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装蹄師の平野敬は、北海道の浦河で引退した馬の世話をする養老牧場を営んでいる。敬が注目している馬・エゴンウレアは日高の小さな栗木牧場生産の最高傑作と言われるが、気性が荒く、プライドも高い馬で誰もが調教に手を焼いていた。以前エゴンに装蹄したことのある敬は、初めて彼に触れた時、間違いなく超一流の資質を秘めた馬だと確信していた。敬は、覚醒剤所持で服役していた元騎手で幼馴染の和泉亮介の才能を信じ、エゴンの乗り役を頼むことに。調教を重ねるうち、エゴンが自分の意志で走る姿を見せ始める。エゴンに人生を託した人々の想いは、二勝馬脱却への奇跡を呼び起こせるのか――。直木賞受賞第一作。
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Posted by ブクログ
主役は 北海道 日高で 騎手を目指した幼なじみ二人。どちらも挫折。一人は 養老牧場を営む装蹄師に。もう一人は 紆余曲折のうえ調教師に。
もう一頭の主役が 漢字の馬名“黄金旅程”。
競馬のことはよく知らない。競馬場に行ったこともなければ 馬券を買ったこともない。
たまに 日曜日の“G1レース”を見るくらい。
しかし 馬は可愛い!疾走する姿はさらに格好いい!
多くの人達が 熱狂する競馬、G1レース。
知りたいと思っていた。
競馬は 牧場にしても 生産、育成、養老、、、牧場。色々あるらしい。人としては 馬主、生産者、調教師、厩務員、騎手、装蹄師、、、。多くの人達が関わっている。頂点の“G1”を目指して こんなに多くの人達を巻き込んで その人達の夢とお金を向かわせているなんて。
馬たちにも それぞれ個性があって。
“競馬”の内幕が知れる一冊であり、競争馬を愛する人たちの物語でした。
ラストが良かったです!
皆んなの思いが報われて。
Posted by ブクログ
2001年12月17日に発売された週刊Gallopの真ん中見開き頁の写真についたキャプションは“黄金旅程、完!”
前日に香港ヴァーズを勝って遂にGⅠのタイトルを手にしたステイゴールド。その名に「黄金旅程」と漢字を当てる香港ジョッキークラブのセンスの良さと、それを使ってその競走馬人生と昨日の偉業を讃える編集部の発想にとても感じ入ったのを今でも鮮明に覚えている。(実際には、彼の旅路は種牡馬としても続き、この時点では“第一部、完”が正しかったのだが)
そのステイゴールドをモデルにしたエゴンウレアというサラブレッドと日高で馬産や競馬に関わる人々の物語。
ステイゴールドの猛々しさを表すエピソードも交えながら語られる話には、現役時代の走りとレースを知るだけに、殊更面白く読むことができた。
語りの中心は、装蹄師の傍ら養老牧場を営む平野敬。それに、彼の幼馴染で騎手として将来を嘱望されながら道を踏み外し故郷に戻って来た和泉亮介、門別競馬場の獣医・藤澤敬子が絡む。加えて、師匠である装蹄師の夫妻、馬主、調教師、騎手、厩務員、生産牧場の親子、育成牧場の社長・スタッフ…。
地方競馬を支えたり、胆振のグループを相手に日高からGⅠ馬を送り出そうと夢見て、日々を積み重ねる人々に胸がキュンとする。
狙うレースが定まり、まして鞍上にリーディングジョッキーを迎えるとなれば、レースはずっと先なのに今から胸がドキドキしてくる気持ちは、零細な一口会員でしかない私でもよく分かる。
こうした話には珍しく、人の都合で馬を走らせる競馬の在り様について再三に亘って触れられる。
とねっこに事故で死なれた牧場の子に『競馬なんて、なくなればいいのに』と語らせる場面もあるが、私のように土日に馬が走ることを見て心の安寧を保ってきた者からすると、競馬がなくなるととても困る。
サラブレッドが競馬のために生み出される経済動物であるという側面を持つ以上、その台詞はいささか感傷的に過ぎるという気はするが、ここまでお世話になっては、一部を除けば哀れな引退後の馬の行く末について、これもまた作中にあった『自分の責任を果たし、競馬と共に生きていく』という言葉は身に沁みた。
なので『月に千円でいいから引退馬協会かどこかに寄付をすればいい。それで、一頭の馬が救われる』とか言われると、馬券に回すお金から少しは工面しようと思ったのだった。
後半、八百長を巡ってハードボイルド調の話になってどうなることかと思ったが、その後にくる敬子との絡みも含めて蛇足気味。
確かに八百長があったことが発覚すれば競馬のイメージが悪くなるので『永遠に口をつぐむ』という気持ちは分かるが、あの解決法ではちょっと残念。もっとスキッと落とし前をつけて欲しかった。
描かれた八百長の方法も、本命馬がコケたからといって勝つ馬が分かるわけでもないので、割に合わないのではないかな。
終章、エゴンウレアがスタッドインした描写には、24年前に日高の牧場巡りの時に見た、ガスに覆われたイーストスタッドの景色を思い出した。(ステイゴールドは交渉決裂して日高には来なかったけどね)
Posted by ブクログ
馳星周『黄金旅程』集英社文庫。
馬の装蹄師を主人公にした競馬小説。ミステリー・サスペンス要素もあり、ディック・フランシスの競馬ミステリーのような趣きもある。しかし、あくまでもミステリー・サスペンスの要素は味付け程度で、気性が荒いが故に勝ちに恵まれない超一流の資質を持つサラブレッドをGIレースで勝たせようとする人びとの夢を描いた物語なのである。
感動の結末。まさか競馬小説で感涙するとは予想もしなかった。
かつて騎手を目指しながら挫折し、装蹄師の道に進んだ平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいた。その牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたが、浦河出身の天才騎手だった亮介が覚醒剤所持で刑務所に収監されたこともあり、敬が譲り受けることになった。
過去から多くのサラブレッドを育て来た浦河の牧場には、GIレースで勝てる馬が居なかったのだが、敬は以前、装蹄した栗木牧場生産の尾花栗毛馬のエゴンウレアにその可能性を見出していた。敬がエゴンウレアの筋肉に触れた瞬間に超一流の資質を秘めた馬であることを確信したのだが、余りにも気性が荒い上にプライドも高く、調教に手を焼き、これまで勝ち鞍が無かったのだ。
敬は、刑務所から出所したばかりで、借金を抱える幼馴染の亮介にエゴンウレアの調教を任せるよう馬主に薦める。
そんな中、敬がその馬主と競馬場で会った際、レースで馬が突然興奮し、暴れ出すという不思議な出来事に遭遇する。敬と付き合い始めたばかりの獣医師の藤澤敬子がその馬の血液検査をしたが、薬物などは検出されなかった。その後、敬子は、1人の厩務員のが犬笛で馬を操り、興奮させていたことを知る。その厩務員は八百長に加担し、ヤクザからの借金を帳消しにしようとしていたのだ。敬子からその事実を聞いた敬は裏で糸を引くヤクザの尾行を始めるが、逆に気付かれて拉致され、殺されそうになる。
様々なトラブルが起きる中、エゴンウレアが出馬するレースの日も近付き、亮介による最後の調教も終わる。エゴンウレアに人生を託した浦河の人々の想いで奇跡を呼び起こすことが出来るのか……
本体価格1,050円
★★★★★
Posted by ブクログ
昔競馬のテレビゲームをやっていたこともあり、購入。
面白くて一気に読んでしまった。
気性が荒くなかなか本気を出さないエゴンウレア。
だけども、刑務所から出所した亮介、主人公の敬、そして「地元からG1馬を」と他の牧場や競馬場関係者達の熱い想いや努力によって、エゴンウレアが再び輝く姿は胸を打たれるものがあった。
敬はもともと騎手の夢があったが、装蹄師になり、亮介はトップジョッキーから、トレーニングセンターで調教師の調教をする際の馬乗りに。2人とも夢を諦めざるを得ない立場になって、第二の夢を見つけて、それを実現させる姿も、「自分も今後新しい目標ができて、それに向かって突き進んでいくことがあるかも知れない」ということを感じさせた。
あとは、北海道の地域性とか、のどかな風景が自然と浮かぶような文章で、来年の夏に北海道にいって、牧場を巡ろうと思った。良い本だった。
Posted by ブクログ
久々に、またしばらくして再読したいと思う、面白い小説に出会えた。
人間サイドからの身勝手な話ではあるが、競走馬は色んな人の思いや願いを乗せて走る。その罪深さについては、筆者も作中で何度も言及している。
その走りで人は喜んだり、胸を熱くしたり、明日への活力を得たり、また、人生を変えるきっかけを得ることもある。もちろん、逆もまた然り。
馬の走りに思いを乗せる人間の熱さ、ピュアさ、そうした、どうして競馬が面白いのか、どうしてファンたちが競馬に魅了されるのか、というひとつの答えのようなものが本書には描かれており、たいへん面白い作品でした。
主人公に「主人公感」を与えるためにヤクザとの絡みがあったり、美人とのセックスがあったりと、そこは蛇足かなとは思いました。
しかし全体的にはすごく良かったので星5つです。
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