あらすじ
地下鉄サリン事件で妻子を失った救急救命士の織田は、ある日路上で倒れていた少女・笑加(えみか)を助ける。彼女と暮らしていたのは、リーダー格の明をはじめ年齢がバラバラな少年たち。実は彼らは、都知事による新宿浄化作戦で両親を中国に強制送還された、戸籍のない子供たちだった。事情を知った織田は、力になろうと無謀な行動を起こし始める。理不尽な現実と社会に復讐するためにはじめた“危険な遊び”は、やがて──。狂気に駆られていく男を圧倒的な筆致で描く傑作長篇!
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戸籍が無い子供達。外国人でも日本人でも相当な数の無国籍者が日本に入ると言う。どうやって生きていけるのか?何故見ず知らずの子供達に深く関わりたかったのか?私には直ぐには解らないし、多分わかる日は来ない。切ない内容だった
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ヒエラルキーに対する逆襲劇。受験勉強するより理解できないことに対してどう対応するかがサイバイバーの子供には重要である。サバイバルに適応できないと死ぬ。
Posted by ブクログ
地下鉄サリン事件で家族を失った救急救命士織田が、歌舞伎町浄化作戦で親を失った国籍のない子供達を守るうちに壊れていく話。主人公の真面目なパラノイア感、子供達の悲惨な境遇、中国マフィアのアンダーグラウンドっぷり、個人的に勝手知ったる歌舞伎町から都庁周りの疾走感溢れる逃亡劇。ラスト捕まりながらも、爆発に揺れる都庁を見つめ涙を流す織田と一緒にウルっとしてしまった。馳星周、ものすごく久しぶりに読んだけどハードボイルド好きには堪らない素晴らしい作品だった。
Posted by ブクログ
馳さんの作品の中でも時に切ないラスト。
最悪な環境で寄り添い合いながら共に暮らす少年、少女達…
そして友情…
そんな子供達を助けでくれるひとりの大人…
大満足の作品です。
Posted by ブクログ
ドキドキハラハラさせられる展開で、また展開が気になって一気に読み進めてしまった!ありえない設定など気になるところはあったものの、なかなか面白かった!
Posted by ブクログ
馳星周を読むのは久しぶりだ。「不夜城」の頃から、読んでいた作家だけれども、最後に読んだのは「弥勒世」で2009年、だからほぼ3年ぶり。
一読、変わらないな、と思った。それは、マンネリということではない。プロットや文体は工夫が凝らされていて、以前の著作の焼き直し、という印象は全く受けない。それでも、変わらないな、と思ったのは、物語の本質的な暗さだ。
僕が読んだ馳星周の本では、主人公が何らかの理由で、何か抜き差しならない状況に追い込まれていき、徐々に体力と健全な精神・思考力を蝕まれていく。狂気の世界に足を踏み入れていく感じがするのだ。その展開が馳星周の本の魅力なのだと思う。
Posted by ブクログ
良かった。
馳小説に初めての善人が主人公。
どうせバッドエンドなのはわかっているけど、応援したくなる内容。当然、オチの虚無感はいつも通りでしたが。
Posted by ブクログ
久々に馳作品を読んだが、既読作品ほどディープな感じはしなかったものの舞台が新宿でアジア系の裏社会を取り扱ってる部分では、馳ワールドとしての構成要素はしっかりと踏襲されている。まぁ、今までに比べると主人公のドス黒さは薄れているが。。。
そして、地下鉄サリン事件や歌舞伎町浄化計画、更にタイトルにもなってる9・11などの実社会での事件、背景を元にテロ行為によって生ずる歪や行政に対する皮肉を描いたような作品に仕上がってる感じかと。。。。
展開的にはテロによって妻子を亡くした主人公 織田の哀しみ、考え方は十分に伝わってきて共感できる部分は多い。それ故に感情移入はしやすいのだが、彼の取る行動自体には若干の不可解さが残った。
それは、偶然出会った少年たちの生い立ち等を理解した上での織田本人の選択だったとはいえ、それまでの織田の生き様からして他の母娘を犠牲にしたり、犯罪に手を下してしまうまでがあまりにも安易すぎるからではないだろうか…
確かに、その後の葛藤やら心情の変化などは描かれていたものの、少年たちがこの国で生き抜く手段としての犯罪と違って、あまりにも軽々しく映ってしまったのも事実。 最終着地点が少年たちと相対的に贅を尽くした象徴である都庁の破壊であったとしても、織田がそれに協力・賛同していくまでの重みというかプロセスはもう少し丁寧でも良かったのでは??
とは言え、テロによって1人の人間が抱える哀しみ・苦しみ、そして行政の強大な力によって得られる安泰の犠牲となった弱者たちが、それでもしたたかに生き抜いていく様を描いたエンターテイメントとしては、最初から最後まで疾走感を失わずに楽しめる作品だった。
ラストも印象的だったしで…
Posted by ブクログ
自分から飛び込んだ結果に苦しむのは、仕方がない。だって、それを承知で飛び込んだんだもん。「こんなはずではなかった」なんて馬鹿なことを言う人は、ちゃんと考えてないから。でも、政策による都合で結果で苦しむ人、特にまだ何の力もない子供が害を受けるのは納得がいかない。どうすれば救えるのか、考えてしまう。でも「救ってあげる」と思うのは、エゴなのかな。そんなことを考えた一冊でした。
Posted by ブクログ
・電車に乗るのに読む本がないので、東京駅構内の書店で平積みになってたのを購入。2冊続けて馳星周。
・おっさんがたまたま出会った少年たちと心の触れ合いを、って話は嫌いじゃない。最後まで馴れ合いはせずに、かすかに垣間見える心の繋がった描写に心打たれる。最近観た「Welcome to the Rileys」に通じるものを感じる。
・なんかこれが馳星周だ!ってのはまだ見つけられないな~。きれいにまとめた梁石日、って気もするし。出てくる刑事はみんな誉田哲也の小説に出てくる人物に見えたりもする。せっかくだから馳星周じゃないと書けないよ、ってのが読みたいんだけど、そういう作家って稀有だよね。がーっと読んで消費するにはちょうどよく刺激的だった。
Posted by ブクログ
日本の象徴、東京の象徴としての都庁を爆破させることを生きる目標にして、必死に生きる戸籍を持たない子供達。馳作品によく見られる「理不尽さへの反発」「抗えず理不尽に死ぬ」が全体的なテーマなんだけど、ギリギリまで抗うなかでのスピード感のある逃避シーンがやっぱり面白い。ただ「漂流街」のような、ぶるぶる震えながら一気に読んでしまうほどの緊迫感はないかな。
Posted by ブクログ
こないだ読んだ『沈黙の森』といい、10年前に読んでた、馳星周とすごい違いを感じる作品やった。以前のような暴力的な部分がメインだったのが、人間的な部分がすごく増えて、不快感が少なく、話にのめり込むことができた。
Posted by ブクログ
不夜城以来の馳さんの本。やはりアウトローと新宿の話。
見える部分と見えない分と、強者と弱者と、いろんな混沌の都市の一角のごく狭い地域の話。解説者によれば、都庁の「権力」に牙をむいた作品ということなのだが・・・