越境の時 一九六〇年代と在日

越境の時 一九六〇年代と在日

693円 (税込)

3pt

4.6

『失われた時を求めて』の個人全訳で名高いフランス文学者は、1960年代から70年代にかけて、在日の人権運動に深くコミットしていた。二人の日本人女性を殺害した李珍宇が記した往復書簡集『罪と死と愛と』に衝撃を受け、在日論を試みた日々、ベトナム戦争の脱走兵・金東希の救援活動、そして、ライフル銃を持って旅館に立てこもり日本人による在日差別を告発した金嬉老との出会いと、8年半におよぶ裁判支援―。本書は、日本人と在日朝鮮人の境界線を、他者への共感を手掛かりに踏み越えようとした記録であり、知られざる60年代像を浮き彫りにした歴史的証言でもある。【目次】プロローグ/第一章 なぜ1960年代か――アルジェリア戦争をめぐって/第二章 李珍宇と小松川事件/第三章 日韓条約とヴェトナム戦争/第四章 金喜老裁判/エピローグ/あとがき

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越境の時 一九六〇年代と在日 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    「失われた時を求めて」を個人で全訳した鈴木道彦が、60年代の自ら深くコミットしていた在日支援の活動をふり返った回想記『越境の時 一九六〇年代と在日』を読みながら、鈴木にそんな過去があることに驚いてしまった。

     しかし、「失われた時を求めて」の語り手の無記名性への言及から、フランスで間近に見たアル

    0
    2011年08月26日

    Posted by ブクログ

    プルーストの『失なわれた時を求めて』の優れた個人全訳で知られる著者が、アルジェリア戦争などを契機として民族問題が噴き出した1960年代に、在日朝鮮人の問題に、ひいてはその問題の淵源である日本という問題に向き合い、李珍宇と金嬉老という二人の朝鮮人の権利回復のために闘った経験を綴った一冊であるが、その経

    0
    2011年01月15日

    Posted by ブクログ

    1960年代は、在日で有名な李珍宇や金嬉老が自分たちの「民族問題」を訴え、世間に知らしめた人たちです。
    この人達の書簡がありますけど、読まなくてもこの本を読めばわかる本です。
    親世代の状況が少しでも知ることができ、オススメであります。

    0
    2010年11月21日

    Posted by ブクログ

    日本人として「在日朝鮮人」という問題と向き合うことの難しさ苦しさについて、これほど誠実に書かれた本を、私はあまり読んだことがない。著者は『失われた時を求めて』の翻訳で知られるフランス文学者。その鈴木氏が在日問題について本を書くのは、一見意外なように思えるが、そう感じてしまうこと自体、いかに現在の知識

    0
    2013年03月25日

    Posted by ブクログ

    [ 内容 ]
    『失われた時を求めて』の個人全訳で名高いフランス文学者は、一九六〇年代から七〇年代にかけて、在日の人権運動に深くコミットしていた。
    二人の日本人女性を殺害した李珍宇が記した往復書簡集『罪と死と愛と』に衝撃を受け、在日論を試みた日々、ベトナム戦争の脱走兵・金東希の救援活動、そして、ライフ

    0
    2014年10月26日

    Posted by ブクログ

    仏文学者の著者がアルジェリア戦争について執筆する中で、植民地問題と、著者がいうところの民族責任について日本人として自分を省み、論文執筆や裁判支援などを通じて関わった事件(小松川事件・金嬉老事件)の経緯を中心にして振り返っている。60年代を生き、政治・メディア・世間の傾向から扱うことが非常に難しかった

    0
    2009年10月07日

    Posted by ブクログ

    鈴木道彦といえばプルーストの「失われた時を求めて」の個人訳で有名な人なので、それと在日差別と

    のたたかいとどう結びつくのか、と思うのだが、これがちゃんとつながるのですね。
    直接にはフランスに留学している頃のアルジェリア人学生との交流に始まり、サルトル(!)あたりの

    アンガージュマンの日本版実践と

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    プルーストの「失われた時を求めて」を完訳した著者が、自身の1960年代を振り返った私記がまとめられた本。小松川事件と金嬉老事件という在日朝鮮人が裁かれた2つの事件を通じて、著者が民族問題にコミットしていった様子が簡潔に書かれている。李鎮宇をジュネにたとえたあたりや、金嬉老の弁護を支援する支援団体を立

    0
    2015年08月14日

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