Posted by ブクログ
2019年03月11日
少子高齢化と人口減少により「地方消滅」が叫ばれて久しい。
そんな中、長野県下條村は、全国の自治体関係者から「奇跡の村」と呼ばれている。
少子化対策に目覚ましい成果をあげてきたからだ。
その秘密はどこにあるのか?
この下條村を中心に、独自の移住促進策で、「消滅論」に抗う各地の山村を取材。
この先の社会...続きを読むに光を点す、希望のルポルタージュ。(2015年刊)
・はじめに
・第一章 奇跡の村「下條村」
・第二章 消滅可能性ナンバーワン?「南牧村」を訪ねて
・第三章 人をつなげる役場職員「旧・藤野町」
・おわりに
全体的に、さほど深い分析があるわけでもなく、ありがちなルポルタージュと言っては失礼だろうか。それでも、手に取ったのは、次の記述が面白かったからである。
下条村の例であるが、公務員が民間で研修(職場体験)するというのは、ある種の流行であるが、村長目線の「外の世界を体験したことで、意識は大きく変わり、やる気になった」という言葉と、職員の「そもそも役場の仕事ではないので、研修で意識改革がされたという感じではありません」という感想の対比が面白かった。
国の補助制度をうまく活用することを、したたかと評価しているが、これは、
地方公務員としては至極当然のことであろう。問題は、自治体によって、主体的計画的に利用している場合と、行き当たりばったりの場合があるということなのだろう。
地方が再生するために必要なことは、
人を得ることが出来るかどうかなのだろう。本書の、下條村は、村長に人を得られ、南牧村は、協議会に人を得られ、藤野町は、役場職員に人を得られた。
創業は易く守成は難しと言われるが、当初と変わらぬ情熱を持って、取り組むことの難しさを感じる。人材を絶えず供給できるのか、継続して取り組むことができるのかは、小さい組織の課題であろう。
読むのにさほど時間はかからないので、全国の中には、このような自治体があるのかと知り、刺激を受けるには、お手軽な本と言える。