集英社新書作品一覧

  • 「裏声」のエロス
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    裏声のことをイタリアではファルセットというが、これは「偽りの」とか「不正直な」という意味を持つファルソを語源としている。そのせいか、「嘘っぽい声」とか「真実でない声」といった芳しくない印象をもたれるが、じつは裏声には実生活に役立つさまざまな効能がある。カラオケ上達、話術改善といったわかりやすいものもあるが、健康増進、ストレス解消、さらには恋愛、セックスまでがうまくいくようになる、という知られざる効能もある。「幸福に効く」裏声の不思議に迫る。【目次】まえがき/第一章 「裏声の幸福」恋愛編/第二章 「裏声の幸福」話術改善編/第三章 「裏声の幸福」ストレス解消編/第四章 「裏声の幸福」健康編/第五章 「裏声の幸福」歌唱上達編/第六章 「裏声の幸福」音育編/あとがき
  • 永遠の映画大国 イタリア名画120年史
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    【推薦!】 蓮實重彦 氏(映画評論家) 「ネオレアリズモ」をいかに相対化するか。 古賀太は、イタリア映画を語る者に求められるこの最低限の資質を、ディーヴァ映画の優雅さや、デ・シーカ主演のカメリーニの秀逸なコメディを語ることで、軽々と超えて見せた。 【豊かな映画文化はなぜ生まれたのか?】 『無防備都市』『自転車泥棒』『道』『8 1/2』『情事』『山猫』『荒野の用心棒』『木靴の樹』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ライフ・イズ・ビューティフル』『君の名前で僕を呼んで』…… 数々の名作を生み、日本でも絶大な人気を誇るイタリア映画。 アメリカやフランスに比べて、その文化の全容が語られる機会は少ないものの、世界の映画史に大きな影響を与えてきた。 本書ではイタリア映画の歴史を、19世紀から現代までの120年を、約800の作品とともに通覧。 「イタリア映画祭」を立ち上げた著者がその豊かな文化的土壌と、映画の本質を明らかにする。
  • 映画監督という生き様
    4.0
    圧倒的な映像美で観る者を驚かせた『ヴァーサス』での鮮烈なデビュー、『あずみ』『ゴジラ FINAL WARS』など相次ぐ話題作の発表、『ミッドナイト・ミート・トレイン』でのハリウッド映画進出、そして実写版『ルパン三世』。日本人監督であることを微塵も感じさせない彼の撮影術は、ジャン=リュック・ゴダールら名だたる名監督も絶賛する。ハリウッドに拠点を置き、一人気を吐き続ける稀有な映画監督の映画観・撮影術、そして破天荒な生き様とは!?【目次】はじめに なぜ映画を撮り続けるのか/第一章 ハリウッド映画はこう撮れ!―北村流、戦闘的映画撮影術その1/第二章 文字通り、人生のすべては映画から学んだ/第三章 日本映画はこう撮れ!―北村流、戦闘的映画撮影術その2/第四章 原作との闘い方/第五章 この名作に学べ!/第六章 映画監督という生き様/おわりに
  • 英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる
    4.1
    英語化を進める大学に巨額の補助金を与える教育改革から、英語を公用語とする英語特区の提案まで。日本社会を英語化する政策の暴走が始まった。英語化推進派のお題目は国際競争力の向上。しかし、それはまやかしだ。社会の第一線が英語化されれば、知的な活動を日本語で行ってきた中間層は没落し、格差が固定化。多数の国民が母国語で活躍してこそ国家と経済が発展するという現代政治学の最前線の分析と逆行する道を歩むことになるのだ。「愚民化」を強いられた国民はグローバル資本に仕える奴隷と化すのか。気鋭の政治学者が英語化政策の虚妄を撃つ!【各界の識者が絶賛!】●佐伯啓思(『さらば、資本主義』著者・京都大学名誉教授)公共精神を失ったグローバル・エリートが日本を破壊する。それが英語化だ。その欺瞞を本書は見事に暴き出した。●水野和夫(『資本主義の終焉と歴史の危機』著者・日本大学教授)日本の経済と民主主義を破壊する「英語化の大罪」を明らかにした力作。凄い本だ。●中野剛志(『TPP亡国論』著者・元京都大学大学院准教授)日本人が抱く直観的な不安に確かな根拠と論理を与えてくれる。これぞ名著。●白井 聡(『永続敗戦論』著者・京都精華大学専任講師)社会の根底から対米従属構造を強化するのが英語化だ。本書は、これと闘うための優れた『武器』である。【目次】はじめに/ 英語化は誰も望まない未来を連れてくる/第一章 日本を覆う「英語化」政策/第二章 グローバル化・英語化は歴史の必然なのか/第三章 「翻訳」と「土着化」がつくった近代日本/第四章 グローバル化・英語化は民主的なのか/第五章 英語偏重教育の黒幕、新自由主義者たちの思惑/第六章 英語化が破壊する日本の良さと強み/第七章 今後の日本の国づくりと世界秩序構想/おわりに ――「エリートの反逆」の時代に
  • 英仏百年戦争
    4.1
    それは、英仏間の戦争でも、百年の戦争でもなかった。イングランド王、フランス王と、頭に載せる王冠の色や形は違えども、戦う二大勢力ともに「フランス人」だった。また、この時期の戦争は、むしろそれ以前の抗争の延長線上に位置づけられる。それがなぜ、後世「英仏百年戦争と命名され、黒太子エドワードやジャンヌ・ダルクといった国民的英雄が創出されるにいたったのか。直木賞作家にして西洋歴史小説の第一人者の筆は、1337年から1453年にかけての錯綜する出来事をやさしく解きほぐし、より深いヨーロッパ理解へと読者をいざなってくれる。【目次】序、シェークスピア症候群/前史 一、それはノルマン朝の成立か/二、それはプランタジネット朝の成立か/三、第一次百年戦争/本史 一、エドワード三世/二、プランタジネットの逆襲/三、王家存亡の危機/四、シャルル五世/五、幕間の悲喜劇/六、英仏二重王国の夢/七、救世主/八、最終決戦/後史 一、フランス王の天下統一/二、薔薇戦争/結、かくて英仏百年戦争になる
  • 英米文学者と読む「約束のネバーランド」
    4.1
    あの鬼のモデルとなった人物は? 「約束」や「原初信仰」の謎を解く鍵は? 数々の名シーンを引用しつつ、文学研究者が徹底考察! ファン必読の一冊!! 累計発行部数2,100万部超を誇る大ヒット漫画『約束のネバーランド』。その意表をつく展開や複雑な頭脳戦といった要素から、「少年ジャンプらしくない」と評されることもある同作ですが、その物語の背景には、多彩な文学作品や宗教に関する膨大な知識が踏まえられていることが窺えます。本書は、そんな大人気作品『約束のネバーランド』を、気鋭の英米文学者が学術の立場から読み解こうと試みた考察本にして、英米文学・文化への最良の入門書です。同作の名場面を豊富に引用しながら、数々の謎の核心に迫っていく、ファン必読の一冊と言えるでしょう。なお、本書はあくまで「週刊少年ジャンプ」編集部から許可をいただいた上で、『約束のネバーランド』を作中の手がかりをもとに、英米文学者の視点から読んだ、いわば第三者目線での考察本です。よって、原作者の白井カイウ先生や出水ぽすか先生の真意を紹介した「公式解説本」とは性格が異なります。加えて、原作の終盤にかけての「読み解き」を含むゆえに、ネタバレを多く行っているので、あらかじめご注意ください。
  • 永六輔の伝言 僕が愛した「芸と反骨」
    4.0
    中学生のときにラジオ番組に投稿を始め、放送作家への道を歩み始めた永六輔は、やがて戦後放送文化のトップランナーとして新しい時代の価値を次々と生み出していく。その道程で出会い、学び、繋ぎ、そして見送ってきた多くの先輩や仲間たち。渥美清、三木鶏郎、小沢昭一、野坂昭如、中村八大、いずみたく、三国連太郎、美空ひばり、井上ひさし……皆に共通していたのは、自由と平和への希求、そして反骨の心意気だった。半世紀にわたり永に伴走してきた盟友・矢崎泰久が本人に成り代わって活写した、永六輔と彼らの熱い交わり。それは、不透明な時代を生きる私たちに知恵と勇気をくれる「昭和からの伝言」である。【目次】まえがき/第一章 青春の出会い/第二章 三木鶏郎の伝説/第三章 規格外れの先輩たち/第四章 中村八大の才能/第五章 昭和の歌い手/第六章 「中年御三家」の反戦/第七章 昭和の知性/あとがき/参考資料
  • 越境の時 一九六〇年代と在日
    4.6
    『失われた時を求めて』の個人全訳で名高いフランス文学者は、1960年代から70年代にかけて、在日の人権運動に深くコミットしていた。二人の日本人女性を殺害した李珍宇が記した往復書簡集『罪と死と愛と』に衝撃を受け、在日論を試みた日々、ベトナム戦争の脱走兵・金東希の救援活動、そして、ライフル銃を持って旅館に立てこもり日本人による在日差別を告発した金嬉老との出会いと、8年半におよぶ裁判支援―。本書は、日本人と在日朝鮮人の境界線を、他者への共感を手掛かりに踏み越えようとした記録であり、知られざる60年代像を浮き彫りにした歴史的証言でもある。【目次】プロローグ/第一章 なぜ1960年代か――アルジェリア戦争をめぐって/第二章 李珍宇と小松川事件/第三章 日韓条約とヴェトナム戦争/第四章 金喜老裁判/エピローグ/あとがき
  • 江戸っ子の意地
    4.0
    徳川幕府が倒れた明治維新。それは、時代劇でお馴染みの与力や同心たちなど、大量の徳川家家臣=幕臣たちの失業を意味した。しかし彼らは、そのまま負け組として消えてしまったわけではない。新政府への反骨を胸に秘めながら、政界、言論界、実業界などで多くの「元幕臣」たちが頭角を現し、日本の近代化を下支えしていく。そして明治中期には、自分たちを育んだ「江戸」を後世へ伝える活動を立ち上げるのだ。薩摩・長州藩を主役とする従来の歴史叙述では描かれることのない、新たな幕末維新史。【目次】プロローグ/第一章 江戸町奉行所の最後の日/第二章 江戸の解体/第三章 東京府の混乱/第四章 幕臣たちの巻き返し/第五章 町奉行所OB会の結成/エピローグ
  • 江戸・東京 下町の歳時記
    3.8
    豊かな四季を持つ日本で、かつてわたしたちは時節ごとに旬や気候を取り入れた行事を楽しんできた。初詣の前にする「除夜詣」、煤払いの後で参加者の一番若い者を胴上げするしきたりなど、多くは忘れ去られてしまった行事を学びなおすことで、日々の暮らしがもっと生き生きと豊かなものになり、四季を身近に感じることができるようになるだろう。本書では元旦から大晦日まで、日本人の中に根付いて行事、しきたり、衣食住等を豊富なエピソードとともに紹介する。
  • 江戸の色ごと仕置帳
    3.7
    名奉行が輩出した江戸時代。彼らによって残された大量の裁判記録の中から、男女間の性的な事件・犯罪に対する仕置をまとめたのが本書である。粋な町民文化の象徴と思われがちな「色ごと」だが、不義密通はもちろん、婚前交際ですら、奉行所で一旦裁きにかかると、死刑や追放といった厳しい刑罰が待っていた。おおらかに性を楽しんでいたように見える江戸庶民。しかし実際は、身分差別や儒教による秩序原理によって縛られ、恋愛においても殆ど自由がない生活を強いられていたことが、この「色ごと仕置帳」から見えてくる。【目次】まえがき/第一章 江戸の罪と罰/第二章 密通いたせし者は/第三章 手込めの儀につき/第四章 春をひさぐ女/第五章 心中は恋の終わりか/第六章 女犯(にょぼん)せし僧は/第七章 殴る亭主/あとがき/主要参考文献/【別表】江戸時代の刑罰と対応する罪
  • 江戸の宇宙論
    4.0
    今日ではノーベル物理学賞を獲得する水準に至った日本の天文学研究。 そのルーツを辿ると、江戸時代後期の「天才たち」の功績にまで遡る。 「重力」「遠心力」「真空」など現在でも残る数多の用語を生み出した翻訳の達人・志筑忠雄。 「無限の広がりを持つ宇宙」の姿を想像し、宇宙人の存在さえ予言した豪商の番頭・山片蟠桃。 そして超一流の絵師でありながら天文学にも熱中し、人々に地動説などを紹介した司馬江漢。 彼らはそれぞれ長崎通詞(オランダ語の通訳者)・豪商の番頭・画家という本業を持ちつつ、好奇心の赴くままに宇宙に思いを馳せたのであった。 本書は現代日本を代表する宇宙物理学者が、江戸時代後期を生きた知られざる天才たちとその周辺人物らによる破天荒な活躍を負いつつ、日本の天文学のルーツに迫った驚きの科学史である。
  • 江戸の芸者 近代女優の原像
    -
    出雲のお国から明治の女優まで! 知られざる女性芸能の成立と盛衰 ◆内容紹介◆ 現代の日本人のほとんどは、江戸時代は女性芸能者がいなかったと思っている。 しかし、それは間違いで、江戸時代も女性芸能者はいた。 例えば、出雲のお国、そのかぶき踊りを模倣した遊女歌舞伎、踊子、そしてそれらの後継としての芸者である。 江戸の女性芸能者の系譜は絶えることなく、明治の女優へと引き継がれた。 「女性芸能者はいなかった」と誤解される遠因は、依然として続く男尊女卑の風潮にあるように思われる。 陰影に富んだ世界があったにもかかわらず、それに触れる歴史教科書はまず見当たらない。 本書は江戸時代の女性芸能の成立と盛衰について記述するものである。
  • 江戸の好奇心 花ひらく「科学」
    3.0
    日本の科学研究のルーツは江戸時代に遡る。 長期に及ぶ政治的安定の中、人々は好奇心の趣くままに蒐集や実験、そして探究に没頭した。 その分野は数学、博物学、物理学、生物学(動物の飼育法や植物の品種改良)、花火や時計等の職人技術と、膨大な範囲に及ぶ。 さらに江戸の人々が熱中した「科学」の中には、今日の我々が失いつつある大切なものが隠れている。 本書ではそうした知の蓄積を丁寧に辿り直し、近代科学とは一線を画す「もう一つの科学」の姿を浮かび上がらせる。 『司馬江漢』『江戸の宇宙論』に続く「江戸三部作」、ここに堂々の完結。 【目次】 はじめに 第一章 和算 日本の数学の簡単な歴史/数学の三分類/「算勘碁知恵阿呆の内」/遊歴和算家/「和算」のその後 第二章 博物誌 本草学から博物誌へ/さまざまな「博物誌」学者たち/博物大名/「紅毛博物学」/私の印象に残った人たち/江戸の博物誌の終焉 第三章 園芸 花卉・花木園芸の歴史/園芸文化の広がり/奇品ブーム/江戸の農業・野菜作り 第四章 育種 鼠/金魚/鳥/虫/蚕 第五章 技術 鉄砲・花火/望遠鏡・眼鏡/時計/からくり おわりに
  • 江戸幕府の感染症対策 なぜ「都市崩壊」を免れたのか
    3.3
    〈持続化給付金〉は、わずか12日間で給付完了! 江戸時代にも、日本は感染症(天然痘・麻疹・インフルエンザ・コレラ)に苦しめられた。とりわけ、人口100万超の「過密都市」江戸は被害を最も受けやすかったが、都市崩壊のような事態には至らなかった。時の幕府が、医療政策と社会福祉政策に力を入れたからである。徳川吉宗、松平定信らは感染拡大にどう対処したのか? 当時の〈持続化給付金〉の財源と給付対象は? ワクチンはどのように普及したのか? 現代に通底するトピックを織り交ぜながら、江戸の町がいかにして危機を脱したかを解き明かす。
  • EPICソニーとその時代
    4.1
    「80年代」と書いて、「EPICソニー」と読む――。先進的な音楽性により80年代の音楽シーンを席捲したレコード会社「EPICソニー」。レーベルの個性が見えにくい日本の音楽業界の中で、なぜEPICだけがひと際異彩を放つレーベルとして君臨できたのか? そして、なぜその煌めきは失われていったのか? 佐野元春《SOMEDAY》、渡辺美里《My Revolution》、ドリカム《うれしはずかし朝帰り》など名曲の数々を分析する中でレーベルの特異性はもちろん、当時の音楽シーンや「80年代」の時代性が浮かび上がっていく。佐野元春ロングインタビュー収録。
  • F1ビジネス戦記 ホンダ「最強」時代の真実
    3.3
    アイルトン・セナ、アラン・プロストらを擁し、F1グランプリで無敵を誇った「マクラーレン・ホンダ」が2015年シーズンから復活する。その全盛期にホンダの広報・渉外スタッフとして現場の最前線で奮闘した著者が、サーキットの中だけではない、F1というビジネスを取り巻くさまざまな“戦い”をリアルに綴る。セナとの交情、プロストとの駆け引き、エンジン開発をめぐる攻防、現場を鼓舞した本田宗一郎の言葉……日本企業が「チーム」となって世界で戦う姿が、ここにある。【目次】はじめに/第1章 アイルトン・セナとの出会い/第2章 F1グランプリの内幕/第3章 F1が体現する欧州文化/第4章 日本がF1グランプリで戦うということ/終章 F1活動休止の決断/おわりに ホンダF1“再開”に寄せて
  • エリート×アウトロー 世直し対談
    5.0
    東京地検特捜部検事、法務大臣官房長を歴任した元霞ヶ関エリートの堀田力と新宿歌舞伎町であらゆる悩み相談に応じる「日本駆け込み寺」の代表、玄秀盛。救済の仕組みを作る側と自殺寸前の人を水際で救う側、いわば天と地ほども立場の異なるふたりが「ドン詰まり日本」の閉塞状況を打開する方策をホンネで語り合う。人と人とがつながり、支え合う社会の構築が急がれる日本だが、互いが触れ合うぬくもりや声をかけあっての助け合いなど、ゆるいボランティアがその鍵をにぎっている!? 【目次】はじめに 堀田 力/第一章 人助けはどうして面白いか/第二章 人を助ける遺伝子/第三章 この世に役に立たない人はいない/第四章 みんなが社会的強者に/第五章 無関心社会からの脱皮/おわりに 玄秀盛
  • 演劇入門 生きることは演じること
    4.6
    【鴻上尚史、渾身の一作!】 「演劇は劇場にだけあるものではありません。あなたがいて、目の前にもう一人の人間がいれば、またはいると思えば、そこに演劇は生まれるのです。もし、あなたが目の前にいる人に何かを伝えたいとか、コミュニケートしたいとか思ったとしたら、演劇のテクニックや考え方、感性は間違いなく役に立つでしょう」――鴻上尚史 日本人が、「空気」を読むばかりで、つい負けてしまう「同調圧力」。でも、その圧力を跳ね返す「技術」がある。それが演劇。「空気」を創る力は、演劇的な思考と感性によって磨くことができるのだ。なにも舞台に立ったり、俳優を目指したりする必要はない。本書で、演劇の基礎に触れて、日常の生活で意識するだけ。長きにわたるコミュニケーション不全の時代に、人間らしい交感の喜びを取り戻し、他者とともに生きる感性を育てる方法を具体的に説く画期的な指南書。
  • 演じる心、見抜く目
    3.5
    人から愛されるためにこれだけは知っておきたいこと。嘘の見抜き方、説得の仕方、口説き方、浮気のいいわけ、緊張しない方法、自分をコントロールする方法など、日常のあらゆるシチュエーションに関して、演出家でもある著者が「役者の演技」を通してアドバイスする。あなたの周りの人たちとのコミュニュケーションを潤滑油にし、自信をもって元気に生き抜くためのテクニックの数々。【目次】はじめに/第1章 愛される人・愛されない人/第2章 素直に話せる人・素直に話せない人/第3章 緊張する人・緊張しない人/第4章 力を発揮できる人・力を発揮できない人/おわりに
  • AIが人間を殺す日 車、医療、兵器に組み込まれる人工知能
    3.8
    『AIの衝撃』著者による警告の書! 飛躍的な進化を遂げる人工知能(AI)。明るい未来が語られる一方で、「AIに雇用が奪われる」という見方や、超越的な進化を遂げたAIが人類を支配する「2045年問題」などのAI脅威論も少なくない。しかし著者はむしろ、目前に迫る危機として、車、医療、兵器の3つを挙げる。共通するのは、私達の命に直結する分野であること。ここに今、最先端のAIが導入されようとしているが、中身の見えないブラックボックスであるうえに、ときに暴走の危険性をはらむ。世界の制御権が人間からAIへと移譲されたとき、その先に見えるのは自ら判断する機械・システムが人の命を奪う衝撃の未来。AIの真の脅威が明らかに!【目次】はじめに/第一章 AI脅威論の虚実/第二章 自動運転車の死角/第三章 ロボ・ドクターの誤診/第四章 自律的兵器の照準/第五章 スーパー・オートメーションの罠/おわりに
  • 往生の物語――死の万華鏡『平家物語』
    4.0
    いかに死すべきか!? 「死」の大文学『平家物語』に読む往生際の在り方。『平家物語』は平家滅亡の物語であり、平家一門の「死に様」の物語ともいえる。清盛の地獄の死、宗盛の愚かしくも人間的な死、知盛の剛毅で潔い死、建礼門院のありがたい死……。著者は、この『平家物語』を空前絶後の「死(タナトス)」の大文学としてとらえ、その主要な登場人物十一人の様々な最期から逆照した彼らの生きかたを「死への道筋」と見ることで、新しい面白さを発見していく。そして、私たち現代人にも、避け得ない「死」と向き合うための心の工夫のヒントを与えてくれるのである。
  • おかしゅうて、やがてかなしき 映画監督・岡本喜八と戦中派の肖像
    4.3
    『独立愚連隊』等で知られる鬼才、岡本喜八。発掘された若き日の日記を紐解き、その実像を通して戦中派の心情に迫るノンフィクション。 岡本喜八は一九二四(大正十三)年生まれ。 『独立愚連隊』『日本のいちばん長い日』『江分利満氏の優雅な生活』など、 戦中派の心情をそこかしこに込めた映画を撮り続けた職人肌の監督として知られる。 陸軍予備士官学校で終戦を迎え、戦後映画界に復帰すると、 戦争、時代劇、SF、青春群像など、バリエーション豊かで喜劇性にあふれた作品をつくった。 喜八が生涯を通じてこだわり抜いた戦中派とは何なのか。 新たに発掘された若き日の日記をひも解きつつ、映画監督・岡本喜八の実像と戦中派の心情に迫るノンフィクション。 はじめに 第一章  米子 第二章  なぜ死なねばならないのか 第三章  早生まれ 第四章  戦中派 おわりに
  • 沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える
    4.4
    圧倒的多数が日米安保体制を容認する本土国民に対して、また“本土の平和・護憲運動”と“沖縄への基地封じ込め”の不幸な癒着関係に対して、著者はヤマトの知識人としてはじめて「県外移設」という論争的な問題提起を行う。2014年の沖縄県知事選と衆院選では、本土とは異なる沖縄県民の明確な民意が示され、米軍基地移設問題が争われるなか、「日本よ、在沖米軍基地を引き取れ!」と訴える沖縄の声にアクチュアルに応答した、画期的な論考。【目次】はじめに/第一章 在沖米軍基地の「県外移設」とは何か/第二章 米軍基地沖縄集中の歴史と構造/第三章 県外移設を拒む反戦平和運動/第四章 「県外移設」批判論への応答/終章 差別的政策を終わらせるために/あとがき
  • 沖縄を撃つ!
    4.0
    作家・花村萬月が、日本人と沖縄人の共犯関係で出来上がった「癒しの島」幻想を徹底的に解体しながら、既存のイメージとはまったく違った沖縄の姿を克明に描き出す。日本人であることの加害者性を露悪的なまでに引き受けたその眼差しは、南の島を過剰に持ち上げたり、そこに逃避したりする日本人と、純朴な仮面を自ら進んで被ろうとする沖縄人に対しても、等しく冷淡であり、かつ挑発的である。20年以上にわたって沖縄取材を繰り広げてきた小説家による、もっとも苛烈で真摯な沖縄論。【目次】第一章 さあ、飛行機に乗ろう/第二章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(1)/第三章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(2)/第四章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(3)/第五章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(補遺のようなもの)/第六章 飯でも喰うか(1)/第七章 飯でも喰うか(2)/第八章 飯でも喰うか(3)/第九章 飯でも喰うか(4)/第十章 飯でも喰うか(5)蛸飯/第十一章 飯でも喰うか(6)そば/第十二章 悲しき人買い(1)/第十三章 悲しき人買い(2)/第十四章 悲しき人買い(3)/第十五章 悲しき人買い(4)/第十六章 悲しき人買い(5)/第十七章 悲しき人買い(6)/第十八章 悲しき人買い(7)/第十九章 悲しき人買い(8)/第二十章 宮良康正/第二十一章 必ず、行きなさい(1)/第二十二章 必ず、行きなさい(2)/第二十三章 必ず、行きなさい(3)/第二十四章 必ず、行きなさい(4)/第二十五章 ゆっくりしましょう(1)/第二十六章 ゆっくりしましょう(2)/第二十七章 看板の左下には海星(ひとで)が/第二十八章 水死体倶楽部/第二十九章 波之上でアウトドア・ライフ(1)/第三十章 波之上でアウトドア・ライフ(2)/後書き
  • 「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か
    3.8
    認知科学で見る、人間の知性 推し活、二次創作、2・5次元、モノマネ、応援上映、ぬい撮り…… 漫画やアニメの登場人物に感情移入し、二次元の絵や映像に実在を感じる。 はたまた実際に出会い触れることはほとんどないアイドルやアーティストの存在に大きな生きる意味を見出す。 これらの「推す」という行為は、認知科学では「プロジェクション・サイエンス」と呼ばれる最新の概念で説明ができる。 「いま、そこにない」ものに思いを馳せること、そしてそれを他者とも共有できることは人間ならではの「知性」なのだ。 本書では、「推し」をめぐるさまざまな行動を端緒として、「プロジェクション」というこころの働きを紐解く。 はじめに 第一章 ♯「推し」で学ぶプロジェクション ―応援― 第二章 プロジェクションを共有するコミュニティの快楽 ―生成― 第三章 「推し」との相互作用が生まれるとき ―育成― 第四章 ヒトの知性とプロジェクション ―未来― 第五章 とびだす心、ひろがる身体 ―拡張― 第六章 プロジェクションが認識世界を豊かにする ―救済― (本文より) 「推し」に救われたという経験は、「推し」が自分に直接なにかしてくれたということではありません。 「推し」によって自分がなにかに気づいたり、自分がなにかできるようになったり、自分をとりまく世界のとらえ方が変わったということなのでしょう。  あらためて考えてみると、このような自分のありようとこころの変化は、本書のテーマである「プロジェクション」がもたらす事象そのものです。 はじめて聞いたという人が多いと思いますが「プロジェクション」とは、こころの働きのひとつで、認知科学から提唱された最新の概念です。
  • 推す力 人生をかけたアイドル論
    4.0
    なぜ私たちは「推す」のか? 秘蔵エピソード満載のアイドル人生論! 篠山紀信さん(写真家)推薦! アイドルを論じ続けて40年超。 「推す」という生き方を貫き、時代とそのアイコンを見つめてきた稀代の評論家が〈アイドル×ニッポン〉の半世紀を描き出す。 彼女たちはどこからやってきたのか? あのブームは何だったのか? 推しの未来はどうなるのか? 芸能界のキーパーソン、とっておきのディープな会話、いま初めて明かされる真相――そのエピソードのどれもが悶絶級の懐かしさと新鮮な発見に満ちている。 戦後日本を彩った光と闇の文化史とともに、“虚構”の正体が浮かびあがるアイドル批評の決定版! 【目次】 まえがき――「推す力」を生きて 序章  それは南沙織から始まった 第一章 1970年代のアイドル体験  note 天皇陛下のアイドル論 第二章 山口百恵から松田聖子へ――1980年の女王位継承 第三章 小泉今日子と中森明菜――1982年組の二つの星  note 後藤久美子と宮沢りえ 第四章 〈チャイドル〉ブーム始末記 第五章 さらば、沖縄の光  note 加護亜依は勝新太郎である 第六章 『時をかける少女』の40年 第七章 竹内結子の肖像  note アイドルの未来 第八章 2010年代のアイドル復活 第九章 あいみょんと「下降する時代」  note 平手友梨奈とは何だったのか? 終章  アイドルを「推す」ということ
  • 落合博満論
    3.3
    2011年、圧倒的な実績を残しながらプロ野球界を去った落合博満。噂された球団との確執や過度の拝金主義といったイメージとは裏腹に今もなお、シーズンオフには落合待望論がまことしやかに語られる。孤高の天才打者にして名監督、その魅力の淵源は何処にあるのか? 2019年シーズン中には、球界を代表するスラッガー山川穂高が落合に教えを乞うた。山川の姿によって再び火がついた作家は、さらに、さらにという思いで落合の諸相を訪ね歩く。対談、俳句、エッセイ……至高の野球人を味わい尽くす一冊。
  • 堕ちた英雄 「独裁者」ムガベの37年
    3.8
    事実上のクーデターによる辞任から、わずか2年で急逝した前ジンバブエ大統領、ムガベ。マンデラになれなかった男の実相に迫る。人種差別闘争の闘士から、腐敗した権力者に、そして最後は41歳差の妻の暴走をとめられず体制転覆、異国の地でひっそりと息を引き取った。世界史上、独裁政権は枚挙に暇がないが、これほど絵に描いたような軌跡を辿った「独裁者」は類例を見ないだろう。超長期政権、容赦ない粛清、ハイパーインフレ。名だたる独裁者のなかでもジンバブエの元大統領、ムガベの特異性は際立つ。英雄はなぜ、独裁者となったのか。盤石の体制はなぜ、唐突な終焉を迎えたのか。徹底取材でその世界史的意味を探った、最強の独裁者を追うノンフィクション。
  • 「おっぱい」は好きなだけ吸うがいい
    -
    数多くの古典翻訳で名高い英文学者にして、タオイストである著者が、D・H・ロレンス、フォークナー、マーク・トウェイン、幸田露伴など、偏愛する作家たちと老子思想とのふしぎな共通性に触れながら、今ここにいる喜びと、究極のエナジーの源泉について語った。齢九十一歳、「大自然(タオ)の母親のおっぱい」を追い求める旅は、終わることがない。政治学者・姜尚中による解説も収録。【目次】序章 大地の「おっぱい」を求めつづけた「先だつ」のことを語ろう/第一章 西欧の伝統精神と火花を散らした、ロレンスの自由精神――D・H・ロレンス/第二章 「タオ」につながるグレートなバランス感覚――ウィリアム・フォークナー/第三章 「初めの自分」につながる、ということ――マーク・トウェイン、ウィリアム・ジェイムズ、ラジニーシ、幸田露伴……/終章 タオの山脈の連なる解放区へ/加島祥造という人 姜尚中/略年表/主な著作/老子・TAO関連著作/主な翻訳書
  • 男と女の理不尽な愉しみ
    3.7
    「ゲス不倫」叩きから、「熟年離婚」まで……。世の中は、かくも男女の問題に満ち溢れている。甘美で魅力的なはずの関係はなぜ、今や絶望的なまでに我々を追い詰めているのか? 男女の機微を知り尽くした作家とタレントが、出会いから恋愛の作法、不倫の在り方、看取りの瞬間まで、男と女を巡るあらゆる問題を徹底討論。しなやかでありながら、したたかでもある男女の「愉しみ方」を提言する。古典的男女観ともフェミニズムとも異なる視点の2人が、とかく男女に世知辛い日本社会を喝破する!【目次】まえがき/第一章 結婚したい女たち/第二章 男と女の利害関係/第三章 女は「損」なのか?/第四章 人はなぜ不倫を許さないのか/第五章 女はどう育つのか/第六章 死ぬことと、生きること/あとがき
  • おとなの始末
    3.6
    「自分の人生にどう決着をつけていくか」は、人生の終盤を迎えた中高年にとって大きな課題である。定年を見据えたうえでの仕事への向き合い方、避けては通れない家族問題、いつか必ずやらねばならない生活環境の整理、老いていく自分への対応……。いわゆる“終活”にとどまらない、リアリティを持った人生の締めくくり方、始末のつけ方とは何か。自身の死生観や倫理観に対峙しながら、「自分の人生にどうかっこよく幕を引くか」をテーマに新しい生き方を考える。【目次】第一章 おとなの始末とはなにか――そのうちきっと、と思っているだけでは、「そのうち」は決してこない。/第二章 仕事の始末――仕事は楽しいか。あるいは苦痛でしかないか。楽しいと苦痛の様々なグラデーションを往復しているのが、おおかたの現実というものだろう。/第三章 人間関係の始末――血縁がすべてか? 「家族」と呼ばれる人間関係で、「家庭」と呼ばれる空間で、傷ついているひとはいないか? 友人関係においてもまた。/第四章 社会の始末――自由に生きたい。平和に生きたい。差別は、したくも、されたくもない。「殺し、殺される」法律など、まっぴらごめん。だからわたしは、声をあげる。/第五章 暮らしの始末――暮らし、というこの愛おしくも懐かしくも、けれど、時に、うっとうしいもの。『Good Morning Heartache』でも聴きながら、暮らしと向き合ってみよう。/第六章 「わたし」の始末――第一章から第五章まで、なんとか辿りつけたとしても……。最も高いハードルがまだある。/あとがきにかえて
  • 大人の食物アレルギー
    4.0
    成人の10人に1人に症状あり! これ一冊ですべてがわかる初めての解説書。 もしかして自分も……? と思ったら、以下をチェック! □花粉症である □自分または肉親がアレルギー体質である □子どもの頃にアレルギーがあった □食生活が乱れてor偏っている □過度のきれい好きである □最近、日光を浴びていない □調理業や食品加工業など食物を扱う仕事をしている □料理などで食材に触れると手がかゆくなる ひとつでも 当てはまる場合は、成人食物アレルギーの発症リスクあり! ***** 食品などの摂取で起こる食物アレルギー。 なかでも、大人になってから発症する「成人食物アレルギー」の患者数が近年急増しており、重症化すると命にかかわることはあまり知られていない。 しかし、花粉症の人や幼少期にアレルギーがあった人、食生活や就労環境に偏りのある人……誰もが発症リスクを抱えているのだ。 本書は、そのメカニズムから最新治療法にいたるまで、成人食物アレルギー研究・治療の第一人者が初めて解説した一般書である。 自身が発症する可能性だけでなく、症状に悩む人への対応やアナフィラキシーショックを起こした場合の対処など、成人食物アレルギーを“正しく知って、正しく恐れる”ための必読書!
  • 踊りませんか? 社交ダンスの世界
    4.0
    社交ダンスは、男女がカップルで踊る。そこがおもしろさであり、同時に難しさでもある。長い歴史をかけて、さまざまな民族の歴史が混じりあい、互いに影響しあい、今日の型に洗練されてきた。本書では、ワルツ、タンゴ、サンバなど、モダン五種・ラテン五種それぞれのルーツと特徴を紹介しながら、ダンスの裏に秘められた歴史や文化を解説する。 町の小さなダンス教室に生まれ、踊ることの楽しさを身近に見て育った著者は、現在、ダンス文化が日常生活に根づいているパリに暮らし、フランス人の夫とともに社交ダンスに熱中している。自らの体験談を織り交ぜながら、「人生をゆたかにする」社交ダンスの魅力と奥深さについて熱く語る。【目次】第一章 社交ダンスと競技ダンス/第二章 社交ダンスの華 ワルツ/第三章 暗い情熱 タンゴ/第四章 ハーモニーを求めて/第五章 エロスの源泉 ルンバ/第六章 「素直な悪女」と踊る チャチャチャ/第七章 歓喜の炸裂 サンバ/第八章 生と死のはざま パソドプレ/第九章 ジャズの酩酊 ジャイブ/第十章 ダンスという旅
  • おどろきのウクライナ
    4.1
    権威主義国家VS自由・民主主義陣営 プーチンは地獄の扉を開いた! 世界史的地殻変動を文明と宗教で読み解く ポスト・ウクライナ戦争の世界 ――人々はなぜ、おどろいたのか?―― それは自明だと考えていた前提が、あっさり崩れ去ったから。 自由と人権と民主主義と、資本主義と法の支配と、言論の自由と選挙とナショナリズムと。 (橋爪大三郎氏「はじめに」より) ◆内容紹介◆ 2022年2月、誰もがおどろいたロシアのウクライナ侵攻。プーチンはついに地獄の扉を開けた。 アメリカ覇権の終焉後に始まる、ロシア、中国など権威主義国家と自由・民主主義陣営の戦いとは? 私たちは新しい世界にどう向き合うべきなのか? この世界史的な地殻変動の本質を見抜くには、安全保障や経済政策の観点と同時に文明論、宗教学、歴史、社会学的な視座が不可欠だ。 日本を代表する社会学者が混迷の世界の深層に迫る、白熱の討論。 ◆主なトピック◆ ◎アメリカの戦略転換 ◎急転のアフガニスタン情勢 ◎「中国の特色ある」資本主義 ◎資本主義にはふたつある ◎自信を失う西側世界 ◎自由は普遍的価値なのか ◎どんな価値のために戦うか ◎ウクライナという国 ◎ギリシャ正教は政教一致 ◎ロシアとはなにか ◎プーチンの主権国家 ◎西欧コンプレックス ◎合理性を超えた決定 ◎ウクライナのナショナリズム ◎この戦争を歴史のプラスにできるか ◎ロシア非難決議を棄権する国々 ◎ロシアと中国の違い ◎自由と平等はなぜ説得力がないか ◎ポスト・ウクライナ戦争の新世界
  • 「オバサン」はなぜ嫌われるか
    3.7
    オバサンという言葉が、呼ばれる側に違和感や不快感を生じさせ、呼ぶ側を躊躇させる理由はいくつかあるが、一つは〈女は若いほうがいい〉という価値観の浸透である。これは男性だけに限ったことではなく、〈若い〉と言われる女性もまた、同様の価値観を発しているのだ。本書では、女性の年齢が意味するものや女性が年齢を隠したくなる背景を検証し、さらには「オジサン」よりもはるかに多義的な「オバサン」という言葉の意味、当の中高年女性に対する社会の視線などについて多角的に考察する。【目次】はじめに/第一章 なぜ女は年を隠すのか/第二章 男女で異なる<生殖のリミット>/第三章 「ババァ発言」の系譜/第四章 職場における女の年齢/第五章 「おばさん」と「オバサン」/第六章 オバサンの社会性/おわりに
  • オバマ・ショック
    3.9
    史上初の黒人米国大統領に就任したバラク・オバマ。疲弊する大国は、なぜいま、彼を選んだのか? 覇権国家の衰退を歴史軸で考察する研究者(越智)と、合衆国を駆け巡るフィールドワーカー(町山)が、岐路に立つアメリカの過去・現在・未来を縦横無尽に語り合う。サブプライムローンの“現場”やハリウッド空洞化の実情など、アメリカが陥った病の症例を容赦なく暴き出し、多様な人種がオバマを「支持」した理由を明らかにする!【目次】Finally!(やっとだよ!) 町山智浩/第一章 オバマがチェンジ(変革)するもの―レーガン連合の28年/第二章 失われた八年―ブッシュとは何だったのか/第三章 アメリカン・ドリームという博打―サブプライムと投機国家/第四章 覇権国家の黄昏―衰える軍事、経済、文化のヘゲモニー/第五章 異端児か、救世主か―オバマが選ばれた理由/終章 彼の「強運」は世界の味方なのか―オバマの未来、アメリカの未来/アメリカと町山智浩さん双方への注文 越智道雄
  • 小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか 現代の災い「インフォデミック」を考える
    3.8
    炎上を超えて、小山田圭吾と出会いなおすために。 コーネリアスの小山田圭吾が東京五輪開会式の楽曲担当であることが発表された途端、過去の障害者「いじめ」問題がSNSで炎上。 数日間で辞任を余儀なくされた。 これは誤情報を多く含み、社会全体に感染症のように広がる「インフォデミック」であった。 本書は当該の雑誌記事から小山田圭吾の「いじめ」がどのように生まれ、歪んだ形で伝わってきたのかを検証するジャーナリスティックな側面と、日本におけるいじめ言説を丁寧に分析するアカデミックな側面から、いまの情報流通様式が招く深刻な「災い」を考察する現代批評である。
  • 「おりる」思想 無駄にしんどい世の中だから
    3.0
    生きるために、なぜ我々はこんなにも頑張らなければならないのか? 大学に馴染めず、ひきこもり生活を送った著者は、この問いの答えを求め、「何もしない」ことを目的に1年間スペインに滞在。 帰国後、無職のまま、日本社会を包み込む生きづらさの原因を、映画『プーと大人になった僕』『パディントン』、『バトル・ロワイヤル』『仁義なき戦い』シリーズなどの深作欣二作品、『安心引きこもりライフ』『みちくさ日記』『ナリワイをつくる――人生を盗まれない働き方』などの書籍・漫画、そして作家・朝井リョウの小説などをもとに解き明かしていく。 競争に勝って生き残らなければならないと「思い込み」、しんどい思いをしている人へ、自分らしい生き方を送るために「おりる」ことを提案した一冊。
  • オリンピックと商業主義
    3.7
    オリンピックをテレビで観戦していると、他のスポーツイベントとは「風景」が違うことに気づく。それは「会場に広告看板がない」からだ。クーベルタンが理想を掲げて創始した近代オリンピックの「格式」は、そのような形で今も守られている。だが舞台裏では、莫大な放映権料やスポンサー料がIOCの懐を潤し、競技自体にまで影響を及ぼすという実態がある。一方で、その資金のおかげで税金の投入が回避され、途上国の選手が参加できるという現実もある。果たして、オリンピックが「商業主義」を実践するのは是なのか非なのか。本書は、五輪礼賛でも金権批判でもないスタンスで、この問題を深く掘り下げる。【目次】序章 三つのロンドンオリンピック/第一章 「商業主義」の起源と歴史/第二章 「商業主義」の弊害とは何か/第三章 五輪マネーは、どのように分配されるのか/おわりに―オリンピックは誰のためにあるのか
  • 俺たちはどう生きるか
    3.5
    いまだに毎日迷いながら生きている……。「需要がなくなれば芸人なんて終わり」とわかっちゃいるのに、「あのジジイ、やるな」とまだ世間から言われたい……。「若者に教訓めいたことを何か言ってやりたい」と思うけれど、「そんな立派な人生を送ってきたか?!」と躊躇する。古希・70歳。世間ではもういい大人。歳をとればもっと楽な人生になると思っていたのに……。そんな自問自答の日々を赤裸々に綴った「人生のこれまでとこれから」。自筆原稿収録。
  • 俺のロック・ステディ
    4.7
    ブルースロック、グラムロック、アメリカンロック、ジャズロック、ブリティッシュロック、ハードロック、プログレッシブロック、日本のロック――。1960~70年代の黄金期を俯瞰する、本格的なガイドブック的側面に加え、エッジの効いた文章に乗せながら「ロックとは何か?」という根本的な命題を探求した、萬月流ロック論。本書で、著者が導き出した解とは? 初心者必読、そして自称「通」のあなたも、それぞれのロック体験史の空白を埋めてくれる一冊! 【目次】まえがき/第1章 はじめにリズムありき/第2章 ブルースロック(1)/第3章 ブルースロック(2)/第4章 ブルースロック(3)/第5章 グラムロック(1)/第6章 グラムロック(2)/第7章 アメリカンロック(1)/第8章 アメリカンロック(2)/第9章 アメリカンロック(3)/第10章 ジャズロック(1)/第11章 ジャズロック(2)/第12章 ブリティッシュロック(1)/第13章 ブリティッシュロック(2)/第14章 ブリティッシュロック(3)/第15章 ハードロック(1)/第16章 ハードロック(2)/第17章 プログレッシブロック(1)/第18章 プログレッシブロック(2)/第19章 日本のロック/第20章 総括だ!/あとがきに代えて
  • 終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ
    3.9
    1999年のNATO軍の空爆により、コソボ紛争は公式には「終結」したことになっている。しかし現地では、セルビア系の民間人が3000人規模で行方不明になるなど、空爆前とは違った形で「民族浄化」が続き、住民たちは想像を絶する人権侵害の危機にさらされている。また、空爆による劣化ウラン弾の被害は甚大で、すべての回収には100年を要するという。本書は、空爆終了後6年間にわたって現地に通い続けた唯一のジャーナリストが、九・一一やイラク戦争の開始以降ほとんど報道が途絶えてしまったセルビア・モンテネグロの現状を告発した、渾身のルポルタージュである。【目次】まえがき/旧ユーゴスラビア全図/第一章 大コソボ主義(2001年~2002年)/一 消えた1300人――セルビア人拉致被害者たち/二 真っ先に見た事務局長/三 コソボへ/四 マケドニア潜入行/第二章 混迷の中で(2002年)/一 劣化ウランとユーゴスラビアの核/二 10月革命の裏側/第三章 セルビア・モンテネグロの誕生(2003年)/一 新憲章発布とモンテネグロ/二 新憲章発布とコソボ/三 誰がジンジッチを殺したのか/四 ボスニア・ヘルツェゴビナ/五 少年が殺された/終章 語り部(2004年10月)/柴宜弘教授との対話――あとがきに代えて/ユーゴスラビアとセルビア・モンテネグロに関する年表
  • 女ノマド、一人砂漠に生きる
    3.6
    夫や子どもたちと離れ、たったひとりでラクダを連れてエジプトの砂漠で暮らす女遊牧民サイーダ。著者は、彼女と遊牧生活をともにするなかで、これまで自身で思い描いていた、素朴で自由な“ノマド”像とのギャップに困惑しながらも、彼女のたくましい生命力に惹かれていく。結婚するまでお互いの顔をほとんど見ないという「恋愛」事情や一夫多妻のリアルな内実など、急速に変容するイスラムの社会にあっても、日本とはまったく異なる価値観で力強く生きる一族の女たちを鮮やかに描いた渾身のノンフィクション!【目次】第1部 女ひとりの砂漠/第1章 もうばあさんだから男はいらない/第2章 男がいないと、どうなるか/第3章 祈りがもたらす心の安らぎ/第4章 雨で人も物も流される/第5章 お客さま扱いの頃をすぎて/第2部 うつりかわり/第6章 収入の安定とひきかえに失ったもの/第7章 記憶の彼方の砂漠/第8章 砂漠の民vs町の民/第9章 愛は結婚後/第3部 男と女/第10章 白いハンカチと赤い口紅/第11章 結婚は人生の楽しみの半分/第12章 妻はふたり/第13章 嫉妬と中傷/エピローグ これから
  • 女は筋肉 男は脂肪
    3.3
    日本人の体力は、二〇年前に比べて六〇歳代から七〇歳代の男女ともに右肩上がりで向上している。しかし、かかりやすい病気や死因はもちろん、筋量、持久力、柔軟性、脂肪量など男女の間には多くの差異がある。本書では、科学的な根拠をもとに、男女別の運動法や食事術を紹介する。今、気にすべきは女性は<筋肉>をつけることであり、男性は<脂肪>を減らすこと。その理由とは何か。筋肉を増やす運動・内臓脂肪を減らす運動、そして健康効果を高める栄養と食事パターンも詳細に解説する。【主な内容】・元気なシニアとそうでないシニア ・男女に分けて考える理由──性差とは? ・女性のほうが長生きする理由 ・かかりやすい病気の違い ・筋力の低下は上半身より下半身が著しい ・女性の「やせ」は、なにが問題か ・太っていることより筋肉が少ないことのほうが問題 ・女性ホルモン・エストロゲンの計り知れない大きな影響 ・「男性が脂肪を減らさなければいけない」、その理由 ・メタボリックシンドロームはなぜ危険? ・女性が運動やトレーニングで注意すること ・高い生活の質を保つ2つの運動様式 ・どの程度の強度で運動したらいいか ・転倒予防に欠かせないおしりの筋力を高める ・筋トレと有酸素運動をミックスした「サーキット・トレーニング」 ・スポーツを観戦するだけでも健康に効果がある ・もっともヘルシーなのは「副菜重視型」食事パターン ・「副菜重視型」の食事パターンは男性の内臓脂肪型肥満を防ぐ ・シニア女性の体の変化と必要な栄養 ・「食べるタイミング」も考える
  • オーガニック革命
    3.9
    “話題”のクリエイターが説く新しい価値観! オーガニックとは、単なる健康食ブームではない。20世紀的資本主義からの脱却を希求する「運動」だ。金融危機に揺れるロンドンで出会った、新しい価値観への啓示を語る。【目次】はじめに/第1章 21世紀のオーガニック・ロンドン/第2章 オーガニックへ至る道――イギリス“金融帝国”の狂騒と凋落/第3章 オーガニック・ライフ実践編/おわりに/参考文献・資料
  • 海外短編のテクニック
    5.0
    長編小説が、人生という一本の木を、根から幹、枝から梢、花も葉もすべて描く営みであるならば、短編小説は、一本の枝を切り、切り口を示して生き方全体をうかがわせる試み。あらゆる技を駆使した作品はおもしろさも多彩だ。日本の短編の名手が、海外短編から厳選して、メリメの名作『カルメン』からインド系女性作家ラヒリの『停電の夜に』まで、バラエティに富んだ作品を俎上に載せ、実作者の立場になって想像し、分析し、ときには妄想までして、そのテクニックをたどる。カフカの作品は長編もあるけれど短編『変身』ひとつを読めばOK、という大胆発言も。
  • 改憲的護憲論
    3.5
    2017年10月の衆議院選挙で争点となった改憲。しかし政権与党が提示する、憲法九条に自衛隊を付記する加憲案をめぐって、国民、メディアの間で、その狙いや問題点に関する議論はどれほど深まっただろうか。自衛隊を付記しようという加憲案と付記を許さない護憲派。護憲派が従来の立場からどんなに批判を展開しても、改憲派と護憲派の争いの焦点が、自衛隊を認めるかどうかにあると国民の目に映るとすれば、圧倒的多数が自衛隊に共感を持っている今、護憲派は見放されるのではないか。だとしたら、護憲派はどんな論点を提示できるのか――。著者が深い危機感からたどりついた「改憲的護憲論」を世に問う一冊。【目次】はじめに/第一章 護憲派とはどういう人のことか/第二章 「戦争」と「平和」は対義語なのか/第三章 共産党は憲法・防衛論の矛盾を克服できるか/終章 護憲による矛盾は護憲派が引き受ける/補論 自衛隊の違憲・合憲論を乗り越える/おわりに
  • 「改憲」の論点
    4.0
    「自衛隊明記」「二項削除」「リベラルの側からの新九条論」……。憲法改正をめぐる議論は混迷の度合いを深めている。しかし九条改憲の本質は、平和を求めてきた日本の戦後の否定そのものだ。本書では安倍政権の「憲法破壊」の動きに対して異議申し立てをしてきた「立憲デモクラシーの会」の主要メンバーが、もっとも重要な論点を解説する。8つのポイントに整理してわかりやすく示した、日本国民全員のための必読書。 【目次】まえがき/第一章 自衛隊明記改憲の問題 木村草太/第二章 「新九条論――リベラル改憲論」の問題点 青井未帆/第三章 日本人が向き合うべき戦争と平和のあり方 柳澤協二/第四章 「改憲派」はどういう人々か 中野晃一/第五章 「ポスト真実」と改憲 西谷 修/第六章 解散をめぐる憲法問題 山口二郎/第七章 憲法改正国民投票の問題点 杉田 敦/第八章 「真ノ立憲」と「名義ノ立憲」 石川健治/あとがき 杉田 敦
  • 介護不安は解消できる
    3.0
    する立場になるのか、される立場になるのか、いずれにせよ、誰にとっても無縁でないのが「介護」だ。しかし、不安材料をあげると、枚挙にいとまがない。相談したいときはどこへ行けばよいのか、どんなサービスがあるのか、費用はどれくらいかかるのか……。不安をゼロにすることはむずかしいが、何が心配なのかを明らかにすることで、漠然と抱えていた悩みはだいぶ和らぐだろう。本書は、具体的な介助の方法や介護保険の内容にも触れた、来たるべき日に備えるための必読書である。【目次】まえがき 介護不安とは何か/序章 避けては通れない介護/第一章 いずれは老親の介護が待っている/第二章 介護をするまでの準備/第三章 突然の介護。さあ、あなたはどうする/第四章 介護する方の心とからだのケア/第五章 [図解]覚えておきたい解除・介護のコツ/あとがき/参考文献/データ 介護保険で受けられる主な介護(予防)サービスと費用の目安
  • 会社ではネガティブな人を活かしなさい
    4.0
    近年「従業員が幸せ(ポジティブ)になれば会社の業績が上がる」という言説が流布し、多くの企業が従業員の幸福度を上げようと躍起になっている。 しかし幸せ(ポジティブ)になることで成果や業績が上がる人や条件はごくわずか。 むしろ従業員の性格に合わせた働きかた、職場環境、指導が重要なのである。 実験を通して人間の幸せを数値化する「幸福研究」を専門とする著者が、最新の研究から個人の性格に合わせた組織作りや働きかたのヒントを提示する。 【おもな内容】 ・不安な気分で創造性がアップ ・ネガティブな人はピンチになると協調的 ・心配性な人は管理職に向いている ・従業員あたりの売上高と仕事の満足度は無関係 ・従業員全員をポジティブにするのは費用対効果が悪い ・ストレスが多い職場ではマインドフルな従業員が活躍する ・上司がマインドフルだと部下が疲れにくい ・幸せそうな上司のほうが部下の評価が高い
  • 改訂版 著作権とは何か 文化と創造のゆくえ
    4.5
    ネットやSNSの発達で、著作権は芸術家や作家などのクリエイターのみならず、一般ユーザーにとっても身近で必須の知識になった。映像・音楽・出版・ネットなど産業や社会の動向さえ時に左右する著作権とはどんな権利なのだろうか。著作権はどのような場合に生まれ、具体的にどのようなことができ、そもそも何のために存在するのか。本書は、著作権を専門とする弁護士が、その基礎や考え方をシェイクスピア、ディズニー、手塚治虫などの豊富な実例でわかりやすく解説。著作権保護期間など最近の状況を盛り込んだ、ロングセラーの増補版である。
  • カオスなSDGs グルっと回せばうんこ色
    3.5
    【元京大変人教授、SDGsにモヤモヤする!】 近年声高に叫ばれる「SDGs」や「サステナブル」といった言葉。環境問題などの重要性を感じながらも、レジ袋有料化や紙ストローの導入、そしてSDGsバッジなどの取り組みに、モヤモヤしている人は少なくないのではないか。 「京大変人講座」を開講した著者は、大学で「SDGs担当」になったことをきっかけに、その言説や取り組みに違和感を覚えた。人間や地球環境にとって、ほんとうの「持続可能性」とは何か。名物教授が科学的観点と教育的観点からSDGsのモヤモヤを解き明かす。 【おもな内容】 プロローグ 「キレイ」なSDGs 第一章 危ういSDGs 第二章 プラゴミ問題で考える持続可能性 第三章 地球温暖化とカオス理論 第四章 無計画だからこそうまくいくスケールフリーな世界 第五章 日本社会の自由度をいかに高めるか 終章 うんこ色のSDGs
  • 科学者は戦争で何をしたか
    4.1
    ノーベル賞科学者・益川敏英が、自身の戦争体験とその後の反戦活動を振り返りながら、科学者が過去の戦争で果たした役割を詳細に分析する。科学の進歩は何の批判もなく歓迎されてきたが、本来、科学は「中性」であり、使う人間によって平和利用も軍事利用も可能となる。そのことを科学者はもちろん市民も認識しなければならないと説く。解釈改憲で「戦争する国」へと突き進む政治状況に危機感を抱く著者が、科学者ならではの本質を見抜く洞察力と、人類の歴史を踏まえた長期的視野で、世界から戦争をなくすための方策を提言する。【目次】はじめに/第一章 諸刃の科学―-「ノーベル賞技術」は世界を破滅させるか?/第二章 戦時中、科学者は何をしたか?/第三章 「選択と集中」に翻弄される現代の科学/第四章 軍事研究の現在――日本でも進む軍学協同/第五章 暴走する政治と「歯止め」の消滅/第六章 「原子力」はあらゆる問題の縮図/第七章 地球上から戦争をなくすには/あとがき
  • 科学と宗教と死
    3.6
    昭和4年に生まれ幼い時から戦争の時代を生きてきた著者。第二次世界大戦後も死刑囚と接する拘置所の医務技官として、また作家として、常に人間の生と死に向き合ってきた。子どもの頃は怖ろしい存在であった死が、医務技官して接した死刑囚の信仰心によって劇的に変化を遂げたこと。79歳で突然迎えた最愛の妻の死。そして81歳の時に心臓が停止して死の淵をさまよったこと。医師・作家・そして信仰の徒としてのこれまでの人生と、その中で続けてきた死についての思索の軌跡を素直につづる。【目次】はじめに/第一章 少年の心に植えこまれた死/第二章 死へのアプローチ/第三章 迫りくる老いと死/第四章 生を支える死と宗教/おわりに
  • 科学の危機
    4.0
    かつて毒ガス兵器の開発者がノーベル賞を受賞した。その後も科学の軍事利用は止まるところを知らず、原子力、遺伝子ビジネスなど、研究はさらに未知の領域へと踏み込んでいく。本書は科学史と思想史を手がかりに、〈科学の古典的規範〉がいかに崩壊したかを明らかにする。さらに、専門家ではない人々が、科学の暴走に歯止めをかけるために必要な〈感覚〉について論じる。危機に瀕する科学に対し、どこに問題の本質があるのか核心を突く画期的論考。【目次】まえがき/第一章 科学の自覚/第二章 科学の変質/第三章 ある科学者の肖像/第四章 科学批判の諸相/第五章 科学の文化的批判に向けて/あとがき
  • 隠された奴隷制
    4.0
    マルクスの『資本論』には「隠された奴隷制」というキーワードが登場する。一般に奴隷制と言えば、新大陸発見後にアフリカから連れて来られた黒人奴隷が想起され、すでに制度としては消滅している。しかし著者によれば、「自由」に契約を交わす、現代の私たち労働者も同じく「奴隷」であるという。その奴隷制はいかに「隠された」のか。格差社会はじめ諸矛盾が解決されることなく続く資本主義にオルタナティブはあるのか。マルクス研究の大家である著者がロックから現在に至る「奴隷の思想史」350年間を辿り、資本主義の正体を明らかにする。
  • 書く力 加藤周一の名文に学ぶ
    5.0
    上手い文章とは、どういうものなのか? これから文章を学ぼうとする人への、このうえない入門書 【おもな内容】 戦後日本を代表する思想家・加藤周一は、平凡社の『世界大百科事典』編集長を務めた知識人であり、海外の20を超える大学で教鞭を採った国際人でもある。 著書は300冊以上。 名文家として知られるが、その短文は簡にして要を得た珠玉の文である。 本書では、厖大な作品群から現代日本語の精髄ともいうべき短文を厳選。 「読点」「起承転結」「三点整理」「比較対照」「比喩表現」など24項目を採りあげ、文章を書くうえでの心髄に迫った。
  • 拡張するキュレーション 価値を生み出す技術
    4.0
    情報を組み換え、新しい価値を創る! 梅棹忠夫の「知的生産技術」、柳宗悦の「創作的蒐集」、岡本太郎の「対極主義」、ハラルド・ゼーマンの「構築されたカオス」。新たな価値をいかに生み出すのか。「価値」「文脈」「地域」「境界」「事故」「食」「国策」という七つのテーマごとに、現代美術に限らない「知的生産技術」としてのキュレーションの実践を読み解く。庶民の生活雑器を収集し独自の価値体系を築いた柳宗悦の「民藝」、博物館の資料展示の見せ方を刷新し賛否両論を巻き起こしたフランスの「ケ・ブランリ美術館」、インディペンデントキュレーターの誕生によって観光資源として多くの来場者を集めるようになった芸術祭、死後見いだされたアウトサイダーアートの偉業――。情報を組み換えることで新たな価値を生み出すキュレーションという営みは、誰もが情報生産者となりうる現代を生き抜くための創造的なヒントに満ちている。
  • 悲しみとともにどう生きるか
    3.8
    悲しみから目を背けようとする社会は、実は生きることを大切にしていない社会なのではないか。共感と支え合いの中で、「悲しみの物語」は「希望の物語」へと変容していく。「グリーフケア」に希望の灯を見出した入江杏の呼びかけに、ノンフィクション作家・柳田邦男、批評家・若松英輔、小説家・星野智幸、臨床心理学者・東畑開人、小説家・平野啓一郎、宗教学者・島薗進が応え、自身の喪失体験や悲しみとの向き合い方などについて語る。悲しみを生きる力に変えていくための珠玉のメッセージ集。 【まえがき――入江杏 より】(抜粋)「世田谷事件」を覚えておられる方はどれほどいらっしゃるだろうか? 未だ解決を見ていないこの事件で、私の二歳年下の妹、宮澤泰子とそのお連れ合いのみきおさん、姪のにいなちゃんと甥の礼くんを含む妹一家四人を喪った。事件解決を願わない日はない。あの事件は私たち家族の運命を変えた。 妹一家が逝ってしまってから6年経った2006年の年末。私は「悲しみ」について思いを馳せる会を「ミシュカの森」と題して開催するようになった。(中略)犯罪や事件と直接関係のない人たちにも、それぞれに意味のある催しにしたい。そしてその思いが、共感と共生に満ちた社会につながっていけばと願ったからだ。それ以来、毎年、事件のあった12月にゲストをお招きして、集いの場を設けている。この活動を継続することができたのは、たくさんの方々との出逢いと支えのおかげだ。本書はこれまでに「ミシュカの森」にご登壇くださった方々の中から、6人の方の講演や寄稿を収録したものである。
  • 悲しみの子どもたち ――罪と病を背負って
    4.0
    罪と病という二重の試練を背負った子どもたち。医療少年院で、精神科医として彼らと向かい合う著者が、多くのケースとの関わりを通して、異常な行動の根底にある問題に迫っていく。なぜ、彼らは自らを傷つけ、他人を害さねばならなかったのか。想像もつかない冷酷な犯罪を犯してしまったのか。損なわれた心は回復できるのか。人との絆は取り戻すことができるのか…。だが、そこに浮かび上がるのは、決して特別な子どもたちだけの問題ではない――。圧倒的な事実の重みと、子どもたちの悲しみが胸をつく、臨床現場からの痛切なメッセージである。【目次】はじめに 社会を映す鏡としての医療少年院/第一章 回避空間の病理/第二章 親という名の十字架――愛情飢餓と命がけの自己アピール/第三章 劣等感に塗れて/第四章 運命を分けるもの――非行発現のメカニズム/第五章 社会が生み出す非行/第六章 壊れた心は取り戻せるのか?/第七章 本当の希望を取り戻すために/おわりに 明るい未来は明るい子ども時代がつくる/参考文献
  • 【カラー版】あなたは誰? 私はここにいる
    3.7
    【電子特別版・カラー画像多数収録!】伊集院静氏、落合恵子氏、千住博氏推薦! ドイツ留学中の著者は、500年前のデューラーの<自画像>から啓示を受けた。「私はここにいる。お前はどこに立っている?」。絵の中の同じ28歳の男は、鬱々とした内面の森をさ迷う在日の青年に、宿命との対峙を突きつけたのだ。30年後、人気美術番組の司会を務めた著者は、古今東西の絵画や彫刻の魅力を次々に再発見していく。ベラスケス、マネ、クリムト、ゴーギャン、ブリューゲル、ミレー、若冲、沈寿官――。本書は「美術本」的な装いの「自己内対話」の記録であり、現代の祈りと再生への道筋を標した人生哲学の書でもある。※電子版に収録されている画像は紙の書籍のものとは一部異なります。【目次】はじめに わたしたちは今、どこにいるのか/第一章 おまえはどこに立っている アルブレヒト・デューラー《自画像》、ディエゴ・ベラスケス《女官たち》《ドンセバスチャン・デ・モーラ》、エドュアール・マネ《オランピア》、イワン・クラムスコイ《忘れえぬ人》ほか/第二章 生々しきもの ギュスターヴ・クールベ《石を砕く人》《世界の起源》、エドュアール・マネ《草上の昼食》ほか/第三章 エロスの誘い グスタフ・クリムト《ダナエ》、エゴン・シーレ《縁飾りのあるブランケットに横たわる二人の少女》、ポール・ゴーギャン《かぐわしき大地》ほか/第四章 白への憧憬 白磁大壺、長谷川等伯《松林図屏風》、純白のチマ・チョゴリほか/第五章 不可知なるもの マーク・ロスコ《シーグラム壁画》、パウル・クレー《想い出の絨毯》ほか/第六章 死と再生 ピーテル・ブリューゲル《死の勝利》《バベルの塔》《絞首台の上のカササギ》ほか/第七章 生きとし生けるもの 伊藤若冲《群鶏図》《貝甲図》、熊田千佳慕《メスを求めて》《恋のセレナーデ》《天敵》ほか/第八章 祈りの形 アルブレヒト・デューラー《祈りの手》、円空《尼僧》、ジャン=フランソワ・ミレー《晩鐘》ほか/第九章 浄土的なるもの 与謝蕪村《夜色楼台図》、ジャン=フランソワ・ミレー《春》、犬塚勉《暗く深き渓谷の入口I》ほか/第一〇章 受け入れる力 ルーシー・リーの白釉の陶器、ハンス・コパーのキクラデス・フォームの陶器、沈寿官《薩摩焼夏香炉》ほか/おわりに ここで生きる――デューラー《メレンコリア・1》に寄せて アルブレヒト・デューラー《メレンコリア・1》
  • 【カラー版】江戸の経済事件簿 地獄の沙汰も金次第
    4.0
    【電子特別版・カラー画像多数収録!】赤穂浪士に始まり、歌舞伎や近松門左衛門の文楽、落語などに出てくる、江戸時代に日本各地で起きた様々な金銭がらみの事件や出来事。江戸文化研究家が、それらが描かれた歌舞伎、文楽、落語、浮世絵などを取り上げながら近代資本主義以前の江戸の経済について多角的な視点でわかりやすく解説する。豪商から貧乏サムライ、遊郭の遊女、賄賂に宝くじまで、お金をめぐる江戸の人間模様を通じて、資本主義の行き詰まりがささやかれる今、経済と金の実相を江戸に学ぶ。【目次】まえがき/序 金が敵の世の中――『忠臣蔵』が描いたもの/第一章 江戸経済の流れ/第二章 庶民の暮らし/第三章 商人の興亡/第四章 武士のふところ事情/第五章 江戸時代の金融と商習慣/参考文献
  • 変われ! 東京 自由で、ゆるくて、閉じない都市
    4.0
    コロナ後の都市のテーマは「衛生」ではなく「自由」である(「はじめに」より)オリンピック・パラリンピックの祝祭モードから一転、自粛ムードに覆い尽くされた東京。しかし、このピンチは、東京が変わるきっかけになるかもしれない。キーワードは、「大きなハコ」から「小さな場所」へ。国立競技場や高輪ゲートウェイ駅など、東京の最前線で幾多の「大きな」建築を手掛ける一方で、シェアハウス、トレーラーの移動店舗、木造バラックの再生など「小さな」プロジェクトに積極的に取り組んできた隈研吾が、未知の時代を生きる都市生活者の生き方、暮らし方に、新しい方向を指し示す。既刊『新・都市論TOKYO』『新・ムラ論TOKYO』に続く対話篇シリーズの集大成!
  • 「考える力」を伸ばす AI時代に活きる幼児教育
    4.0
    今ある仕事の47%が機械に取って代わられるというAI時代、人間には問題を発見し、解決策を自らの頭で考え、実践できる能力が必要となる。しかし、これまでの日本の暗記・教え込み教育では、このような力は身につかない。子どものうちから考える力を養い、根気よくものごとに取り組む姿勢を育まなければならないのだ。そこで注目なのが、近年話題のモンテッソーリをはじめ、さまざまな教育理論を研究し、「考える力を伸ばす幼児教育」を45年にわたって実践してきた「こぐま会」の方法論だ。思考力とは何か? そのために何をすべきか? 子どもの成長理論と、保護者のかかわり方をわかりやすく紹介。 【目次】はじめに/第1章 日本の幼児教育の問題点/第2章 本当に必要な幼児教育とは何か/第3章 進化する幼児教育――「KUNOメソッド」/第4章 学力よりも意欲の時代へ――小学校受験も変化している/第5章 幼児教育が目指すゴール/おわりに
  • 韓国カルチャー 隣人の素顔と現在
    4.5
    韓国カルチャーが世界で人気を得る、その理由は? 韓国人にとってのパワーワード「ヒョン(兄)」の意味は? 一般富裕層とは違う、財閥の役割とは? 挨拶がわりの「ご飯を食べましたか?」が持つ意味は? 本書で取り上げるのは、小説・映画『82年生まれ、キム・ジヨン』、ドラマ『サイコだけど大丈夫』『愛の不時着』『梨泰院クラス』『Mine』『SKYキャッスル』『賢い医師生活』、映画『南部軍』『ミナリ』『タクシー運転手 約束は海を越えて』、小説『もう死んでいる十二人の女たちと』『こびとが打ち上げた小さなボール』『野蛮なアリスさん』など……。 近年話題となった小説、ドラマ、映画などのさまざまなカルチャーから見た、韓国のリアルな姿を考察する。 【主な内容】 ・キム・ジヨンはなぜ秋夕の日に憑依したか? ・治癒のための韓国料理、チャンポンとテンジャンチゲ ・日本とほぼ同時期に始まった、北朝鮮の韓流ブーム ・男の友情を南北関係に重ねる、パワーワードとしての「ヒョン(兄)」 ・性的マイノリティと梨泰院 ・『ミナリ』は『パラサイト』とは真逆の映画かもしれない ・財閥ファミリーの結婚 ・3年前に大ヒットした、もうひとつの「上流階級ドラマ」 ・悩める40代、エリート医師たちはどんな人生を選択するのだろう? ・自分が属するステータスを表す「住まい」 ・チョンセの起源とその功罪
  • 姜尚中の政治学入門
    3.5
    湾岸戦争以後、時代の重大局面に妻子、さまざまなメディアで精力的に発言してきた「行動する政治学者」が、そのゆるぎない思考を支える歴史観と、政治理論のエッセンスを、コンパクトな一冊にまとめました。アメリカ、暴力、主権、憲法、戦後民主主義、歴史認識、東北アジアという七つのキーワードを取り上げ、現代日本とそれが関わる世界の現状をやさしく読み解いた本書は、五五年体制の成立以来、半世紀ぶりの構造変化にさらされる社会の混迷を、正確に見据える視点を養ってくれます。未来への構想力を提言する、著者初のアクチュアルな入門書!【目次】はじめに 七つのキーワードで読む現代の日本/第一章 アメリカ/第二章 暴力/第三章 主権/第四章 憲法/第五章 戦後民主主義/第六章 歴史認識/第七章 東北アジア/あとがき 私と政治学
  • 感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか
    4.0
    近年、日常生活の様々な場面において、理性よりも「感情」に訴える主張が注目を集めている。それは、SNSの炎上や、職場での過剰なサービス精神の強要、選挙戦で感情的に訴える候補者が有利になりやすいといった現象にも見られる。本書では、国家や企業、共同体が、巧妙に感情的な共感を引き出し、献身や購買といった形で人々を動員している実態を詳述。そして、もっともらしいだけで中身のない議論に騙されず、感情で釣られないための対策として、「冷静に考える」ための条件や環境を整える方法を示す。注目の政治社会学者による革新的論考。【目次】はじめに/第一章 自分で決められる? 感情で釣られる人々/第二章 マーケティングの中の「自分らしさ」/第三章 感じる政治/第四章 私たちはどういう社会を生きているのか/第五章 自分自身を知る(釣る)ために/あとがき/読書案内 参考文献にかえて
  • 完全解説 ウルトラマン不滅の10大決戦
    4.0
    テレビ放映から55年、映画『シン・ウルトラマン』も公開予定など、いまだ幅広い世代に人気を誇る『ウルトラマン』。だが、「怪獣と戦う空想特撮作品」にもかかわらず、そのバトル自体にフォーカスした本はこれまでなかった。そこで小学生時代に本放送を見て以来の大ファン、漫画家のやくみつる氏が「10大決戦」を選出し、ライター佐々木徹氏とともに、〈ウルトラマンになった男〉スーツアクターの古谷敏氏に、戦いの舞台裏を聞いていく。ゼットン、ジャミラ、ゴモラ…はもちろん、意外な怪獣も登場。さらに、ウルトラマンが新世紀エヴァンゲリオンやブルース・リーの映画に影響を与えた話、スペシウム光線誕生に力道山が関係していた裏話、ウルトラマンがなぜあの怪獣にあの技を使ったのか、なぜあの怪獣を倒さなかったのか…など、鼎談は思いがけない展開に。巻頭カラー口絵では、ウルトラマンと10大決戦怪獣の、懐かしのバトルシーンも掲載!
  • ガンジーの危険な平和憲法案
    4.1
    その膨大な講和の中から、憲法にかかわる部分をまとめた『自由インドのためのガンジー的憲法案』が、60年前のインドで刊行されていた。しかし、建国の父とまで謳われた聖人の憲法案は、今日に至るまで黙殺されたままである。それは一体なぜなのか? その謎を解く鍵は、産業資本主義の生産方式とライフスタイル、および国民国家の存立根拠とは相容れない幻の憲法案を、もう一度精査することにある。日本国憲法第9条とはまったく異質なその戦争放棄思想は、金融資本主義が壊滅しつつある現在、異様なリアリティをもって我々に迫ってくる!【目次】はじめに/第一章 最大のタブー/第二章 幻の憲法論の全貌/第三章 起こったことと、起こらなかったこと/補論 ガンジー思想の可能性/おわりに
  • GANTZなSF映画論
    3.7
    漫画家・奥浩哉にとって、SF映画は自身の創作に大きな影響を与えるものである。本書では、クリエーターとしてインパクトを受けた名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などの超メジャー映画からマイナーB級映画まで、約100作品を紹介。脚本力や演出力とは何か、キャラクター論、コミックス原作映画への思い、漫画家から見たカメラワークや構図、CG制作・美術デザインにいたるまで、独自の視点でおおいに語る!【目次】序章 漫画家が映画を語る理由/第一章 脚本力と設定力を楽しむ!/第二章 超私的「キャラクター」論/第三章 名シーンのつくられ方/第四章 アニメと漫画と映画の関係/第五章 美術デザインを愛でる映画/第六章 CGとSF映画の今昔物語/あとがき/掲載映画一覧
  • ガンより怖い薬剤耐性菌
    3.8
    人類は今、ふたつの医学上の危機に直面している。ひとつはペニシリンなどの「抗菌薬」が効かない「薬剤耐性菌」が蔓延し、死亡者数が増加していること。これによる世界の感染死者数は将来、ガン死者数を上回るとも推定されている。もうひとつの危機は感染症のみならず、アレルギー、ガン、肥満、ぜんそく、自閉症、生活習慣病、潰瘍性大腸炎などの患者数が増えていることだ。これらの危機は治療等で抗菌薬を乱用し、人が生きていくうえで欠かせない腸内や皮膚の細菌・微生物を殺してきたのが原因である。抗菌薬まみれの人類は危機を回避できるか? 細菌とウイルスに対する正しい知識を紹介し、最新感染症対策も解説。 【目次】プロローグ 感染症の薬が効かなくなっている!/第1章 感染症の治療薬と薬剤耐性/第2章 抗菌薬の乱用がもたらした2つの災害/第3章 感染症を引き起こす病原微生物とその対策/第4章 ガンや循環器病の原因になる微生物/エピローグ 明らかになりつつある人体内の共生微生物の世界/おわりに/用語解説/参考文献
  • 消えたイングランド王国
    4.0
    1066年、いわゆる「ノルマンの征服」によって、王や貴族、上級聖職者などイングランド王国の支配者層はことごとく、アングロサクソン人から仏語を母語とする「フランス人」に代わった。顧みれば、その僅か142年前にアングロサクソン諸王国を統一し誕生したこの王国の短い治世は、北欧世界から襲来する侵略者との戦いの歴史だった。だが、それは戦場に斃れたアングロサクソン人たちのヒロイックな生き様と共に、ひときわ眩しい光彩を放った時代として、今なおイギリス人の心に深く刻み込まれている。本書は、歴史の狭間に消えゆく故国に命を賭した、誇り高き、最後のアングロサクソン戦士たちの史録である。【目次】イングランド王系図/ウィリアム征服王系図/エゼルレッド無策王とクヌートの子供たち/プロローグ ある日の国連安全保障理事会/第一章 襲い来るデーン/第二章 勇者たち/第三章 終焉への足音/第四章 最後のアングロサクソン戦士/エピローグ 現代イギリス人のルーツたち/附録 モルドンの戦い
  • 奇食珍食 糞便録
    3.8
    世界には「トイレがない」環境で生きる人々が26億人以上存在すると言われている。タクラマカン砂漠、チベット、パプアニューギニア、シベリア、フォークランド、モルジブなど、世界の辺境を長年めぐってきた著者ならではの視点で、「人間が何を食べ、どう排泄してきたか」をテーマに余すところなく、赤裸々にルポルタージュする。カバー写真はモルジブ、マレの伝統漁法。横木に釣り師が座って魚を狙う。人間の糞が魚のエサに、魚は人間の飯に。これぞ見事な食物連鎖だ。【目次】第一章 世界糞便録/第二章 奇食珍食/最悪なるもの(あとがきにかえて)
  • 奇跡の村 地方は「人」で再生する
    4.0
    少子高齢化と人口減少により「地方消滅」が叫ばれて久しい。そんな中、長野県下伊那郡下條村は、全国の自治体関係者から「奇跡の村」と呼ばれている。少子化対策に目覚ましい成果をあげてきたからだ。「陸の孤島」と揶揄される人口約4000人の山村が、1998~2002年の5年間平均出生率で長野県トップを記録。現在でも、全国平均1.43人を上回る1.88人(2013年)と、トップクラスの高い出生率を誇る。その秘密はどこにあるのか? この下條村を中心に、独自の移住促進策で「消滅論」に抗う各地の山村を取材。この先の社会に光を点す、希望のルポルタージュである。【目次】はじめに/第一章 奇跡の村「下條村」/第二章 消滅可能性ナンバーワン? 「南牧村」を訪ねて/第三章 人をつなげる役場職員「旧・藤野町」/おわりに
  • 北澤楽天と岡本一平 日本漫画の二人の祖
    3.0
    世界中で大人気の日本の漫画・アニメ。この礎を作ったのは手塚治虫だと一般的には思われているが、実は彼に大きな影響を与え、今も続く表現形式の原型を作り出した二人の先人漫画家が、明治・大正・昭和のはじめに活躍していた。北澤楽天と岡本一平。楽天は福沢諭吉が創刊した『時事新報』で風刺画を描いたのを皮切りに、漫画におけるキャラクターの重要性や日本初の「少女漫画」を生み出した。一平は夏目漱石に認められて『朝日新聞』に挿絵を描いたのち、コマ割りと文章を組み合わせて大河ドラマ的な作品を作るストーリー漫画の原型を作り出した。さらに両者は漫画雑誌や全集・作品集も大ヒットさせ、経済・社会・文化的にも大きな影響を残した。彼らの足跡をつぶさに紹介し、さらに手塚の活動も解説することで、今や日本を代表する文化となった漫画・アニメの、明治から昭和までの歴史を描き出す。
  • 北朝鮮とイラン
    3.5
    ウクライナ戦争後、国際政治上の最大の焦点。 時のアメリカ大統領に 「悪の枢軸」と名指しされてから20年。 2つの国家は、 なぜ「核」を通じて既存の秩序に抗うのか。 そして、今後の展望とは――? 二〇〇二年、米国ブッシュ大統領の一般教書演説で「悪の枢軸」と名指しされた北朝鮮とイラン。負のイメージで覆われた二つの国家は、なぜ「核」問題を通じて既存の国際秩序に抗い、二〇年後の現在もなお、世界の安全保障の台風の目であり続けるのだろうか? 本書は、長年にわたって現地調査を行い、両国の「素顔」を知悉する専門家がタッグを組み、その内在的な論理に接近した注目の論考である。核兵器拡散の脅威が日々高まるなか、負のレッテルの向こう側にある「正体」の理解抜きに、混乱を極める国際政治の将来は語れない。
  • 北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実
    4.0
    小泉訪朝から20年。 なぜ解決できなかったのか? ◆内容◆ 2002年9月、小泉純一郎氏が日本の総理として初めて北朝鮮を電撃訪問し、金正日委員長が拉致を認め、5人の被害者が帰国を果たしてから20年。 小泉訪朝当時、日朝関係は大きく改善するかに見えた。 だが、その後交渉は暗礁に乗り上げ、拉致問題解決を重要課題としていた安倍長期政権、続く政権でも進展がない。 国会の「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」等でこの問題に尽力してきた著者はある文書を入手。 そこには拉致の実態、北朝鮮での生活等が詳しく記されていた。本書は極秘文書の内容を分析し、日朝外交を概観することで問題が解決に進まない原因を指摘。北東アジア安定のために何が必要かを提言する。 ◆主なトピック◆ 第1部 極秘文書 ◎政府の「極秘文書」を分析する ◎安倍総理は、なぜ「極秘文書」の存在を否定したのか ◎はじめて明らかになった日本人の名前とは ◎「極秘文書」はこうしてつくられた ◎拉致被害者の実数を推測させる管理番号 ◎横田めぐみさんが拉致された理由 ◎横田めぐみさん安否情報の真偽 ◎「極秘文書」は外交でどう活用されたか? 第2部 外交の問題 ◎歴史的な訪朝はどのように実現したか ◎いまも語られる「拉致の安倍」神話の真相 ◎民主党政権の挑戦と失敗 ◎日朝「ストックホルム合意」への道 ◎幻の「安倍昭恵さん訪朝計画」 ◎拉致問題は解決できるのか ◎残留日本人、「日本人妻」、日本人墓地 ◎風化していく拉致問題 ◎問題解決への私の提言 解説 高世 仁(ジャーナリスト)
  • 気の持ちようの幸福論
    3.5
    世間には「情報」があふれ、個々が「意見」を述べるツールも急速に普及している。でも、そこにあるのは、上から目線で他者を品定めして○と×に選別する「不毛な声」ばかり。そんな世界は、私たちを幸福にしてくれない。悪口と文句の応酬から抜け出して、個々の「実感」を交歓しよう。そうすれば、自分の気持ちや価値観を束縛していたものから自由になれるはず。「私はこう思う、あなたはどう?」日々、そう語りかけながらメディアで「実感」を発信し続ける小島慶子が、こんな時代における希望の見つけ方を提言する。【目次】はじめに/第一章 「メディア」と私/第二章 「世間」と私/第三章 「他者」と私/おわりに
  • 機密費
    3.0
    二〇〇一年四月二十六日、80%台の驚異的な支持率を背景にスタートした小泉内閣。その最大の目玉・田中真紀子外務大臣が乗り込んだ外務省は、かつてない危機を迎えていた。年初に明るみに出た松尾克俊元要人外国訪問支援室長の横領事件をきっかけに、「機密費」という得体の知れない存在が、国民の目にさらされたのだ。本書は、「個人犯罪」にすりかえられた「機密費」スキャンダルに光を当てるとともに、事件を生んだ土壌、事件が提示する数々の疑惑等を検証し、「日本にとって機密とは何か」という根源的な問いに挑む!
  • 邱 永漢の「予見力」
    3.5
    直木賞作家として、経済コンサルタントとして一世を風靡した「株の神様」邱永漢。10年前すでに自著『マネーゲーム敗れたり』で、今日の世界市場経済崩壊を喝破した予見力の持ち主は、中国を舞台に農業ビジネス・プロジェクトに奔走する。著者は、邱永漢の率いる投資考察団に加わり、中国大陸における農業ビジネスの実際を目の当たりにする。中国の食料自給率が100%でなければアジア経済の活性化はない、と予見する邱永漢の経済哲学、生きる知恵を、「農」の人・玉村豊男が追跡ルポ、インタビューする。【目次】はじめに/第一章 波の向こうの流れを見る/第二章 アジアの農業の新しい地図を描く/第三章 中国人の和牛牧場/第四章 タバコ工場のワイナリー/第五章 フロンティアは西へ/第六章 邱 永漢の目のつけどころ/第七章 十年後の中国と世界はどうなっているか/あとがきに代えて――八十五歳の誕生日会/邱 永漢の略年譜
  • 究極の選択
    3.0
    人生は選択の積み重ねである。勝負の世界のみならず、進学、就職、ビジネス、結婚、生活習慣等、無数の選択が今のあなたを形作っている。これまでの自分の選択に自信がある人はどれだけいるだろうか。難問や苦境を前にしたとき、常に「正解」を選ぶことは難しいが、少しでも納得いく道を選ぶためには何が必要なのか? 麻雀の裏プロという真剣勝負の世界で20年間無敗の記録を築いた雀鬼が、43の問いを通し、究極の「選ぶ作法」を語る。【目次】はじめに/第一章 未来が突き付ける答えなき選択/第二章 「道徳」が生む危うい選択/第三章 極限の状況における究極の選択/第四章 「生き方」が根本から問われる選択/おわりに
  • 京大的アホがなぜ必要か カオスな世界の生存戦略
    4.7
    知の根幹が揺らいでいる。背景には、学問に対する社会の無理解・誤解・偏見があるのではないか……。現代人は何でも予測できると思いたがる。しかしながら、自然界は予定調和ではなく、予測不可能なカオスであり、生き延びるには「非常識なアホ=変人」が必要なのだ。「変人講座」が大反響を呼んだ「もっとも京大らしい」京大教授が、カオス理論やスケールフリーネットワークといった最先端の理論から導き出した驚きの哲学と「アホ」の存在意義、育て方を披瀝する。
  • 教養の力 東大駒場で学ぶこと
    3.7
    1990年代、大学から「教養」の名を冠した学部が次々に姿を消した。それに応ずる形で専門知・実用知の優位性が喧伝されると、いまや「教養」はかつてのエリート達による懐古趣味のようなカビ臭い存在になってしまった感がある。しかし、本来の教養は、行き過ぎた専門知の追求に対して物事を多角的に捉える視点を与えるものでもあった。本書では、そうした意義に加え、人格的な豊かさを体現するためにも不可欠な教養の意味を問い直し、今の時代にも活きる新しい形を提示する。東大教養学部で長年教えた著者が授ける教養の力!【目次】まえがき/第一章 「教養」は変質しているか/第二章 学問・知識としての教養/第三章 教え授ける・修得する行為としての教養/第四章 身につくものとしての教養/第五章 新時代の教養/あとがき
  • 今日よりよい明日はない
    3.9
    世界中を席捲している未曾有の経済不安の中で、どうしたら地に足のついた生活を送ることができるのか。「すでに成熟した社会」に生きる知恵と、人生80年時代の処方箋について、田園生活を実践する著者が、健全なるライフスタイルを提唱する。今日よりよい明日はない、と思い定めれば、毎日最高の今夜がやってくる。なぜもっと今を楽しもうとしないのか。今ここにないものを求めて、なぜ次の夢ばかり探そうとするのか。本書は、現実を見据えた視点から、閉塞した状況を生きる世代に贈る熱いメッセージである。【目次】はじめに――人生八十年時代の戦略/第一章 なぜ夢を見なければいけないのか/第二章 今日よりよい明日はない/第三章 スシが世界で流行る理由/第四章 ワインと女は古いほどよい/第五章 病気自慢の健康指南/第六章 掃除をするときはゴミを残せ/あとがき――今夜が最高!
  • 虚人のすすめ――無秩序(カオス)を生き抜け
    4.3
    世界的な不況、どうにも是正しようのない格差社会。老舗が傾き、名門企業が沈んで行く。あたりまえと思っていた世界が根底から揺らいでいる今、常識、肩書など何の役にも立たないのだ。「実」と思っていた世界がことごとく「虚」に転じる中、興行というノールールの世界で、大物を口説き、あまたの問題イベントを仕掛けてきた著者の人生から学ぶものは多い。本書には現代の“無秩序(カオス)”を軽やかに生き抜くための虚人の哲学がある。【目次】はじめに/第1章 「虚人主義」のすすめ/第2章 本能を覚ませ!/第3章 千の修羅場をくぐる/第4章 悪魔をも受け入れる虚人精神/第5章 現実をマジックにかける/第6章 蕩尽から生まれた新たな虚業/第7章 宇宙の創造主を笑わすときを夢見て/あとがき
  • 巨大災害の世紀を生き抜く
    -
    東日本大震災における地震・津波・原発事故という複合災害は、まさに巨大化する現代の災害を具現化した出来事であった。この大災害に遭遇して日本人の意識・心理も劇的な変化を遂げた。「私だけは大丈夫」という正常性バイアスにとらわれないこと、政府・マスコミ情報を鵜呑みにせず吟味する自己責任力、企業の危機管理の新しい形が求められているのだ。自然災害に未知のリスクが加わる現代を生き抜くために求められる行動指針について災害心理学の第一人者が検証する。【目次】はじめに/第一章 二一世紀型の災害とは何か――原子力災害を経験して/第二章 原子力発電所はなぜ事故を起こしたか/第三章 災害と情報/第四章 災害を乗り越えるには/第五章 三・一一の先にあるもの/おわりに
  • 巨大地震の日 ――命を守るための本当のこと
    3.0
    日本には地震予知のための組織が大きく分けても6つある。毎年、膨大な予算がつかわれる。しかし、マグニチュード7.3という巨大地震が予知された例は、いまだ世界にひとつしかない。1975年、中国遼寧省の地震ただひとつである。事前の警報はないと思ったほうがよい。そして、予知組織の発表する楽観的被害予測に惑わされることなく、自分の命は守らなくてはならない。本書にはそのための「よすが」となる貴重な情報と教訓が込められている。【目次】はじめに/(1)東京を襲う巨大地震/(2)巨大地震のあとに―湧き起こる多くの問題―/(3)海溝型巨大地震/(4)津波/(5)防災と減災/(6)政府が行なっていること/終わりに
  • 近現代日本史との対話【幕末・維新―戦前編】
    3.7
    1~2巻1,287~1,386円 (税込)
    これまでの通史の多くは、国家としての日本が辿ってきた道筋を軸に記述してきた。それに対し本書は、人びとの動きがつくり出す一つの流れ――人間関係から社会の仕組みまで――を「システム」として捉え、その変遷を軸に近現代日本の歴史を叙述する。本書は、“幕末・維新―戦前編”として、システムA1(国民国家の形成)・システムA2(帝国主義への展開)とシステムB1(戦争への動員体制)を軸に、そのシステムのもとでの人びとの経験とその意味を考える。システムの推移を追うことで、さまざまな出来事が、その力学の中で作用し合っていることが見えてくる。“いま”を知るための手掛かりとなる近現代日本史の決定版。高校の新必修科目「歴史総合」にも対応! 【目次】はじめに/第一部 国民国家の形成/第一章 幕末・維新(一八五三―一八七七年)/第二章 民権と憲法(一八七七―一八九四年)/第二部 帝国主義への展開/第一章 日清・日露の時代(一八九四―一九一〇年)/第二章 デモクラシーと「改造」(一九〇五―一九三〇年)/第三部 恐慌と戦争/第一章 恐慌と事変(一九三〇年前後)/参考文献/略年表
  • 金融緩和の罠
    3.8
    アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。「失われた20年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。しかも副作用の大きさは計り知れない。国債の信用喪失に始まる金融危機、制御困難なインフレなど、さまざまなリスクを第一線のエコノミスト・経済学者らが、哲学者と徹底的に討論。金融緩和の落とし穴を見極め、真の日本経済再生への道筋を描き出す!【目次】はじめに 萱野稔人/第一章 ミクロの現場を無視したリフレ政策 藻谷浩介×萱野稔人/第二章 積極緩和の長期化がもたらす副作用 河野龍太郎×萱野稔人/第三章 お金への欲望に金融緩和は勝てない 小野善康×萱野稔人/おわりに 萱野稔人
  • ギフティッドの子どもたち
    -
    「ギフティッド」とは天才児、あるいは発達障害児のことだと思っている人は多い。 しかし並外れた才能はあるが天才とは限らないし、必ずしも発達障害を伴うものではない。 障害と才能が相互に隠し合うという点でサヴァン症候群とも異なる。 ギフティッド児の多くは、乳児期からみられる感覚過敏や繊細さ、強烈な興味関心を持つ。 それゆえ保護者は子どもの類稀な才能そのものではなく、生育の難しさや生活の困難さから「この子はほかの子と違う」と当惑することは少なくない。 そもそもギフティッドとはどんな特徴があるのだろうか。 ギフティッド児を理解するための一助となる一冊。 【主な内容】 ・ギフティッドの可能性に気づく入り口は「才能」ではなく「困難」や「違和感」 ・ギフティッドかどうかの判定が必要なのは子どもが困難を経験している時 ・ADHDとの違い ・サヴァン症候群との違い ・90%以上は天才ではない ・「すべての子どもに才能がある」との違い ・ギフティッドかどうかの判定方法 ・判定基準は「困難」ではなく「才能」 ・学業ギフティッドと知的ギフティッド ・ギフティッド児の特徴と応じ方の例 ・代表的なギフティッド教育制度――早修・拡充・能力別編成 ・ギフティッド児を育てる親の覚悟 ・枠からはみ出る前提で、しかし、言い訳にはしない ・独りではないというメッセージを送り続ける
  • ギュンター・グラス 「渦中」の文学者
    4.0
    小説『ブリキの太鼓』で世界的に知られる、現代ドイツを代表するノーベル文学賞受賞作家ギュンター・グラス。社会民主主義者であり、政治活動も厭わない「行動する作家」でもあるが、自伝的小説『玉ねぎの皮をむきながら』において、かつてナチスの武装親衛隊だったことを告白し、全世界に衝撃を与えた。近年もドイツ社会のタブーともいえるイスラエル批判を行い物議をかもすなど、80歳を超えてなお世界を「翻弄」し続けている。常に「渦中にいる」この大作家の実像を、気概のグラス研究者が明らかにする。【目次】まえがき/第一章 ふるさとを離れることはない<一九二七年から五○年>/第二章 灰色を愛す<一九五○年代>/第三章 コラボレートする<一九六○年代、七○年代>/第四章 真実はそのつど、語り直される<一九八○年代>/第五章 喪失は文学の前提である<一九九○年代>/第六章 想起とは恩寵でもあれば、呪いでもある<二一世紀>/あとがき 渦中にあるということ/ギュンター・グラス略年賦/邦訳作品リスト
  • 銀行 儲かってます!
    3.0
    この20年の間、日本経済は絶頂と絶望を経験した。その過程で銀行の不倒神話も崩れ、「大蔵省消滅」という未曾有の事態にもさらされた。一方国民の間では、リストラ・過労死・ワーキングプアという言葉も、いつの間にか定着した。これらの負の経験をもとに、銀行を中心とした我々の経済生活に、新しいビジョンが生まれるはずだった。しかし、血税注入により生き返った銀行は、なり振り構わぬ再編を繰り返し、メガバンクとしてひとり再生を果たす。結局は近年最高益を出し、相変わらず「儲けて」いる。こんな現状に苛立つ読者にとって、本書は彼らメガバンクの本音と建前がよくわかるコンパクトな一冊となる。【目次】プロローグ/第一章 銀行のここが許せない13のポイント/第二章 ゼロ金利政策の罪/第三章 銀行はこうやって儲けてます!/第四章 内部改革が進まぬ本当の事情/第五章 銀行の本音に打ち勝つ八つのポイント/エピローグ
  • 苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神
    4.0
    水俣病から新型コロナウイルスまで…。近代資本主義社会の限界と災禍の時代によみがえる世界的文学者の思想! 水俣病犠牲者たちの苦悶、心象風景と医療カルテなどの記録を織りなして描いた、石牟礼道子の『苦海浄土 わが水俣病』は類例のない作品として、かつて日本社会に深い衝撃を与えた。だが、『苦海浄土』をはじめとする石牟礼文学の本質は告発だけではない。そこには江戸以前に連なる豊饒な世界と近代から現代に至る文明の病をも射程に入れた世界が広がる。経済原理優先で犠牲を無視し、人間と郷土を踏みにじる公害、災害。それは国策に伴い繰り返される悲劇である。新型コロナウイルスの蔓延が状況を悪化させる中、石牟礼本人との対談、考察を通し世界的文学者の思想に迫る、評伝的文明批評。今は亡き文学者に著者は問い、考える。「石牟礼道子ならどう書いたであろう」と。
  • 鯨人
    3.8
    インドネシア東ヌサテンガラ州に属するレンバタ島のラマレラ村は、銛一本で鯨を仕留める伝統捕鯨で知られている。写真家である著者は約19年にわたりこの村の様子を取材。世界最大の生物に挑む誇り高き鯨人達の姿と、村の営みに深く根ざす捕鯨文化の詳細を記録し、ついには捕鯨の水中撮影を敢行する。だが、この村にもまた、グローバリゼーションの波は押し寄せていた……。岐路に立つラマレラ村とその捕鯨文化を雄渾に活写する、比類なきネイチャー・ドキュメンタリー。【目次】プロローグ/第一章 鯨の島へ/第二章 鯨漁に挑戦/第三章 再挑戦/第四章 鯨漁撮影/第五章 陸の物語/第六章 鯨の眼/エピローグ
  • 口下手な人は知らない話し方の極意 認知科学で「話術」を磨く
    3.0
    白目が情報を発信する、感動する話には笑いの布石を打っておく、まばたきは聞き手に伝染する……。認知科学の最新知見が明らかにするコミュニケーションの本質は、驚きの連続だ。落語の科学的な分析で話し方のメカニズムを解き明かす研究者が、認知科学の基礎的な概念を分かりやすく解説するとともに、性格やハートの強さに影響されず誰もが実践できる話術の極意を伝える。話が下手な人は、何が間違っているのか? 様々なシチュエーションを科学的に分析することで、現場に活きる合理的な話術を伝授する! 【目次】はじめに/第一章 話術と認知科学/第二章 観客(聞き手)の反応を感じ取る/第三章 見えをコントロールする/第四章 効果的に話す/第五章 舞台に立つ前に作る話の構造/第六章 準備した話の内容から話術の世界へ/第七章 間と場の定義と実証的研究/第八章 話し方実践講座/おわりに
  • クラシックカー屋一代記
    -
    自動車という乗り物が「EV」「自動運転」「シェア」という方向に急激に動いている現代は、 自動車誕生一四〇年の歴史の中でも最も大きなパラダイムシフトであり、 同時に機械の塊を操る悦び、モノを所有し愛でるという自動車が培ってきた文化の危機でもある。 だからこそ今、日本一のロールスロイスとベントレーのクラシックカーコレクターで販売も行う涌井が、 自動車の歴史、文化・機械遺産としてのクラシックカーの存在意義、 大量生産・消費・廃棄の時代に一台を大事に乗り継ぐ生き方や、顔の見える商いへのこだわりを語る。 現代社会が「効率」の名の下に見失ってきた大事な物語が、ここにはまだ生きている。
  • 「狂い」のすすめ
    3.8
    今の世の中、狂っていると思うことはありませんか。世間の常識を信用したばかりに悔しい思いをすることもあるでしょう。そうです、今は社会のほうがちょっとおかしいのです。当代きっての仏教思想家である著者は、だからこそ「ただ狂え」、狂者の自覚をもって生きなさい、と言います。そうすれば、かえってまともになれるからです。人生に意味を求めず、現在の自分をしっかりと肯定し、自分を楽しく生きましょう。「狂い」と「遊び」、今を生きていくうえで必要な術はここにあるのです。【目次】I 「狂い」のすすめ/II 人生は無意味/III 人間は孤独/IV 「遊び」のすすめ/あとがき
  • 「黒い雨」訴訟
    -
    【第66回JCJ賞受賞!】なぜ、被爆者たちは切り捨てられたのか――。 広島の原爆投下から70年以上を経て、ようやく語られ始めた真実の数々。 「黒い雨」による被ばく問題を記録した、初めてのノンフィクション。 ---------- 原爆投下直後、広島に降った「黒い雨」。 多くの人がその放射線を帯びた雨による深刻な健康被害に苦しめられていながら、「被爆者」と認めて救済する制度はなかった。 雨を浴びた住民らは国に援護を求めて訴訟提起したが、解決までの道のりは長く険しいものだった。 なぜ、国は黒い雨被爆者を切り捨てたのか――。 本書は当事者の歩みをたどるとともに、米軍の被害軽視に追従した国の怠慢、非科学的な態度をあぶり出していく。 戦後70年以上を経て、ようやく語られ始めた真実の数々。 「黒い雨」による被ばく問題、その訴訟の全容を記録した初めてのノンフィクション。 ---------- なぜ、黒い雨被爆者は戦後七五年余りもの間、置き去りにされてきたのか。 そこには、被ばくの影響を訴える声を「切り捨てる」論理があった。 これに疑義を唱え、被ばくを巡る救済のあり方を問うたのが、「黒い雨」訴訟だった。 黒い雨被爆者がなぜ、どのように切り捨てられ、そして何を訴えて援護を勝ち得たのか。 本書は、黒い雨被爆者が「切り捨てられてきた」戦後を記録した、初めてのノンフィクションである。 その記録は長崎で、福島で、そして世界中で今も置き去りにされている放射線による被害者を救う道しるべになると確信している。 (「序章 終わらない戦後」より)
  • 偶然のチカラ
    4.0
    人生に起こるさまざまな事柄――それらは、偶然のようにもみえ、一方では運命とも思える。不確実な現世のなかで、身に降りかかる幸不幸を、私たちはどう考えるべきなのだろう。未来が見えないとき、いったいどうしたらよいのだろうか。ストレスなく、楽しく暮らすためには、何が必要なのだろうか。占い、確率、宗教、スピリチュアルを超え、偶然のしくみを知ることから始める、幸せに生きるための新しい方法論。【目次】はじめに 偶然とは何か/1 自分で選択するべからず/2 世の中にはどうにもならないこともある/3 自分の身に起こったことはすべて必然と考える/4 たかが確率、されど確率/5 思いは全部どこかでつながっている/6 いい流れには黙って従う/7 すべてはなるようになる/注/あとがき

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