ネタバレ
Posted by ブクログ
2016年10月05日
まだ完結しない長編『ジョン・マン』の著者
山本一力さんの自伝。
と言っても、堅苦しくなく読ませる力量は
山本さんならでは、かもしれない。
山本さんは、戦後のアメリカ軍関係の建築ラッシュで
毎日のように建築関係の父がポケットから札束を持ち帰る
日々も経験しながら、父の博打癖で貧困に。
『明日は味方』...続きを読むは母の口癖。
高校生時代、アルバイトで東京ワシントンハイツで新聞配達。
そこはアメリカ軍が広大な土地を戦後接収していた場所。
アメリカ人の少年たちが雨の日も庭先に新聞を
放り投げるやり方をしてるのを横目で見
自分は日本人のやり方で一軒一軒ポストに。
そんなやり方で住民には喜ばれ
ワシントンハイツでも米人の少年や家族とも親しく。
そこで肌で覚えた英語が、のちに途中入社の
近畿ツーリストで重宝がられ出世。
豊かさを謳歌。
そこをやめて、グラフィックデザイナー修行、独立、失敗、
苦しい時代も過ごしながら常に自転車を漕ぐように
動き続けたと。
直木賞を受賞したのちも、待ってはいないで
各出版社に行っては、仕事を探す。。。いつも忘れない危機感。
働くことは生きること、生きることは
自転車と同じ。漕ぎ続ける、バランスをとりながら。
決して止まらないで生きてきた
山本さんならではの言葉が心地よい。