地下鉄サリン事件で妻子を失った救急救命士の織田は、ある日路上で倒れていた少女・笑加(えみか)を助ける。彼女と暮らしていたのは、リーダー格の明をはじめ年齢がバラバラな少年たち。実は彼らは、都知事による新宿浄化作戦で両親を中国に強制送還された、戸籍のない子供たちだった。事情を知った織田は、力になろうと無謀な行動を起こし始める。理不尽な現実と社会に復讐するためにはじめた“危険な遊び”は、やがて──。狂気に駆られていく男を圧倒的な筆致で描く傑作長篇!
Posted by ブクログ 2017年03月09日
地下鉄サリン事件で家族を失った救急救命士織田が、歌舞伎町浄化作戦で親を失った国籍のない子供達を守るうちに壊れていく話。主人公の真面目なパラノイア感、子供達の悲惨な境遇、中国マフィアのアンダーグラウンドっぷり、個人的に勝手知ったる歌舞伎町から都庁周りの疾走感溢れる逃亡劇。ラスト捕まりながらも、爆発に揺...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年03月25日
馳星周を読むのは久しぶりだ。「不夜城」の頃から、読んでいた作家だけれども、最後に読んだのは「弥勒世」で2009年、だからほぼ3年ぶり。
一読、変わらないな、と思った。それは、マンネリということではない。プロットや文体は工夫が凝らされていて、以前の著作の焼き直し、という印象は全く受けない。それでも、変...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年10月06日
久々に馳作品を読んだが、既読作品ほどディープな感じはしなかったものの舞台が新宿でアジア系の裏社会を取り扱ってる部分では、馳ワールドとしての構成要素はしっかりと踏襲されている。まぁ、今までに比べると主人公のドス黒さは薄れているが。。。
そして、地下鉄サリン事件や歌舞伎町浄化計画、更にタイトルにもなっ...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年06月16日
・電車に乗るのに読む本がないので、東京駅構内の書店で平積みになってたのを購入。2冊続けて馳星周。
・おっさんがたまたま出会った少年たちと心の触れ合いを、って話は嫌いじゃない。最後まで馴れ合いはせずに、かすかに垣間見える心の繋がった描写に心打たれる。最近観た「Welcome to the Rileys...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年04月13日
日本の象徴、東京の象徴としての都庁を爆破させることを生きる目標にして、必死に生きる戸籍を持たない子供達。馳作品によく見られる「理不尽さへの反発」「抗えず理不尽に死ぬ」が全体的なテーマなんだけど、ギリギリまで抗うなかでのスピード感のある逃避シーンがやっぱり面白い。ただ「漂流街」のような、ぶるぶる震えな...続きを読む