネック、サル、スカンク、ハリネズミ、アリクイ──なぜ犬や猫では飽き足らず、珍獣を飼おうとするのか。珍獣と呼ばれるにはワケがある。獰猛や虚弱体質ゆえに飼うのが難しい、飼い主になつかない、ムチャクチャ臭い…それでも飼おうという人は、キセキのような楽しさが味わえるのも、また真実なのだが。伝説の珍獣ショップ「動物堂」店主として、あまたの珍獣を扱い、飼ってきた著者による、類のない珍獣選び・育成指南の書。ぐっとくる写真と自筆イラストも満載です!
  • きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で)
    3.6
    当代一の売れっ子脚本家が放つ、初の小説! 冬の白鳥だけが名物の東北の町で男子高に通う「僕」。ある日、ローカル番組で「おもしろ素人さん」を募集しているのを見つけた僕は、親友たちの名前を勝手に書いて応募し……。 解説・石田衣良
  • 肝っ玉かあさん
    3.6
    昭和ホームドラマの原点・復刊! 東京・原宿にある蕎麦屋「大正庵」の女主人・大正五三子は、太っ腹で、世話好きで、涙もろいお人好し。 くわえて体重もずっしり横綱級で、ひと呼んで「肝っ玉かあさん」。 この原宿の三大名物の一つともいわれる「肝っ玉かあさん」を主人公に、大正庵をめぐる人間模様を軽妙に描きつつ、ほろりとくる作品。 1968年4月から1972年1月まで全117回、3シリーズにわたって放送されたテレビドラマ「肝っ玉かあさん」。 視聴率30%を誇り、その後「ありがとう」へと続く人気路線の先駆けとなった。 その脚本を担当した平岩弓枝が、ドラマを小説に書き直したのではなく、同じテーマで作者の思いを込めて小説にした。 それが本書、『肝っ玉かあさん』である。 巻末の「四十六年後のあとがき」に、ドラマ「肝っ玉かあさん」役の京塚昌子との思い出が綴られている。 【目次】 序章 雨の日曜日 幼馴染 三三子の縁談 夫婦 邪魔っけ 夏の日 運動会 女盛り ちいさな秋 あとがき 四十六年後のあとがき
  • 捕手はまだか
    -
    福岡に住む遠山は東京からの手紙を受け取った。差出人は、昭和二十二年の夏、最後の旧制中等野球南九州大会の決勝戦を戦った相手校のキャプテン、木谷。三十三年目の敗戦記念日に再戦を挑んできたのだった。人生の明暗をそれぞれの過去に背負いながら、両校ナインは同じメンバーで試合に臨んだが……。人生の哀歓を野球に託す表題作ほか、終戦直後の草野球チームの友情、みずからのコールに野球の夢をかけた審判の心意気など、野球を愛する人々の人間模様を描く傑作二篇を収録。
  • キャッツアイころがった
    4.0
    滋賀、京都、大阪。全く別々の場所で発見された三人の男たちの死体は、なぜ同じようにキャッツアイを呑みこんでいたのか。キャッツアイを共通点に、連続殺人事件と断定されたが、被害者同士の関係もつかめず捜査は難航する。一方、第二の被害者村山光行と共に、京都府立美術大学に学ぶ啓子と弘美は、村山の旅行体験から「事件の鍵はインドにあり」と睨んで一路カルカッタへ。そこで二人が掴んだ真実とは──。サントリーミステリー大賞に輝く傑作長篇推理。
  • キャプテンサンダーボルト 上
    3.9
    1~2巻764~784円 (税込)
    「俺とおまえで世界を救いに行こうじゃないか」 現代を代表する人気作家ふたりが合作、その化学反応が生み出した問答無用のノンストップ・サスペンス。 世界を揺るがす秘密は蔵王に隠されている! 大陰謀に巻き込まれた小学校以来の友人コンビ。 異常に強い謎の殺し屋と警察に追われるふたり(と犬一匹)は逃げ切れるか。 女友達を助けたばかりに多額の借金を背負う羽目になった相葉の手にひょんなことから転がり込んだ「五色沼水」。それを狙う不死身の(ように見える)冷酷非情な銀髪の白人が、死体の山を築きながら彼を追ってくる。 五色沼といえ通称「御釜」と呼ばれる蔵王の火口湖、そこは戦後にパンデミックを起こしかけた「村上病」のウィルスで汚染されていて、立ち入り禁止地域になっていた。この水はいったい何なのか。すべての背後にあるのは「村上病」をめぐる秘密らしかった。 ウィルスの発生源とされる「御釜」に何があるのか? そして主演男優のスキャンダルを理由に封印された戦隊ヒーロー映画に何が映っていたのか? 相葉は逃亡の途中で中学時代の野球部の悪友・井ノ原と再会。ふたりは、太平洋戦争末期に蔵王山中に墜落した米軍機の謎を追う女性・桃沢瞳の助けも借りて謎に挑む。 だが事態を解決するためには、あの銀髪の破壊者との直接対決は避けられない―― 平凡な男ふたりが世界を救うために命をかける。その胸にあるのは少年時代の思い出。 ちりばめられた伏線が収束し、破滅へのカウントダウンが点滅する中で、白熱のクライマックスに突入する! 文庫用に本編の前日譚と後日譚となる書き下ろし掌編小説を、ボーナストラックとして収録!
  • キャベツの丸かじり
    3.8
    読めばたちまち極楽気分。暗い気分を一掃し、笑いの渦へと巻き込む人気シリーズ「丸かじり」。本書で俎上にあがった題材は、有名ラーメン店の行列に懐かしの段々のり弁製作、おでんについての苦言。サバについては、ふんがーっと血気盛んにその美味を持ち上げ、ごはんにあうおかずを大マジメに論じる。カツ丼探索をこころみんとしながら、つい目線は「食べ方のイケナイ」諸氏に向いてしまう……素朴な疑問と旺盛な好奇心あふれるシアワセな笑いに満ちた一冊。
  • 球界消滅
    4.5
    弱小球団、横浜ベイズの副GM大野は、独自のセイバーメトリクス理論で、チームを見事に立ち直らせる。だが、一方で、球界全体を揺るがす途方もない計画が進行していた。大野はその渦中に投げ込まれる。もし、プロ野球が4球団に統合されてMLBに吸収合併されたら――? 豊富なデータに裏打ちされた戦慄のシナリオ!
  • 球形の荒野 新装版(上)
    3.7
    奈良の唐招提寺を訪ねた芦村節子は、芳名帳に大戦中の外交官だった亡き叔父・野上顕一郎の独特な筆跡を見た。名前は違うが、こんな変わった筆跡はほかに見たことがない。叔父は戦争末期、スイスで死亡しているはずだ。しかし、もしかしたら……と疑いが彼女の胸に湧いてくる。野上未亡人・孝子とその娘・久美子、節子の夫・亮一は、節子の話に取り合わないが、久美子の恋人である新聞記者・添田彰一は、筆跡の話を聞いて、ある予感を受ける。著者会心の国際謀略ミステリー!
  • 9・11倶楽部
    4.0
    地下鉄サリン事件で妻子を失った救急救命士の織田は、ある日路上で倒れていた少女・笑加(えみか)を助ける。彼女と暮らしていたのは、リーダー格の明をはじめ年齢がバラバラな少年たち。実は彼らは、都知事による新宿浄化作戦で両親を中国に強制送還された、戸籍のない子供たちだった。事情を知った織田は、力になろうと無謀な行動を起こし始める。理不尽な現実と社会に復讐するためにはじめた“危険な遊び”は、やがて──。狂気に駆られていく男を圧倒的な筆致で描く傑作長篇!
  • キュート&ニート
    4.5
    姪探偵登場!? ひきこもりのニート青年・白畠鋭一は、バツイチの姉・真矢のニューヨーク出張の間、幼稚園児の娘・リサの面倒を見ることに。幼稚園で起こる様々な事件をリサに助けられて解決するうち、縮こまった鋭一の心も開かれていく。著者自身の幼稚園児の送り迎え体験を元に描くハートウォーミング・ミステリー! 幼稚園には危険がいっぱい? もう「ひきこもり」なんて言ってられない。
  • 巨悪vs言論(上) 田中ロッキードから自民党分裂まで
    3.0
    日本の政治の巨悪を断罪し糾弾しつづけた、立花隆・不屈の言論活動全記録! 1976年の田中逮捕から93年の金丸逮捕、宮沢内閣不信任解散、自民党分裂まで、日本政治史上未曾有の混乱の時代に、立花隆が書き続けた1万枚以上の原稿の中からエッセンスを抽出。上巻では、田中のすさまじい権力闘争と、田中型の金権と力・数の政治がいかにして日本の政治を歪め、プロトタイプとなっていったかを検証する。
  • 強運の持ち主
    3.8
    ショッピングセンターの片隅で占い師を始めたルイーズ吉田は、元OL。かつて営業職で鍛えた話術と、もちまえの直感で、悩む人たちの背中を押してあげるのが身上だが、手に負えないお客も千客万来。「お父さんとお母さん、どっちにすればいいと思う?」という小学生。何度占いがはずれてもやって来る女子高生。「俺さ、物事のおしまいが見えるんよ」という大学生まであらわれて、ルイーズはついに自分の運勢が気になりだす…。ほっこり優しい気持ちになる連作短篇集。
  • 恐婚
    -
    「私たちはまず離婚し、いや、まず結婚してから離婚し、それでお互い気楽になって同棲をしましたが、現在はそれも打ち切って別居し、彼女は別の男のものになっているのですから。してみれば私とは全然無関係の女であるわけで、無関係な女と痴話喧嘩をするほどばかばかしいことはありません」……奇妙な元夫婦の“家庭”に不思議な縁で怪しい男女が集まって織りなす、なんとも風変わりな雑居生活。直木賞の名作「離婚」のその後をユーモアとペーソスで軽妙に描く出色の佳篇ほか、四篇。
  • 喬四郎 孤剣ノ望郷  蜘蛛の巣店(くものすだな)
    3.0
    文春文庫の書き下ろし時代小説シリーズ第1巻! 悪政を敷く御国家老に父を謀殺された有馬喬四郎は、江戸の長屋に身を潜めて復讐を誓う。が、まずはその日の暮らしが大事。怪しい仕事で日銭を稼ぎ、女人に妻の面影を求め、返す刀で刺客を倒す。ままならぬ日々を懸命に生きる喬四郎と、ひと癖もふた癖もある悪党どもが繰り広げる珍騒動。時代小説の愉しみを満載した、人情ドラマ新シリーズ!
  • 教授の異常な弁解
    3.0
    本書は損得にこだわらない人にお薦めである。買って損をしたと思うようなら、まだ自分は損得にこだわる人間だと反省し、より太っ腹を目指していただきたい――。「過ちを潔く認めるべきか」「苦しまぎれのつじつま合わせ」「うやむやに終わらせる方法」などなど。抜きんでた理屈力で冴えわたる教授の弁解術! 週刊文春長寿連載「ツチヤの口車」シリーズ第5弾。
  • 教授のお仕事
    3.5
    早稲田大学の名物教授が初めて描くキャンパス情報小説。日本のエジプト学の泰斗としてテレビ等でお馴染みの著者ですが、本業は大学の教授。21世紀の今日、大学のキャンパスでは何が起きているのか。教授たち、学生たちの素顔。事務方の官僚っぷり。モンスターペアレンツの実態や、派閥争いに走る先生たち――。架空の大学を舞台にして最高学府のトホホな舞台裏を描く痛快な小説!
  • 京都うた紀行 歌人夫婦、最後の旅
    4.8
    死別を前に歌人夫婦が訪ねた歌枕の地 歌に魅せられ、その歌に詠まれた京都近郊の地をともに歩いて綴った歌人夫婦の記。河野氏の死の直前に行われた最後の対談を収録。
  • 京都・春日小路家の光る君
    4.7
    名家×縁談×付喪神。豪華絢爛和風ファンタジー! やっと再会できた初恋の相手には、四人の許嫁がいた――。 人とあやかしが共存する京都で、生まれ育った山崎炉子。実家の大衆食堂「山咲」が経営難に陥り、名家・春日小路家の使用人として働き始めた。炉子は次期当主である翔也に淡い恋心を抱くものの、彼には容姿と財力、さらには付喪神を使役する“霊力”に恵まれた四人の花嫁候補がいて……。 累計26万部「京都府警あやかし課の事件簿」著者による新シリーズが開幕!
  • 京都殺人地図
    5.0
    江夏冬子は二十九歳、東大法卒、スタイル抜群の美人。そして京都府警の捜査一課への新任検視官でもある。着任の翌日、早速、事件が起きた。密室の勉強部屋で中学三年生の女の子が死んでいたのだ。外傷ナシで死因は不明。現場に急行した冬子はたちまち、少女が妊娠三、四カ月で、首を絞められて殺されたことを見破り、才女をケムたがっていた橋口部長刑事を驚かせる。事件を解決するごとに、冬子と橋口はいいコンビに成長して行く。ミステリの女王によるみごとな推理八連作!
  • 京都感傷旅行 十津川警部シリーズ
    4.0
    安倍晴明、小野篁の伝説が蘇る。京都歴史ミステリー。 還暦を迎えた沢田秀一は、大学時代の「鉄道友の会」の仲間と、 かつて交際した西野京子が営む京都の料亭旅館で再会した。 だが、仲間の男は「私は、欺されたのか?」とメモを遺し不審死を遂げ、 さらに京子の生家は陰陽師だと詮索した女も遺体で見つかった。 10年前、 東京で起きた事件との関連に気付いた十津川警部は京都へ向かう。 陰陽師は、人を、殺せるのか。 千年続く呪法と古都の闇に、十津川警部が挑む。 ※この電子書籍は2018年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 京都西陣殺人事件
    5.0
    老舗西陣織織元の当主・小林総左衛門のもとをアメリカ副大統領の美人令嬢キャサリンが訪問する。華やかな着物に目をみはるキャサリンだが、業績の不振ぶりをうわさされるわりには趣味にお茶屋遊びにと大金をつぎこむ旦那の生活ぶりを不思議に思う。そんな折、総左衛門が入れあげていた舞妓が殺され、小林家の財産を狙う百鬼夜行の正体が白日のもとにさらされるが……。伝統社会と開発とのあいだで揺れる古都の様態を洒脱なトリックを絡めながら描いた傑作ミステリー。
  • 京〈KYO〉のお言葉
    3.5
    「よろし」「ややこし」「よう知らんけど」「お好きさん」「気ずつない」「白足袋族」「なにをおっしゃいますやら」……やわらかな京言葉に秘められたイケズなニュアンス、ほっこり心温まるフレーズが満載。「おこしやす」と「おいでやす」はどう違う? そんなディテイルに凝縮された京の精髄を堪能できる、写真つきコラム集。さらに、その言葉を体現した極私的おすすめ〈お店紹介〉と〈京言葉単語帳〉も添えて、「しぶちん」で京都通なあなたも納得の1冊!
  • 恐怖
    3.3
    おれは殺される! 次に殺される! でも誰に? 静かで文化的な姥坂市で起きた連続殺人事件。閨秀画家の絞殺にはじまった殺人犯の狙いはどうやら、町に住む文化人を皆殺しにすることらしい。作家の村田勘市は、臆病な性格が災いして、次第に半狂乱に追い詰められていく。犯人は何者か? 何のために殺すのか? 謎解きのサスペンスにくわえ、「恐怖とは何か?」という人間心理の奥底に鬼才・筒井康隆がせまる異色傑作ミステリー! 不気味な目次も必見です。
  • 恐怖と愛の映画102
    3.4
    母と息子がなごむ直後、心底ぞっとする映像が……。 『怖い絵』の著者が、「母」「電話」「乗り物」「家」など9つの主題で102本の映画を紹介し、人間心理の怖ろしさと深さを鋭く分析したエッセイ集。 主題の考察に加えて、ふとしたシーンの意外な発見も満載です。 『ゴッドファーザー』の母の役割とは? 『マトリックス』の電話の皮肉とは? 『間宮兄弟』の怖さとは? 古今東西の傑作をめぐりながら、映画の新たな楽しみをご案内します。 ※紙版に掲載した画像の中に、一部電子版に掲載されていないものがございます。
  • 恐怖の海 東尋坊
    3.0
    「私は殺されました。恨みます──」家の留守番電話に連日、吹き込まれていたメッセージ。しかし、その女はもう殺されていた。死者からのメッセージの謎を解くため、日下刑事は単身、東尋坊にとんだ。表題作以下、毒殺された鯉が釣れる富士西湖、自殺が相次ぐ昇仙峡、幽霊を見にいった客が溺れる繋温泉……名勝をめぐる、傑作トラベル・ミステリー全4篇を収録。おなじみの十津川警部と同僚の刑事たちが難事件に挑み、鋭い推理が展開される。
  • 恐怖の2時間18分
    4.8
    “福島”との恐るべき類似。今こそスリーマイルの教訓に学べ! 冷却水停止、炉心圧力上昇、燃料棒損傷、避難パニック。1979年、米スリーマイル島原発で起きた事故は、まさに「今」を予言していた。安全とされた巨大システムはなぜ崩れたのか? 技術への過信、人間の判断の危うさ、情報の混乱――徹底的な現地取材でスリーマイル事故のすべてを描き出した圧倒的なドキュメント。1983年に刊行され、原発問題を考えるための必読書といわれてきた本作が、ついに電子書籍で登場。
  • 強父論
    3.9
    「俺が死んでも讃える追悼記など書くな」という父・阿川弘之の遺言に、「お父ちゃんがいかに無茶苦茶な人であったか。周囲がどれほどひどい目に遭わされたか。思い出すかぎり、精根込めて書いてみる」とエッセイストの娘が綴る、前代未聞の追悼記。 94歳で大往生した破天荒な父の「強父語録」を挙げてみると──。 ・老人ホームに入れたら自殺してやる! ・のたれ死のうが女郎屋に行こうが勝手にしろ ・勉強なんかするな。学校へ行くな ・結論から言え、結論から ・今後、誕生日会を禁止する! ・大学でサムシングを学んでこい ・戦後教育が悪いからバカが育つ ・お前の名前はお墓から取った ・知ったかぶりをした文章を書くな ・朝日の手先になりやがって ・お前は俺にそっくりだ あまりの暴言に震え、時折のユーモアに笑いつつ、いつしか父と娘の不思議な情愛に胸が熱くなる。 解説・倉本聰
  • 京洛の森のアリス
    3.8
    1~3巻693~713円 (税込)
    少女ありすが迷い込んだのはもう一つの京都 幼いころに両親を亡くし、引き取られた叔母の家でも身の置きどころのない少女ありすは、遠く離れた京都で舞妓修業を決意する。 彼女のもとにやってきた老紳士に連れられて訪れた京都は不思議な世界だった――。 ともに人間の言葉を話す、カエルとハチスとウサギのナツメと、ありすは京洛の森の謎に触れていく。 「京都寺町三条のホームズ」シリーズの著者による、書き下ろし小説。
  • 虚栄の肖像
    3.9
    1巻600円 (税込)
    『深淵のガランス』に続く、佐月恭壱シリーズ最後の作品 花師と絵画修復師の2つの顔を持つ佐月。絵画修復のため立ち寄った寺で昔の恋人に再会して……。著者急逝によるシリーズ最終作
  • 極北に駆ける
    3.8
    エベレストをはじめ、五大陸最高峰を制覇した植村直己の次の夢は、犬ぞりによる南極大陸横断だった。犬ぞりを乗りこなすため、彼は地球最北端のイヌイットの村・シオラパルクへ単身、極地トレーニングに向かう。マイナス10度が暖かく感じるほどの過酷な環境と、自分たちとよく似た顔の植村を快く迎え入れる村人との暖かい交流。そして覚えたての犬ぞりを駆って、ひとりで三千キロの氷原を走りきった冒険の記録。解説は、シオラパルク在住の猟師・大島育雄氏による。
  • 極夜行
    4.2
    ノンフィクション界のトップランナーによる最高傑作。 ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞、W受賞! 探検家にとっていまや、世界中どこを探しても“未知の空間”を見つけることは難しい。様々な未知の空間を追い求めて旅をしてきた角幡唯介は、この数年冬になると北極に出かけていた。そこには、極夜という暗闇に閉ざされた未知の空間があるからだ。極夜――「それは太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、長い、長い漆黒の夜である。そして、その漆黒の夜は場所によっては3カ月から4カ月、極端な場所では半年も続くところもある」(本文より)。彼は、そこに行って、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった。その行為はまだ誰も成し遂げていない“未知”の探検といってよかった。 シオラパルクという世界最北の小さな村に暮らす人々と交流し、力を貸してもらい、氷が張るとひとりで数十キロの橇を引いて探検に出た。相棒となる犬を一匹連れて。この文明の時代に、GPSを持たないと決めた探検家は、六分儀という天測により自分の位置を計る道具を用いたため、その実験や犬と自分の食料をあらかじめ数カ所に運んでおくデポ作業など、一年ずつ準備を積み上げていく必要があった。暗闇の中、ブリザードと戦い、食料が不足し、迷子になり……、アクシデントは続いた。果たして4カ月後、極夜が明けた時、彼はひとり太陽を目にして何を感じたのか。足かけ4年にわたるプロジェクトはどういう結末を迎えたのか。 ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 極夜行前
    4.1
    天測を学び、犬を育て、海象に襲われた 本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞をW受賞した超話題作『極夜行』。その「エピソード1」といえる350日のすべて。 ノンフィクション界の話題をさらった『極夜行』。この旅を遂行するには3年の準備期間があった。何度も北極を訪れ、重ねた試行錯誤。これもまた命懸けの探検だった。この準備行がなければ極夜の探検は成功しなかったのかと思うと、起こった全ての試練が命を繋いだとも言える。『極夜行』と併せて読みたい。 特別寄稿・山口将大 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 虚構の大義 ―関東軍私記―
    4.0
    「戦後30年、私は未だ復員しきれていないような気がする。軍隊の理不尽に耐えていた期間と、生死のはざまをナロウ・エスケープした100日間の体験は、確かに私に終生のテーマとするものを怨念として与えた。それをフィクションとして表現したのが『人間の条件』であり、ドキュメントとして誌したのが本書である」(あとがきより)。日本帝国陸軍野望の象徴「関東軍」はかく壊滅せり! 元関東軍の兵士だった著者が怨念をこめて綴る力作長編。
  • 巨人軍かく勝てり V9達成の秘密
    -
    川上監督ひきいる巨人軍は、九たび連続して日本一の栄光の座についた。空前絶後の輝かしい記録である。V9はいかにして達成されたか。当時の名参謀が絶対に勝つための巨人式野球術を、人事管理の面から明らかにしたユニークなV9秘録である。初めてあかす巨人戦法、新人の鍛え方、スーパースターを生み出す条件ほか、無敗の巨人をささえた主要人物の素顔を紹介、全盛時代の長嶋、王の知られざるエピソードをふんだんに織りこんだ野球ファン必読の書。
  • 巨人伝 上
    3.0
    1~2巻479円 (税込)
    本邦の博物学、生物学の草分け、知の巨人にして奇人 南方熊楠の生涯を同郷の著者が描き切る! 南方熊楠は慶応三年、和歌山の金物商・南方弥兵衛の次男に生まれた。 日本一のエリート校であった大学予備門に入学したが、型破りの性格は大学になじまず退学。 以後、渡米、南米放浪、英国での学究生活を経て、郷里和歌山で独学で研究に没頭した。 奇行・博覧強記と背中合わせの孤独。 巨人の全体像に同郷の著者が迫った大河巨編。
  • 虚線の下絵
    3.8
    男はしがない肖像画家。一方、親友は画家として名声を得た。差は明白だが、男の妻にはその違いが分からない。愛する夫のため、肖像画の注文取りに奔走する妻は、次第に妖しい色気を増していく。疑心暗鬼にかられた男が陥った罠とは──。男女の業(ごう)をあぶり出す表題作ほか、2度の手術を耐えた男の「与えられた生」、英語通訳の心理を描く「通過する客」、見習い軍医の立場から二・二六事件を描く「首相官邸」、と鋭い人間観察が冴える全4篇の短篇集。
  • 巨船ベラス・レトラス
    4.4
    『大いなる助走』から四半世紀、巨匠・筒井康隆が再び文壇の内幕を鋭く描く! パソコンソフト会社で成功を収めた狭山銀次が創刊した、前衛的な文芸誌「ベラス・レトラス」。破格の原稿料に釣られ、常連執筆者となった作家たち。実験的な作風で知られる錣山兼光、ホラー小説の旗手・伊川谷幻麝、盲目の詩人・七尾霊兆、革新的な作品で派手に登場した笹川卯三郎……。そうした作家たちの成功を妬む同人誌作家が爆弾テロを起こすところから物語は始まる。小説世界の内と外は自在につながり、過激なメタフィクションが展開、ついには「筒井康隆」を名乗る人物が語り始める。現代の文学を取り巻く状況を風刺する、ブラックユーモアに満ちた快作。
  • 虚報
    3.6
    「ビニール袋集団自殺」。無関係の人たちが、ビニール袋をかぶり、睡眠薬で集団自殺、しかも見つかりやすいようにドアを開けておく…。連続するこの自殺の裏には、ある大学教授が運営するサイトの存在があった。事件を追う、東日新聞社会部の有名キャップ市川と、若手記者長妻は、スクープ合戦の中、何度も“抜かれ”ながら独自の取材ルートで真実を追う。自殺サイトはなぜ立ち上げられたのか? 東京、新潟、米国etc. 事件の裏にある虚実とは? 報道の最前線を描くエンターテインメント小説。
  • 虚無のオペラ
    3.8
    セックスを抜きにしては考えられない恋だった。あなたはずっと、私の身体でピアノを弾いてた。私には淫蕩の血が流れているのか……。舞台は冬の京都。高名な日本画家の裸婦モデルをつとめる結子は、8歳年下のピアニスト島津正臣との恋を断ち切るため、ふたりきりで、雪に閉ざされた小さな宿に籠もる。この後は二度と会うことはない。別れのためだけにある4日間の逢瀬に、女と男の恋情と性愛の極みを艶やかに奏であげる、かくも美しき恋愛小説!
  • 清原和博 告白
    4.3
    一体どこから、何が狂い始めたのか。 堕ちた英雄が見た栄光と地獄。 10万部突破の衝撃の書、ついに文庫化。 「自分の人生を振り返って、どこからおかしくなったのかとか、 狂い始めたんだろうとか。苦しかったですね……」 覚醒剤取締法違反で逮捕され、2020年6月15日に執行猶予が満了した清原和博。 怪物の名をほしいままにした甲子園のヒーローは、なぜ覚醒剤という悪魔の手に堕ちたのか。 岸和田のやんちゃな野球少年がPL学園に入学、ドラフト事件で盟友・桑田と訣別。 西武の4番として輝いた日々、巨人移籍後の重圧と屈辱。 “番長”を演じ、ピアス、刺青、肉体改造……そして覚醒剤に出遭う。 「僕は、そこから闇の世界に入っていきました」 栄光と転落の半生と、自らの罪を悔いながら、鬱病、薬物依存症とたたかう日々を赤裸々に綴る。 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実
    4.0
    PL学園時代の清原和博が甲子園で放った通算13本塁打は、今後破られることがないであろう不滅の記録だろう。この13本は、ただの記録として残っているわけではない。甲子園の怪物に出会い、打たれた球児たちは、あの瞬間の“記憶”とともに、その後の歳月を歩んできた――。 2016年6月、清原和博は覚せい剤取締り法違反で有罪が確定した。甲子園歴史館からは清原和博の痕跡が消え、踏み入れてはいけない領域に手を染めてしまったヒーローの名前は世間の表舞台から消えていった。そんな中、甲子園で13本塁打を浴びたライバル全員が、30年以上の時を経て、あえて今、静かに口を開いた。これは、18歳の清原と49歳(2016年当時)の清原への、打たれた者たちからの“30年越しの告白”である。13本のホームランが生んだ真実が、ここに蘇る。 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • キララ、探偵す。
    3.7
    アイドルオタクの大学生、侑平(ゆうへい)のもとに従兄の研究者から送られてきたのは、なんとアンドロイドの美少女メイド! 「キララと申しますう」と萌えポーズを取るこのメイドロボのモニターを頼まれ、いきなり非日常な生活がスタートした。普段はドジっ娘なキララだが、スイッチが入れば女王様キャラに変貌し、頭脳明晰になるセクサロイド機能が。これを使って、侑平の周辺で起こる難事件もズバリ解決。家事に探偵に、キララがご奉仕しまくる悶絶のメイドミステリー!
  • 切り絵図屋清七 ふたり静
    3.8
    絵双紙本屋の「紀の字屋」に出入りする浪人・清七郎は、弱い者を見過ごしにできない性分。江戸の町に不慣れな者たちが辛い目に遇っていると知り、自分の足で調べ上げた切り絵図を作りたいと夢を抱く。折しも主の藤兵衛が病に倒れ、清七郎に店を譲りたいと持ちかけられる……。『藍染袴お匙帖』の作者による、清新な時代小説書き下ろし新シリーズ誕生!
  • キリエのうた
    4.2
    今、ここを歩くんだ――。 時代や社会に翻弄されながら歌い続けた少女の物語 新たなる歌姫アイナ・ジ・エンドが主演、松村北斗、黒木華、広瀬すずらが出演し、今秋公開予定の岩井俊二監督最新映画の原作小説。
  • 切り裂きジャック・百年の孤独
    3.7
    1988年、西ベルリンで起きた謎の連続殺人。5人の娼婦たちは頚動脈を掻き切られ、腹部を裂かれ、内臓を引き出されて惨殺された。19世紀末のロンドンを恐怖の底に陥れた“切り裂きジャック”が、100年後のベルリンに甦ったのか? 世界犯罪史上最大の謎「切り裂きジャック事件」を完全に解き明かした、本格ミステリー不朽の傑作。
  • 霧の子孫たち
    3.0
    レンゲツツジの鮮やかな赤、ニッコウキスゲの目映い黄色、残雪のように輝くスズランの白。貴重な高層湿原植物が群生する霧ヶ峰高原に、突如として降りかかった有料道路建設計画。反対に立ち上がった地元有志は官権との闘いに傷つきながらも、自らの生を見つめなおす機会を得る――。自然と人間の関係を根源から問い質した意欲長篇。
  • 鬼龍院花子の生涯
    4.0
    五社英雄監督、仲代達矢・夏目雅子主演の映画でも名高い宮尾登美子の代表作。大正4年、鬼政こと鬼龍院政五郎は土佐高知の町に「男稼業」の看板を掲げ、相撲や飛行機の興行を打ったり労働争議に介入したりの華やかな活躍を見せる。鬼政をとりまく「男」を売る社会のしがらみ、そして娘・花子、養女・松恵を中心とした女たちの愛憎入り乱れた人生模様を艶冶の筆にのせた傑作長篇。
  • キリング・ゲーム
    4.1
    ディーヴァーの後継者、カーリイの超絶ミステリー登場。まったくつながりのない連続殺人の謎を解け。 街で連続殺人が起こっていた。しかし凶器も手口もバラバラ、被害者同士にもつながりはまったくない。ただ現場に1セント硬貨が残されていることだけが共通していた。被害者をランダムに選ぶ動機なき殺人なのか? やがて犯人がカーソンを名指しで警察に挑戦状を送りつけてくるに及び、事件は警察の威信をかけたものとなる。過去の経験から「動機なき無差別殺人」などないと信じるカーソンだったが、突破口は一向に見えてこず、被害者の遺族の悲しみに向き合うことしかできなかった。 一方、殺人犯は微細な証拠も残さぬように細心の注意を払って殺人を遂行していた。ルーマニアの独裁政権下で心理実験のモルモットとされた過去を持つ男の狙いはいったい何か。 「このミス」「週刊文春ミステリーベスト10」などランキング常連のミステリー作家が超絶技巧で放ったシリーズ随一のはなれわざ。意外な動機は、巧妙に敷かれた伏線とエピソードの網の目に隠されて、あなたの目の前にある!
  • 棄霊島(きれいじま)上
    3.3
    1~2巻639円 (税込)
    九州へと向かうフェリーで、光彦と出会った元刑事の後口が、静岡の御前崎の海岸で死体となって発見された。彼は、30年前に、長崎・軍艦島で起きた連続変死事件を追っていた。光彦は、後口の足跡を辿るうち、娘が暮らす長野の松代で出会った人物に興味を抱いていたことを知った。浅見光彦、100番目の事件は、手ごわすぎる。
  • きれぎれ
    3.6
    1巻499円 (税込)
    絵描きの「俺」の趣味はランパブ通い。高校を中途で廃し、浪費家で夢見がちな性格のうえ、労働が大嫌い。当然ながら金に困っている。自分より劣るとしか思えない絵を描く知人の吉原は、認められ成功し、自分が好きな女と結婚している。そんな吉原に金を借りにいく俺なのだが……。現実と想像が交錯し、時空間を超える世界を描いた芥川賞受賞の表題作と短篇「人生の聖」を収録。町田康ならではの、息もつかせぬ音楽的な文体。読むことがめくるめく快感、そんな作品です。
  • 着ればわかる!
    3.7
    セーラー服に自衛隊、ゴスロリに茶摘み娘、そしてAKB! 本物を着てみて分かった「あちら側」女子の気持ち 何を着るかによってその人の性格や心構えは変わる。“あの服”を纏う彼女はどんな世界を生きているのか? 女子の心理を鋭く読み解いて世間を震撼させてきた著者が「わからないなら、着てみよう」の精神で果敢に挑む18着。特別編「AKBになる!」も収録の傑作エッセイ。イラスト・森伸之
  • 金色機械
    4.1
    著者の新境地・ネオ江戸ファンタジー小説 謎の存在「金色様」を巡って起こる不思議な禍事の連鎖。人間の善悪を問うネオ江戸ファンタジー。第67回日本推理作家協会賞受賞作。
  • 金色の風
    4.0
    「たぶん、走ることは祈りに似ている。身体の隅々まで酸素を行き渡らせて、身体を透明にして、祈る」。フランス語を学ぶため、パリにやってきた夕(ゆう)。街角で出会った女性、アンナに影響され、夕は走り始めるが――。文春文庫『シティ・マラソンズ』収録の中編。
  • 緊急重役会
    3.0
    戦前から続く紡績会社。次期社長の呼び声が高い専務・恩地は検査入院中に社長らが仕組んだ緊急重役会によって平取締役に降格される。社長の椅子へ執念を燃やす恩地がはまった、さらなる組織の罠とは――(表題作)。 高度成長期を舞台にしながら、現在に通じる日本の組織人の欲望を描いた傑作企業小説集を復刊。 【目次】 緊急重役会 ある倒産 形式の中の男 前々夜祭 解説・楠木建(一橋大学教授)
  • キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇
    4.1
    IWGPシリーズ初の文庫書き下ろし作品が登場! マコトの親友にして池袋の王様、タカシはいかにして「氷のキング」になったのか? 誰にだって忘れられない夏の一日があるよな――。高校時代のタカシにはたったひとりの兄、タケルがいた。スナイパーのような鋭く正確な拳をもつタケルは、みなからボスと慕われ、戦国状態の池袋をまとめていく。だが、そんな兄を悲劇が襲う。タカシが兄の仇を討ち、氷のキングになるまでを描いた特別長編。
  • キングレオの冒険
    4.0
    1~3巻790~866円 (税込)
    京都を舞台にスター探偵が駆ける! ロジックとキャラクターの魅力を兼ね備えた新たな名探偵小説の誕生だ。 京都の街で相次いで起きた殺人事件。 なぜかすべて、シャーロック・ホームズ譚を模していた。 解決に乗り出したのは、日本探偵公社の若きスター・天親獅子丸と、助手の大河。 大河は獅子丸をモデルにした『キングレオ』シリーズのスクリプトライターでもあった。 無関係に思われた事件を追っていくと、謎の天才犯罪者の存在が浮かびあがってくる。 エスカレートする犯人の挑発。 獅子丸はついに、師である老獪な名探偵と対決することに! 有栖川有栖さんも「なるほど、これは名探偵だ。その推理は、速い、鋭い、面白い」と推薦。 京大ミステリ研出身の俊英がすべてのミステリファンに贈る自信作! 解説・円堂都司昭
  • 禁断の罠
    3.8
    人気ミステリ作家の新作が勢ぞろい! ミステリの最前線で活躍するスター作家が各々の趣向を凝らした珠玉の6作を一気読み! 驚きも面白さも絶対保証の豪華アンソロジー。
  • 金星 相撲小説集
    -
    事故で急逝した相撲の親方と、残された金星(きんぼし=美人)のおかみさんのそれぞれに意外な秘密が……。表題作「金星」をはじめとして、定年退職したのに相撲部屋に通う元記者のせつない思いを描く「擦り足」、盛りを過ぎた関取が部屋にたったの一人、もうやめたいのだが後継者もなく……「十両十三枚目」、巨大な肉体のゆえの悲惨な晩年に耐え続けた出羽ケ嶽……「相撲の骨」など、相撲の世界に材をとって、人生の哀歓を浮き彫りにした出色の七篇。
  • 擬態
    4.0
    離婚を機にボクシングジム通いを始めた会社員、立原章司40歳。ビルの内部設備を請け負う会社で、淡々と仕事をこなし定時退社する男は、何の前触れもなく虚無感に支配され、何かをぶっ毀してみたくなった。ボクシングで鍛えあげた精神と肉体は、いまや凶器だ。取引先のビル立ち退きを巡る抗争に巻き込まれた立原は、会社も極道も警察も手がつけられないほどに凶暴化していく。高揚感に包まれながら──。圧倒的な筆力で男の心の闇を抉る、ハードボイルドの傑作長篇!
  • ギッちょん
    5.0
    新芥川賞作家の傑作小説集! 「しんせかい」で第156回芥川賞を受賞。鮮烈なスタイルで現れた山下澄人の初期傑作集を待望の文庫化! 『ギッちょん』『コルバトントリ』二冊の単行本を一冊に。 〇収録作 ・ギッちょん 四十過ぎてホームレスになった男。目の前を往き来するのは幼馴染み“ギッちょん ”とひとりぼっちの父。(第147回芥川賞候補) ・水の音しかしない 毎朝同じ電車になる男が鬱陶しくて、時間をはやめてみたら、やはり男といっしょになった。適当に話を合わせているうちに「わたし」は窮地に陥る。 ・トゥンブクトゥ 第一部 街でゆきかう老若男女の様々な思惑、殺意。第二部 海辺のサバイバル。 ・コルバトントリ わしは死なへん。お前も死なへんねん。誰も死なへん。生者も死者も人間も動物も永遠を往還する――(第150回芥川賞候補) 〇小川洋子さんによる解説を収録。 「山下澄人さんの小説を読むと、語り手も登場人物たちも皆、魂だけになってしまった人々のようだ、と思う。魂というと普通、肉体の檻から解放された、純度の高い存在の源、のようなイメージがあるが、山下さんの場合は少し違う。」 「山下さんの小説に現れるのも、この“ 在り間”に近いものたちだと思われる。存在する、と明確に断言するだけの自信もなく、かと言って、存在しないのだな、と問われるといや、待ってくれと言いたくなる。どっちつかずの隙間、空洞、落とし穴、のような何か。ないけれどある。あるけれどない。」 「語り手たちは皆、迷ってばかりで、自信がなく、肝心なことをすぐに忘れる。生かされている世界に圧倒され、その前でちっぽけな自分を持て余している。そんな小さな人々にしか見えない真実の風景が、ここには描かれている」
  • ギブ・ミー・ア・チャンス
    3.6
    1巻754円 (税込)
    「人生やりなおしたい!」と思ったことありませんか。 人生の転機を迎えた人々の悲喜こもごもを掬いあげる、笑いと涙の「再チャレンジ」短篇集。 尾行しても、すぐに気づかれてしまう残念な元相撲取りの探偵。 (「探偵には向かない職業」) 超人気連載マンガのアシスタントを務めながら、連載の終了におびえるマンガアシスタントの苦悩。 (「夜明けはスクリーントーンの彼方」) テレビに出る夢をかなえたい……こどもの頃の夢に突き進む元柔道少女。 (「追いしれの国の女王様」) CAからグリーン車のキャビンアテンダントに転職した女性の奮闘。 (「アテンションプリーズ・ミー」) 小柄ゆえ不人気ゆるキャラ「たけぴよ」の""中の人""に決まった若手公務員の話。 (「たけピヨサイドストーリー」) 営業のドサ回りをする売れない演歌歌手の本当の夢。 (「冬燕ひとり旅」) 夫の殺害方法を考えながらミステリー新人賞に応募し続ける妻。 (「リリーベル殺人事件」) 相方を失っても、コンビニのバイト中にツッコミ練習を続けるお笑い芸人。 (「ギブ・ミー・ア・チャンス」) 短篇8編に著者書き下ろしの「あと描き」も特別収録!
  • 逆転の大中国史 ユーラシアの視点から
    -
    〈中華は漢民族の国〉は幻想だ! 今の中国を解くキーワードは「コンプレックス」、正しい中国史を正視しない限り中国は歴史に復讐されるだろう。 中華人民共和国「内モンゴル」で生まれ、北京で文化人類学を学んだ著者は、「漢民族」が世界の中心だという中華文明の価値観に、次第に違和感を覚える。 日本に留学し梅棹忠夫氏に師事、ユーラシア草原を調査するうち、従来の常識とは全く違う、価値観の逆転した中国史が形成された。 それは「中国四千年の歴史」という漢民族中心の歴史観からの逆転である。 大陸を縦横に駆け、開かれた文明を担ってきたスキタイ、匈奴、鮮卑、ウイグル、チベット、モンゴルといった周辺の遊牧民こそ、この地の歴史を作り上げてきた主役なのだ。 黄河に文明が花開いたころ、北の草原にはまったく別個の独立した文明が存在した。 漢人がシナを支配して「漢帝国」を称していた時代にすら、北方には別の国家が存在していた。 我々が漢民族国家の代表、中国の代名詞と考える「唐」ですら、実は鮮卑の王朝である。 現在の中国人は、こうした真実の歴史を覆い隠し、自分たち「漢民族」が世界の支配者であったという幻想にしがみついている。 絶えざる批判精神と綿密な実地調査で描き出す、諸民族が織り成す雄大な歴史絵巻! 解説・川勝平太
  • ぎやまん物語
    3.5
    著者の歴史観をぎやまんの鏡に託したライフワーク 秀吉への貢ぎ物としてポルトガルから渡来したぎやまんの手鏡が、於祢やお茶々、お江、尾形光琳や赤穂義士らの心模様を写し出す――。
  • 玉蘭
    3.8
    女の中で何が壊れ、何が生まれたのか 東京の生活に疲れ、仕事も恋人も捨てて上海留学した有子。ある日、大伯父の幽霊が突然現れ…。過去と現在が交錯する異色の恋愛小説。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された文庫本の新装版を底本としています。
  • 疑惑
    3.9
    雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ――。妻の名は鬼塚球磨子(おにづかくまこ)。彼女の生い立ち、前科、夫にかかっていた高額な生命保険について、稀代の悪女“鬼クマ”と断定しセンセーショナルに書き立てる記者と、孤軍奮闘する国選弁護人の闘い。球磨子は殺人犯なのか? その結末は? 桃井かおり、尾野真千子らが熱演した名作推理サスペンス。明治の藤田組贋札事件を描く「不運な名前」併録。
  • 銀漢の賦
    4.2
    二十年を経て、身分を遥かにへだてた男たちの友情は復活するのか? 江戸の寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部(くさかべ)源五と、名家老と謳われ、南画の名手としても幕閣にまで名声が届いている松浦将監(しょうげん)。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、ながく絶縁状態となっていた。ともに五十歳をこえて二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。松本清張賞受賞の傑作時代小説。
  • 銀河の森、オーロラの合唱
    4.0
    優しい愛があふれる天体系日常ミステリー 地球へとやってきた愛にあふれる宇宙人モーンガータと、北海道陸別町でともに暮らす少年少女が出会うちょっとだけ不思議な日常の謎。 オーロラの見える町、北海道陸別町へやってきた宇宙人アウロラ。 自らに向けられる愛情を「糧」に生きるモーンガータ星人は、同じ星の仲間だけでなく、地球人にも優しい。 そんなアウロラは事情を抱える子どもの母代わりとなっている。 日常で出会う謎を、科学の力と「愛」で解きながら成長していく子どもたちを描く青春小説。
  • 銀行 男たちのサバイバル
    4.0
    長引く不況下、不良債権処理は進まず、苦悩する銀行界。三洋銀行の同期3人は、重役のイスを目指しながら、日夜山積する問題に分刻みで追いまくられている。ある日、同期トップといわれていた支店長が過労で突然死した。相前後して、強力なライバル・富桑銀行との合併話が持ち上がる。推進派、反対派に分かれての、情報戦に裏工作、そして正面突破の奇策。逆転につぐ逆転の末、いったい誰が最後に勝ち組に残れるのか? 男たちの熾烈なサバイバルが始まった。
  • 銀行 男たちの挑戦
    -
    三洋銀行名古屋支店に銃弾が撃ち込まれたのに続いて、横浜支店長が撃たれた! 動揺が走る行内。対応に苦慮する総合企画部長は、頭取から、銀行生き残りを賭け他行との合併を極秘に計画するよう命ぜられた。だが頭取はもともと合併反対論者で、合併推進派を排斥して、いまの椅子に座ったのではなかったのか。そんななか虎視眈々と巻き返しをねらう元の首脳陣たち……。金融ビッグバン、不良債権と、激震下にある銀行に生きる同期三人の男たちの姿をビビッドに描く、シリーズ第2弾。
  • 銀行 男たちの報酬
    4.0
    週刊誌の特集記事に「危ない銀行」として、三洋銀行の名前が! しかも頭取の実名入り。激怒する頭取に、内密に事態の収拾を厳命された総合企画部長の長谷部は、大学時代の伝手を頼って、記事の差し止めに奮闘する。一方、同期の松岡は総務部長となり、悲願の取締役の座を手にした。そんな2人は頭取から、ライバル行・富桑銀行の精密な調査を命じられた。その意図は何か? 激動の銀行業界でなんとか勝ち組になるために、男たちは走りつづける。銀行シリーズの第3弾!
  • 銀座千と一の物語
    3.5
    銀座は、すべてを教えてくれる―― だれもが憧れる街、銀座。そこには恋も、挫折も、野心も、生きがいもある。 なにかを期待するから、この街に男も女も引き寄せられ、なにかが起きるから、人生は彩られていく。 銀座は、何気ない日常の中の特別な舞台――。 「銀座百点」で好評連載された33のショートストーリーに、撮り下ろしの写真を多数収録。 宝石箱のような一冊。
  • 銀座ママの心得
    4.0
    「こんなことがあっていいの…」被災地の光景に涙してばかりはいられない。精力的なボランティア活動をするイケメン青年たち、人生経験を生かして東北の未来作りに奔走する仲間に触発され、超オリジナル支援策「銀座のママプロジェクト」を立ち上げる。髪を高く結い上げて、さあ超高級クラブにご出勤! 「週刊文春」人気連載、激動の一年!
  • 銀の猫
    4.1
    出戻り介抱人・お咲は今日も寝不足! 江戸の介護を通して描かれる絶品小説。 嫁ぎ先を離縁され、「介抱人」として稼ぐお咲。 百人百様のしたたかな年寄りたちに日々、人生の多くを教えられる。 一方、妾奉公を繰り返し身勝手に生きてきた自分の母親を許すことができない。 そんな時「誰もが楽になれる介抱指南書」作りに協力を求められ――。 長寿の町・江戸に生きる人間を描ききる傑作小説。 解説・秋山香乃 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 空海曼陀羅
    3.0
    日本史上、最大の宗教家にして思想家である弘法大師空海に、9人の識者が様々な角度からアプローチ。 密教界のカリスマの壮大な宇宙を遊泳し、その奥義に迫るエキサイティングなアンソロジー。編著者は空海ラブな夢枕獏! 【目次】 松岡正剛「五大にみな響きあり」 菊池 寛「弘法大師」 藤巻一保「空海密教の思想」 吉田絃二郎「沙門空海」 清水義範「空 海」 荒俣 宏「空海の言霊狩り」 岡本光平「空海の飛白体」 ジョージ秋山「弘法大師空海」 夢枕 獏「ブッダの方舟(はじめに)」
  • 「空気」の研究
    3.8
    昭和52年の発表以来、40年を経ていまだに多くの論者に引用、紹介される名著。 日本人が物事を決めるとき、もっとも重要なのは「空気」である。 2018年3月にも、NHK Eテレ「100分deメディア論」で、社会学者・大澤真幸氏が本書を紹介し、大きな反響があった。 日本には、誰でもないのに誰よりも強い「空気」というものが存在し、人々も行動を規定している……。 これは、昨今の政治スキャンダルのなかで流行語となった「忖度」そのものではないか! 山本七平は本書で「『気』とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の『超能力』かも知れない。」「この『空気』なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起るやら、皆目見当がつかないことになる。」と論じている。 それから40年、著者の分析は古びるどころか、ますます現代社会の現実を鋭く言い当てている。 「空気を読め」「アイツは空気が読めない」という言葉が当たり前に使われ、誰もが「空気」という権力を怖れて右往左往している。 そんな今こそ、日本人の行動様式を鋭く抉った本書が必要とされている。 『「水=通常性」の研究』『日本的根本主義(ファンダメンタル)について』を併録。 日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探った名著である。 解説・日下公人
  • 空中庭園
    3.6
    郊外のダンチで暮らす4人家族・京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。15歳の長女マナが“自分はどこで生を授かったか”を訊ねると、ママはラブホテルで、と教えてくれた。自分が仕込まれたのが近所の「ホテル野猿」だと知って、どうしても見てみたくなったマナは、同級生の森崎くんを誘って行ってみた……。家族ひとりひとりが、そのモットーとは裏腹に、閉ざしたドアの中に秘密を持ちながら、仲の良い「家族」を演じているさまを鮮やかに描く連作家族小説。
  • 空中ブランコ
    3.9
    跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り。刃物はおろか机の角まで怖い尖端恐怖症のやくざ。ダンディーで権力街道まっしぐら、の義父のカツラを剥がしたくてたまらない医者。伊良部総合病院地下の神経科には、今日もおかしな患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者を癒す名医なのか!? 直木賞受賞。『イン・ザ・プール』につづく絶好調のシリーズ第2弾!
  • くうねるところすむところ
    3.6
    梨央、30歳、弱小就職情報誌の編集者。目下、恋にも仕事にも行き詰まっている。ある日、酔っぱらった勢いで建設現場の足場によじ上った。上ったはいいが、腰がぬけて下りられなくなって、トビ職の徹男に助けられる。強い筋肉と温かい体。徹男に一目惚れした梨央は、勢いで工務店に飛び込んで就職。だがそこは、亭主に逃げられ、やむなく社長になった郷子がぶちキレる寸前で、大混乱の職場だった。女ふたりの行く末は、そして恋に超うしろ向きな徹男と梨央はどうなる?
  • 空の城
    5.0
    名の通った中堅クラスだが、トップになれない──その焦りから石油部門へ進出を急いだ巨大総合商社が、冷酷な国際商戦の渦に巻き込まれて、またたくまに膨大な赤字を抱え、ついに倒産。渦中にいた四千人の社員の何人が、その無残な敗北を予測しえただろうか? 一方、仕事は放任、熱狂的な陶磁器マニアだった社主が見ていたものは……。石油という国際的な商品の“魔性”に命運を賭けた大企業の野望と挫折を、徹底した海外取材をもとにリアルに描く、《小説・安宅産業の崩壊》。
  • 空白の天気図
    4.7
    昭和20年9月17日。敗戦直後に日本を襲った枕崎台風は、死者不明者3000人超の被害をもたらしたが、そのうち2000人強は広島県だった――。なぜ、広島で被害が膨らんだのか。原爆によって通信も組織も壊滅した状況下、自らも放射線障害に苦しみながら、観測と調査を続けた広島気象台台員たちの闘いを描いた傑作ノンフィクション。「(自分の著作の中で)自分自身で一番好きな作品はどれかと尋ねられれば、迷うことなく『空白の天気図』を挙げるだろう」(柳田邦男)
  • 声なき蟬 上 空也十番勝負(一)決定版
    3.8
    1~12巻800円 (税込)
    坂崎磐音の嫡子・空也の物語、ついに再始動! 武者修行の旅に出た若者は、他国者を寄せ付けぬ異国・薩摩を目指す。名を捨て、無言の行を課す若者を、国境を守る陰の集団が襲う! 長編時代小説の金字塔「居眠り磐音」に続く「空也十番勝負」シリーズ第一弾!
  • 草にすわる
    3.5
    「五年間はなにもすまい」。大企業を辞めた洪治は無為な日々を過ごしているが ある日付き合っていた彼女から昔の不幸な出来事を聞かされる。 絶望に追われた二人の間には睡眠薬の山があった――(表題作)。 なぜ人間は生まれ、どこに行くのか。一度倒れた人間が一歩を踏みだす瞬間に触れる 美しい短編「草にすわる」「花束」「砂の城」「大切な人へ」「七月の真っ青な空に」を収録。 解説・瀧井朝世
  • 草の花 俳風三麗花
    3.0
    1巻804円 (税込)
    昭和10年春、女子医専を卒業した寿子は、満州・大連へ赴任する。帝大の科学者と祝言をあげたちゑ。六代目尾上菊五郎の妾となった芸者の松太郎。不穏な世相を背景に、三麗花はそれぞれの道を歩みだす。やがて訪れた再会の日、満州国皇帝の御前で彼女たちが詠んだ秀句とは――。永井荷風、高浜虚子、甘粕正彦、川島芳子、愛新覚羅溥儀ら、多彩な人士と交錯する、三麗花それぞれの人生。“句会小説”として話題となった直木賞候補作「俳風三麗花」、待望の続編。
  • 草笛の音次郎
    3.9
    この男、化けるかもしれねえ――。 三度笠、縞の合羽に柳の葛籠(つづらこ)、懐には百両の大金。今戸の貸元、恵比須の芳三郎の名代として成田、佐原へ旅する音次郎。待ち受ける試練と、器量ある大人たちが、世の中に疎い未熟者を磨き上げる。仁義もろくにきれなかった若者が旅を重ねて一人前の男へと成長してゆく姿をさわやかに描いた、股旅ものの新境地!
  • 草笛の剣 上
    -
    1~2巻561円 (税込)
    「しい、しい、しいびびびい」 笛豆の音に思い出すのは、月見草の茂る故郷、紀伊の海辺……。秀吉に滅ぼされた傭兵隊・雑賀鉄砲衆の遺児、孫二郎は根来衆の頭領に育てられ逞しい若者に成長する。因縁をつけられた浅野家の家臣を斬った孫二郎は、追手を逃れ大阪から京へ。天涯孤独の若者の成長と友情を描いた剣豪ロマン小説。
  • 草野球必勝法
    -
    小学生の頃は強肩強打の左翼手。サラリーマン時代は投手兼三塁手にして四番打者。そして後に監督と豊富な経験をもつ筆者が、ウンチクをかたむけて語る、江分利満氏の華麗にして優雅なベースボールの楽しみ方。プロ野球なら長嶋茂雄論から熱涙の巨人・阪神戦観戦記まで、草野球なら選手起用法から監督のありようまで、あらゆる局面にふれたこの本は、根っからの野球好きが愛情をこめて書いた野球論であると同時に、ユニークな人生論にもなっている。
  • 腐りゆく天使
    4.4
    1巻743円 (税込)
    せんちめんたるの詩人、萩原朔太郎。 記憶を失った埋められた屍体の魂。 美貌の神父。 それぞれの視点で語られる摩訶不思議な物語。 詩人・萩原朔太郎の私生活をモチーフにした、幻想的大正ロマン小説!
  • 苦汁200% ストロング
    4.2
    震えているのは自分の声なのに、まるで他人事だった。 悔しさも悲しみも、なかなか追いついてこない。 クリープハイプ・尾崎世界観の赤裸々日記、絶頂の第2弾。 文庫版では、『母影(おもかげ)』が芥川賞にノミネートされ、情熱大陸に密着される日々を綴った2万字の書き下ろし最新日記「芥川賞ウッキウ記」を収録。 日常から溢れたすべての記録。 2020年12月25日 とある小説を読んでいて、 色んなことを思い出した。 それまで届かなかった事、 悔しかった事、 腹が立った事、 今まであたかも自分が 被害者であるかのように 振る舞ってきた。 でも、今回思い出したのは 加害者としての記憶だ。 都合良く忘れていた記憶が 蘇ってきて、愕然とした。 何気なく、確信的に、 自分は人を傷つけてきた。 ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 苦汁100% 濃縮還元
    4.0
    自意識過剰、 赤裸々過剰。 この愛すべき、 クソみたいな日常──。 あの『苦汁100%』が濃縮されて待望の文庫化! 人気ロックバンド・クリープハイプのフロントマンであり、 初小説『祐介』が話題をさらった尾崎世界観が赤裸々に綴る、日常と非日常。 文庫化に際し、コロナウイルスに揺れる2020年2月、 50ページ以上の書下ろし最新日記 「あとが記」を追加収録。 ※※※ 〈文庫書き下ろし「あとが記」より〉 2020年2月26日 起きたら 世の中が変わっていた。 大規模なイベントの 自粛要請が出て、 イベントが軒並み 中止になっていく。 積み上げたものが たやすく流れるのを ただぼうっと見てた。 液晶画面に表示された文言は、 どれも何かを押し殺してる。 クリープハイプも 3公演の延期を決めた。 ※※※ 〈本文より〉 2016年11月22日 私は誰の悪口も言わない。 そんな奴は信用できない。 ちゃんと人を好きになったことがないのだろう。 大好きです、愛してる。と、 大嫌いだ、死ね。は 限りなく似ていると思う。 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • くじら組
    3.4
    巨大クジラとの死闘に挑む! 土佐国室戸岬で威勢を誇った鯨組。深い智恵と高度な技を駆使して鯨を仕留める漁師集団である。嘉永六年、沖をはしる黒船を発見した鯨組に、幕府から召し出しの話が舞い込む。その栄誉の前に、仲間の命を奪った巨大マッコウクジラとの死闘が待っていた――。海の男たちの心意気、命がけの連係プレーに酔う、迫力に満ちた長篇時代小説。
  • 鯨の王
    3.6
    圧倒的リアリティで描かれる深海の激闘! メルヴィル『白鯨』へのオマージュ的SF海洋冒険小説 マリアナ諸島海域の深海で米海軍の攻撃型原潜が襲われた。 原潜自体に傷はないのに、中の乗組員が半数以上死亡。 米海軍は海底基地に調査員を派遣する。 日本では、アル中の鯨類学者・須藤は未知の巨大クジラの骨を発見するが、採集した骨は何者かによって盗まれ、採集場所の深海は荒らされてしまう。 失意の須藤に、米バイオ企業からグアムでの研究援助の手が差し伸べられた。 グアムに飛んだ須藤は、深海調査船のパイロット・秋道炎香と性格的に反発しあいながらも力をあわせ、クジラを追う。 米海軍は事件には未知のクジラがかかわっていることを突き止め、そのクジラの能力を研究するために、米兵器メーカーが中心となってヨーロッパ、カナダの石油会社、鉄鋼メーカーなどと組んで建設した西マリアナ海領の海底熱床探査基地で調査を始める。 さらには、クジラから取れる高価な龍涎香を狙う中東のテロ組織が須藤たちに近づく。 欲にまみれ、思惑が入り乱れる人間たちに、クジラの群れが反撃に出た。 深海の巨大生物ダイマッコウ対人間のかつてない死闘が繰り広げられる! 解説・加藤秀弘
  • くじら日和
    3.5
    「情け」を知る、真の大人たれ! 「一生もの」と言い訳しながら買った高級コーヒーメーカー、20回以上劇場で見た映画『冒険者たち』、iPodに詰め込んだ落語に浪曲、クラシック……。仕事に追われながらも楽しみの探求は怠らない。腹の立つことの多い現代だが、見事な大人の判断で人を救い、幸せの輪を広げる人は多い。人気時代小説家の気風が光る、「週刊文春」連載エッセイ第3弾。

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