高尾長良の作品一覧

「高尾長良」の「音に聞く」「影媛」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 音に聞く
    3.5
    1巻1,300円 (税込)
    デビュー以来連続して芥川賞候補になってきた二十代天才女性作家が、沈黙を破り放つ決定打。 作曲に天賦の才をみせる15歳の妹。母語から離れ、自らの言語表現を模索する姉。『肉骨茶』『影媛』で注目を集める高尾長良が音楽の都ウィーンを舞台に繰り広げる待望の本格芸術小説! 芸術の都、ウィーンへ音楽理論の大家である父を尋ねた姉妹。 妹・真名は外界との接触を拒み、内から湧きあがる音楽を汲みだす。翻訳家の姉・有智子はその天分を生かすべく心を砕くが、父の言葉によって絶望と嫉妬を思い知らされる。 音楽が記憶に掬いきれない価値を刻印するなら、言葉は底に穴の空いた器に等しいのか――。 音楽と言葉がぶつかり合う新鋭の傑作。
  • 影媛
    3.3
    1巻1,232円 (税込)
    物部家の巫・影媛は、神の声を聴くため翠鳥となって森を飛び回るうち、鹿狩りに熱狂する平群家の臣・志毘に出会い、恋に落ちる。しかし両家は対立する間柄、そして彼女はすでに皇太子に求婚されている身だった。特異な想像力と類まれな言語能力で描き切った、鮮烈な愛の物語。新潮新人賞最年少受賞の新鋭による待望の第二作。
  • 肉骨茶
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    160cm35kgの高校生・赤猪子は、シンガポール・マレーシアへの旅の途中で母親のもとを抜け出し、友人ゾーイーの海辺の別荘に身を寄せる。それは食べるたびにエネルギーとなり脂肪となって自分の中に蓄積していく、日々の食物から逃れるためだったのだが――。新潮新人賞を最年少受賞、芥川賞候補ともなった衝撃のデビュー作。

ユーザーレビュー

  • 影媛

    Posted by ブクログ

    影媛を描いた貴重な作品 物部氏(物部麁鹿火)の娘、影媛が、平群鮪と恋に堕ちたが、海柘榴市での歌会で既に婚約を交わしていたとされる小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわかさざき:武烈天皇の皇太子時代)と遭遇し、その歌の内容でも完勝となった平群鮪と逃亡。激怒した小泊瀬稚鷦鷯尊は平城山で物部氏、久米部氏らと平群氏を襲撃、滅亡させたという日本書紀の記録を、物語にしている。古語を用いており難解だが、雰囲気は伝わる。

    0
    2025年12月03日
  • 音に聞く

    Posted by ブクログ

    本作品に登場する姉妹、そして父親の役割が意味しているものを考えると、音楽がいかに崇高なものなのか分かる。有智子は言葉の役割を持つ。妹の真名は音(音楽)の役割だ。父親は音楽理論の権威で、音と言葉の両方を表している。そんなふうに読み取った。

    長く離れていた父に姉妹が会いに行くのだが、父と真名は父の気持ちを受け止められず反発する。有智子は音と言葉で対立し、真名への嫉妬心を燃やす。音楽の素晴らしさは、音と言葉の融合だと思う。どちらも重要だが、バランスよく融合させるのは難しい。

    さて、本書のプロローグが謎である。有智子の手記を持ち込んだ“彼”は誰? 手記に目を通す女性の“わたし”は誰?

    0
    2020年01月21日
  • 音に聞く

    Posted by ブクログ

    有智子と真名。ウィーン。

    難しくて美しい。

    翻訳された小説のような文体。
    油断すると上滑りしてしまう。
    だから、慎重に読み進めた。
    ・・・それでもわかんない所が出てきちゃう。

    でも、はっきりとわからなくても、
    「あたしは有智子じゃないし、まあまあわかればいっか。」
    みたいな感じでわからなさを心地良いものとして読んだ。

    そしてそして「有智子」ってかわいい。
    頭の中で発声?するたびに「ふふっ。」て心の奥底で喜びを感じてた。

    0
    2020年01月03日
  • 音に聞く

    Posted by ブクログ

    「デビュー以来連続して芥川賞候補になってきた二十代天才女性作家が、沈黙を破り放つ決定打。ウィーンを舞台にした愛憎のドラマ!」ということで、期待しつつページを捲る.....

    芥川賞関連の作品とは相性が悪いのだと思った。
    流麗な文章、音楽の都での愛憎劇を読み込んだいくのだが、私の心には残らなかった。

    0
    2021年08月10日
  • 音に聞く

    Posted by ブクログ

    これぞ純文学という難解な小説。

    芥川賞候補になったということで読んでみた初読みの作家さん。
    う~ん。難しい。

    翻訳文のような文体とそこはかとなく流れる音楽への深い憧憬。

    やはり、音を文章にしようとするって難しいな。

    『蜜蜂と遠雷』的なものを想像していたけど、まったく違った。どちらかというと主人公姉妹(さらにいうと姉)の心情風景を描いた作品なんだろうな。

    やはり、芥川賞候補ってこういう作品だよね。
    あの読みやすい文体の村田沙耶香の『コンビニ人間』が芥川賞を取ったのってそう考えるとすごいことだ。

    まあ、この本を読んで改めて恩田陸と村田沙耶香のすごさが分かりました(笑)。

    0
    2020年02月11日

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