高尾長良のレビュー一覧
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本作品に登場する姉妹、そして父親の役割が意味しているものを考えると、音楽がいかに崇高なものなのか分かる。有智子は言葉の役割を持つ。妹の真名は音(音楽)の役割だ。父親は音楽理論の権威で、音と言葉の両方を表している。そんなふうに読み取った。
長く離れていた父に姉妹が会いに行くのだが、父と真名は父の気持ちを受け止められず反発する。有智子は音と言葉で対立し、真名への嫉妬心を燃やす。音楽の素晴らしさは、音と言葉の融合だと思う。どちらも重要だが、バランスよく融合させるのは難しい。
さて、本書のプロローグが謎である。有智子の手記を持ち込んだ“彼”は誰? 手記に目を通す女性の“わたし”は誰? -
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これぞ純文学という難解な小説。
芥川賞候補になったということで読んでみた初読みの作家さん。
う~ん。難しい。
翻訳文のような文体とそこはかとなく流れる音楽への深い憧憬。
やはり、音を文章にしようとするって難しいな。
『蜜蜂と遠雷』的なものを想像していたけど、まったく違った。どちらかというと主人公姉妹(さらにいうと姉)の心情風景を描いた作品なんだろうな。
やはり、芥川賞候補ってこういう作品だよね。
あの読みやすい文体の村田沙耶香の『コンビニ人間』が芥川賞を取ったのってそう考えるとすごいことだ。
まあ、この本を読んで改めて恩田陸と村田沙耶香のすごさが分かりました(笑)。 -
Posted by ブクログ
影媛、物部麁鹿火、物部石弓若子、物部尾輿、平群真鳥、平群志毘、武烈天皇、大伴金村、が登場する。
ネット上の感想を見ると、二十二歳の著者が書いた芥川賞候補作ってことで、上から目線に「お手並み拝見」と読んで叩いてるのばかりですなw評論家きどりは楽しいかおまえらw
読みにくい文章といえばそうなんだけど、古代文献の訓読文をたまに眺めてる人ならすぐ慣れる。
あと作中の「彼女」はすべて影媛のこと。直前の文に誰か別の女性が出てきてても、その人のことだと思って読み進めてはいけない。
旧事本紀の系譜にのみあらわれる、麁鹿火の息子・石弓、彼が登場する貴重な小説として、後世まで物部氏マニアの間で語り継がれるであろう -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近よくある、歴史小説でオンナ主人公。わかりやすく、オンナとわかるタイトル。
失礼ながら、ネットによく散見される、とてもよくできたオリジナル歴史小説を自費出版したのかな、と思っていた。
現役京大生による擬古典的な文体、芥川賞候補作。第二の平野啓一郎を生みたかったのか。
物部の巫女媛が敵対する平群の後継ぎ、志毘と恋に落ちるが、聖徳太子に嫁ぐことを強いられ、父に恋人を殺される。ただそれだけの中編。題材がいいので期待していたが、構成力に乏しい。
格調高い文体を目指しているが、古語辞典から単語をひっぱって継ぎ合わせたようなちぎはぐさで、古文独特の柔らかさやリズムがない。やたらと「…の様に」を多用