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1845年3月、クーパー船長率いる米国捕鯨船は日本海を目指す途中、無人島に漂着していた日本人11名、翌日にも沈没しかかった日本船の乗組員11名、計22名を救助した。22名分の水と食料の消費は激しく、送りとどけるにも日本は鎖国中で、沿岸部に近づけば被弾する恐れもある。船長の決断は早かった……。ペリー浦賀来航の8年前にあった日米交流の史実を題材に、船乗りたちの交誼を描く圧倒的感動巨編。(解説・縄田一男)
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Posted by ブクログ
ペリーが江戸に来航する8年前に、米国の捕鯨船の船乗りと無人島に漂着した日本人11名の間でこんな感動的な交流があったとは、知らなかった。 山本一力は異国人と日本人との交流を描くのがうまいなあ。 もっと、別な物語も読みたくなった。
何気なく眼に留めて入手し…読み始めてみて…頁を繰る毎に、この一冊に出会えたことを感謝してみたくなった…素敵な作品だった!! 「カズサビーチ」というのは、日本に来航した外国船の船長が「あそこは?」と尋ねて「上総」という回答を得たことから、船が接近した辺りを「カズサビーチ」と呼び習わして、航海日誌にそう...続きを読むいう表現で記した…ということで登場した名前である。 物語は、鯨漁と鯨油の採集を行いながら遥かな日本海を目指す<マンハッタン>の旅と、「遭難者は最優先で助けるべきである」という船長のクーパーの信条―海難で同じく捕鯨船の船長だった父を失った過去にも触れられている…―の故に2隻の日本船の人達を救助した様子や、救助した22名の日本人を送り届ける顛末が主にクーパー達の目線で描かれ、時々救助された日本人達の側の目線で進む話しや、過去の経過に関する挿話が入って来るというような形で進行する。 困難な操業や長い航海に向き合う高潔な男、<マンハッタン>の乗員や業界関係者、更に街の人達にも敬意を払われる男という感のクーパーが、更に<マンハッタン>に乗り合わせた乗員達が、異なる文化の下ながら、彼と同じ海の仕事に携わる男達や、折り目正しく高い矜持を有するサムライ達に出会う。 “アジア系”、“欧州系”、“アフリカ系”というような意味ではない、「同じ人種」が思わぬ形で交わることとなったという出来事だったのかもしれない。危険も伴う仕事に真摯に誇りを持って臨み、出くわした人達に心を開こうとするような種類の人達どうしが邂逅したというような出来事として、<マンハッタン>による遭難者救助の一件が本作では伝えられていると思う。 本作の何れの部分も、「鮮やかな映像」が思い浮かぶような、美しい場面に溢れている。作中で様々な出来事が起こった時の情景、クーパー達が眼にした日本の沿岸の様子や、日本の港に入ることになった時に眼にすることになった様子など、情景の描写が好い。そして作中人物達が動く様子、偶々出くわした異文化に驚く日米双方の人達の様子等、なかなかに面白い。<マンハッタン>の乗組員達と助けられた日本人達が交歓する場面では、笑い声や歌声が聞こえて来そうだ… 手頃な、読み易い分量ながら、非常に濃い中身で同時に愉しい。クーパーの率いる<マンハッタン>が日本海を目指して大航海をしていたような時代を想えば、現代は何処へ行くのももっと速く簡単で、異なる文物を巡る情報も余る程に在る。そういう中だからこそ「出くわした人達に心を開こうとするような種類の人達どうしが邂逅したというような出来事」という、この『カズサビーチ』の物語は尊いのかもしれない。
カズサビーチ どこの浜だろう? カタカナだと分からないもんですね。 海の男たちに通じる気概が羨ましい。事が無事に済んだからこそ言えることかも知れないけれど
1845年にクーパー船長率いる米国捕鯨船仲間と、鳥島付近で遭難し、助けられた日本人22人の物語。自分達の食糧枯渇や鎖国日本の攻撃の可能性があるにもかかわらず助けた米国人一味の懐の深さと優しさ、一方、鎖国状態の極めて難しい時代背景にあった日本が、厚情には厚情で応える判断をした役人達、当時の人間ドラマと...続きを読む古き良き日本の奥深さと情の深さにすごい感動に包まれた。すごい名作だと思います。
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カズサビーチ(新潮文庫)
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