高尾長良のレビュー一覧

  • 影媛

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    影媛を描いた貴重な作品 物部氏(物部麁鹿火)の娘、影媛が、平群鮪と恋に堕ちたが、海柘榴市での歌会で既に婚約を交わしていたとされる小泊瀬稚鷦鷯尊(おはつせのわかさざき:武烈天皇の皇太子時代)と遭遇し、その歌の内容でも完勝となった平群鮪と逃亡。激怒した小泊瀬稚鷦鷯尊は平城山で物部氏、久米部氏らと平群氏を襲撃、滅亡させたという日本書紀の記録を、物語にしている。古語を用いており難解だが、雰囲気は伝わる。

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    2025年12月03日
  • 音に聞く

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    本作品に登場する姉妹、そして父親の役割が意味しているものを考えると、音楽がいかに崇高なものなのか分かる。有智子は言葉の役割を持つ。妹の真名は音(音楽)の役割だ。父親は音楽理論の権威で、音と言葉の両方を表している。そんなふうに読み取った。

    長く離れていた父に姉妹が会いに行くのだが、父と真名は父の気持ちを受け止められず反発する。有智子は音と言葉で対立し、真名への嫉妬心を燃やす。音楽の素晴らしさは、音と言葉の融合だと思う。どちらも重要だが、バランスよく融合させるのは難しい。

    さて、本書のプロローグが謎である。有智子の手記を持ち込んだ“彼”は誰? 手記に目を通す女性の“わたし”は誰?

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    2020年01月21日
  • 音に聞く

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    有智子と真名。ウィーン。

    難しくて美しい。

    翻訳された小説のような文体。
    油断すると上滑りしてしまう。
    だから、慎重に読み進めた。
    ・・・それでもわかんない所が出てきちゃう。

    でも、はっきりとわからなくても、
    「あたしは有智子じゃないし、まあまあわかればいっか。」
    みたいな感じでわからなさを心地良いものとして読んだ。

    そしてそして「有智子」ってかわいい。
    頭の中で発声?するたびに「ふふっ。」て心の奥底で喜びを感じてた。

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    2020年01月03日
  • 音に聞く

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    「デビュー以来連続して芥川賞候補になってきた二十代天才女性作家が、沈黙を破り放つ決定打。ウィーンを舞台にした愛憎のドラマ!」ということで、期待しつつページを捲る.....

    芥川賞関連の作品とは相性が悪いのだと思った。
    流麗な文章、音楽の都での愛憎劇を読み込んだいくのだが、私の心には残らなかった。

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    2021年08月10日
  • 音に聞く

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    これぞ純文学という難解な小説。

    芥川賞候補になったということで読んでみた初読みの作家さん。
    う~ん。難しい。

    翻訳文のような文体とそこはかとなく流れる音楽への深い憧憬。

    やはり、音を文章にしようとするって難しいな。

    『蜜蜂と遠雷』的なものを想像していたけど、まったく違った。どちらかというと主人公姉妹(さらにいうと姉)の心情風景を描いた作品なんだろうな。

    やはり、芥川賞候補ってこういう作品だよね。
    あの読みやすい文体の村田沙耶香の『コンビニ人間』が芥川賞を取ったのってそう考えるとすごいことだ。

    まあ、この本を読んで改めて恩田陸と村田沙耶香のすごさが分かりました(笑)。

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    2020年02月11日
  • 肉骨茶

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    いずれ俺は立派な骨になるでしょう。強く太い密な骨に。だが埋まったまま骨になれば弱く脆い骨が残るだけです。
    (P.102)

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    2019年08月18日
  • 影媛

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    影媛、物部麁鹿火、物部石弓若子、物部尾輿、平群真鳥、平群志毘、武烈天皇、大伴金村、が登場する。
    ネット上の感想を見ると、二十二歳の著者が書いた芥川賞候補作ってことで、上から目線に「お手並み拝見」と読んで叩いてるのばかりですなw評論家きどりは楽しいかおまえらw
    読みにくい文章といえばそうなんだけど、古代文献の訓読文をたまに眺めてる人ならすぐ慣れる。
    あと作中の「彼女」はすべて影媛のこと。直前の文に誰か別の女性が出てきてても、その人のことだと思って読み進めてはいけない。
    旧事本紀の系譜にのみあらわれる、麁鹿火の息子・石弓、彼が登場する貴重な小説として、後世まで物部氏マニアの間で語り継がれるであろう

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    2015年10月01日
  • 影媛

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    ネタバレ

    最近よくある、歴史小説でオンナ主人公。わかりやすく、オンナとわかるタイトル。
    失礼ながら、ネットによく散見される、とてもよくできたオリジナル歴史小説を自費出版したのかな、と思っていた。

    現役京大生による擬古典的な文体、芥川賞候補作。第二の平野啓一郎を生みたかったのか。

    物部の巫女媛が敵対する平群の後継ぎ、志毘と恋に落ちるが、聖徳太子に嫁ぐことを強いられ、父に恋人を殺される。ただそれだけの中編。題材がいいので期待していたが、構成力に乏しい。

    格調高い文体を目指しているが、古語辞典から単語をひっぱって継ぎ合わせたようなちぎはぐさで、古文独特の柔らかさやリズムがない。やたらと「…の様に」を多用

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    2015年03月16日
  • 肉骨茶

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    ネタバレ

    二十歳にしては上手いな…と思って、ボーっと読んでいたら、後半でビックリ。拒食症ということで、ちょっと心配だったが、吐かないタイプだったので、比較的楽に読み進められて良かった。

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    2013年07月28日
  • 肉骨茶

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    作者は92年生まれの京大医学生
    拒食症の少女が母との海外旅行の途中で友人宅へ逃亡?するが、一昨日食べすぎた分を取り返そうと強迫的に…

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    2013年07月04日
  • 肉骨茶

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    とくに難しい言葉遣いをしているわけではないけど、多少難読な漢字と、文意を掴みにくくするセンテンスの組合せ、さらには心象風景の奇抜で少し可笑しみある描写等があいまってスッと入ってこない。つまり咀嚼しにくい。それが主人公で拒食症の赤猪子とうまくマッチしていて不思議な臨場感を味わえる。けどスッと入ってこない。なんどか吐き出した。けど咀嚼する。あー面白かったぁ、とはならないけどずーっと余韻を味わうような小説。

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    2013年06月20日