作品一覧

  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)
    NEW
    -
    1巻737円 (税込)
    ああおいしい。姫君の喉もたべてやりましょう――。おぞましい遊戯に耽る男と女(坂口安吾「桜の森の満開の下」)。大怪我を負った夫に堕ちてゆく妻(江戸川乱歩「芋虫」)。幼き兄妹が罪深き愛故に望む裁き(夢野久作「瓶詰地獄」)。泉鏡花、谷崎潤一郎、小栗虫太郎、太宰治ほか名だたる文豪達による10の良識や想像力を越えた怪作。物語は今、あなたの網膜に焼き付き、忘却を拒む。
  • 【9冊 合本版】折口信夫著作集
    -
    1巻8,439円 (税込)
    折口信夫を知るならこの一冊!折口民俗学の中核となる代表的作品『古代研究 民俗学篇』全4巻/『古代研究 国文学篇』全2巻、折口が生涯にわたり書き改め続けた重要な論考『日本文学の発生 序説』、そして唯一無二の小説『死者の書』と、歌人・釈迢空としての全歌集・重要詩を収録した『釈迢空全歌集』を一冊にまとめた豪華合本版。
  • 沖縄文化論集
    値引きあり
    5.0
    天体や海洋への鋭敏な感性、孤島の生活、琉球神道とマレビト、古代神話と月、入墨の文化。民俗学や民芸運動の先駆者たちが、戦禍を越え「沖縄学」を打ち立てた珠玉の15編。詳細な注釈・解説で読み解く。
  • 折口信夫 山のことぶれ
    -
    1巻1,232円 (税込)
    マレビトやヨリシロなど独創的な概念を通じ、古代の人々の考えと生活を明らかにしようとした折口。民俗学、国文学、芸能史など、既存の学問分野を超える思想を一冊で。
  • 死者の書
    値引きあり
    4.7
    1巻506円 (税込)
    水の音と共に闇の中で目覚めた死者、滋賀津彦(大津皇子)。 一方、藤原南家豊成の娘・郎女は写経中のある日、二上山に見た俤に誘われ女人禁制の万法蔵院に足を踏み入れる。 罪を贖う間、山に葬られた滋賀津彦と彼が恋う耳面刀自の物語を聞かされた郎女の元に、「つた つた つた」滋賀津彦の亡霊が訪れ――。 ふたつの魂の神秘的な交感を描く、折口の代表的小説。 折口信夫の弟子で折口学の研究者として著名な故・池田弥三郎氏による詳細な補注、さらには作品執筆のきっかけとなった『山越阿弥陀図』および『當麻曼陀羅』をカラー口絵に収録。『死者の書』の決定版。
  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首
    4.2
    1巻2,640円 (税込)
    小池昌代の訳詩と鑑賞で和歌の世界へと誘う新訳「百人一首」を中心に、折口信夫の個性が光る「口訳万葉集」と丸谷才一の豊かな和歌の解釈を楽しむ「新々百人一首」をそれぞれ厳選し収録。 解題 口訳万葉集 岡野弘彦 解題 百人一首  渡部泰明 解説 池澤夏樹 月報 穂村弘 今日マチ子
  • 日本文学の発生 序説
    値引きあり
    -
    1巻422円 (税込)
    「優れた著作である、というより怖ろしい力を秘めた本である」――三浦雅士(新版解説) あるものを発生させる力というのは、その発生自体が目的で終息するわけではない。発生した後もその力は一つの傾向を保ち、発生させたものの変化を促し続けるのである――。古代人が諺や枕詞、呪詞に顕した神意と神への信頼を、折口は「生命の指標(らいふ・いんできす)」と名づけ、詩歌や物語の変遷を辿りながら、古代より脈打つ日本文学の精神を追究する。生涯にわたり書き改め続けた貴重な論考。 解説・井口樹生/三浦雅士 (目次) 詞章の伝承 文学様式の発生 律文学の根柢 声楽と文学と 小説戯曲文学における物語要素 文学と饗宴と 異人と文学と 翁舞・翁歌 日本文学の内容 日本文学発想法の一面――誹階文学と隠者文学と 笑う民族文学 追い書き 解説「日本文学の発生 序説」の課題 井口樹生 新版解説 凝視と方針 三浦雅士 著者略年譜
  • 古代研究I 民俗学篇1
    4.0
    1~6巻809~1,091円 (税込)
    「本論を読み解く上で、これ以上に優れたシリーズは他に存在しない」(安藤礼二) 折口にとって「古代」とは単に歴史の時代区分を示すものではなかった。熊野への旅で光輝く大王崎を眼前にし、その波路の果てに「わが魂のふるさと」を感じたことを「かつては祖々の胸を煽り立てた懐郷心(のすたるじい)の、間歇遺伝(あたいずむ)として、現れたものではなかろうか」と記す。「古代研究」はまさに彼が実感を通して捉えた、古代的要素の探求なのである。全論文を完全収録する決定版! 解説・池田弥三郎/安藤礼二
  • 南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一
    4.2
    1巻2,970円 (税込)
    民衆の紐帯であり自然の宝庫でもある社(やしろ)の破壊に反対する、南方熊楠の画期的論考「神社合祀に関する意見」。 伊良湖岬の浜辺で目にした椰子の実から日本人の来し方を想起する、柳田國男「海上の道」。 後に中将姫と呼ばれる藤原南家の姫君と、非業の死を遂げた大津皇子の交感を軸に綴られる、折口信夫「死者の書」。 近代女性の生き様を活写する「海女たち」「出稼ぎと旅」「女工たち」ほか、宮本常一「生活の記録」。 神話、伝承、歴史、生活、自然など、日本のすべてを包摂する厖大な文業から、傑作29篇を精選。 【ぼくがこれを選んだ理由】 民俗学は文学のすぐ隣にある。 南方熊楠の鎮守の森を擁護する論は今のエコロジーにつながっている。  柳田國男と宮本常一の論考を連ねると、正面から描かれた近代日本人の肖像が見えてくる。  折口信夫はもうそのまま文学。読んでいると古代の日本人とすぐにもハグできるような気持になる。(池澤夏樹) 解説=池澤夏樹 解題=鶴見太郎 月報=恩田陸・坂口恭平
  • 大嘗祭の本義
    -
    1巻440円 (税込)
    折口 信夫による作品。
  • 信太妻の話
    -
    1巻440円 (税込)
    折口 信夫による作品。
  • 神道に現れた民族論理
    -
    1巻440円 (税込)
    折口信夫による作品。
  • 琉球の宗教
    -
    1巻440円 (税込)
    折口信夫による作品。
  • 水の女
    -
    1巻440円 (税込)
    折口信夫による作品。
  • 翁の発生
    -
    1巻440円 (税込)
    折口信夫による作品。
  • 死者の書 ―初稿版―
    -
    1巻742円 (税込)
    折口信夫による作品。
  • 「とこよ」と「まれびと」と
    -
    1巻343円 (税込)
    折口信夫による作品。
  • 釈迢空全歌集
    5.0
    1巻1,443円 (税込)
    折口信夫(釈迢空)は近代日本にまるで奇蹟のように、古代の心、古代の詩歌のひびきを、鮮烈に蘇らせた歌人であった――。 短歌滅亡論を唱えるも、その真意は再生への願いであり、日本語の多彩な表記を駆使しながらつねに短歌の未来と格闘し続けた。折口が残した6冊の歌集に私家版・自筆選集、短歌拾遺、さらに関東大震災に直面し、短歌形式に収めることのできない苛烈な体験を詠んだ詩作品含めた、初の文庫全歌集。 「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」 生涯「旅びと」であった折口の姿が立ち現れてくる。 (目次) 海やまのあひだ 春のことぶれ 水の上 遠やまひこ 天地に宣る 倭をぐな 私家版・自筆選集 短歌拾遺 詩拾遺 解題 解説 岡野弘彦 略年譜 作品初句索引
  • 死者の書(上)
    完結
    4.0
    全2巻814円 (税込)
    時は八世紀半ば、平城京の都が栄えた頃。いずれ氏神に仕える者として、館の奥深くで育てられた藤原南家の娘――郎女は、ある年の春分の日の夕暮れ、荘厳な俤びとを、二上山の峰の間に見て、千部写経を発願する。一年後、千部を書き終えた郎女は、館から姿を消し、ひとり西へ向かう。郎女がたどり着いたのは、二上山のふもと、女人禁制の万法蔵院。結界破りの罪を贖うため、寺の庵に入れられた郎女は、そこで語り部の姥から、五十年前に謀反の罪で斬首された滋賀津彦と耳面刀自の話を聞かされるのだが――。第18回文化庁メディア芸術祭[マンガ部門]大賞「『五色の舟』(原作:津原泰水)」 受賞後第一作! 日本民俗学を築いた折口信夫の傑作小説を、初読四十年にしてついに漫画化。古代へと誘う魂の物語。
  • 死者の書
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「かの人の眠りは、徐かに覚めて行った」。都が平城京にあった時代、藤原南家郎女は彼岸の中日、二上山に俤びとの姿をみる。果たして、かの人はその昔罪なき咎で命を奪われた尊い御仁であった。やげて郎女は千部写経の成就に導かれ、亡き人の魂を慰めようとするのだが…………。  人の世と神の世を行き来する姫と、亡霊となった大津皇子との魂の交歓を描いた物語。本作は国文学者、歌人として有名な折口信夫が奈良の当麻寺に伝わる伝説に着想を得て書き上げた物語。
  • 死者の書・口ぶえ
    3.8
    1巻770円 (税込)
    「した した した。」雫のつたう暗闇、生と死のあわいに目覚める「死者」。「おれはまだ、お前を思い続けて居たぞ。」古代世界に題材をとり、折口信夫(1887-1953)の比類ない言語感覚が織り上げる物語は、読む者の肌近く忍び寄り幻惑する。同題の未発表草稿「死者の書 続編」、少年の眼差しを瑞瑞しく描く小説第一作「口ぶえ」を併録。(注・解説=安藤礼二)

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  • 折口信夫文芸論集
    3.0
    釈迢空の別名を持ち、学者にして詩人、詩人にして学者という生涯を送った折口信夫は、古代から近代にいたる日本文化を貫く本質をとらえ、詩歌、小説、文学研究、民俗学研究と他の追随を許さない多岐にわたる業績を残した。源氏物語、隠者の文学、短歌の滅亡、近代文学など折口が関心を寄せた日本文学の諸相を多彩な切り口で整理し、批評家としての全体像に迫る画期的評論集。
  • 用言の発展
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  • 河童の話
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  • 日本文学の発生(旧仮名)
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  • 日本文学の発生
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  • 水の女(旧仮名)
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  • 詩語としての日本語(旧仮名)
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  • 死者の書(旧字・旧仮名)
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  • 死者の書(旧仮名)
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  • 山越しの阿弥陀像の画因(新仮名)
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  • 山越しの阿弥陀像の画因(旧仮名)
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  • 最古日本の女性生活の根柢(旧仮名)
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  • 愛護若
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  • 翁の発生
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  • 国語と民俗学
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  • 国文学の発生(第二稿)
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  • 国文学の発生(第四稿)唱導的方面を中心として
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  • 国文学の発生(第三稿)まれびとの意義
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  • 鸚鵡小町
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  • 髯籠の話
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  • 妣が国へ・常世へ
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  • 和歌批判の範疇
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  • 霊魂の話
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  • 琉球の宗教
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  • 役者の一生
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  • 茂吉への返事
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  • 万葉集研究
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  • 万葉集の解題
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  • 万葉集のなり立ち
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  • 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首

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    『口訳万葉集』:万葉集の現代語訳を手掛けた折口信夫の著書より抜粋。折口信夫を知る上ではちょうど良い分量と難易度。

    『百人一首』:現代の詩人である小池昌代による分かりやすい現代訳で,他2作に比べると浮いて見えるが,『竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03)』に近いテイスト。

    『新々百人一首』:丸谷才一が自ら百人一首を手掛けたテキストより抜粋。和歌研究の深層に踏み込んだ内容を含む。

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    2024年03月17日
  • 釈迢空全歌集

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    民俗学者にして歌人の釈迢空の歌をすべて収める決定版。ぽつりぽつりと言葉を編みながら、自己の内面へ深く降りていく語り口が魅力的だ。「葛の花 踏みしだかれて 色あたらし。この山道を行きし人あり」「人も馬も 道ゆきつかれ死ににけり。旅寝かさねるほどのかそけさ」「道に死ぬる馬は、仏となりにけり。行きとどまらむ旅ならなくに」「ながき夜の ねむりの後も、なほ夜なる。月おし照れり。河原菅原」「なき人の 今日は、七日となりぬらむ。遭ふ人も あふ人も、みな 旅人」「たゝかひに果てし我が子の 還り来し夢を語らず。あまりはかなき」「山の葉のわかやぐ村に かへりゐて つくづくに思ふ。われは死なざりき。」「いまははた 

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    2023年08月18日
  • 死者の書・口ぶえ

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    ネタバレ

    姉御の歌う二上山。闇に眠る皇子が目覚める。
    月が照らす峰々を見下ろし、鳥のように砂光る川へ下降する。当麻路へと続くその光景を声にして味わえば、中将姫の、郎女の、大津皇子に重なる天若日子への、尊者への彩画は曼荼羅となる。
    なんと美しく狂おしい物語。中将姫へのオマージュ…

    女人結界を犯した罪で当麻寺山陰の小さな庵室に籠る藤原南家郎女の、世に疎い純真さと賢さは何処からくるのだろう。
    叔父である恵美押勝と大伴の話も絡めた事も面白く、俗世と郎女のストイックさの対比にも思えた。

    郎女が織る命の蓮の織物
    中将姫の当麻曼荼羅信仰に重なる。
    中将姫が蓮糸で織った「当麻曼荼羅」

    未完の死者の書続編が気になり

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    2023年05月19日
  • 沖縄文化論集

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    【沖縄文化論の草分け論集】
    明治政府による廃藩置県で琉球王国が滅亡し沖縄県とされたのは、1879年である。日本で沖縄文化研究の本格的な気運をつくったのは民俗学の創始者の柳田国男だった。柳田は南島こそ日本文化の源流と見ていたのだ。柳田の『海南小記』に刺激されて、折口信夫も沖縄を訪ね、『琉球の宗教』を書く。他方、民芸運動の主唱者柳宗悦は、沖縄における「民衆芸術」の営みを愛でた。
    本書は、柳田、折口、柳をはじめとする沖縄文化論の草分けの論考が詳細な注記とともに読みやすい形で提供されている。返還50周年を機に、沖縄の文化を見つめ直すのに格好な本である。
    柳田「日を経て南の風の吹く頃には、遙かなる常夏の

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    2022年10月14日
  • 死者の書(上)

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    物語の舞台は奈良時代。
    二上山(ふたかみやま)の麓にある當麻寺(たいまでら)に、ひとりの娘が迷いこんだ所から物語は始まります。
    娘の素性は藤原南家郎女(ふじわらなんけのいらつめ)、藤原鎌足を祖先に持つ貴族の姫君でした。
    本来なら家来にかしずかれ、立ち歩くことさえ稀であるはずの姫が、一晩中山を歩きとおしたあげく女人禁制の寺の境内で見つかったのですから、僧たちも藤原家も大騒ぎです。

    姫に家を忘れさせ、寺の禁忌を破らせたもの。
    それは何百部もの写経の末に見た奇蹟であり、
    二上山の向こうに顕れた御仏の尊いお姿であり、
    女人には禁じられているはずの思索と自我の萌芽でした。
    しかし掟は掟、罪を償うまでは

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    2022年01月14日

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