小説・文芸 - 新潮社作品一覧

非表示の作品があります

  • 女刑事音道貴子 鎖(上)
    3.9
    1~2巻693~781円 (税込)
    東京都下、武蔵村山市で占い師夫婦と信者が惨殺された。音道貴子は警視庁の星野とコンビを組み、捜査にあたる。ところが、この星野はエリート意識の強い、鼻持ちならぬ刑事で、貴子と常に衝突。とうとう二人は別々で捜査する険悪な事態に。占い師には架空名義で多額の預金をしていた疑いが浮上、貴子は銀行関係者を調べ始めた。が、ある退職者の家で意識を失い、何者かに連れ去られる!
  • 女刑事音道貴子 花散る頃の殺人
    3.3
    『凍える牙』で、読者に熱い共感を与えた女性刑事・音道貴子。彼女を主人公にした初の短編集。貴子自身がゴミ漁りストーカーに狙われて、気味悪い日々を過ごす「あなたの匂い」。ビジネスホテルで無理心中した老夫婦の、つらい過去を辿る表題作など6編。家族や自分の将来に不安を抱きつつも、捜査に追われる貴子の日常が細やかに描かれる。特別付録に「滝沢刑事と著者の架空対談」!
  • 女刑事音道貴子 未練
    3.6
    ふと入ったカレー屋で音道は、男が店主に「こいつは俺の女房を殺した」と怒鳴る場面に遭遇する――男同士の絆が無惨に引き裂かれてゆく様子を描いた表題作。公園の砂場で保育園児が殺害され、その容疑者の素性に慄然とする音道……「聖夜」。監禁・猟奇殺人・幼児虐待など、人々の底知れぬ憎悪が音道を苛立たせる。はたして彼女は立ち直れるのか? 好評の音道シリーズ短編集第二弾!
  • 女刑事音道貴子 嗤う闇
    3.7
    レイプ未遂事件発生。被害女性は通報者の男が犯人だと主張。被疑者は羽場昂一──。レイプ事件の捜査に動いていた音道貴子に無線が飛び込んだ。貴子の恋人、昂一が連続レイプ犯? 被害者は大手新聞社の女性記者。無実の通報者に罪を着せる彼女の目的とは? 都市生活者の心の闇を暴く表題作など、隅田川東署へと異動となった貴子の活躍を描くシリーズ第三弾。傑作短篇四編収録。
  • 女系図でみる日本争乱史(新潮新書)
    3.0
    みんな身内の争いだった――母親が誰かに注目した「女系図」を丹念に読み解けば、日本史のややこしい部分がすべてクリアに見えてくる。なぜ中大兄皇子は長い間天皇に即位しなかったのか、応仁の乱の本当の原因は何だったのか、徳川慶喜はなぜ戦わずして降伏したのか。乙巳の変(大化の改新)、新羅親征、壬申の乱、平将門の乱、関ヶ原合戦、戊辰戦争等、日本の転機となった争乱の見方が一変する一冊。
  • 女社長に乾杯!(上)
    5.0
    経営不振の会社〈尾島産業〉を偽装倒産させた後、すべては何人かの重役たちの思惑通りになるはずだった。ところがその日メインバンクの実力者が指名した新社長は、なんと解雇リストのトップに名前をあげられていた地味で無口なOLの伸子だった。意外な成行きにあわてふためく男たち。こうして、即製キャリア・ウーマン伸子の華麗な毎日が始まったが……。一読笑殺のラブ・ミステリー。

    試し読み

    フォロー
  • 女たち三百人の裏切りの書(新潮文庫)
    -
    後世の人々よ、本ものの宇治十帖を語ろう、語りましょう――。源氏物語が世に広まって百年あまり。改竄され流布した物語を正すため、紫式部が怨霊となって蘇り、宇治十帖のその真の姿を語り出す。やがて発表された物語は、人々の思惑とともに時代を動かし始め、壮大な女たちの裏切り合いに発展していく――。読売文学賞、野間文芸新人賞の二冠に輝いた、嘘と欲望渦巻く、全く新しい源氏物語。(対談・保坂和志)
  • 女であること
    4.0
    女人の理想像に近い弁護士夫人市子や、市子を同性愛のように慕いながら、各自の恋愛に心奥の業火を燃やす若い二人の女性を中心に、女であることのさまざまな行動や心理的葛藤を描いて女の妖しさ、女の哀しさをみごとにとらえた名作。ここには、女が女を知る恐怖、女の気づかぬ女の孤独と自負が、女の命のなまなましさと無常の美とをたたえながら冷酷に照らし出されている。

    試し読み

    フォロー
  • 女という病
    3.5
    ツーショットダイヤルで命を落としたエリート医師の妻、我が子の局部を切断した母親、親友をバラバラにした内気な看護師……。殺した女、殺された女。際限ない欲望、ついに訪れた破滅。彼女たちは焼けるような焦りに憑かれて「本当の私」を追い求め、狂い、堕ちた。女性が主役を演じた13事件の闇に迫る圧倒的ドキュメント! 女の自意識は、それ自体、病である。これは、あなたの物語。
  • 女の一生
    3.9
    修道院で教育を受けた清純な貴族の娘ジャンヌは、幸福と希望に胸を踊らせて結婚生活に入る。しかし彼女の一生は、夫の獣性に踏みにじられ、裏切られ、さらに最愛の息子にまで裏切られる悲惨な苦闘の道のりであった。希望と絶望が交錯し、夢が一つずつ破れてゆく女の一生を描き、暗い孤独感と悲観主義の人生観がにじみ出ているフランス・リアリズム文学の傑作である。
  • 女の一生 一部・キクの場合
    4.2
    1~2巻814~858円 (税込)
    長崎の商家へ奉公に出てきた浦上の農家の娘キク。活発で切れながの眼の美しい少女が想いを寄せた清吉は、信仰を禁じられていた基督教の信者だった……。激動の嵐が吹きあれる幕末から明治の長崎を舞台に、切支丹弾圧の史実にそいながら、信仰のために流刑になった若者にひたむきな想いを寄せる女の短くも清らかな一生を描き、キリスト教と日本の風土とのかかわりを鋭く追求する。

    試し読み

    フォロー
  • 女の勲章(上)
    3.8
    1~2巻737~781円 (税込)
    大阪船場に生まれ若くして両親を失った大庭式子は、三人の若い弟子たちと甲子園に聖和服飾学院の新校舎を建設する。一方、学院に出入りし、さまざまな場面で式子をサポートする八代銀四郎は、東京の名門大学を卒業し、一流会社に就職しながら、一年でサラリーマンに見切りをつけた経歴の持ち主。銀四郎の商才にたけた巧みな手腕で、式子は虚飾のファッション界の階段を昇っていく。
  • 女の警察
    値引きあり
    -
    銀座でクラブやバーを経営する暁興業に勤める篝正秋は、借金を踏み倒して逃げたホステスを、たとえ草の根をわけても探しだしてくることから〈女の警察〉とあだ名されている。彼は友人の死への疑惑から、その行動の跡をたどっていくうちに、意外な事件に遭遇する。夜の歓楽の巷を舞台に、山陽新幹線用地買収にからむ疑獄事件に立向う男の姿を描く、迫真のエロチック・ミステリー。
  • おんなのじかん
    3.8
    だれかの物差しはもういらない。不妊治療も、流産も、ほとばしる推しへの愛も。今こそ、軽やかに臆さずに気の向くまま語ろう。私たちは「自分の言葉」を持っている。最高で最強のみんなたちへ贈る、本音炸裂のご機嫌エッセイ。第1回PEPジャーナリズム大賞オピニオン部門受賞「流産あるあるすごく言いたい」収録。
  • 女信長(新潮文庫)
    3.3
    群雄を次々と打ち破り、覇王となった織田信長。だが“彼”には大いなる秘密があった。女に生れるも、父にその才を見込まれ、嫡男として育てられたのだ。知るのは近親と臣下のごく一部のみ。大胆な人材登用、新たな戦法の採用、楽市楽座、それらは全て女ならではの発想によるものだった。猛将・知将との隠された恋、そして本能寺の真相。驚天動地──新たな戦国絵巻が紐解かれる。(解説・井家上隆幸)
  • 女副署長(新潮文庫)
    3.5
    1~3巻693~737円 (税込)
    地域課警部補の死体が、警察署の敷地内で発見された。胸にはナイフが突き立ち、激しい雨に打たれていた。直後に封鎖された署内に動揺が走る。犯人は庁舎内に隠れているのか。まさか本官なのか。副署長の田添杏美は、所轄署の名誉をかけて犯人を挙げると決意するが……。留置場の異様な出来事、剛腕刑事課長との厳しい対立、解けない謎。元女性白バイ隊員の著者が女性警視の捜査魂を描く傑作。(解説・吉野仁)
  • 女文士
    4.0
    もっと幸せになりたい。もっと認められたい。もっともっと、愛されたい。男を、結婚を、名声を、執拗に求め続けた女、眞杉静枝。最初の結婚からは自ら逃げ出した。愛人・武者小路実篤はついに応えてくれなかった。若い恋人・中村地平は逃げ、夫となった中山義秀も最後には背を向けた。死の間際まで艶聞にまみれたスキャンダラスな女流作家。こんなにも狂おしく哀しい女がいた――。
  • 女面
    -
    栂尾三重子は息子の死後、若くして未亡人となった美しい嫁の泰子と一緒に、京都で暮している。その泰子は、伊吹と三瓶の二人から求愛されているのだが、三重子は、生前の自分の夫の仕打ちに対する深いうらみから、この二人の男に対して、手のこんだ復讐をたくらんだ……。女性のなかにひそむ、すさまじいまでの妄執を、鬼気迫る悪霊現象を通して、女の内面から描き出した傑作。
  • オードリーのオールナイトニッポン トーク傑作選2019-2022―「さよならむつみ荘、そして……」編―
    4.3
    春日の結婚・引っ越し、若林の結婚、父になったオードリー。激動期の傑作トーク38本を収録! 「オウムを飼いたい」「表参道のトイプードルとカバーニャ要塞のビーグル」「大磯のTバック男」「フィールド・オブ・ドリームス」「鮎釣り」「北関東の居酒屋」……。熱烈リスナー5組の豪華スペシャルインタビューも! ※書籍版のモノクロ写真を、電子版ではカラーで収録しています。
  • オーバーストーリー
    4.5
    撃墜されるも東南アジアの聖木に救われた兵士、四世代に亘り栗の木を撮影し続けた一族の末裔、感電死から甦った女子大生……アメリカ最後の手つかずの森に聳える巨木に「召命」された彼らの使命とは。南北戦争前のニューヨークから20世紀後半のアメリカ西海岸の「森林戦争」までを描き切る、今年度ピュリッツァー賞受賞作。
  • オーバーヒート(新潮文庫)
    -
    東京から大阪へ移り住み、京都の大学で教える哲学者の「僕」。男性同士の関係である年下の恋人は、料理の好みが似ていて、僕の文章を楽しそうに読む。その穏やかな距離がもたらす思慕――。行きつけのバー、熱帯魚、故郷の家族と友人たち、折々のツイート。かけがえのない日々を鮮やかに描いて芥川賞候補作となった「オーバーヒート」。川端康成賞を受賞した傑作短編「マジックミラー」を併録。(解説・羽田圭介)
  • オー!ファーザー
    4.1
    父親が四人いる!? 高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件──。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。
  • オープン・シティ
    3.8
    マンハッタンを日ごと彷徨する、若き精神科医。彼が街路で目にした風景は、屈託に満ちたナイジェリアでの幼い日々、ブリュッセルで移民たちに聞いた苦難の物語と共鳴しながら、時代や場所を超えた大きな物語を描き始める――。PEN/ヘミングウェイ賞ほか数々の賞に輝き「ゼーバルトの再来」と讃えられたデビュー長篇。
  • 賢者の贈りもの―O・ヘンリー傑作選I―
    3.9
    1~3巻539~572円 (税込)
    デラはおんぼろカウチに身を投げて泣いていた。明日はクリスマスというのに手元にはわずか1ドル87セント。これでは愛する夫ジムに何の贈りものもできない。デラは苦肉の策を思いつき実行するが、ジムもまた、妻のために一大決心をしていた――。若い夫婦のすれ違いが招いた奇跡を描く表題作ほか、ユーモラスな「赤い酋長の身代金」「千ドル」など、選り抜きの傑作を集めた新訳版。
  • 母さんの「あおいくま」
    4.5
    芸人コロッケの、母から教えられた心の持ち方「あおいくま」。どんな時もコロッケが忘れないで心がけてきた、あせるな・おこるな・いばるな・くさるな・まけるな。貧しくても笑いが絶えない、母と姉との思い出の日々やものまねに目覚めていく10代、上京の葛藤と下積み。ものまね四天王として人気を博してからのことが素直に綴られる。大人も子どもも大切にしたい、こころの一冊。
  • 海峡の鎮魂歌
    3.7
    昭和9年春、函館の潜水夫・泊(とまり)敬介は、時化(しけ)る海と吹き荒れる風に妙な胸騒ぎを感じていた。予感は的中し、猛火が街を襲う。妻子と母を探し歩く敬介だったが。さらに昭和20年の空襲、昭和29年の洞爺丸沈没。立ち直ろうともがく敬介に、運命は非情な仕打ちを繰り返す……。仙台在住の著者が震災から半年後、悩み迷いながら筆をとった、再生と希望の長編小説。『烈風のレクイエム』改題。
  • 介護殺人―追いつめられた家族の告白―(新潮文庫)
    4.0
    全国の要介護認定者数656万人。「夫婦だから」「親子だから当然」と始めた家庭での介護が長期化し、困難を極め、やがて悲劇が起こる。――今、全国で続出する介護を苦にした殺人事件。なぜ最愛の母親を手にかけてしまったのか。家族の絆がなぜ悪夢に変わったのか、当事者の悲痛な叫びに耳を傾けた記者たちが目の当たりにしたのは、在宅介護の切なすぎる現実だった。慟哭と衝撃の最前線ドキュメント。(解説・重松清)
  • 海市
    4.3
    妻のある画家・渋太吉は、旅先の伊豆南端の海村で蜃気楼のように現われた若い女性を愛しはじめる。渋はかつて一緒に死ぬ約束をした女性を裏切り、現在の妻とは離婚寸前の状況にある。やがて伊豆で逢った女性は親友の妻・安見子であることが判明するが、渋の安見子への思慕はやみがたく肉体関係を続ける。恋愛のいくつかの相を捉えて、頽廃と絶望の時代における愛の運命を追求する。
  • 会社はいつ道を踏み外すのか―経済事件10の深層―
    4.0
    東芝、オリンパス、NHK、第一勧業銀行、山一證券……なぜ彼らは道を踏み外したのか。いかにして法の網の目をくぐろうとしたのか。長年、社会部の経済事件担当記者として企業の不正を追及してきた著者が、独自取材をふんだんに盛り込み、事件の裏の裏まですべて明かす。バイセル取引、のれん代、にぎり、飛ばし等々、複雑な経済用語も徹底解説。あなたの会社は大丈夫? 全ての組織人必読の経済事件講座、開講!
  • 回想 太宰治
    5.0
    若き旧制高校生の頃に太宰治を知った青年は、戦後一人の編集者として太宰と再会する。時代の脚光を浴び、破滅的な生活のただ中で生き急ぐように旺盛な創作活動を続けた末に、玉川上水への入水へと収斂してゆく晩年の太宰。その姿を柔らかな愛情と畏敬に満ちた目差しで見つめ続けた著者が、懐しい人を、懐しい日々を、数々のエピソードと共に生々しく甦らせる、〈わが青春の太宰治〉。
  • 怪虫ざんまい―昆虫学者は今日も挙動不審―
    4.3
    1巻1,650円 (税込)
    凄絶ホラーな寄生虫、ミズスマシだけにつく幻のカビ、地球史を語る透明な甲虫、冬に碧く輝く超希少ゴミムシ、井戸の底に潜む新種らしきプラナリア……。たとえヤツらが1ミリたりとも人類の役に立たなくても、異常な執念で徹底的に追いかけるのだ。「裏山の奇人」の異名をとるコマツ博士の、暴走する「昆虫愛」エッセイ。
  • 海底二万里(上)
    3.8
    ときは1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた! 異形の〈怪物〉の目撃譚に人々はおののき噂した。白鯨か? 伝説の怪異か? はたまた超自然現象か? 議論が沸騰するなか、アロナクス教授はその正体を暴くため、使用人のコンセイユとともに高速フリゲート艦に乗り込む。それが、驚くべき旅の始まりになるとも知らずに──。少年から大人までをも魅了する海洋冒険ロマンの傑作、新訳。
  • 海底二万里(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    ときは1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた! 異形の〈怪物〉の目撃譚に人々はおののき噂した。白鯨か? 伝説の怪異か? はたまた超自然現象か? 議論が沸騰するなか、アロナクス教授はその正体を暴くため、使用人のコンセイユとともに高速フリゲート艦に乗り込む。それが、驚くべき旅の始まりになるとも知らずに──。少年から大人までをも魅了する海洋冒険ロマンの傑作、新訳。 ※当電子版は新潮文庫版『海底二万里』上下巻をまとめた合本版です。
  • 怪物
    3.7
    1巻2,860円 (税込)
    乗機B-17を撃墜され、毛沢東治世下の敵国に落下した、台湾空軍スパイ。彼は飢餓の大陸から奇跡の帰還を果たす。そう、これは私の血族の話だ。中国、台北、東京。幾つもの煉獄を遍歴する男と彼をモデルに小説を書く作家――二人の男の運命が交じりあう。恋そして冒険。東山彰良の黄金期を告げる圧倒的長篇。
  • 怪物がめざめる夜
    4.3
    〈ミスターJ〉は、放送作家の私が仲間と創りあげた架空のコラムニスト。この正体不明の男が評判を呼んだとき、私は実在の男にその役割を振りあてた。彼がこれほどの〈怪物〉に育つとは思いもよらずに。深夜放送で若者の苛立ちや鬱屈を代弁してカルト的人気をえた彼は、毒舌で大衆を扇動しつつ、攻撃の矛先を意外な方向にむけ始める……。情報化社会にひそむ恐怖を描く現代の都市伝説。
  • 帰りたくない―少女沖縄連れ去り事件―(新潮文庫)
    4.1
    家には帰りたくない──47歳の男に連れ回され、沖縄で保護された10歳の少女はそう言った。親子のように振る舞い、時に少女が主導権を握っているかのように見えた二人の間に、一体何があったのか。取材を重ねるにつれ、少女の奔放な言動、男が抱える欺瞞、そして歪んだ真相が明らかになる。孤独に怯え、欲望に翻弄される人間の姿を浮き彫りにするノンフィクション。『誘拐逃避行―少女沖縄「連れ去り」事件―』改題。
  • 還れぬ家
    4.0
    十代で捨てた家だった。姉も兄も寄りつかない家だった。老父は心臓病を患い、認知症が進む。老母は介護に疲弊していた。作家は妻とともに親を支えることになった。総合病院への入院も介護施設への入所も拒む父、世間体と因襲に縛られる母。父の死後、押し寄せた未曾有の震災。――作家は紡ぐ、ただ誠実に命の輪郭を紡ぎ出す。佐伯文学の結実を示す感動の傑作長編。毎日芸術賞受賞。
  • 顔

    -
    1巻1,320円 (税込)
    有名な仏教学者・田能村清州の息子・耕は、親戚の娘・衿子と秘かに好意をいだき合っていたのだが、耕がアメリカ出張から帰ると、あろうことか彼女は父と結ばれていた。絶望した彼は、愛情のない結婚をし、私生活は乱れた。ところが、清州の急死から、もう一度、衿子との接触が始まって……。愛欲のもつれのなかに、罪悪意識を追究して、著者ならではの心理描写が冴えわたる作品。
  • 呵呵大将―我が友、三島由紀夫―
    3.0
    1960年代初頭の夜の新宿で、後に舞台演出家となる少年は、好奇心肥大の流行作家と出会い、たちまち意気投合。冗談を飛ばし合い、愉快なイタズラを企んでは二人で大笑い。やがて作家は、少年をモデルに一篇の小説を構想する……。純粋で暖かくて権力大嫌いの大常識人、すこぶる人間的な「三島さん」の姿を初めて活写する。
  • 科学者とは何か(新潮選書)
    3.8
    19世紀にキリスト教の自然観の枠組から離れて誕生した、科学者という職能。危険な一面を持つ、閉ざされた研究集団の歴史と現実、その行動規範とは? 核兵器の開発、遺伝子組み替えの技術、環境問題――科学者は研究に伴う責任をどう考えるのか。自然と人間の相互作用を読みこむ新たな科学観が問われる、転換期の科学者像を探る。
  • 「科学的」は武器になる―世界を生き抜くための思考法―(新潮文庫)
    -
    福島原発事故直後からインターネット上の情報発信によって注目され、放射線調査にも大きな役割を果たした科学者が、サイエンスマインドの大切さを語る。エビデンスのある発信のパイオニアは、いかにして静かな研究室を飛び出し、世界を疾走し、科学を社会のために活用してきたのか。フェイクの飛び交う不確実性の時代に「ぶれない軸」を持って正しい判断をするための強力な羅針盤となる一冊。
  • 鏡川(新潮文庫)
    5.0
    私の胸中にはいくつかの川が流れている。幼き日に見た真間川、蕪村の愛した淀川、そして母の実家の前を流れる鏡川だ――。明治維新から大正、昭和初期までを逞しくも慎ましく生きた、自らの祖先。故郷・高知に息づいた人々の暮らしを追憶の筆致で描く。脱藩した母方血族、親族間の確執と恋慕、母が語ったある漢詩人の漂泊……。近代という奔流を、幼き日の情景に重ね合わせた抒情溢れる物語。
  • 鏡じかけの夢(新潮文庫)
    4.0
    その鏡は、磨く者の願いを叶えるという。会いたい、羨ましい、妬ましい、もっと欲しい、憎い……。願えば願うほど、心に秘めた黒い欲望は醜く膨れ上がり、全てを呑み込む。看護婦の羨望。鏡研ぎ師の嫉妬。踊り子と富豪の禁忌の愛。戦争孤児と奇術師の絆。ヴェネツィアの双子姉妹の過ち――。鏡に魅入られた人々が陥る、束の間の甘美な愉悦と残酷な結末を描いた、五つの物語。(解説・飯豊まりえ)
  • かがやき荘西荻探偵局(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻737円 (税込)
    西荻窪のシェアハウスで暮らす、葵、美緒、礼菜。お金も色気もないアラサー女子三人組が、探偵やるなら滞納家賃は相殺という話に飛びついた。杉並大豪邸の事件、深夜に回る洗濯機の怪、週末だけの秘密ミッション、「西荻向上委員会」からきた紳士……。謎解きは時々ぐだぐだ酒宴と化すけれど、あれ? 解決のヒントが! ゆるめな推理が心地よいミステリー。『かがやき荘アラサー探偵局』改題。(解説・香山二三郎)
  • かがやく月の宮
    3.5
    1巻1,408円 (税込)
    かの有名な竹から産まれたという逸話も、五人の公達の尋常ならざる貢物も、すべて竹取翁の仕掛けた罠だった――? 翁の術中にはまった帝は禁裏を抜け出し、竹取館へ向かう。愛しのかぐや姫と邂逅を果たした帝は、しかし、病に伏してしまった。天照大御神の末裔は一体、何を見たのか。姫が昇天する夜、月が真実を照らし出す。
  • 輝ける碧き空の下で 第一部(上)
    -
    1~4巻517~572円 (税込)
    明治四十一年、第一回ブラジル移民七百九十一名を乗せ笠戸丸がサントスに入港した。夢と希望に満ちた彼らを待ち受けていたのは、苛酷な自然と厳しい労働だった――。大農場で農奴にひとしい生活を送る井原・山口家の人々。色々な職業を転々とする香山六郎。農場主に支配されない日本人入植地を夢みる平野運平。紺碧の空の下、苦闘する初期移民の姿を描いた構想十余年の大作第一部。
  • 河岸に立ちて―歴史の川 沙漠の川―
    -
    川は人間を育み、人間は川の恵みによって文明を築いた。川の畔りに立つと、往古の人々の姿が鮮やかによみがえる。――悠然と横たわる黄河や揚子江。沙漠の砂の中に消えていく西域の川。セーヌやラインなど伝統を背負ったヨーロッパの川。……著者が旅の中で出会い、心を奪われた〈歴史の川〉〈沙漠の川〉の魅力を余すところなく伝える。自ら撮影したカラー写真45枚を添付。
  • 書き出し小説
    4.2
    1巻968円 (税込)
    「モンスターペアレントは森の人気者だ」「『ねんど』だ! 高校以来だから十年ぶりか。ものすごくいい女になってる。ああ、本名が思い出せない」――たった数行、冒頭だけの物語が面白い!! 続きは読み手のイマジネーション次第の、自由で新しい文学が登場。全国から集まった精鋭たちの作品から、『味写道』などで人気の鬼才・天久聖一氏が厳選。
  • かきつばた・無心状
    -
    著者は知人の家で池の中にかきつばたの狂い咲きを見た。が、見たものはそれだけではなかった。水面には女の死体が浮いていたのだ―終戦時の混乱を描いて鬼気迫る「かきつばた」。早稲田の貧乏学生の著者は田舎の兄に送るつもりだった無心状を、あろうことかレポートと取り違えて敬愛する師・吉田絃二郎に提出してしまった―ほのぼのと心なごむ青春回想記「無心状」。名品全15編。
  • 鍵のかかる棺(上)
    値引きあり
    -
    1~2巻462~660円 (税込)
    客数四千人・従業員三千人――あらゆる欲望を秘めて呼吸する、鉄と石の超高層の棺、東京ロイヤルホテル。利益追求の巨大な機構の陰で、次々と発生する殺人事件は、想像もつかないほどの国際的な奥深さをもって展開してゆく……。この錯綜した現代社会を象徴するかのように屹立するホテルを舞台に、著者自身のホテルマン生活十年の体験のすべてをそそぎ込んだ、力作長編推理小説。
  • 鍵・瘋癲老人日記
    4.0
    56歳になる大学教授の夫は体力も性的な欲求もめっきり衰えているが、観念的な欲求は旺盛である。そこで、45歳の妻を奔放な女にして、性の享楽を得たいとの願望を日記に書き、それを入れた引き出しの鍵をわざと落し、妻に読ませる。妻も日記に夫の期待に添う気持のあることを書く。ひそかに見られることを願って綴った互いの日記という形をとった『鍵』の他『瘋癲老人日記』を収録。

    試し読み

    フォロー
  • 隠された刻―Hidden Times―
    値引きあり
    4.0
    1巻1,108円 (税込)
    南太平洋の王国イリアキに残る謎の砂絵「金の汗」。世界の行く末を告げるというその伝説が解明された時、かつて跋扈した日本人の欲望と情念が甦る。明治末期に移民として辿り着いた鉱夫。戦時中に軍の機密を帯びて訪れた特攻隊兵士。彼らは、この地に何を封印したのか? 三つの時代を往還しながら、物語の陶酔に誘う南洋小説の傑作!
  • 格闘(新潮文庫)
    -
    孤高の柔道家、羽良勝利(ハラショウ)を取材して、ノンフィクションを執筆しようとした小説家の「私」。だが、いくら踏み込んで話を聞こうとしても、巧みにかわされハラショウの核心にはたどり着けない。かつて住んでいた街や友人を訪ね、あの手この手で立ち向かっていくうち、しだいに私の心は――。二人の焦れったい心の攻防が、各章冒頭の柔道技と重ねられて表現されていく傑作恋愛小説。(解説・小池真理子)
  • 核兵器について、本音で話そう(新潮新書)
    4.0
    日本は、中国、北朝鮮、ロシアなど猛烈に核能力を向上させている国に取り巻かれており、数千発もの核兵器の射程内にある。「唯一の被爆国の悲願」としての核廃絶は正しいが、本当にそれを望むならば、東アジアの現状を踏まえた、ありうべき国家戦略を日本自身が構想しなければならない。内閣、自衛隊、メディアなどで核政策に深くコミットしてきた4人の専門家が、「タブーなき核論議」を展開する。
  • 革命か反抗か―カミュ=サルトル論争―(新潮文庫)
    4.4
    歴史を絶対視するマルクス主義を批判し、暴力革命を否定し、人間性を侵すすべてのものに“ノン”と言い続けることを説いたカミュ。彼の長編評論『反抗的人間』の発表をきっかけにして起きたサルトルとの激しい論争を全文収録。カミュ、サルトル二人の思想の相違点を知るとともに、現代における人間の尊厳、自由について考えさせる必読の書。ほかにF・ジャンソンの二論文を収める。
  • 隔離島―フェーズ0―
    値引きあり
    3.8
    1巻515円 (税込)
    若き医師・一ノ瀬希世は、伊豆諸島の小さな島の診療所に赴任してきた。人口四百人弱の同地には、健康増進運動が浸透している。住民たちは皆いきいきと暮らしており、長患いする者もいないという。だが、その運動に関心を抱いていた旧友の女性新聞記者が突然失踪。希世は不審な死や陰鬱な事件に次第に包囲されてゆく。この島で、一体何が起きているのか――。戦慄の医療サスペンス。
  • かくれさと苦界行
    4.3
    徳川家康より与えられた「神君御免状」をめぐる裏柳生との争いに勝ち、松永誠一郎は色里・吉原の惣名主となった。だが、一度は敗れながら、なお執拗に御免状を狙う裏柳生の総帥・柳生義仙の邪剣が再び誠一郎に迫る。加えて吉原を潰すべく岡場所が各所に乱立し、さらに柳生の守護神・荒木又右衛門も江戸に現れた。ついに吉原と裏柳生全面対決の時が――。圧倒的迫力で描く時代長編。

    試し読み

    フォロー
  • 駆けこみ交番
    3.6
    新米巡査の高木聖大は、世田谷区等々力の交番に赴任した。大事件などない閑静な住宅街で、不眠症のおばあさん神谷文恵の夜の話し相手が聖大の目下の役割だった。ところが、ひょんなことから、聖大は指名手配中の殺人犯を逮捕するという大手柄を挙げた。以降、文恵の態度が微かに変化する。文恵を含む七人の老人グループが聖大に近づいてきた……。人気沸騰中、聖大もの四編を収録。
  • かけらのかたち(新潮文庫)
    4.7
    1巻605円 (税込)
    年上の夫の友人を自宅へ招いた日、マドンナ気取りの女・優子が現れた。我が物顔で台所を使い、男たちに甘え、その上夫の前妻の話をし始めて……(「マドンナとガガ」)。女4人でランチ会。同じ大学だった優子の噂や、家庭の経済力、子供自慢と、持てる“球”をラリーする(「アドバンテージ フォー」)。人と比べて嫉妬に悶え、見失う自分の幸せの形。SNSに書けない本音を暴く、痛快な連作短編集。(解説・深爪)
  • 蔭桔梗
    3.9
    紋章上絵師の章次のもとに、かつて心を寄せあっていた女性から、二十年前と同じ蔭桔梗の紋入れの依頼があった。あの時は事情があって下職に回してしまったのだが、それは彼女が密かな願いをかけて託した紋入れだった……。微妙な愛のすれ違いを描き直木賞受賞作となった表題作はじめ、下町の職人世界と大人の男女の機微を、しっとりと描いた十一編の物語を収録する、珠玉の短編集。
  • 影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)
    3.4
    なぜ父と母は別れたのか。なぜあのとき、自分は母と一緒に住むと勇気を持って言えなかったのか。理由は何であれ、私が母を見捨てた事実には変わりはない――。完成しながらも手元に遺され、2020年に発見された表題作「影に対して」。破戒した神父と、人々に踏まれながらも、その足の下から人間をみつめている踏絵の基督を重ねる「影法師」など遠藤文学の鍵となる「母」を描いた傑作六編を収録。(解説・浅井まかて)
  • 影の地帯
    3.6
    1巻1,034円 (税込)
    飛行機の中から富士山を写したばかりに、思いもかけぬ事件に巻込まれたカメラマンの田代は、撮影旅行先の木崎湖や青木湖で不気味な水音を聞き、不審な波紋を目撃する。行く先々に現れる小太りの男と謎の木箱を追う田代の周辺で、次々に起る殺人事件は、保守党の有力幹部失踪事件と関連を持ち始め、偶然と必然の織りなす経過のうちに、醜悪で巨大なその全貌を現わし始める……。

    試し読み

    フォロー
  • 影の中の影(新潮文庫)
    4.3
    血も凍る暴虐に見舞われた故郷から秘密を抱えて脱出したウィグル人亡命団と、彼らを取材中のジャーナリスト仁科曜子が、白昼の東京で襲撃された。中国による亡命団抹殺の謀略だ。しかし警察は一切動かない。絶体絶命の状況下、謎の男が救いの手を差しのべる。怜悧な頭脳と最強の格闘技術をそなえた彼の名は、景村瞬一。冒険小説の荒ぶる魂がいま甦る。疾風怒濤のノンストップ・アクション。
  • 影媛
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    物部家の巫・影媛は、神の声を聴くため翠鳥となって森を飛び回るうち、鹿狩りに熱狂する平群家の臣・志毘に出会い、恋に落ちる。しかし両家は対立する間柄、そして彼女はすでに皇太子に求婚されている身だった。特異な想像力と類まれな言語能力で描き切った、鮮烈な愛の物語。新潮新人賞最年少受賞の新鋭による待望の第二作。
  • 影法師
    5.0
    聖職者でありながら、神の教えに背いて結婚し、教会を去っていくカトリック神父の内面の孤独と寂寥を抉る『影法師』、秀吉の朝鮮出兵で日本に伴われ、変転する運命に翻弄される朝鮮娘のキリスト教との出会いを描く『ユリアとよぶ女』、強固なキリスト教信者であった母の烈しい生き方を、幼い“私”の眼でとらえた『六日間の旅行』など、人間と信仰に対する深い洞察にみちた作品集。

    試し読み

    フォロー
  • 影武者徳川家康(上)
    4.5
    慶長五年関ヶ原。家康は島左近配下の武田忍びに暗殺された! 家康の死が洩れると士気に影響する。このいくさに敗れては徳川家による天下統一もない。徳川陣営は苦肉の策として、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てた。しかし、この影武者、只者ではなかった。かつて一向一揆で信長を射った「いくさ人」であり、十年の影武者生活で家康の兵法や思考法まで身につけていたのだ……。

    試し読み

    フォロー
  • かげろう絵図(上)
    -
    江戸城花見の宴で催された歌くらべで、前将軍家斉の寵愛する中臈(ちゅうろう)多喜の方は、大奥の実力者お美代の方に勝つ。が、その直後、歌の短冊を桜の小枝に結ぼうとした多喜の方は、踏台から転倒し、流産して死んでしまう。お美代の方の養父中野石翁は、すでに隠居した身でありながら、絶対権力を握る大御所家斉の信寵を得ているのであった……。江戸城大奥と絡む陰湿な政治闘争が展開する。

    試し読み

    フォロー
  • カゲロボ(新潮文庫)
    3.4
    1巻649円 (税込)
    人間そっくりのロボット「カゲロボ」が学校や会社、家庭に入り込み、いじめや虐待を監視している――そんな都市伝説に沸く教室で、カゲロボと噂される女子がいた。彼女に話しかけた冬は、ある秘密を打ち明けられ……(「はだ」)。何者でもない自分の人生を、誰かが見守ってくれているのだとしたら。共に怒ってくれるとしたら。押し潰されそうな心に、刺さって抜けない感動が寄り添う、連作短編集。
  • 籠の鸚鵡(新潮文庫)
    3.7
    1巻693円 (税込)
    詐欺事件を種に不動産屋を強請(ゆす)り、長崎から流れつきバーBergmanのママをつとめる蠱惑的な妻カヨ子を奪いとった地廻りのヤクザ、春駒組若頭の峯尾。彼はさらにカヨ子を使って町役場出納室長の梶に公金横領を唆(そそのか)す。折しも山一抗争の拡大で全国で血みどろの戦いが展開する中、峯尾に組長暗殺のヒットマンという大役が命ぜられる。バブル期の紀州を舞台にエロスと欲望が突き抜ける犯罪巨編!(解説・溝口敦)
  • 家裁調査官・庵原かのん
    3.9
    1~2巻1,980~2,035円 (税込)
    家裁調査官は「臨床の専門家」として生身の人間を扱い、罪を犯した者たちと向き合うのが職務。少年係調査官として働くかのんは家庭や学校、友人との問題等で荒んだ少年少女たちの声なき声に今日も耳を傾ける。更生の可能性を信じて――。ひたむきな女性調査官が奔走する姿を描く連作短編シリーズ誕生!
  • 風花病棟
    4.0
    乳癌と闘いながら、懸命に仕事を続ける、泣き虫先生(「雨に濡れて」)。診療所を守っていた父を亡くし、寂れゆく故郷を久々に訪れた勤務医(「百日紅」)。三十年間地域で頼りにされてきたクリニックを、今まさに閉じようとしている、老ドクター(「終診」)。医師は患者から病気について学ぶのではなく、生き方を学ぶのだ――。生命の尊厳と日夜対峙する、十人の良医たちのストーリー。
  • 火山のふもとで
    4.4
    1巻1,672円 (税込)
    「夏の家」では、先生がいちばんの早起きだった――。物語は1982年夏、10年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘ではじまる。国立現代図書館設計コンペの闘いと若き建築家のひそやかな恋を、この家とこの土地に流れた幾層もの時間が包みこむ。朝日、毎日、読売、東京、共同ほか各紙文芸時評で話題沸騰! 胸の奥底を静かに深く震わせる、鮮烈なデビュー長篇。

    試し読み

    フォロー
  • カシスの舞い
    値引きあり
    3.4
    分裂病と覚醒剤中毒の治療・研究に成果を上げている、南仏マルセイユの大学病院解剖実習室で、首なし死体が発見された! だが、被害者とおぼしき元患者のカルテは消えている。疑惑を抱き、調査を始めた日本人精神科医・水野の周囲で次々に起こる、不可解な事件。暗号名〈カシスの舞い〉の意味するものは。そして、脳研究所で行なわれている実験とは――。戦慄の医学ミステリー。
  • 夏日狂想
    3.8
    1巻1,980円 (税込)
    女は、男たちのように芸術に関わってはいけないのだろうか、芸術を生み出すこともできないのだろうか? 大正から戦後の昭和にかけて、詩人、作家、評論家……さまざまな文学者たちとの激しい恋の果てに、互いに傷つけ合いつつも礼子がついに掴んだものは――。時代に抗いながら創造する女を描き出した新たな代表作の誕生!
  • 家事のニホヘト
    3.8
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 やってもやっても終わりがなく、あんまり褒めてももらえない。そんな家の中のお仕事も、ちょっとした工夫や心がけで、ずいぶん違ってくるものです。地に足のついた暮らしで人気のスタイリストが、自宅で実際に行っている家事をご紹介。日々の生活をバージョンアップさせる十四の鍵がぎゅっと詰まった写真エッセイ。
  • 花杖記
    4.3
    何者かによって父を殿中で殺され、家禄削減を申し渡された加乗与四郎が、事件の真相をあばくまでの記録『花杖記』。どんな場合も二の矢を用意せず、また果し合いにもあえて弱い弓を持ってのぞむ弓の達人の物語『備前名弓伝』。ほかに『武道無門』『御馬印拝借』『小指』『似而非物語』など、武家社会の掟の中で生きる武士たちの姿に、永遠に変らぬ人間の真実をさぐった作品10編を収録。

    試し読み

    フォロー
  • 過剰反応な人たち(新潮新書)
    3.0
    人間とはいかに愚かで、「自分だけが正しくて他人は全員無能」と考えているか――。本書は、コロナを含めて折々の社会の空気感を取り上げ、それにまどわされる過剰反応な人たちがどれほど多いのかについて克明に綴った記録だ。著者はコロナ騒動が始まってからの3年余を、「壮大なるパニック実験」だったと振り返る。では、過剰反応な人たちの見本市へようこそ。
  • カストロの尻
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    「小説家の「幸福」」をめぐる考察、デイジーの刺繍をしたブラウス、岡上淑子によるフォト・コラージュ作品、謎めいた宿命の女、胡同(フートン)に咲き乱れるジャスミンの香り、金粉ショーのダンサーとの狂乱の恋、そして「塊」と「魂」。無数の映像や小説、夢や記憶の断片が繊細に絡み合い紡がれ、ここに前代未聞の物語が誕生した!
  • カズサビーチ(新潮文庫)
    4.8
    1845年3月、クーパー船長率いる米国捕鯨船は日本海を目指す途中、無人島に漂着していた日本人11名、翌日にも沈没しかかった日本船の乗組員11名、計22名を救助した。22名分の水と食料の消費は激しく、送りとどけるにも日本は鎖国中で、沿岸部に近づけば被弾する恐れもある。船長の決断は早かった……。ペリー浦賀来航の8年前にあった日米交流の史実を題材に、船乗りたちの交誼を描く圧倒的感動巨編。(解説・縄田一男)
  • 化石の森
    -
    現代という“化石の森”をさすらう主人公は、予期せざる危機に追い込まれる。ショッキングな結末が、そこにこめられている寓意の恐ろしさが、いっそう深い衝撃性をもって読者の胸に伝わってくる。劇薬《メディアチオン》による完全殺人、母親に対する嫌悪、荒廃した性愛、関わりのない他人への自己破滅的な献身。救い難い矛盾に引き裂かれた医学生・緋本治夫の戦慄の行動を通して、現代人の内部に暗く鬱積した怒りを白日のもとにさらし、他者とは何か、人間の存在とは何かを追求した、渾身の書下ろし長編。芸術選奨文部大臣賞。
  • 風立ちぬ・美しい村
    3.9
    1巻440円 (税込)
    風のように去ってゆく時の流れの裡に、人間の実体を捉えた「風立ちぬ」は、生きることよりは死ぬことの意味を問い、同時に死を越えて生きることの意味をも問うている。バッハの遁走曲(フ-ガ)に思いついたという「美しい村」は、軽井沢でひとり暮しをしながら物語を構想中の若い小説家の見聞と、彼が出会った少女の面影を、音楽的に構成した傑作。ともに、堀辰雄の中期を代表する作品である。

    試し読み

    フォロー
  • 風と共に去りぬ 第1巻 無料試し読みブックレット
    無料あり
    4.5
    アメリカ南部の大農園〈タラ〉の愛娘スカーレット・オハラは16歳。輝くような若さと美しさを満喫し、激しい気性だが言い寄る男には事欠かなかった。しかし、想いを寄せるアシュリがメラニーと結婚すると聞いて自棄になり、別の男と結婚したのも束の間、南北戦争が勃発。スカーレットの怒濤の人生が幕を開ける――。小説・映画で世界を席巻した永遠のベストセラーが新訳で蘇る! 文庫版刊行を記念して、試し読み増量版を先行配信!※当コンテンツは新潮文庫Star Classics名作新訳コレクョン『風と共に去りぬ 第1巻』の第2章まで(文庫版88頁まで)お読みいただけます。
  • 風の男 白洲次郎
    4.0
    日本国憲法誕生の現場に立会い、あの占領軍司令部相手に一歩も退かなかった男。常に活眼を世界に注ぎつつ、わが道を行く天衣無縫の気概。物事の筋を通し、自説を枉げぬ強靱さ。と同時に、内に秘めた優しさ、しなやかさ、ユーモア。端正な面立ち、洒落た身なり、寸鉄の片言……。正子夫人をはじめ、この男に魅せられた人々の「証言」から蘇える「昭和史を駆けぬけた巨人」の人間像。 ※新潮文庫に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • 風のかたみ
    3.0
    叔母の面影を秘めた萩姫を慕い大伴次郎信親は、信濃の国をあとにして京へ上る。不動丸を頭とする盗賊集団が暴れ廻り荒廃の極みに達している都では、次郎が思い焦がれる萩姫は左大臣の子・安麻呂に惹かれている。一方、笛の名人でもある次郎は笛師の娘・楓に愛される。綾なす恋は、いずれも実ることなく、秋風吹きすさぶ野の果てに消えていく。今昔物語に取材した王朝ロマン小説。
  • 風は山河より(一)
    3.6
    戦国前夜の奥三河。瞬く間に西三河を支配した松平清康の驍名を聞いた野田城城主・菅沼新八郎定則は、帰属していた今川家を離れる決心をする。清康が卓越した戦術と情義の心で勢力を広げる中、新八郎は戦での働きが認められはじめる。一方、綾という女との出会いから、川原で拾った童子・四郎の出自とその周囲の陰謀が明らかになっていく。知られざる英傑たちの活躍を描く歴史巨編。
  • 風屋敷の告白
    値引きあり
    3.0
    定年退職して暇をもてあまし、素人のくせに事務所を立ち上げた還暦探偵コンビ、憲幸と勉。最初のお客である美しい人妻の依頼で、空き家となった洋館の持ち主を捜し始めた二人は、なんとそこで白骨死体を発見してしまう。いったい殺されていたのは誰なのか。そして屋敷に隠された秘密とは――。危なっかしくも果敢なオヤジ探偵の大奮闘。めくるめく展開が待ち受ける長編ミステリー。
  • 仮想儀礼(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    1巻1,804円 (税込)
    ゲーム作家に憧れて職を失なった正彦は、桐生慧海と名乗って、同じく失業者の矢口と共に金儲け目当ての教団「聖泉真法会」を創設する。悩める女たちの避難場所に過ぎなかった集まりは、インターネットを背景に勢力を拡大するが、営利や売名目的の人間たちの介入によって、巨額の金銭授受、仏像や不動産をめぐる詐欺、信者の暴力事件、そして殺人など続発するトラブルに翻弄される。 ※当電子版は新潮文庫版『仮想儀礼』上下巻をまとめた合本版です。
  • 仮想儀礼(上)(新潮文庫)
    完結
    3.8
    全2巻869~935円 (税込)
    ゲーム作家に憧れて職を失なった正彦は、桐生慧海と名乗って、同じく失業者の矢口と共に金儲け目当ての教団「聖泉真法会」を創設する。悩める女たちの避難場所に過ぎなかった集まりは、インターネットを背景に勢力を拡大するが、営利や売名目的の人間たちの介入によって、巨額の金銭授受、仏像や不動産をめぐる詐欺、信者の暴力事件、そして殺人など続発するトラブルに翻弄される。
  • 仮装集団
    3.8
    1巻1,034円 (税込)
    すぐれた企画力で大阪勤音(勤労者音楽同盟)を牛耳っているニヒルな敏腕家流郷正之は、勤音内部の政治的な傾斜を感じている。勤音組織は人民党とつながっているのではないだろうか? 党との関係を探るため、流郷は美貌の経理責任者江藤斎子と情事を重ねた。だが、すべてを知った時、流郷は……。政治の手で操られる集団の無気味なエネルギーを綿密な調査と豊かな筆力で描く長編。
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)
    完結
    3.8
    全5巻572~781円 (税込)
    高校教師・巣藤浚介は、恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。馬見原光毅刑事は、ある母子との旅の終わりに、心の疼きを抱いた。児童心理に携わる氷崎游子は、虐待される女児に胸を痛めていた。女子高生による傷害事件が運命の出会いを生み、悲劇の奥底につづく長き階段が姿を現す。山本賞受賞作の構想をもとに、歳月をかけて書き下ろされた入魂の巨編が、いま幕を開ける。
  • 家族趣味
    3.7
    人生は楽しく、充実していなければ。そこそこ出世した旦那に、健康な息子。私の仕事も順調だ。そして、恋も……。次々に年下の男性との不倫関係を重ねてゆく奔放な主人公を待ち構えていた運命は? 表題作をはじめ、宝石にとり憑かれた女の破滅的生活を追う「魅惑の輝き」、少年の底知れぬ不可解さを描いた「デジ・ボウイ」など、日常に潜む狂気を抉った直木賞作家の傑作短編5編。
  • 家族熱
    -
    黒沼家に後妻として朋子が嫁いでから十三年目のある日、突如“先妻”の恒子が姿を現わした。夫や子供たちは、恒子と秘かに会っていたらしい。恒子が置いて行った二人の子供を一人前に育て、舅姑の世話をし、夫から愛されていると信じていた十三年間は何だったのだろう――。平穏に見えた家庭の裏の様々な感情のもつれが、“先妻”の登場によって顕わになる。ある一家の崩壊と再生の物語。

    試し読み

    フォロー
  • 家族場面
    3.4
    気がつけば、おれは石川五右衛門だった…。神出鬼没に時空を飛ぶ作家一家。読者を物語のブラックホールに突き落とし、ねじれた迷宮へと誘う表題作。被害者の遺族が死刑囚の刑を執行するという狂気の設定で、獄中で執筆し続けた囚人作家の断末魔を描く『天の一角』。長年の忍従に暴発した作家夫人の怒濤の糾弾を活写する法廷劇『妻の惑星』等、表現への熱い慟哭が刻まれた傑作7編。
  • 敵討
    4.5
    1巻440円 (税込)
    惨殺された父母の仇を討つ――しかし、ときは明治時代。美風として賞賛された敵討は、一転して殺人罪とされるようになっていた……新時代を迎えた日本人の複雑な心情を描く「最後の仇討」。父と伯父を殺した男は、権勢を誇る幕臣の手先として暗躍していた……幕末の政争が交錯する探索行を緊迫した筆致で綴る「敵討」。歴史の流れに翻弄された敵討の人間模様を丹念に描く二篇を収録。

    試し読み

    フォロー
  • 片桐酒店の副業
    3.4
    1巻1,408円 (税込)
    「法に触れない限り、何でもお届けします」。冴えない酒店の片手間仕事のはずが、最近ワケあり注文が多い。「アイドルに手渡し」「上司に悪意を」等の難題に直面する無愛想な店主にも大きな遺失物があった……。ボイルドエッグズ新人賞作家が二作目でストーリーテラーの本領を発揮、ほろ苦く心温まる絶対オススメ長篇。

    試し読み

    フォロー
  • 片恋・ファウスト
    -
    純真で、火のような熱情と、男を凌ぐ激しい気性をもちながら、妾腹の子という意識ゆえに歪んだ道をたどらねばならなかった女アーシャの生涯を、陰影ある精緻な筆で描いた『片恋』。完備した形式と安定した人生観照の目で、激しい愛欲とすぐれた知性との矛盾相剋に傷つきたおれたヴェーラの悲劇を追求した『ファウスト』。いずれもツルゲーネフの中期の円熟を示す佳作中篇である。
  • かたみ歌(新潮文庫)
    3.9
    不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。殺人事件が起きたラーメン屋の様子を窺っていた若い男。その正体とは……「紫陽花のころ」。古本に挟んだ栞にメッセージを託した邦子の恋が、時空を超えた結末を迎える「栞の恋」など、昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包む。7つの奇蹟を描いた連作短編集。(解説・諸田玲子)
  • 片眼の猿―One-eyed monkeys―(新潮文庫)
    3.8
    盗聴専門の探偵、それが俺の職業だ。目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。楽器メーカーからの依頼でライバル社の調査を続けるうちに、冬絵の存在を知った。同業者だった彼女をスカウトし、チームプレイで核心に迫ろうとしていた矢先に殺人事件が起きる。俺たちは否応なしに、その渦中に巻き込まれていった。謎、そして……。ソウルと技巧が絶妙なハーモニーを奏でる長編ミステリ。(解説・佐々木敦)
  • 家庭という病巣
    4.0
    最も身近な存在は、最も危険な存在にもなる。我が子を段ボール箱の中で餓死させた両親、夫を尺八で撲殺した老婆、娘に性的虐待を繰り返した「理想の父親」、妻の身内を殺害した暴力夫……。身内の凶行により、家庭は逃げ場の無い密室と化す。児童虐待、DV、近親姦、高齢者虐待等、増加しつづける家庭内犯罪の実態とは――。加害者、被害者への膨大な取材を通じ、家庭に潜む病巣の正体に迫る。

    試し読み

    フォロー
  • 勝てる民泊―ウィズコロナの一軒家宿―
    4.0
    朽ち果てる寸前の実家をリノベーションし著者自身が始めた「ヤマグチハウス アネックス」は、コロナ禍にも負けず千客万来。オンラインでチェックイン、滞在中も「三密」とは無縁。創意工夫のホスピタリティで、庭でバーベキューを楽しんでもらったり、プロポーズに使われたり! 1日1組限定の「小さな民泊」、人気の理由を明かします。

最近チェックした本