影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)

影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫)

649円 (税込)

3pt

3.9

なぜ父と母は別れたのか。なぜあのとき、自分は母と一緒に住むと勇気を持って言えなかったのか。理由は何であれ、私が母を見捨てた事実には変わりはない――。完成しながらも手元に遺され、2020年に発見された表題作「影に対して」。破戒した神父と、人々に踏まれながらも、その足の下から人間をみつめている踏絵の基督を重ねる「影法師」など遠藤文学の鍵となる「母」を描いた傑作六編を収録。(解説・浅井まかて)

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影に対して―母をめぐる物語―(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    本屋さんで目について。
    沈黙、海と毒薬より読みやすいかなと思って。

    出会えてよかった本。
    最初の方の短編は、終わり方があっけない。救われない。しんどい。

    でも、すごく静かに落ち着いている文章なのに、心にグッと迫ってくるような感じ。他の作品も読みたいと思った。

    0
    2025年08月31日

    Posted by ブクログ

    短編集なので、読み易い。
    「沈黙」など、これまでに読んだ著作を思い浮かべながら読み進めていたが、最後の作品に辿り着いたときに、この本は心に残るな、っと実感した。
    見つかった未発表原稿をこの1冊にまとめた編集部と表紙の選択、そして薦めてくれた読書会のメンバーに感謝と拍手です。

    0
    2024年03月05日

    Posted by ブクログ

    文庫版解説で朝井まかて氏が、遠藤周作氏の別著作である「わたしが・棄てた・女」を読んだ時に「小説はここまで書くものなのか」と心を揺さぶられた、と印象を語っているが、著者の死後に発見されたという今作に対しても、当てる角度は異なれどまさしくその表現がふさわしい、と私は思った。
    私小説、とまでは言えないとし

    0
    2023年04月13日

    Posted by ブクログ

     人が生きる上で母親に対して何かをしたいという想いは、大きな比重を占めているものだと思います。でもそのことを他人に素直に言うことはなかなかできないのです。遠藤周作が、生きている間に発表しなかった心情はとてもよくわかるような気がします。彼がキリスト教信者でい続けたのも、母親がそうだったからであり、そう

    0
    2024年02月22日

    Posted by ブクログ

    見知らぬ土地からでも飼い主のいる家へ戻っていく雑種犬のように、母という存在は死ぬまで薄れず心の原点になる。低く広がり続ける冬の雲のようでもあり、呪縛のような烈しいものでもあるらしい。
    没後発表の貴重な一作でした。

    0
    2024年01月25日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    母と父、そして信仰を書いた6篇。
    いくつもの心理描写に圧倒された。全体からとても陰鬱な空気が漂っているのに、この本質を捉えたような文章が無理なくスッと心に入ってくる。子ども目線の話も、大人目線の話もどれも読みやすかった。
    主人公は、厳しく烈しかった母を美化してしまう気持ちを持っているのに対して、父に

    0
    2024年11月12日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    遠藤周作本人の母親について書かれた自伝的作品。
    没死去後に未発表作として発行された作品。
    彼自身、発行するつもりはなくとも、彼にとっては書かずにいられなかったであろう母に対する心の葛藤、愛情や憎悪や憐れみといったものが文章から手に取るように伺えれる。
    自分の足元に常にまとわりつく影のような存在。

    0
    2024年02月29日

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