新潮社作品一覧

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  • 表裏源内蛙合戦
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    迸る才知と野心を、時代の制約の中で徒らに空転させる江戸の一大奇人平賀源内の夢と挫折の生涯を、色と欲の渦巻く風俗の中に浮び上らせる表題作。ストリッパーの半生記に仕立てた吃音治療劇に仮託して、現代日本の社会と精神を徹頭徹尾、洒落のめした『日本人のへそ』。洒落に地口に語呂合せ、言葉遊びの爆撃で、笑いのうちに時代と人間の核心を衝く井上戯曲の原点を示す二大喜劇集。
  • 銀嶺の人(上)
    4.3
    1~2巻704~792円 (税込)
    女医をめざす、勝気な“泣かない子”であった駒井淑子は、冬の八ヶ岳で単独行を試みて遭難しかかった時、若林美佐子と出会う。鎌倉彫の新鋭彫刻家として注目されていた美佐子は、無口ですぐに“涙ぐむ子”であった。死を覚悟した二人を事もなげに助け出した三人の男性登攀家(クライマー)に魅入られて、彼女たちは、ついに初の女性隊によるマッターホルン北壁登攀への挑戦を試みる……。
  • 蒼氷・神々の岩壁
    3.7
    鋭いアイゼンの爪もよせつけない蒼氷に覆われる厳冬期、石が水平に飛ぶ台風シーズン――富士山頂の苛烈な自然を背景に、若い気象観測所員の厳しい生活と、友情と愛と死を描いて息づまる迫力をよぶ長編「蒼氷」。ヒマラヤを夢み、岩と氷壁に青春を賭けた天才クライマーが、登攀不能といわれた谷川岳衝立岩を征服するまでの闘志と情熱の半生を描く実録小説「神々の岩壁」。他に2編併録。

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  • 雄気堂々(上)
    4.3
    1~2巻704~748円 (税込)
    近代日本最大の経済人渋沢栄一のダイナミックな人間形成の劇を、幕末維新の激動の中に描く雄大な伝記文学。武州血洗島の一農夫に生れた栄一は、尊皇攘夷の運動に身を投じて異人居留地の横浜焼打ちを企てるが、中止に終った後、思いがけない機縁から、打倒の相手であった一橋家につかえ、一橋慶喜の弟の随員としてフランスに行き、その地で大政奉還を迎えることになる。

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  • 総会屋錦城
    3.7
    直木賞受賞の表題作は、株主総会の席上やその裏面で、命がけで暗躍する、財界の影武者ともいえる総会屋の老ボスを描く評判作。ほかに交通事故の時だけタクシー会社の重役の身代りで見舞いや弔問にゆく五十男の悲しみを描いた「事故専務」をはじめ、資本主義社会のからくり、陰謀などを、入念な考証に基づき、迫力あるスピード感と構成力で描く本格的な社会小説7編を収める。

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  • 状況曲線(上)
    3.7
    1~2巻704円 (税込)
    建設会社専務の味岡は、高級官僚に顔が利く“先生”を中心にした談合組織に入り、工事の情報を得ていた。彼が仲間と“先生”に会っていた日、同じビルの屋上で他殺死体が見つかる。偶然、後に犯人と疑われるような行動を取ってしまった味岡は、芸者との逢引き先でも、“先生”の女性秘書の遺体にぶつかってしまう……。巧妙なワナに追いつめられていく味岡! 長編サスペンスの傑作。

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  • 人情武士道
    3.5
    御用人の佐藤欽之助は、妻を通して琴の稽古友達だった女から、夫の仕官の世話を頼まれる。その女が、かつて縁談を申し込んで断られた和枝であることを知った欽之助は、思いがけない行動で依頼を果たす……。著者の鋭い人間観察眼を際立たせている表題作の他に、後年の“職人もの”の先駆をなす「しぐれ傘」や“滑稽もの”の「竜と虎」など、初期の傑作12編を収める。

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  • 季節のない街
    4.3
    “風の吹溜まりに塵芥が集まるようにできた貧民街”で懸命に生きようとする庶民の人生。――そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。そんな街の人びとにほんとうの人間らしさを感じた著者が、さまざまなエピソードの断面のなかに深い人生の実相を捉えた異色作。

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  • 真田騒動―恩田木工―
    4.0
    信州松代藩――五代目・真田信安のもと、政治の実権を握り放縦な生活に走った原八郎五郎を倒し、窮乏の極にある藩の財政改革に尽力した恩田木工を描く表題作。関ケ原の戦い以来、父昌幸、弟幸村と敵対する宿命を担った真田信幸の生き方を探る『信濃大名記』。ほかに直木賞受賞作『錯乱』など、大河小説『真田太平記』の先駆を成し、著者の小説世界の本質を示す“真田もの”5編を収録。
  • 僕の青春をクイズに捧ぐ(新潮文庫nex)
    3.0
    夢は天才クイズ集団〈Qwith〉に入ること。鷲戸創はその野望を果たすべく、廃校で行われる10日間の選抜試験(オーディション)に参加する。癖の強い天才高校生・家永駿介とタッグを組み、衝突しながらも勝ち進んでいく二人。しかし突如、殺人事件が発生!? しかも死体が消えた! 試験が開催された本当の理由とは――。凸凹高校生コンビが謎多き事件に挑む、青春率100%のクイズサバイバル開幕!
  • 美しい探偵に必要な殺人(新潮文庫nex)
    3.8
    「今夜、すべてが終わるはずだった」 高校生の頃に出会った美しい探偵・刀根美聖(とねみさと)。彼女に魅せられ、助手として支えた十二年。すべてが解決したかに思われた今夜、俺は彼女と、長い長い電話をする――ふたりで追った四つの事件を辿りながら。追想の僅かな綻びに、優秀な探偵が気付かないはずがない……。その電話が終わるとき、すべての光景が反転する。驚愕の大どんでん返しミステリ。
  • 猿田彦の怨霊―小余綾俊輔の封印講義―(新潮文庫)
    3.5
    天孫降臨の先導役として大役を務めながらも、謎の死を遂げたという猿田彦神。以来、「記紀」から姿を消し、脇役として民間伝承のなかに現れる。道祖神、庚申待ち、括り猿――。神はなぜ神話から抹殺されたのか。なぜ「猿」なのか。民俗学者・小余綾俊輔の歴史推理は、古代史の闇に容赦なく切り込んでいく……。歴史の封印が解ける時、常識を覆す真実が現れる。驚愕の古代史推理ミステリー。(解説・北夏輝)
  • 惜別(新潮文庫)
    4.0
    1巻693円 (税込)
    仙台留学時代の若き日の魯迅と日本人学生とのこころ暖まる交遊の描写を通して、日中戦争という暗く不幸な時代に日中相互理解を訴えた表題作。“アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ”敗戦へとひた走る時代風潮に対する芸術家としての自己の魂を、若き頃からの理想像、源実朝に託して謳う『右大臣実朝』。太宰文学の中期を代表する2編を収める。(解説・奥野健男)
  • 巫女は月夜に殺される(新潮文庫nex)
    4.0
    巫女修行中の姫菜子(きなこ)と環希(たまき)は、「相似巫女(そうじみこ)」と呼ばれるほどうり二つ。ある特別な夜、二人は伝統の神事に参加した。それは閉ざされた村の秘められた祭祀。灯影ゆらめく神託のとき、絶叫が響く。密室と化した本殿で、首と右腕が無い巫女が、祭壇の前に鎮座していた――。謎めいた六人の巫女、二つの家系、禍々しい惨劇の真相とは。〈巫女探偵〉姫菜子と環希の推理が冴えるミステリー。
  • 小説作法の奥義(新潮文庫)
    -
    小説を書く。原稿用紙とペンを備える。机に向かう。しかし――何をどう書けばいいか、これが難しい。作品のアイデアはどこから湧いてくるのか。物語が躍動する登場人物命名法、読者を満足させる〈九合目の理論〉、書き出しとタイトルのパターンとコツなど文筆活動六十余年、生み出した小説は九百編を超える小説界の「鉄人」が極めた秘技を伝授! 創作を志す人必読のウィットに富む全十章。
  • 初陣―隠蔽捜査3.5―(新潮文庫)
    4.2
    警視庁刑事部長を務めるキャリア、伊丹俊太郎。彼が壁にぶつかったとき頼りにするのは、幼なじみで同期の竜崎伸也だ。原理原則を貫く男が愛想なく告げる一言が、いつも伊丹を救ってくれる。ある日、誤認逮捕が起きたという報に接した伊丹は、困難な状況を打開するため、大森署署長の竜崎に意見を求める(「冤罪」)。『隠蔽捜査』シリーズをさらに深く味わえる、スピン・オフ短篇集。 この作品は『初陣ー隠蔽捜査3・5ー』文庫版を底本とした電子版となります。重複購入とならないようご確認下さい。
  • 隠蔽捜査(新潮文庫)
    4.3
    竜崎伸也、四十六歳、東大卒。警察庁長官官房総務課長。連続殺人事件のマスコミ対策に追われる竜崎は、衝撃の真相に気づいた。そんな折、竜崎は息子の犯罪行為を知る――。保身に走る上層部、上からの命令に苦慮する現場指揮官、混乱する捜査本部。孤立無援の男は、組織の威信を守ることができるのか? 吉川英治文学新人賞受賞の新・警察小説。

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  • なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない(新潮文庫)
    4.1
    人生には時々迷子になってしまう時期がある。仕事で失敗したり、恋人から別れを切り出されたり、家族に問題が生じたりすると、日常は簡単に砕け散ってしまう。まるで人生という大海原に放り出された「小舟」のようだ。僕らは今、他者との繋がりが薄れ、ひどく孤独になりやすい社会で生きている――いや、違う。僕はここにいます。独りじゃない。自他を共に愛する力を取り戻す「読むセラピー」。
  • 古都(新潮文庫)
    4.2
    京都の呉服問屋の娘である千重子は、幼馴染の大学生、真一と平安神宮へ花見に出かける。夕暮れ時、彼女はある秘密を明かすが、真一は本気にしなかった。やがて夏の祇園祭の夜、千重子は自分とそっくりな娘と出会う。あなたは、いったい誰? 運命の歯車が回りはじめた……。京都の伝統ある行事や街並み、移ろう季節を背景に、日本人の魂の底に潜む原風景を流麗に描く。ノーベル文学賞対象作品。(解説・山本健吉、綿矢りさ)
  • 小さいときから考えてきたこと(新潮文庫)
    4.3
    授業中にちっともじっとしていられなくて、どうやらLD(学習障害)だった(?)子供時代。ロボット犬グレーちゃんとの愉快なテレビ出演、沢村貞子や渥美清等かけがえのない人々との出会い、そしてユニセフの親善大使としてコソボやアフガニスタンの子供たちに出会ったときのこと。どんなときも「ほんとうの幸せ」を考えてきたトットちゃんの言葉が心にあたたかく響くエッセイ。(対談・なかにし礼)
  • 成瀬は天下を取りにいく(新潮文庫)
    4.3
    「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」幼馴染の島崎みゆきにそう宣言したのは、中学二年生の成瀬あかり。閉店を間近に控える西武大津店に毎日通い、ローカル番組の中継に映るといいだした。さらに、お笑いコンビ・ゼゼカラでM-1に挑み、高校の入学式には坊主頭で現れ、目標は二百歳まで生きること。最高の主人公の登場に、目が離せない! 本屋大賞を受賞した圧巻の青春小説!(解説・森見登美彦)
  • ナルニア国物語1 ライオンと魔女(新潮文庫)
    完結
    4.4
    古い屋敷を探検していた四人きょうだいの末っ子ルーシーは衣装だんすから別世界ナルニアに迷い込む。そこは白い魔女が支配する常冬の国だった。「人間の世界から来た四人の王と女王により魔女は滅ぼされる」という伝説のためルーシーらは追われる身となるが――。ナルニアは光を取り戻すことができるのか。美しい挿画と読みやすい新訳で堪能するファンタジーの最高峰。いま冒険の扉が開かれる。(解説・鴻巣友季子)
  • 雪の練習生(新潮文庫)
    4.1
    膝を痛め、サーカスの花形から事務職に転身し、やがて自伝を書き始めた「わたし」。どうしても誰かに見せたくなり、文芸誌編集長のオットセイに読ませるが……。サーカスで女曲芸師と伝説の芸を成し遂げた娘の「トスカ」、その息子で動物園の人気者となった「クヌート」へと受け継がれる、生の哀しみときらめき。ホッキョクグマ三代の物語をユーモラスに描く、野間文芸賞受賞作。(解説・佐々木敦)
  • ヴェネツィア便り(新潮文庫)
    3.8
    1巻693円 (税込)
    「もし、あなたがこれを読む時、ヴェネツィアがもうないなら、これは、水の底から届いた手紙ということになります」「ヴェネツィアは、今、輝く波に囲まれ、わたしの目の前にあります。沈んではいません」――三十年の時を越えて交わされる〈わたし〉と若い〈あなた〉の「ヴェネツィア便り」。なぜ手紙は書かれたのか、それはどんな意味を持つのか。〈時と人〉を描く懐かしくも色鮮やかな15の短篇。(解説・荻野アンナ)
  • 鯉姫婚姻譚(新潮文庫)
    3.6
    若くして隠居した孫一郎が、父から受け継いだ屋敷に移り住むと、庭の池には人魚が暮らしていた。その名は、おたつ。彼女に懐かれ「夫婦になってあげる」と言われた孫一郎は、結婚をあきらめさせるため、人と人ならざる者が恋に落ち、不幸な結末を迎えた話を語る。だが、二人の間には少しずつ変化が起き――。選考委員全員が「これ以上ないラスト」と驚嘆した日本ファンタジーノベル大賞受賞作。(解説・大森望)
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)
    4.2
    好きに食べて、好きに生きる――。茶をこよなく愛する記録魔の作家千早茜。季節を問わずかき氷を食べまくるストリッパーの元書店員新井見枝香。気が合う以上に「胃が合う」ふたりが集えば、とびきりの美味追求がはじまる。銀座のパフェ、芦原温泉のにごり酒、京都の生湯葉かけご飯、神保町の上海蟹。果てなきおいしさと人生の岐路を描く往復エッセイ。文庫版で番外編50ページ分を新たに収録。(鼎談・トミヤマユキコ)
  • いのちの記憶―銀河を渡るⅡ―(新潮文庫)
    完結
    4.0
    こことは別の場所に行き、ここにいる自分とは別の自分になってみたい——。盗賊にさらわれることに憧れていた少年時代、シルクロードを旅する私に父が詠んだ一句、北欧の小さなホテルでの会話から得た教訓、外の世界へと足を向かわせた熱の正体、人生の岐路となった『危機の宰相』、高倉健との偶然の出会いから始まった交流、そして永遠の別れ。忘れがたい無数の日々を追憶するエッセイ集。
  • 紫姫の国(上)(新潮文庫)
    完結
    3.8
    俺はこんなにも、死に取り巻かれている――。酒浸りの父親が逝き、商いの船旅に出た青年ソナンは奴隷として売られそうになるも、寸前で海へと飛び込む。激しい波は一緒に逃げた親友の命を奪うが、ソナンは絶壁の岩棚に投げ出された。水も食料もなく死と隣り合わせのその地に、突然ひとりの少女が現れ……。心に陰なき男と、国を背負う女。過酷なふたつの運命が交わる圧巻のファンタジー長編。
  • 晴れの日散歩(新潮文庫)
    4.0
    正解の味を知らずに食べるローカル料理に悩んだり、万能調味料の万能さに驚いたり、実は肉より魚卵が好きなことを打ち明けてみたり。年を重ねるごとに月日の流れは速くなり、明日には記憶の底に沈んでしまうような日々を積み上げながらも、私たちは毎日をちゃんと暮らしてきた。美味しいものや愛猫の写真と共に、些末な日々に対する著者の実感を書き留めた人気エッセイ集、待望の第四弾。
  • 黒雪姫と七人の怪物 最愛の人を殺されたので黒衣の悪女になって復讐を誓います(新潮文庫nex)
    -
    お前たちだけは絶対に許さない――。次期女王の死を悲しむ陛下を慰めるため、色鮮やかな服を着るよう定められた北の公国。その凍てついた大地で唯一黒衣を身に纏う若き元伯爵夫人・アナベルは、冤罪で処刑された最愛の人のため、悪女と化してでも徹底的な復讐をすると決意していた。故郷を追われた訳あり従僕のシロが彼女と出会う時、運命の歯車が回り始める。異世界復讐劇、開幕!
  • キャラヴァンは進む―銀河を渡るⅠ―(新潮文庫)
    3.6
    旅を学ぶとは人を学ぶということであり、世界を学ぶということでもあった――。『深夜特急』では訪れなかったモロッコ・マラケシュへの道、飛行機でのトラブルがもたらした「旅の神様」からの思わぬプレゼント、『一瞬の夏』より始まった新たな夢。シドニー、アテネと連なるオリンピックへの視線、『凍』を書くきっかけとなる対話。無数の旅と出会いの軌跡が銀河のごとく瞬き巡るエッセイ集。
  • 神の微笑(新潮文庫)
    5.0
    無信仰な僕が、一生の間に経験した宗教的現象を次々に想い起すと、これらが単なる偶然な経験ではなくて、偉大な神のはからいによって経験させられたのであろうかと、自然に考えるようになった――人生九十年、心に求めて得られなかった神が、不思議な声となって、いま私に語りかける……。芹沢文学の集大成、九十歳から年ごとに書下ろした生命の物語〈神〉シリーズ。(解説・大岡信)
  • 守り刀のうた(新潮文庫nex)
    4.7
    一文字うたは、邪気を祓う力を持つ。祖母の言いつけで、牧原家の御曹司の麟之助(りんのすけ)を守るため、奉公に出された。彼は9歳の時に神隠しに遭い、奇跡的に戻った経験をもつ。近隣で再び子供が行方不明になり、麟之助にも危険が迫る。うたに勇気づけられ守り刀を手にする麟之助。命賭けで魑魅魍魎(ちみもうりよう)に挑む二人の運命は――。人気漫画原作の新・妖(あやかし)ファンタジー。小説でしか読めない後日譚も収録!
  • 血腐れ(新潮文庫)
    3.7
    1巻693円 (税込)
    亡き夫に唇を触れられたと語り出した義妹(「魂疫」)。縁切り神社で行われる“儀式”(表題作)。忌まわしき伝承を持つ鐘が鳴るとき(「声失せ」)。原因不明の熱に苦しむ息子に付き添う私に近づいてきた女(「影祓え」)。身近な者の災難や死が切り裂いた日常。煉獄の扉を開くのは、無念を抱く冷たい死者か、あなたの傍らで熱を放つ家族か。禁忌を踏みこえた先に見える真相。戦慄のホラー・ミステリー短編集。(解説・杉江松恋)
  • 采女の怨霊―小余綾俊輔の不在講義―(新潮文庫)
    4.0
    奈良・猿沢池の畔に鎮座する「采女神社」は池に背を向け、平素は固く門を閉ざしている。昔、入水した采女の霊を慰める祭では、門が開かれるというのだが……。そもそも、なぜ下級女官の鎮魂が連綿と続いているのか。春日大社から壬申の乱、皇位継承の闇、平城京の怨霊封じに続く謎。民俗学者、小余綾俊輔の推理が、隠された古代史を解き明かす。鍵を握る采女とは何者か。歴史真相ミステリー。(解説・北夏輝)
  • カフカ断片集―海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ―(新潮文庫)
    3.8
    カフカは完成した作品の他に、手記やノート等に多くの断片を残した。その短く、未完成な小説のかけらは人々を魅了し、断片こそがカフカだという評価もあるほど。そこに記されたなぜか笑える絶望的な感情、卓越した語彙力で発せられるネガティブな嘆き、不条理で不可解な物語、そして息をのむほど美しい言葉。誰よりも悲観的で人間らしく生きたカフカが贈る極上の言葉たち。完全新訳で登場。(解説・頭木弘樹)
  • 祈願成就(新潮文庫)
    3.2
    凄惨な事故死を遂げた郁美。その葬儀を機に、大人になった幼なじみ四人が再会した。小学生の頃の郁美は、仲間たちそれぞれの願いを叶えるため、雑木林でおまじないの儀式を行なっていた。彼女の死を境に、儀式に参加した四人は不気味な影に悩まされ、おぞましい事故や原因不明の災厄に見舞われる。無邪気な遊びに潜む恐ろしい罠とは――平穏な日常が暗転する、絶望に満ちたオカルトホラー。
  • 令和元年のテロリズム(新潮文庫)
    3.0
    20人を殺傷して何も言葉を残さず自殺した川崎無差別殺人犯。引きこもりとされる長男を殺害した元農水事務次官。戦後で最も多くの死者を出した京アニ放火殺人犯。自動車を暴走させて母子の命を奪い、「上級国民」という言葉を生んだ元高級技官――。令和の幕開けに起こった新時代の多難を予感させる事件から浮かび上がってくる現代日本の風景とは。安倍元首相殺害事件を追加取材した完全版。
  • 放浪・雪の夜―織田作之助傑作集―(新潮文庫)
    4.0
    『夫婦善哉』の作者であり、太宰治、坂口安吾の盟友としても知られる織田作之助。その作品の魅力は豊かな物語性にある。料理人順平の流浪の旅を描く「放浪」。別府へと逃れ落ちた男と女――「雪の夜」。商才に優れた男が家を再興する芥川賞候補作「俗臭」。龍馬に慕われた寺田屋お登勢の半生「蛍」。織田文学の研究者が厳選した11編を収録。波瀾万丈そして人情。大阪が生んだ唯一無二の作家がここにいる。(解説・斎藤理生)
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)
    3.8
    平凡な男の部屋に闖入して来た9人の家族。善意に満ちた笑顔で隣人愛を唱え続ける彼らの真意とは? どす黒い笑いの中から他者との関係を暴き出す傑作「友達」〈改訂版〉(谷崎潤一郎賞受賞)。日常に潜む底知れぬ裂け目を三つの奇妙なエピソードで構成した「棒になった男」。激動の幕末を生きた人物の歴史的評価に新たな光を当てた「榎本武揚」。斬新な感性で“現代”を鋭く照射する、著者の代表的戯曲3編を収録。(解説・中野孝次)
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)
    3.5
    誰からも愛された弟には、誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟、希望(のぞむ)。行方を追う兄の誠実(まさみ)は、関係者の語る姿を通し弟の持つ複数の顔を知る。本当の希望(のぞむ)はどこにいるのか。記憶を辿るうち、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うこととなる――。痛みを抱えたまま大人になった兄弟が、それぞれの「希望(きぼう)」を探す優しいエールに満ちた物語。文庫化にあたり、書下ろし短篇を収録。(解説・山中真理)
  • 母親病(新潮文庫)
    3.3
    1巻693円 (税込)
    女は、旦那様に一生愛されるのがしあわせなのよ――。珠美子にそう語っていた母・園枝が急死した。有毒植物が体内から検出されたという。事故か自殺か、それとも。困惑のなか遺品整理に出向いた珠美子だったが、そこに端正な顔立ちの若い男性・雪仁が訪ねてくる。園枝の死を知った彼は震えて嗚咽した。良妻賢母の見本のような園枝と雪仁の関係は……。すれ違いながら衝突する母娘を描く連作集。(解説・三宅香帆)
  • 近親殺人―家族が家族を殺すとき―(新潮文庫)
    3.8
    日本の殺人事件の半数が、家族を主とした親族間で起きている。「まじ消えてほしいわ」と罵倒し、同居していた病弱な母親を放置、餓死させた姉妹。夫の愛情を独占すると憎しみをつのらせ、我が子をマンションの高層階から突き落とした母親。人はどんな理由から最も大切な存在であった家族を殺すのか。事件が起こる家庭とそうでない家庭とでは何が違うのか。7つの事件が炙り出す、家族の真実。
  • アルマジロの手―宇能鴻一郎傑作短編集―(新潮文庫)
    3.7
    彼は「手が……アルマジロの手が」というばかりだったのです――。不気味な緊張感を孕む怪奇な作品「アルマジロの手」、美しい姫君に恋をした狸の哀切「心中狸」、むさぼり喰らう快楽にとり憑かれた男の無上の幸福「月と鮟鱇男」の他、「海亀祭の夜」「蓮根ボーイ」「鰻池のナルシス」、そして甘美な爛熟世界に堕ちた男を描く傑作「魔楽」を収録。官能の深みと生の哀しみを短編に昇華させた七編。(解説・鵜飼哲夫)
  • 婚活1000本ノック(新潮文庫)
    4.0
    1巻693円 (税込)
    これは実話であり、登場するすべての人物・団体は実在する――。南綾子31歳、独身、売れない小説家。冬の夜、かつて「クソ男・オブ・ザ・イヤー」を授与した山田が現れ、わたしに婚活を命じる。遊び相手に殺されて幽霊となった山田は、わたしの婚活成功を頼みに成仏を狙うらしい。お料理合コン、お見合いパーティ、漁師の嫁募集。奮起しては絶望する綾子だったが。熾烈で切実な婚活小説!(解説・豊島ミホ)
  • 計算する生命(新潮文庫)
    3.0
    「計算」は私たちの生活のそこかしこに現れる。では、指やペンを使う足し算や筆算と、膨大な電力を消費する巨大コンピュータによる計算は、何が異なるのだろうか。機械が人間の能力を遥かに超越し、日夜無言で計算し続けるいま、私たちには一体何が残されるのだろうか――。気鋭の独立研究者が数学史を遡り、いつしか生命の根源まで辿り着いた果てに提示する新たな地平。河合隼雄学芸賞受賞作。(解説・下西風澄)
  • もう一杯だけ飲んで帰ろう。(新潮文庫)
    3.9
    居心地最高な西荻窪の焼鳥屋、喧噪を忘れる新宿の蕎麦屋、朝まで開いている中野の鮨屋に、激辛好きも唸る吉祥寺のラオス・タイ料理店。神田で羊を食べ尽くし、永福町でチーズにとろけ、立石ではしご酒を愉しむ。今日もまた、うまい肴と好きな人との時間をアテに、つい頼んでしまうもう一杯。夫婦で綴る、めくるめく“外飲み”エッセイ! 文庫書き下ろし「乗り越えて釜山(プサン)タコ鍋旅」を収録。
  • わたし、定時で帰ります。(新潮文庫)
    4.2
    1~3巻693~880円 (税込)
    絶対に定時で帰ると心に決めている会社員の東山結衣。非難されることもあるが、彼女にはどうしても残業したくない理由があった。仕事中毒の元婚約者、風邪をひいても休まない同僚、すぐに辞めると言い出す新人……。様々な社員と格闘しながら自分を貫く彼女だが、無茶な仕事を振って部下を潰すと噂のブラック上司が現れて!? 働き方に悩むすべての会社員必読必涙の、全く新しいお仕事小説!
  • 躁鬱大学―気分の波で悩んでいるのは、あなただけではありません―(新潮文庫)
    4.1
    今日も仕事で失敗してしまった。自分は何もできない……と悩んでいても自分が苦しくなるだけ。やりたくないことは一切やらず、苦手なことには手を出さず、できることがもっともっとできるようになって、むちゃくちゃ褒められるほうが心地良いじゃないか。人生ボチボチ、努力は敵、今のままで大丈夫。気分の浮き沈みの激しさに苦しんだ著者が発見した、愉快にラクに生きる技術を徹底講義。
  • モテの壁(新潮文庫)
    4.0
    「モテとか興味ない」と嘯(うそぶ) きつつ、モテるあいつは人生得してるようでなんだかシャクだ。何があるんだ、モテるやつには。何が違うんだ、俺たちとは。自称「モテに失敗したコラムニスト」が全力で嫌がりつつもモテを分析。小学生向け雑誌からインド映画、ジブリにAV男優まで。ただの「モテ」テク本とは一線を画す考察の先には 人生を変えるヒントがある!……かも? 「モテるかもしれない。」改題。
  • 月夜の散歩(新潮文庫)
    3.6
    どう工夫してもイマイチなポテトサラダに悩み、入手困難なご当地調味料にときめく。調理前のかたまり肉に高揚し、冷めゆく天ぷらに絶望する。弁当屋で顔を覚えられた恥ずかしさに悶え、飼い主に似てきた猫を愛で心を整える……。思い描いた立派な大人にはなれぬまま加齢していく人生の、ささやかな思考や出来事を、味わい深く見つめ出す。ふつうの生活がいとおしくなる、日常大満喫エッセイ。
  • ちよぼ―加賀百万石を照らす月―(新潮文庫)
    3.0
    女子(おなご)とて、闘わねばならなかった。信長と前田家に敗した朝倉家臣の娘・幾世は長じて正室まつの侍女として前田家に入り、千代保と改名。初代加賀藩主・利家に見初められて側室になり男児を産む。猿千代と名付けられた子はのちに名君・利常となるが、母千代保は人質として江戸へ向かった――。加賀百万石の礎を築き、寿福院の名で親しまれた、慈愛と情熱に満ちた女傑の生涯を描く歴史時代小説。(解説・本郷和人)
  • 処女の道程(新潮文庫)
    4.3
    女は結婚するまで処女でいるべきか――なんて議論は過去のもの。だが処女の価値には、その時代の女性の地位やモラルの変遷が現れていた。性に開放的だった古代~平安、儒教の貞操観念が浸透した封建社会。純潔が尊ばれた大正から、出産を国に推奨された戦時下。未経験が恥だった80年代を経て、性交渉しない自由を得た令和へ。古今の文献から日本の性意識をあぶり出す画期的な性のクロニクル。(解説・花房観音)
  • 死刑でいいです―孤立が生んだ二つの殺人―(新潮文庫)
    3.6
    2005年、大阪で若い姉妹が惨殺された。犯人の山地悠紀夫はその5年前、実母を殺し、少年院で矯正教育を受けていた――。裁判で山地は「さっさと死刑にしてくれ」と主張。2009年、一切の真相を語ることも、反省することもなく絞首刑となった。享年25。その短い人生でなぜ3人も殺めたのか。彼は化け物か、それとも……。緻密な取材で事件の深層と凶悪犯の素顔に迫る、衝撃のルポルタージュ。(解説・あさのあつこ)
  • 夏の約束、水の聲(新潮文庫nex)
    3.0
    美しい海に囲まれた離島・玖輪島(くわじま)。客の出迎えに波止場で待つ民宿の息子・辰水(たつみ)の前に現れたのは、十五歳の少女・沙織だった。悩みを抱え、ひとりで島を訪れた沙織との淡い青春の日々は、夜の入江で「人魚」と出遭い、一変する。沙織の美しい身体を蝕む死の呪いを解くために、辰水は嵐の中を奔走する。迫る刻限、彼女の命を救えるか――。ひと夏の恋と冒険を描いた青春サスペンス。
  • とわの庭(新潮文庫)
    4.1
    1巻693円 (税込)
    盲目の女の子とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉を、庭の植物が四季を、鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり……それから何年経っただろう。壮絶な孤独の闇を抜け、とわは自分の人生を歩き出す。おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭。盲導犬ジョイと切り拓いた世界は眩い光と愛に満ちていた。涙と生きる力が溢れ出す感動長編。(解説・平松洋子)
  • マッチング!(新潮文庫nex)
    3.6
    田島琴実、30歳、会社員。気づけば元カレと別れて2年。心配する既婚子持ちの妹に勧められ、マッチングアプリに登録してデートを始めてみたけれど。何も決めない優柔不断男子、 プロフィールと見た目が全然違う人、素性のあやしいイケメン……本当にアプリで運命の人は見つかるの? 恋愛も仕事も宙ぶらりんな30代女子、未来探しのゆくえは。共感が止まらないマッチングアプリ小説。
  • 国道16号線―「日本」を創った道―(新潮文庫)
    3.5
    横須賀から、横浜、町田、八王子、川越、柏などを経て木更津まで。東京をぐるりと囲む16号線エリア。約1100万人が住む一大経済圏である。旧石器時代から人々が集まり、二つの幕府の礎となった。絹の輸出で近代国家を支え、戦後はユーミンをはじめ新たな才能がここで育まれる。子供たちも増加し、未来へつながる道となった16号線、その秘密とは。胸躍る、新・日本文明論。(解説・三浦しをん)
  • 脱スマホ脳かんたんマニュアル(新潮文庫)
    3.7
    集中力が続かない。時間の使い方がヘタ。いつも寝不足。原因は、もしかしたらスマホにあるのかも。スマホを使っているとき、脳には一体何が起きている?――勉強しているときスマホを隣の部屋に置くと効率アップ。何かを覚えるときはタブレットではなく紙で読もう。睡眠が記憶を定着させる。SNSを使いすぎると幸福度が下がる? 知っておけば絶対安心、スマホとかしこく付き合うための本。
  • クローズドサスペンスヘブン(新潮文庫nex)
    3.7
    俺は、間違いなく殺された。なのに、ここはどこだ? 気がついたら目の前にはリゾートビーチと西洋館。姿の見えない配達人から毎朝届く不思議な新聞によると、現世で惨殺された6人が、記憶を無くした状態で、この天国屋敷に返り咲いたらしい。俺は誰だ? なぜ、誰に殺された!? 俺たちは真相を知りたい――。館(やかた)ものクローズドサークルに新風を吹き込む「全員もう死んでる」ミステリ。
  • 君と漕ぐ5―ながとろ高校カヌー部の未来―(新潮文庫nex)
    4.5
    日本代表選手となり注目を集める天才カヌー少女・恵梨香。だが大会で思いがけない事態に見舞われる。親友の舞奈は彼女を見守るが。一方、三年生になった希衣は自らの進路に悩んでいた。大学でも夢を追い続けるべきだろうか、それとも。そして迎えたインターハイ。今度こそ全国制覇の悲願は叶うのか――。感動のエピローグに熱い涙が溢れ出す、水しぶき眩しい青春小説、ついに完結。
  • 近鉄特急殺人事件(新潮文庫)
    4.0
    京都発賢島行近鉄特急ビスタEX(エックス)の車内で大学准教授が殺された。彼はテレビ番組の過激な司会者として知られ、番組で伊勢神宮を貶める自説を主張する予定だった。一方、東京では歴史雑誌編集者が殺され、同棲していた同僚の女が姿を消した。二つの殺人に関連を感じ伊勢神宮に向かった十津川警部が内宮門前町〈おかげ横丁〉で発見したのは、容疑者の意外な姿だった。長編トラベルミステリー。
  • テロルの原点―安田善次郎暗殺事件―(新潮文庫)
    5.0
    一九二一年、ある無名の青年が広く知られる人物を殺害した。一代で財閥を作り上げた安田善次郎を襲った犯人の名は、朝日平吾。その衝撃は原敬首相暗殺の連鎖を生み、二・二六事件に至るテロリズムの世を招来する。彼は屈辱、怨恨、強い承認願望を抱いていたのではないか――。当時と現代に格差社会という共通項を見出す著者が、青年の挫折に満ちた半生を追ってゆく。『朝日平吾の鬱屈』改題。
  • チーズ屋マージュのとろける推理(新潮文庫nex)
    3.2
    東京・神楽坂の路地に佇むレストラン、マージュ。イケメンシェフ、真沙流が出す絶品チーズ料理で人気の店だ。ここでウェイトレスとして働く美藻は、最悪な彼氏から逃れてきたワケアリ女子。ふたりは、ラクレットにフォンデュ、リゾットなど、おいしい一皿とともに、お客の抱える悩みやトラブルを解決に導いていく。だが真沙流にもまた、隠された秘密が……。極上のグルメミステリ。
  • 犬も食わない(新潮文庫)
    3.9
    派遣秘書の福は雇い主と出かけた先のビルで、廃棄物処理業者の大輔とぶつかった。ろくな謝罪もない舐めた態度に激高した福は罵詈雑言の限りを尽くし、大輔は一言でやり返す……そんな最悪な出会いから始まった。ベッドの半分を占める体は邪魔だし、同じシャンプーが香る頭は寝癖だらけ。他人の「いいね」からは程遠い、喧嘩ばかりで格好つかない恋愛の本音を、男女の視点別に描く共作小説。
  • 伯爵と成金―帝都マユズミ探偵研究所―(新潮文庫nex)
    3.3
    大正情緒を引きずる昭和6年、1人の強欲成金が顔を赤いペンキで塗られた異様な死体となって発見された。冤罪を着せられた放蕩息子の牧野心太郎は、真犯人を捕まえるために、タダで探偵をするという奇特な伯爵家の次男坊・黛望(まゆずみのぞみ)を頼る。一方、巷では同様の死体が次々見つかり、「黒影法師」なる者の仕業と噂になっていた――。耽美と退廃が匂い立つ、帝都バディミッション開幕!
  • 丘の家のジェーン(新潮文庫)
    4.1
    うららか街の古い大邸宅で、12歳のジェーンは重苦しい生活を送っていた。彼女には父がなかった。頑なな祖母と美しい母は、なぜかそのことに触れたがらない。しかし突然、父からの手紙が届いた。プリンス・エドワード島で一緒に夏を過そうという。こわごわ出かけた彼女は、美しい自然と素朴な人情、そして何より父の深い愛情に包まれ、丘の上の小さな家で目ざましく成長してゆく。
  • 一勝九敗(新潮文庫)
    4.4
    豪胆な父とは対照的に内気な息子・柳井正は、大学卒業後、家業の紳士服店を継いだ。やがて店をカジュアルウエアのトップ企業「ユニクロ」へと急成長させるまでには、数々の失敗の歴史があった。株式上場、急成長、業績低迷の実態に率直に触れつつ、高品質の衣料を低価格で売る秘訣、広告代理店任せにしない宣伝戦略、透明性の高い人事など、独自の経営哲学を惜しみなく公開する。
  • それでも俺は、妻としたい(新潮文庫)
    3.1
    1巻693円 (税込)
    同棲から始まった結婚。あの頃はチカと毎晩抱き合っていた――。40歳を迎えたのにいまだに売れない脚本家の俺。家事や息子の保育園への送り迎えをこなしているのに、働きに出ている妻にゴミ扱いされ、セックスは「ヤダ」の一言で拒否される始末。だが俺はチカの巨乳に触れたいのだ。いじましい欲望。ちっぽけなプライド。そして、愛。男と女を笑いの渦に叩き込んだ傑作夫婦小説(ほぼ実録)。(解説・北上次郎)
  • 女副署長(新潮文庫)
    3.6
    1~3巻693~737円 (税込)
    地域課警部補の死体が、警察署の敷地内で発見された。胸にはナイフが突き立ち、激しい雨に打たれていた。直後に封鎖された署内に動揺が走る。犯人は庁舎内に隠れているのか。まさか本官なのか。副署長の田添杏美は、所轄署の名誉をかけて犯人を挙げると決意するが……。留置場の異様な出来事、剛腕刑事課長との厳しい対立、解けない謎。元女性白バイ隊員の著者が女性警視の捜査魂を描く傑作。(解説・吉野仁)
  • 100文字レシピ ごちそうさま!(新潮文庫)
    4.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 待ってました! 簡単なのに本格派、大人気の「100文字レシピ」が新たに116品のお料理をどーんとご紹介。晩ごはんに、ちょっとしたお酒のおつまみに、おしゃれに決めたいディナーにと、使えるレシピが満載です。もちろん料理がニガテな人にもやさしくコツを伝授します。ハンディな文庫はお買い物のお供にしても便利。手軽なこのレシピで、自分で作るごはんのおいしさ味わってみませんか。(解説・重松清) ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • インスマスの影―クトゥルー神話傑作選―(新潮文庫)
    3.8
    ラヴクラフトは不遇のままその生涯を閉じた。だが、彼の創造したクトゥルー神話は没後高く評価され、時代を越えて世界の読者を虜にしている――。頽廃した港町インスマスを訪れた私は、魚類を思わせる人々の容貌の恐るべき秘密を知る(表題作)。漂流船で唯一生き残った男が握りしめていた奇怪な石像とは(「クトゥルーの呼び声」)。英文学者にして小説家、南條竹則が選び抜いた、七篇の傑作小説。
  • 次の電車が来るまえに(新潮文庫nex)
    4.2
    列車はいつも、僕らの日々を運んでく。出会いも別れも、伝えたかった言葉も――。祖母と豊橋を訪れた美羽。「路面電車に乗りたい」という祖母の秘められた思いとは(「二十歳のおばあちゃん」)。故郷への新幹線で想起する父の記憶(「やまびこ」)、貨物列車をめぐる六年生の小さな冒険(「名島橋貨物列車クラブ」)など、心のつながりを描く人生のスケッチ、全5話。『四角い光の連なりが』改題。
  • 焔(新潮文庫)
    3.5
    焔を囲んだ人達が、それぞれの身に起こったことを語り出す――。近隣諸国と武力衝突の危険性が高まるなか、人々が“あること”を始める「ピンク」。突然泣き出してしまう“謎の病”が大流行する「眼魚」。南米やアフリカなど各地から集まった力士が頂点をめざす「世界大角力共和国杯」。祈りや驚嘆、希望など様々な思いを込めて語られた九つの物語は、最後に大きく燃え上がる。谷崎潤一郎賞受賞作。
  • やまいだれの歌(新潮文庫)
    4.4
    中学を出て、その日暮らしを三年半。十代も終わりに近づいてきた北町貫多は、心機一転、再出発を期し、横浜桜木町に移り住み、これまでの日雇いとは異なる造園会社での仕事をはじめた。三週目に入って、事務のアルバイトとして貫多と同い年の女の子がやってきた。寝酒と読書と自慰の他に特に楽しみのなかった貫多に心を震わせる存在が現れたのだった。著者初の幻の傑作長編、ついに文庫化。(解説・山下敦弘)
  • この恋が壊れるまで夏が終わらない(新潮文庫nex)
    3.6
    時を遡ることができたなら。誰でも夢見る力を僕は生まれつき持っていた。そんな能力もさして活用せずにひっそり過ごしてきたけれど、高校に入り初めて恋をする。相手は図書委員の純香先輩。放課後は司書室に入り浸り、僕の青春は色づいていった。けれど夏休み最後の日、先輩は凄惨な死体で発見される。先輩を救うため、僕は時を遡る――。切なくも甘いタイムリープ青春ミステリ。
  • すごい言い訳!―漱石の冷や汗、太宰の大ウソ―(新潮文庫)
    3.0
    言い訳――窮地を脱するための説明で、自分をよく見せようとする心理が働くので、大方軽蔑の対象になる。しかし文豪たちにかかれば浅ましい言い訳も味わい深いものとなる。二股疑惑をかけられ必死に否定した芥川龍之介。手紙の失礼を体調のせいにしてお茶を濁した太宰治。納税額を誤魔化そうとした夏目漱石。浮気をなかった事にする林芙美子等、苦しく図々しい、その言い訳の奥義を学ぶ。(解説・郷原宏)
  • 作家との遭遇(新潮文庫)
    4.1
    少年の頃に開いた書物の森で、あるいは「学校」のようだった酒場の片隅で、沢木耕太郎が心奪われるように出会ってきた作家たち。山本周五郎、向田邦子、山口瞳、色川武大、吉村昭、吉行淳之介、小林秀雄、瀬戸内寂聴など、書くことが即ち生きることだった19人の作家に正面から相対し、その本質を描き出す。誰も知らなかった顔に辿り着き、緊張感さえ孕むスリリングな刺激あふれる作家論!
  • 幽玄の絵師―百鬼遊行絵巻―(新潮文庫)
    3.3
    都の闇に跋扈する、人ならぬもの鬼の如きもの――。妖異が見える異能の絵師土佐光信は、将軍足利義政から、人心を惑わす妖物の正体を解くよう命じられる。御所をさまよう血塗れの女や、禍々しい「呪詛屏風」、影を喰らうものや、人の泣き声を餌にするもの。将軍の心に取り憑き、裏から世を操る「鬼」……。光信が怪異の謎を突き止めたとき、真に怖ろしいのは妖物か人か――。室町ミステリー。(解説・細谷正充)
  • 辞表―高杉良傑作短編集―(新潮文庫)
    4.0
    1巻693円 (税込)
    この会社には将来があるのか――組織を見限り別の道に挑戦する男を描く「エリートの脱藩」。病魔に倒れた社長の後継人事に奔走する男の秘策「社長の遺志」。人員解雇に忙殺される人事部長を描く「人事部長の進退」。社内抗争に巻き込まれた男と同期の友情を描く「エリートの反乱」。社長の劇的な退任劇「社長、解任さる」。己れの矜持を賭けた決断の瞬間を経済小説の巨匠が鮮烈に描く名作。(解説・杉田健二)
  • 日本の聖域 ザ・コロナ(新潮文庫)
    4.0
    世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス。人命を脅かす疫病を前に、己の利のみ追及し甘い蜜を吸う輩が存在する。感染症対策そっちのけでワクチン利権拡大に勤しむ国立感染症研究所。人流減しか提言できない専門家会議の実態。カネを独占するため異常に抑制されたPCR検査……。国民生活に密接する国の中枢で何が行われているのか? 25の組織や制度の裏面に迫り報じられない実情を暴く。(解説・柳田邦男)
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)
    3.8
    富商の娘を娶り、藩の有力派閥の後継者として出世を遂げる三浦圭吾。その陰には、遠島になってまで彼を守ろうとした剣客・樋口六郎兵衛の献身と犠牲があった。十年後、島から戻った六郎兵衛。だが、二人は敵同士として剣を交えざるを得なくなる……。派閥争いに巻き込まれ、運命に翻弄されていく男たち。彼らは、何を守るために刀を振るうのか。真に大切なものを問う、葉室文学の円熟作。(解説・島内景二)
  • 阿修羅ガール(新潮文庫)
    3.6
    アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的(ガーリッシュ)に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪! グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう? 東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは――。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。
  • フィッシュストーリー(新潮文庫)
    3.7
    最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。(解説・佳多山大地)
  • 天誅の剣(新潮文庫)
    3.0
    幕末師走。長州藩の志士山尾庸三と伊藤俊輔は、夜の九段坂で暗殺を決行した。義挙と信じていたが、改革派の村田蔵六から厳しく叱責される。翌年、二人は村田の助力で仲間と密航、ロンドンでその先進性に驚愕した! だが帰国してみると、世は守旧の激徒が暗躍し、村田の身にも危機が――。時は流れ、ハルビン駅頭。韓国併合に反対の伊藤が、凶弾に斃れる。〈天誅〉を主題に描く渾身の歴史小説。
  • 最後の読書(新潮文庫)
    4.0
    目はよわり、記憶はおとろえ、蔵書は家を圧迫する。でも実は、老人読書はわるいことばかりではないよ――。鶴見俊輔、幸田文、須賀敦子……。長い歳月をたずさえて読む本は、豊かで新鮮なよろこびに満ちている。親しい仲間や敬愛する先達との別れを経験しながら、それでも本と出会い続けよう。本を読み、つくり、書いてきた読書人が、その楽しみを軽やかに綴る現状報告。読売文学賞受賞作!(解説・鈴木敏夫)
  • 警察庁長官を撃った男(新潮文庫)
    4.2
    1995年3月、日本中を震撼した国松孝次警察庁長官狙撃事件。特別捜査本部を主導する警視庁公安部がオウム犯行説に固執する一方、刑事部は中村泰なる老スナイパーから詳細な自供を得ていた。だが、特捜本部は中村逮捕に踏み切らず、事件は時効を迎えてしまう。警察内部の出世とメンツをかけた暗闘や、中村の詳細な証言内容など極秘捜査の深層を抉るノンフィクション。
  • ニューノーマル・サマー(新潮文庫nex)
    3.0
    2020年、日常が一変したコロナの夏。俺たちは次の公演『4回転サイタマ』の準備を始めた。世間からは“不要不急”“要警戒三密指定生物”として避けられ疎まれ、“自粛”を要請されながらも、たった一度きりの今しかないこの瞬間に、青春のすべてを注ぎ込む。はたして舞台の幕は上がるのか――。劇団脚本係の“俺”と主演女優“サリエロ”の一夏を描く、笑いあり涙ありのウィズ・コロナ青春小説。
  • 火のないところに煙は(新潮文庫)
    4.0
    1巻693円 (税込)
    「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の〈私〉は驚愕する。心に封印し続けた悲劇は、まさにその地で起こったのだ。私は迷いつつも、真実を求めて執筆するが……。評判の占い師、悪夢が憑く家、鏡に映る見知らぬ子。怪異が怪異を呼びながら、謎と恐怖が絡み合い、直視できない真相へとひた走る。読み終えたとき、それはもはや他人事ではない。ミステリと実話怪談の奇跡的融合。(解説・千街晶之)
  • 銀婚式(新潮文庫)
    3.7
    証券会社のNY本部で多忙をきわめていた高澤は、妻との関係が壊れ離婚。会社も破綻する。再就職先で直面した、華やかなキャリアなど通用しない中堅損保の厳しい現実。再び転職した地方の無名大学で、都落ちの寂寥感に沈む高澤の前に現れたのは、学部長秘書の清楚な女性だった……。低迷する日本経済を背景に、もがきながら生きるビジネスマンの仕事と家族を鮮烈に描き、万感胸に迫る傑作。(解説・藤田香織)
  • 紫ノ宮沙霧のビブリオセラピー―夢音堂書店と秘密の本棚―(新潮文庫nex)
    3.8
    洋館めいた店内に入ると、そこには壁一面の本と、書店には不釣り合いなドレスに身を包む美貌の女性――夢音堂書店の店主、紫ノ宮沙霧がいた。日常の繰り返しに飽き飽きしていた青年、書けない小説家、大好きな先輩との恋に夢中の、一見幸せそうな少女。彼らが抱えた切実な痛みと店主が差し出す本が出会うとき、圧倒的感動に包まれる、新感覚読書療法(ビブリオセラピー)小説。
  • どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか(新潮文庫)
    3.9
    人は必ず死ぬ。その事実から逆算すれば、悩みはもっと軽くなる。お金とは→義理と金は誰かのために使ってこそ。結婚とは→相手とちゃんと言葉で褒め合うこと。運とは→人との縁がもたらすもの。人生とは→大きな目的を持つのは危険。仕事とは→人生の本業ではなく暇つぶし。命とは→生に執着するほど死が怖くなる。下ネタやダジャレの中にきらめく真理、才人ふたりが考える「人生の作法」。
  • 死神と弟子とかなり残念な小説家。(新潮文庫nex)
    4.1
    少年は、突然現れた黒ずくめの死神から、何故か見習いに採用された。ナナと名付けられ、「あの世」へ向かう契約書にサインをもらうため、死者(クライアント)の許へ――家族を待つ元音楽教師の老女や、バレリーナを夢見てレッスンに励む13歳の少女に胸打たれる。だが、過去の栄光に縋る中年小説家にはさすがに呆れ……。死を前にしても希望を抱く彼らに接したナナは、死神の任務を全うできるのか。
  • 月の炎(新潮文庫)
    4.3
    初めて見る皆既日食に小学五年の弦太たちは沸き立った。しかし、その日から、クラスメイトの家や学校の兎小屋などで放火事件が相次ぐ。消防士として殉職した父に似て強い正義感をもつ弦太は、友達と共に犯人捜しに動き出す。だが、危険を冒しながら辿り着いたのは、せつないほど歪(いびつ)な光と影だった。父が遺した言葉を守る少年が、大人になるための嘘と痛みを知っていく鮮烈な青春ミステリー。(解説・中江有里)
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)
    4.1
    上様の寵愛こそすべて、とは考えなかった女性たちがいた。御手つきとは違い、昼間の仕事に励んだ「お清」の女中たち。努力と才覚で働く彼女たちにも、人知れず悩みはあって……。里に帰れぬ事情がある文書係の女、お洒落が苦手なのに衣装係になった女、大柄というだけで生き辛い女、負けるわけにはいかぬが口癖の女。涙も口惜しさも強さに変えて、溌剌と自分らしく生きた女たちを描く傑作。(解説・細谷正充)
  • 辰巳八景(新潮文庫)
    4.0
    手をつないだわけでもない。好き合っていたのかもわからない。それでも祝言を挙げると知ったあの時、涙がどうしても止まらなかった……。遠い日の思い人と再会する女性の迷いと喜びを描く「やぐら下の夕照」。売れない戯作者がボロ雪駄の縁で一世一代の恋をする「石場の暮雪」。江戸深川の素朴な泣き笑いを、温かで懐かしい筆が八つの物語に写し取る。著者の独擅場、人情の時代短編集!(解説・縄田一男)
  • ひとでちゃんに殺される(新潮文庫nex)
    3.8
    宙を舞うスキー板が、地下鉄の鉄扉が、墜落する信号機が、次々と呪われた生徒の首を断つ……。怪死事件が相次ぐ教室に、謎の転校生がやって来た。「縦島ひとで、十六歳です」圧倒的な美貌で周囲を虜にし、匂い立つような闇を纏う彼女の正体は!? 助かるためには誰か一人を生贄に差し出すしかない――悪魔に魅入られた高校生たちが迫られる究極の命の選択。戦慄の学園サスペンスホラー。
  • 神仙の告白 旅路の果てに―僕僕先生―(新潮文庫)
    3.6
    劉欣を失った僕僕一行は、長安で静かな時を過ごしていた。だが突然、王弁が眠りに落ちてしまう。僕僕は王弁を助けるため、天馬の吉良と薬丹の材を探しに行く。一方、神仙たちは僕僕捕獲のため始動し、孫悟空、猪八戒、沙悟浄、関羽までもが行く手を阻む。動きを封じられた僕僕は何を企むか。師弟の完結とは何なのか。二人の最後の旅が今始まる。人界大ピンチのクライマックス直前第十弾!(解説・堀川アサコ)
  • 物件探偵(新潮文庫nex)
    3.4
    高利回りのマンションを手に入れたはずが、オーナー生活は4ヵ月で終了。なぜ? 新幹線の座席が残された部屋、HDDから覚えのない録画が流れたり、バルコニーに鳩の死骸を見つけたり。全て何者かの嫌がらせなのか? 格安、駅近、など好条件にも危険が。事故物件をチェックしただけでは見抜けない「謎」を宅地建物取引を極める不動尊子(たかこ)が解明。物件×人を巡る極上ミステリー6話。
  • 東京奇譚集(新潮文庫)
    3.8
    肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

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