Posted by ブクログ
2022年03月23日
『アンジェリーナ』、『そして僕は途方に暮れる』、『My Revolution』、BARBEE BOYS、ドリームズ・カム・トルゥーなど、80年代のキラキッラな音楽を生み出してきたEPICソニー。
名曲の分析、レーベルの歴史、プロデューサー小坂洋二、佐野元春インタビューを収録。
冒頭でそれぞれの曲を...続きを読む最初に聴いたときの思い出が書かれているんですが、これよくわかる。最初に聴いたときを覚えているくらいEPICソニーの曲というのは新鮮で衝撃的でした。
私の場合、『そして僕は途方に暮れる』は校内放送。クラスで一番かわいい女の子を捕まえて「これ誰の曲?」とたずねました。特別仲が良かったわけでもないのになぜその子に聞いたのか。彼女なら知ってるはずとなぜか思った。
バービーボーイズは陸上部の後輩でマネージャーの順子ちゃんが「先輩こういうの好きだと思う」ってテープをくれました。最初に聞いたのは『負けるもんか』。
ドリカムは渋地下で短期バイトをしていたときにラジカセから繰り返し流れていた『うれしはずかし朝帰り』。この時もバイト先のかわいい女の子に「誰の曲?」と聞きました。あとからわかったけど彼女がドリカム好きなんでほかのバイトくんが彼女のためにかけていたらしい。
「EPICソニーのアーティストは美男美女」というのはわりと真髄をとらえているのではないかと思います。
私にとってEPICソニーとは「おしゃれな子が聴いているかっこいい音楽」で、そのキラキラ感にあこがれた。
90年代になってキラキラ感がごく普通のものになり、J-POPになっていく過程で失われていってしまうのですが、今聴いてもやっぱり眩しいなあ。
佐野元春がインタビューで素で「キッズたちが」とか言ってるのかっこよすぎ。日常会話でキッズ言って様になるのは彼くらいでしょう。
以下、引用。
シティポップ歌謡
『セーラー服と機関銃』『約束』『ドラマティック・レイン』『初恋』
「シティポップ歌謡」を聴いて思い出すのは、82年の若者たちの見てくれである。ハマトラ、ニュートラ、プレッピー。華やかで明るい色のファッションを堂々と着こなし、ヘアスタイルは、丁寧にブローされたパーマネント
「日本の歴史上、若者が一番小綺麗だった時代」ではないだろうか。
井上大輔メロディ
『街角トワイライト』
『ZIG ZAG セブンティーン』
『め組のひと』
『ボヘミアン』
『2億4千万の瞳』
『気ままにREFLECTION』
「日本2大『あの夏のカーブ』楽曲」
『ガラス越しに消えた夏』
『夏のクラクション』
「EPICソニーの音楽家は美男美女ばかり」
80年代EPICソニーのあの音、あの世界が、時代のデフォルトになってしまった。
MVの存在も大きかったですね。EPIC・ソニーでは、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を見た丸山さんが「これで行く!」と方針を固めた。我々にとっては、テレビ局に頭を下げて歌番組に出なくても、映像表現できるツールを手に入れたということでした。
佐野元春の作品をCCCDでリリースしたいというソニー・ミュージックエンタテインメントと、佐野の間でコンフリクトが起きた。これが、佐野がEPIC・ソニー/SMEを離脱する1つの引き金となった。
当時、僕のところには、たくさんの歌詞や文章やデモテープが送られてくるんですけど、その中に、とてもユニークなエッセイのような文章がありました。書いたのは女性だったのですが、彼女に連絡を取って、何度か会ううちに「歌詞にトライする気はありませんか?」とデモテープを渡しました。この曲がTM NETWORKのファーストアルバムに収録された《金色のライオン》という曲で、歌詞をつけるのはとても難しいだろうと思っていたのですが、1か月後、私の机に、そのデモテープと「私には無理です」と記された置き手紙がありました。その女性が、現在の銀色夏生さんです。
彼(岡村靖幸)は映画好きで『ゆきゆきて、神軍』という映画に興味を持ち、私を質問攻めにするんです。また井上光晴を描いた映画『全身小説家』を、映画館で一緒に観ましたね。
自分の音楽のベースはロックンロール音楽だということ。都市の音楽。スリっ傷だらけの子供たちが歌ってダンスする音楽。とにかく街で生まれて、街で暮らすということは、子供たちにとってはタフなことなんだよね。すでにでき上がったオトナの価値観の中で生きていくということは、そこに抵抗するべきものが、たくさんあるわけなんです。それを反抗的に歌ったり、ロマンティックに歌ったり、シニカルに歌ったりするのが、ロックンロール音楽だと僕は思っている。
スペクター・サウンドの真髄とは何か。僕が思うにそれは都市の音。都会の音。街の音。ニューヨークやロサンゼルスといった街のロマンティシズムが体現されたサウンドです。人々の欲望や喜びが混じり合った混沌とした音がウォール・オブ・サウンドの真髄だと思う。
彼らにとってロック音楽はただのエンターテインメントなんだろうと思う。でもロック音楽は表現であり文化だと思っている人もいる。僕もそうだ。