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鎌倉初期・京都。戒律と理想に生きた一人の僧がいた――。十六歳で出家し求道のため自らの右耳を切り落とした明恵は、仏道に励み高山寺を開く。一世を風靡した法然を糾弾し、承久の乱の敗残兵を匿うなど、権力に屈せず釈迦の教えを貫く姿は、純真な魂そのものだった。気高さと無垢を併せ持ち、仏教史に鮮烈な足跡を刻む奇僧を、従者イサの眼を通して蘇らせた傑作長編。『あかあかや明恵』改題。(解説・玄侑宗久)
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Posted by ブクログ
鎌倉時代初期、日本の仏教が大きく変わろうとしている時期の高山寺の明恵上人の話。詳しくは知らない方だったので、少しでも知ることが出来て良かったと思う。 あるべきように生きること。 自力なのか他力で本願を遂げるのか。 少なくとも自分が自分のことを恥ずかしいと思う生き方はしてはいけないという考えには全面的...続きを読むに同意、改めて自分の中の宗教観を見直してみるのには良い作品。
鎌倉時代の僧・明恵上人と高山寺にまつわる逸話を並べた小説。上人の入寂後、他の弟子たちにせがまれて、長く上人に仕えてきた従者・イサの視点から、上人の半生の出来事―耳切り事件、天竺行きの断念、高山寺の開山から整備、承久の乱等々―を語る歴史小説の“はず”。 明恵上人という人は、達観した超能力者のようであり...続きを読むながら、ときに過集中で子どものような行動に走る。「現代ならADHD傾向でとても苦労するタイプだな」という印象を抱いた。 先に「歴史小説の“はず”」と書いたのは以下の2点から。 小説で語られる逸話や絵画・彫刻は、この小説を読む前から幾らか知っていたが、名僧にまつわる逸話というのは、どうにも史実かどうか怪しい。こういうものでも、作家の外側に客観的にある素材ならば歴史小説と言えるのだろうか。と気になって著者のプロフィールに当たれば「本格派の歴史作家として評価される」(本書カバー裏にある著者略歴)だったり、「主に女性を中心に据えた時代小説を執筆」(Wikipediaの記事「梓澤要」)だったりと、一定していない。これは歴史小説でなくて時代小説だったかもしれない。 語り手・イサによる一人称視点の小説だが、このイサが知りすぎているように思う。明恵上人の見た夢については「夢記」という文書が現代まで伝わっているとはいえ、他人の見た夢を事細かに語る同時代の第三者というのが不自然に見えた。また、イサは、猟師の子として生まれ、8歳のときに親に捨てられて以来、上人に仕えるも出家はせず、上人の身辺の世話と薬草園の管理を主な仕事として37年を過ごしてきた寺男。当時の社会情勢(上皇の皇女が誰それで、その母御が誰それで、その方の実家が○○家で、そこでは何年にこういうことがあって…)を語る箇所も多いのだが、語り手・イサがそんなことを熟知するキャラクターに見えない点もひっかかった。 こんなことにひっかかる私は、もしかしたら歴史小説の読者には向いていないのかもしれない。
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