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Posted by ブクログ
「旅をしている。」で始まる8章と「旅をしてきた。」で始まる最終章の9章からなる長編小説。
重松さんの真骨頂とも言える作品です。
幼子を亡くした夫婦の後悔と、二人の間に生じた隙間。久しぶりに会った娘とのぎこちない関係。憎み合って別れた訳では無い前妻との繋がり。そして、旅先で出会う様々な風景と人々。一言でいえば美しい再生の物語です。
ところで、今さらながら気づいたことですが。。。
特にこの作品では、登場人物が様々な場面で軽く意表を突く発言や行動をします。それはルポルタージュ作家でもある重松さんが、インタビューの中で相手がとる様々なアクションを記憶し、小説の中に取り入れている気がします。インタビューと言うやや非日常の中で起きる事なので、普通では無いけど、不自然でも無く、軽く批評を突く。それが重松作品の特長になっているように思います。
ただこの作品、やはりマンネリ感は否めません。一時は性愛小説など様々な方向に手を出した重松さんが、何かを得て帰って来た訳ではなく、元々の位置に戻った感じです。
私は好きなのですが。。。
Posted by ブクログ
幼すぎる我が子を失った父親と、もうすぐたった一人の母親を失ってしまう少女の、巡礼の旅の物語です。
主人公はたった一歳だった幼い息子を亡くした父親。とあるきっかけから一度目の結婚の時に分かれた妻が連れて出ていった娘と共に、時折旅に出る。東北の恐山、北海道の奥尻島、北海道の知床…それらは亡くなった息子を悼む旅であり、そこで亡くなった誰かを悼む旅であり、がんに侵されてもう長くない母親と向き合う娘とめぐる巡礼の旅。旅先で出会う人もまた、大切な誰かを失った人々だった。彼らや彼女らの在り方を見て、感じて、己もまた自分の在り方を見つめていく。旅の終わりは、同時に別の旅路へと続いていく。
じんわりと染み出すような感情が見える、深く静かな何かを描き出すような物語でした。一言で言うなら、旅の物語。旅先で色々な景色を見て、いろいろな人と出会って、一瞬の邂逅の中で何かに触れて、何かを掴んでは、別れる。人生という大きな旅の中で、誰かを想ってする旅はまた一つ違う意味を持っているような気がします。亡くした息子を悼む旅でもあり、息子を亡くした己を納得させる旅でもあり、娘と父親になりそこなった少女を見守る旅でもあり、一人の人生の終わりにそっと寄り添うための旅でもある。大切な人を亡くす前と、亡くした後では、同じ人生を歩くことはできないのだなとしみじみ感じるような物語でした。
今までいたはずの誰かがいないという形で、いる。それは自分の中に影を残すという意味でも、本当にそうだと思います。
気になるのは、今後の娘の飛鳥のこと。いくらしっかりしているとはいえ、まだ未成年で未発達の少女に、こんなにも早くこんなにも多くのことを背負わせてしまっていいのだろうかと苦しくなります。彼女にも、落ち着いて心と翼を休めることのできる居場所を見つけてあげて欲しいものです。
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