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匿名
時代は聖武天皇の奈良時代。
仏師田辺嶋は阿修羅像をつくるにあたり、出自のことで悩み荒れていた13歳の泉王子をモデルとする。
泉王子は長じて橘奈良麻呂となり、父葛城王改め橘諸兄を扶けて、皇后光明子及び藤原氏と対立しようとする。
聖武天皇の娘の孝謙天皇の代になって寵愛される藤原仲麻呂に反旗を翻そうとしたところで露見し、奈良麻呂は拷問死する。
これまであまり気に留めてこなかった「橘奈良麻呂の変」についての物語を興味深く読んだ。
奈良興福寺の阿修羅像の、怒りと哀しみのない交ぜになったように、ともすると泣き出しそうにも見える表情が、鬱屈を抱えた13歳の少年の姿だったとすると、なるほどと納得させられる気がする。
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