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離婚を機にボクシングジム通いを始めた会社員、立原章司40歳。ビルの内部設備を請け負う会社で、淡々と仕事をこなし定時退社する男は、何の前触れもなく虚無感に支配され、何かをぶっ毀してみたくなった。ボクシングで鍛えあげた精神と肉体は、いまや凶器だ。取引先のビル立ち退きを巡る抗争に巻き込まれた立原は、会社も極道も警察も手がつけられないほどに凶暴化していく。高揚感に包まれながら──。圧倒的な筆力で男の心の闇を抉る、ハードボイルドの傑作長篇!
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Posted by ブクログ
ハードボイルドの成立しにくい時代になったという。痩せ我慢が男の美学だった時代は終わったのか。改行毀れていく男の美学を様式美としてでなく1人の人間の切実な衝動と行動を通じて描いてみせてくれる北方氏の圧倒的な筆力が際だつ。文庫本493p。長編ではあるが一気に読ませる展開と作品世界の魅力に脱帽。
内容的には大変 面白かった、 ただ主人公の方向性が分かりにくい 、最後の刑事とのやり取りも刑事自体の描写が少なかったように感じた
全体の3分の2は、檻よりもいいぐらいだ。どんどんそぎ落とされていく感覚がいい。終盤、刑事と対話させるよりもモノローグでよかったのではとも感じるが、この辺は好みだろうな。
エリートサラリーマンが、さりげなく奇妙な世界に嵌っていく様が見事。心理描写がするどく、純文学を読んだような感触が残ります。
四十になる平凡なサラリーマン。 ある日、仕事でビル内の立ち退きの仕事が舞い込む。 この立ち退きに応じない黒い会社から、抗争事件へと巻き込まれてゆく。 平凡なサラリーマンが、対企業、対ヤクザと次第に戦う内に変容してゆく。いや、本来の自分が現れてくる。 虚無感が漂う中、どこか哀愁めいたものを感じ...続きを読むる。 生きてゆく中で、喜怒哀楽の波が乏しく、ただ目の前の選択肢をこなしているだけのような。 何でこんなことをしているのだろうと懐疑するわけでもなく、ただそうしたかったからそうなったと淡々と。 主人公の本来の持つ人間性が徐々に剥き出しにされ、毀れてゆく様は実に読み応えがある一冊でした。
北方謙三のハードボイルドをはじめて読む。あの人の風貌は嫌いではない。ハードボイルドを地でいっている雰囲気が好きだ。だが、こちら『擬態』については星三つ以下。破綻の仕方が中途半端であり、壊れ方にいたっては平凡なのである。読者はさらなる過激な世界を欲している。
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北方謙三
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