作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
歴史上の出来事に興味を抱くかどうかの境目は、そこに温もりを感じるか否かだと思っている。
そういう意味で、宇月原先生の作品は、ともすると温度をなくしがちな史実に血が通ったものだ。
それは、一つ一つの出来事に、「人の心の動き」が織り交ぜてあるからなのだろう。
この作品は言うなれば「安徳天皇漂流記」のスピンオフだ。
というと元作品より劣っているような気もしてしまうのだけれど、そんなことはない。
どちらか勝るとか劣るとか、そういう問題ではなく、私は、これと前作、二つで一つなのだと思う。
ちょうど、真床追衾と淡島がそうであったように。
できることなら多くの人に、後鳥羽院のように淡島のみを受け入れられるの -
Posted by ブクログ
松永久秀のかわいいことかわいいこと。
傀儡・果心との掛け合いや、兄・庄五郎への親愛、信長への憎しみと嫉妬。
外道の術を扱い、節々で人外らしい評価を得ているのに、その実、誰よりも人間臭い感情を秘めているその葛藤ぶりには、ときめかずにはいられない。
あの時代、既存概念をひっくり返したという意味では誰にも劣らないのに、どちらかといえば織田信長という傑物に掻き消されがちな松永久秀と斉藤道三が、こんな形で描かれるなんて、夢にも思わなかった。
しかし、強い光に隠されがちな星が必死に日輪に抗おうとしている傍ら、微塵も己を「日輪か星か」など疑うこともない信長は、本当に、生まれながらの日輪らしい。
そうなると、