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ごきげんいかが、ワトスン博士
1889年夏。アイリーン・アドラーと親友のペネロピーは、パリで意識を失った男性を助ける。偶然にも、彼はペネロピーが家庭教師をしていたときの知人クウェンティンだった。医師の診察により、昏倒したのは毒物が原因だと判明するが、彼は詳細を語らない。だが、アイリーンの家で療養中に狙撃されたことで事情を打ち明ける。かつて戦場で助けられた軍医に迫る危機を知らせるため、危険を承知で彼を捜しているというのだ。軍医の名はワトスン――。アイリーンたちはアフガニスタンに端を発する事件をめぐり、名探偵ホームズとまたもや相まみえる! -
ご近所美術館
国道沿いのビル群の間にひっそりと建つペンシル・ビル。その二階に“美術館”はあります。のんびり寛げるラウンジは憩いの場として親しまれ、老館長が淹れるコーヒーを目当てに訪れるお客もちらほら。しかし、この度館長が引退することに……。後任としてきたのは、稀に見る美貌を持つ川原董子さん。そんな彼女に、常連の海老野くんは一目惚れしてしまいます。董子さんを振り向かせたい一心で、彼女の妹あかねさんの助けを借りつつ、来館者が持ちこむ謎を解決していく海老野くん。果たして、彼の恋の行方は? 恋する青年が美術館専属の探偵となって奮闘する、ほんわか連作ミステリ。/解説=大矢博子 -
ゴシックタウン
自身が切り盛りするニューヨークの一流料理店を閉店し、母とも仲違いして落ち込んでいたビリーの元に、ジュリアナという南部の町への移住勧誘メールが舞い込んだ。たった百ドルでヴィクトリア朝様式の邸宅を提供し、しかも起業の資金援助もするという内容に、疑いつつも好奇心に駆られ返信して以降、ジュリアナの魅力に惹かれたビリーは夫と幼い娘と猫とともに移住を決断する。穏やかな気候、豪華な館、親切な住民、理想の仕事……だがジュリアナを支配する奇妙なルールが徐々に家族の生活を侵食してゆく。シャーリイ・ジャクスンを彷彿とさせるアメリカン・ゴシック・ホラーの新機軸。 -
ゴッサムの神々
新たなる名探偵、登場!1845年、ニューヨーク。バーテンダーのティムは街を襲った大火によって顔にやけどを負い、仕事と全財産を失ってしまう。新たに得た職は、創設まもないニューヨーク市警察の警官だった。慣れない仕事をこなしていたある夜、彼は血まみれの少女とぶつかる。「彼、切り刻まれちゃう」と口走って気絶した彼女の言葉どおり、翌日胴体を十字に切り裂かれた少年の死体が発見される。だがそれは、ニューヨークを震撼させた大事件の始まりにすぎなかった……。不可解な謎がちりばめられた激動の時代を生き抜く人々を鮮烈に活写した、圧巻の傑作ミステリ。MWA最優秀長篇賞最終候補作。 -
ゴースト≠ノイズ(リダクション)
ぼくが1年A組の幽霊になって、一月が経過した――高校に入学したばかりのころの失敗によってクラス内で孤立し、いまでは幽霊扱いされている一居士架(いちこじかける)。惨めな日常を過ごしながらも限界を感じていた架は、十月の席替えで前の席になった玖波高町(くばたかまち)に突然話しかけられる。それは彼の苦しみに満ちた毎日に変化をもたらす、小さくも確かな予兆だった。時を同じくして、校舎の周辺では蝶結びのメッセージを残した動物の死骸が相次いで発見され、休みがちになった高町は何かに思い悩むような様子を見せはじめる……。圧倒的な筆力と繊細な技巧が紡ぎ出す、静謐な感動に満ちた青春ミステリ。/解説=大森望 -
サイモン・アークの事件簿
オカルト探偵アーク登場!73人もの人間が崖から飛びおりた、謎の大量自殺事件を取材に出かけたわたしは、現場の村で不思議な男性と知り合う。その男は、悪魔の存在証明や真の超自然現象を追い求め、世界を旅しているのだという。年齢2000歳とも言われる彼の名は、サイモン・アーク――。シリーズ第1作にしてホックのデビュー作でもある短編「死者の村」を巻頭に、自薦作品の中からさらに精選した10編を収録した、オカルト探偵アーク待望の第1短編集。黒魔術、狼男、悪魔崇拝、妖精……世界じゅうで起きる怪異な事件に、快刀乱麻の推理力で挑むアークの活躍をご照覧あれ。 -
最良の嘘の最後のひと言
検索エンジンとSNSで世界的な成功を収めた企業・ハルウィンには、超能力研究の噂があった。それを受け、ハルウィンはジョーク企画として「4月1日に年収8000万で超能力者をひとり採用する」という告知を出す。そして審査を経て、自称超能力者の7名が3月31日の夜に街中で行われる最終試験に臨むことに。ある目的のために参加した大学生・市倉は、同じ参加者の日比野という少女と組み、1通しかない採用通知書を奪うため、策略を駆使して騙し合いに挑む。『いなくなれ、群青』、〈サクラダリセット〉の著者が贈る、ノンストップ・ミステリ。/解説=大森望 -
サエズリ図書館のワルツさん
世界情勢の変化と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる――。本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との距離を感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年など、彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に訪れる奇跡とは。書籍初収録短編を含む、伝説のシリーズ第1弾、待望の文庫化。/【目次】第一話 サエズリ図書館のカミオさん/第二話 サエズリ図書館のコトウさん/第三話 サエズリ図書館のモリヤさん/第四話 サエズリ図書館のワルツさん/番外編 ナイト・ライブラリ・ナイト/真夜中の図書館のこどもたち/単行本版あとがき/文庫版あとがき それでもこの手に本を抱いて -
ささやかで大きな嘘
最初は子供同士のトラブルだった……。海辺の公立幼稚園、その夜のパーティに子供たちの歌声はなく、聞こえるのは罵り言葉と保護者の乱闘の音。そして保護者の一人が死亡。事故か? 殺人か? ……事の起こりは六カ月前、シングルマザーのジェーンの息子ジギーにいじめの疑いがかかった。本人はきっぱり否定するが、保護者たちは騒然。ジギーをいじめっ子と決めつける者、ジギーの言葉を信じる者に分かれ、険悪な雰囲気に。ジェーンは園で知り合った二人の友人とともに事態に立ち向かう。31カ国で翻訳、英米で150万部突破の傑作ミステリ登場。 -
殺人者たちの王
21世紀最悪の連続殺人犯ビリー・デントが脱獄して二カ月、ジャズのもとをニューヨーク市警の刑事が訪れた。父ビリーに施された殺人者としての英才教育を生かして、ニューヨークの連続殺人、通称ハット・ドッグ・キラーの捜査を手伝ってほしいというのだ。渋々ニューヨークに同行するジャズ。だが事件を調べるうちに、故郷で起きた“ものまね師”事件との繋がりに気づく。そして被害者の遺体に書かれた〈ゲームへようこそ、ジャスパー〉のメッセージ。まさか父が? 悩みながらも事件を解決しようとするジャズ。好評の異色青春ミステリ第2弾!/解説=穂井田直美 -
砂糖の空から落ちてきた少女
ウサギ穴に落ちたり、鏡を通り抜けたりして異世界で冒険をしたのち、現実世界に戻ってきたものの、現実に適応できない子どもたち。そんな子どもたちに救いの手をさしのべる“エリノア・ウェストの迷える青少年のための学校”の池に、空から少女が降ってきた。彼女は、かつてこの学校にいたスミの娘だという。だが、スミは死んでいる。それを聞いた少女はスミを取りもどさないと自分が消えてしまうと訴えた。そこでスミの友だち4人がスミを取りもどすべく死者の世界に旅立つことに……。ファンタジーの醍醐味を凝縮した、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス3賞受賞シリーズ完結。/解説=三村美衣 -
砂漠を走る船の道 ミステリーズ!新人賞受賞作品集
「ミステリーズ!新人賞」から、これまで数多くの才能が登場してきた。ここに収められた五編のミステリは、それぞれ新鋭たちの輝かしい出発点となった作品である。居酒屋の片隅で、駆け出しのシナリオライターと映画監督が交わす歴史推理談義。無実の罪で父を囚われた少女と不思議な力を持つ老人が、毒死事件の真相を追う中華探偵行。のどかな田舎で起きた本ワサビ盗難事件と、それを捜査する刑事の趣味が迎える顛末。道に迷い無人駅で一泊をすることになった大学生ふたりを待つ、奇妙な一夜の出来事。そして、砂漠を行くキャラバンを襲った異様な連続殺人――。期待を集める五人の作家の、記念すべき“はじまりの物語”。/解説=福井健太*本電子書籍には、配信中の作品に収録されている次の短編が含まれます。『漂流巌流島』(創元推理文庫版 2010年8月初版発行)収録の表題作・『もろこし銀侠伝』(創元推理文庫版 2010年9月初版発行)収録の「殺三狼」・『田舎の刑事の趣味とお仕事』(創元推理文庫版 2009年9月初版発行)収録の表題作・『夜の床屋』(創元推理文庫版 2014年6月初版発行)収録の表題作・『叫びと祈り』(創元推理文庫版 2013年11月初版発行)収録の「砂漠を走る船の道」 -
青玉は光り輝く
予言された12番目のタイムトラベラーであることが判明したグウェンドリンは、タイムトラベル能力の調整のために行う“時間消化”中に、若き日の祖父に出会った。絶好のチャンスとばかりギデオンや〈監視団〉のメンバーには内緒で、ルーシーとポールがクロノグラフを盗んで逃亡した謎を解明しようと画策する。クロノグラフが12人のタイムトラベラーの血を読みこんだとき、いったい何が起きるのか? そしてグウェンドリンに固執するサンジェルマン伯爵の思惑は? ドイツで100万部突破。大人気のタイムトラベル・ファンタジー3部作、第2弾! -
サムソンの犯罪
肥満漢の弁護士が持ち込む仕事は「わたし」の生命線だから、蹴るわけにはいかない。土つかずの戦績を見て私立探偵としての腕を買ってくれているのはわかるが、難事件揃いなのには全く閉口する。捏造テープと換気扇の問題「中国屏風」や麻雀狂に捧げるエレジー「走れ俊平」、無名作家のとんだ有名税「サムソンの犯罪」等々、二進も三進も行かなくなると「わたし」はバー〈三番館〉へ足を運ぶ。ここでグラスを磨いているバーテンに知恵を借りて解決しなかった例はないのだから――。本格ミステリの泰斗が物した安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ第2集。/解説=霞流一 -
さよなら、シリアルキラー
ぼくには連続殺人犯の血が流れている。ぼくには殺人者の心がわかる――ジャズは高校三年生。田舎町ロボズ・ノッドではちょっとした有名人だ。ある日町で衝撃的な事件が起きた。指を切りとられた女性の死体が発見されたのだ。連続殺人だとジャズは訴えたが、保安官はとりあわない。だが事件はそれだけでは終わらなかった。なぜジャズには確信があったのか。それは彼が21世紀最悪といわれる連続殺人犯の息子で、幼い頃から殺人鬼としての英才教育を受けてきたからだった。親友を大切に思い、恋人を愛するジャズは、内なる怪物に苦悩しつつも、自らの手で犯人を捕まえようとする。全米で評判の異色の青春ミステリ。 -
さよならの次にくる
「東雅彦は嘘つきで女たらしです。東雅彦は2月1日、こんなことをしていました」愛心学園吹奏楽部の部室に貼られた怪文書。こんなものを貼ったのは誰だと騒ぐ部員たちが特定の人物を犯人扱いしそうになったとき、オーボエ主席奏者の渡会千尋が「私がやりました」と名乗り出る。渡会千尋。僕の初恋の人だ――。初恋の人の無実を証明すべく、葉山君が懸命に犯人探しに取り組む「中村コンプレックス」ほか、葉山君の小学生時代のエピソード「あの日の蜘蛛男」、探偵役を務める伊神先輩の卒業式の日の出来事を描く「卒業したらもういない」など、〈卒業式編〉は4編を収録。デビュー作『理由あって冬に出る』に続く、ライトでコミカルな学園ミステリ第2弾、前編。 -
三人書房
大正8年(1919年)東京・本郷区駒込団子坂、平井太郎は弟二人とともに《三人書房》という古書店を開く。二年に満たない、わずかな期間で閉業を余儀なくされたが、店には女優・松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれた──。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、横山大観、高村光太郎たちとの交流と、数々の不可解な事件の顛末を、若き日の平井太郎=江戸川乱歩の姿を通じて描く。第18回ミステリーズ!新人賞を史上最高齢の69歳で受賞した著者による、滋味深い連作集。/【目次】三人書房/北の詩人からの手紙/謎の娘師/秘仏堂幻影/光太郎の〈首〉/文庫版あとがき/解説=辻真先 -
サーチライトと誘蛾灯
ホームレスを強制退去させた公園の治安を守るため、ボランティアで見回り隊が結成された。ある夜、見回り中の吉森は、公園にいた奇妙な来訪者たちを追いだす。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見された! 事件が気になる吉森に、公園で出会った昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢が、真相を解き明かす。観光地化に失敗した高原での密かな計画、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎。5つの事件の構図は、エリ沢の名推理で鮮やかに反転する! 第10回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を含む、軽快な筆致で描くミステリ連作集。/【収録作】「サーチライトと誘蛾灯」/「ホバリング・バタフライ」/「ナナフシの夜」/「火事と標本」/「アドベントの繭」/あとがき/解説=宇田川拓也 -
罪悪
ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。何不自由のない暮らしを送る主婦が続けてしまう万引き。麻薬密売容疑で逮捕された孤独な老人が隠す真犯人。――弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。刑事事件専門弁護士の著者が、現実の事件に材を得て描きあげた15の奇妙な物語。世界各国を驚嘆せしめ、2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた『犯罪』を凌駕する至高の連作短篇集!/解説=杉江松恋 -
幸せの萌黄色フラッグ
JFLから昇格して3年目、今年こそはJ1へと意気込んでみたものの、わがビッグカイト相模原は現在最下位。新人ストライカーだった元気くんはたくましく成長したはずなのに、絶不調で今シーズンはいまだノーゴール。試合を観戦しにくる女性が気になるらしい。ホペイロの僕はといえば、相も変わらず洗濯三昧。いえいえ、クラブのではなく。実はある女性と暮らしてます。でも、いつも慣れているからと掃除洗濯が僕の役目。プロサッカークラブのホペイロ(用具係)を務める坂上栄作のドタバタを、ユーモアと愛嬌たっぷりに描いた、ほのぼの連作ミステリ。第2シーズン、キックオフ! -
死角に消えた殺人者
帰らない母を案じて眠れぬ一夜を明かした塩月令子は、後ろ髪引かれる思いで出社し針谷警部から凶報を受ける。駆けつけた千葉県銚子の霊安室で令子を待っていたのは、変わり果てた姿で横たわる母と耳を掩いたくなるような事実だった。その朝、屏風浦で数十メートルの断崖から海に落ちた車が見つかり、同乗四名の遺体が収容された。その一人が外ならぬ母であり、現場の状況から単なる事故ではなく謀殺に違いないというのである。懸命の捜査にも拘らず被害者間の交友関係は確認できず、容疑者はおろか動機すら判然としない。いったい誰が、何のために? 令子は自力で真相を追うが……。 -
仕掛島
岡山の名士が遺した二通の遺言状。一通目の遺言に従って、一族の面々は瀬戸内の孤島・斜島に集められた。行方を晦ましていた怪しげな親族も姿を見せるなか、巨大な球形展望室を有する異形の館・御影荘でもう一通の遺言状が読みあげられた翌朝、相続人の一人が死体となって発見される。折しも嵐によって島は外界から隔絶される事態に。館に招かれた私立探偵・小早川隆生と弁護士・矢野沙耶香の二人を奇怪な事件が待ち受ける。鬼面の怪人物の跳梁、密室から消える人影、二十三年前の悲劇――続発する怪事の果てに明らかとなる驚愕の真相は。謎解きの興趣を隅々まで凝らした本格推理長編。/解説=大山誠一郎 -
思考機械の事件簿
1891年、英国で創刊したばかりの〈ストランド・マガジン〉が掲載したシャーロック・ホームズ譚は、爆発的な好評を博し、雑誌の売行きは一挙に数倍にはね上がった。この異常人気に他誌が黙っているはずはない。かくして陸続と独自の個性を誇る名探偵たちが登場し、名推理を競い合うことになった。彼らを通称して《シャーロック・ホームズのライヴァルたち》といい、名探偵の世紀が開幕する。本巻はアメリカの生んだ名探偵《思考機械》の活躍を描く名作を選りすぐった本格派ファン垂涎のコレクション第1巻!/【目次】《思考機械》調査に乗り出す/謎の凶器/焔をあげる幽霊/情報洩れ/余分の指/ルーベンス盗難事件/水晶占い師/茶色の上着/消えた首飾り/完全なアリバイ/赤い糸/解説=戸川安宣 -
死体は笑みを招く
ドイツ、2006年6月。オペル動物園で左腕と左足が切断された死体が発見される。首席警部オリヴァーと相棒のピア、そして捜査課のメンバーたちが乗り出し、死んでいたのは高校教師で環境保護活動家のパウリーだと判明する。彼はたくさんの生徒たちから慕われていたが、同時に動物園付近の道路建設による環境破壊や動物園の動物虐待を批判し、さまざまな人間に憎まれていた。捜査が進めば進むほど、パウリーを殺す動機を持つ者が浮上する。さらにピアに危険が迫り……。謎また謎の展開と緻密極まる見事な伏線。リーダビリティに溢れた傑作警察小説! -
漆黒の森
取材で黒い森(シュヴァルツヴァルト)にある小さな村を訪れた編集者のハンナは、トレッキングの最中に女性の惨殺死体を発見してしまう。被害者は10年前に村を出て数日前に帰郷したばかりの女性で、妊娠していたが腹部から胎児が消えていた。捜査の指揮を執るエルリンシュピール首席警部が村人たちに聞き込みを続けると、次第に村に伝わる“鴉谷”の不吉な言い伝えや、10年前の嬰児失踪事件が明らかになる。堅物の刑事と敏腕女性編集者が、反目しあいながら閉ざされた村での連続殺人を解き明かしていく。ドイツ推理作家協会賞新人賞を受賞した清冽なデビュー作! -
シトロン坂を登ったら
わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の3年生。うちの学校はちょっと変わっていて、実は魔女学校なの。創立者のマダム・デルジュモンが魔女で、おかげでわたしたち女学生はマダムの母国語フランス語だけでなく、薬草学や占い、ダンス(箒で空を飛ぶことを、そう呼ぶ)も学んでいる。本当はもうひとつ大きな秘密があるんだけど、それはおいおい話すとして。そんなわたしのもとに、新聞記者の甥っ子が奇妙な噂話を持ち込んできた。横濱に巨大な化け猫が出没しているんですって。しかも学校の近くに……。大正時代を舞台にした魔女学校3部作開幕! -
死のオブジェ
画廊で殺されたアーティスト。胸の上には一枚のカードがタイトルのように「死」と告げていた。NY市警には、同じオーナーの画廊で12年前に起きた猟奇殺人事件との関連を示唆する手紙が届く。切り刻まれ、オブジェとして展示されたアーティストとダンサーの死体。捜査を担当したマーコヴィッツは、容疑者の自白を信じていなかった。マロリーの再捜査は関係者たちの秘密を容赦なく暴き、閉ざされた過去をこじ開ける。娘の死と同時に失踪した画家の行方は? 膨大に遺されたマーコヴィッツのメモが指し示す真犯人は? 伏魔殿のようなアート業界に踏み込んだマロリーに、市警を牛耳る何者かの捜査妨害が……シリーズ第3弾!/解説=穂井田直美 -
死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選
“これから起こる殺人”を通報してきた男に翻弄され、不可能犯罪の謎に挑む刑事を描いた「死の警告」。『シカゴ・ブルース』で忘れがたい印象を残した青年探偵エドとアムおじが活躍する「女が男を殺すとき」「消えた役者」。検死局で起きた不可解な死体損壊事件「球形の食屍鬼(グール)」。稼ぎの10パーセントと引き換えに、ある男に自分のマネジメントを任せた俳優志望の青年の数奇な物語「死の10パーセント」など、本邦初訳3作を含む全13編。謎解きミステリ、〈奇妙な味〉等、『短編ミステリの二百年』の編者が選りすぐった多彩な名作短編のフルコース!/【目次】序文――フレッド・ブラウンを思い起こして=ウィリアム・F・ノーラン/5セントのお月さま/へま/女が男を殺すとき/消えた役者/どうしてなんだベニー、いったいどうして/球形の食屍鬼(グール)/フルートと短機関銃のための組曲/死の警告/愛しのラム/殺しのプレミアショー/殺意のジャズソング/死の10パーセント/最終列車/編者解説=小森収 -
死の黙劇
月のない夜、華奢な欄干を破り、一台のタクシーが崖下に転落した。運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。死者は顔いちめんに包帯を巻きつけていたものの、その下にはなぜか傷ひとつなかった。さらに死者の所持品からは探偵砧順之介の名刺が発見されたが、その名刺を死者が所持することは論理上不可能だった――奇怪な謎が読者を魅了する表題作ほか、書籍未収録の犯人当て短編などを所収。職業作家の道を選ばず、生涯に亙って緻密極まりない作品を執筆、巨匠鮎川哲也も畏敬した本格推理作家、山沢晴雄。その作風を一望できる作品を精選して贈る〈山沢晴雄セレクション〉。/【目次】砧最初の事件/死の黙劇/銀知恵の輪/金知恵の輪/見えない時間/ふしぎな死体/ロッカーの中の美人/密室の夜/京都発“あさしお7号”/編者解題=戸田和光 -
霜の降りる前に
リンダ・ヴァランダー、まもなく三十歳。警察学校を修了して秋からイースタ署に赴任することが決まり、この夏は父クルトのアパートに同居している。久しぶりの故郷で、旧友ふたりとのつきあいも復活した。だが、その友人のひとりアンナがいきなり行方不明に。いなくなる直前にアンナは、彼女が幼いころに姿を消したままの父親の姿を見たと、リンダに告げていた。アンナになにが? 心配のあまり、まだ正式に警察官になっていないからと諫める父の制止を無視し勝手に調べはじめるリンダ。全世界で4000万部突破! スウェーデンミステリの巨匠マンケルの人気シリーズ。 -
斜陽館殺人事件
伯父、転落死。見えざる手により、投げ落とさる――。ロンドンの紳士倶楽部で余暇を過ごしていたアンティ・ブジュレーは、英国貴族の末裔である友人から電報を受け取り、一族の城館へとやってきた。事件が起きたのは館の一角にそびえる塔の書斎。友人の伯父は奇妙な状況下でその窓から転落したのだという。転落の直前、書斎からは争うような物音が聞こえたにもかかわらず、鍵のかかったドアを打ち破ると、室内には誰もいなかった。さらに被害者の最期の言葉を聞いた三人が、三通りばらばらの証言をし……。斜陽の途をたどる英国貴族の館で名探偵の推理がきらめく密室謎解きミステリ! -
シャーロック・ホームズ最後の挨拶【深町眞理子訳】
“およそ信じがたい異様な体験をした。それにつきご相談申しあげたし”――退屈に苦しむ名探偵ホームズに持ちこまれた、怪奇な雰囲気が横溢する事件「〈ウィステリア荘〉」。大英帝国の命運がホームズの推理にゆだねられる「ブルース=パーティントン設計書」。ワトスンが目にした、ベッドに横たわるホームズの衝撃的な姿「瀕死の探偵」。そしてシリーズの異色作の表題作のほか、全8編を収録する短編集。登場から一世紀以上がたったいまでもなお、さまざまなかたちで映像化されるなど、世界じゅうの人々を魅了する名探偵の事件簿。/収録作=「〈ウィステリア荘〉」「ボール箱」「赤い輪」「ブルース=パーティントン設計書」「瀕死の探偵」「レイディー・フランシス・カーファクスの失踪」「悪魔の足」「シャーロック・ホームズ最後の挨拶 ──ホームズ物語の終章」「解題=戸川安宣」「解説=日暮雅通」 -
シャーロック・ホームズたちの冒険
シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパン――ミステリ史に名を刻む両巨頭の知られざる冒険譚「「スマトラの大ネズミ」事件」と「mとd」。大石内蔵助が率いる赤穂浪士の討ちいりのさなか、雪の降り積もる吉良邸で起きた密室殺人「忠臣蔵の密室」。実はシャーロキアンだったアドルフ・ヒトラーがナチス・ドイツの戦局を左右しかねない事件に挑む「名探偵ヒトラー」。日本を訪れたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が“怪談”の数々を解き明かす「八雲が来た理由」――在非在の著名人たちが名探偵となって競演する全五編。異才が虚実を織り交ぜ纏めあげた、奇想天外な本格ミステリ短編集。/解説=北原尚彦 -
シャーロック・ホームズの蒐集
1927年、アーサー・コナン・ドイルによる最後のシャーロック・ホームズ活躍譚「〈ショスコム・オールド・プレース〉」が《ストランド・マガジン》に掲載されて以降も、この不滅の人気を誇る名探偵の贋作は、数多くの作家によって書かれてきた。本書はそれらに連なる至高の傑作である。大英帝国を縦横無尽に駆け巡るシャーロック・ホームズと相棒ワトスン博士の〈語られざる事件〉を、世界有数のホームズ・ファンが愛と敬意を込めて作品化した、最高水準のパスティーシュ。「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」など6編を収録。【収録作】「遅刻しがちな荷馬車の事件」「結ばれた黄色いスカーフの事件」「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」「憂慮する令嬢の事件」「曲馬団の醜聞の事件」/単行本版あとがき/単行本版解説=日暮雅通 -
シャーロック・ホームズの事件簿(新版)【深町眞理子訳】
「高名の依頼人」をはじめ、「サセックスの吸血鬼」「這う男」など、おなじみベイカー街221Bを訪れる依頼人が持ち込む難事件。あるいは、サセックスのささやかな家に隠遁したホームズを待ち受ける事件……。1887年、『緋色の研究』で颯爽と登場し、たちまちのうちに名探偵の代名詞となるほどの人気を博したシャーロック・ホームズは、4長編56短編で全世界のファンを魅了し、いま鮮やかに退場する。「読者諸君、今度こそほんとうにシャーロック・ホームズともお別れだ!」深町版ホームズ全集、ここに完結。/解説=有栖川有栖※本書は、2017年4月14日新版初版発行の書籍を底本としております。 -
シャーロック・ホームズの復活【深町眞理子訳】
名探偵ホームズが宿敵モリアーティー教授とともに〈ライヘンバッハの滝〉に消えた「最後の事件」から3年。ロンドンで発生した青年貴族の奇怪な殺害事件をひとりわびしく推理していたワトスンに、奇跡のような出来事が……。名探偵の鮮烈な復活に世界が驚喜した「空屋の冒険」を始めとして、ポオの「黄金虫」と並ぶ暗号ミステリの至宝「踊る人形」、奇妙な押し込み強盗事件の謎が鮮やかに解かれる「六つのナポレオン像」など、珠玉の13編を収録する、シリーズ第3短編集。/収録作=「空屋(くうおく)の冒険」「ノーウッドの建築業者」「踊る人形」「ひとりきりの自転車乗り」「プライアリー・スクール」「ブラック・ピーター」「恐喝王ミルヴァートン」「六つのナポレオン像」「三人の学生」「金縁の鼻眼鏡」「スリークォーターの失踪」「アビー荘園」「第二の血痕」「解題=戸川安宣」「解説=巽昌章」 -
シャーロック・ホームズの冒険【深町眞理子訳】
ミステリ史上最大にして最高の名探偵シャーロック・ホームズの推理と活躍を、忠実なる助手ワトスンが綴るシリーズ第1短編集。ホームズの緻密な計画がひとりの女性によって破られる「ボヘミアの醜聞」、赤毛の男を求める奇妙な団体の意図をホームズが鮮やかに解き明かす「赤毛組合」、妻の眼前で夫が消え去った不思議な事件「くちびるのねじれた男」、閉ざされた部屋での怪死事件に秘められたおそるべき真相「まだらの紐」など、いずれも忘れ難き12の名品を収録する。/収録作=「ボヘミアの醜聞」「赤毛組合」「花婿の正体」「ボスコム谷の惨劇」「五つのオレンジの種」「くちびるのねじれた男」「青い柘榴石」「まだらの紐」「技師の親指」「独身の貴族」「緑柱石の宝冠」「ぶなの木屋敷の怪」「解題/戸川安宣」 -
集結
独自の捜査方針を貫く切れ者ロヤコーノ警部は、ピッツォファルコーネ署への異動を命じられる。そこはナポリでもっとも治安の悪い地区にある分署で、捜査班の大半が汚職で逮捕されたため、早急に人員を補充する必要があった。ロヤコーノのほかに送り込まれたのは、暴力沙汰を起こした男性刑事、署内で発砲した女性刑事、スピード狂の巡査と、いずれも能力はあるが各分署が持て余した者たち。彼らは着任早々、スノードーム蒐集が趣味の女性資産家殺しをはじめ、いくつもの事件に直面する。イタリア発の警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズ始動。/解説=吉野仁 -
執着者
平穏な家庭に育ち、26年間大きな恐怖に襲われたことがなかった会社員・友安小輪の生活は、ある日を境に一変した。恋人と同棲するアパートに突然謎の老人が現われ、執拗ないやがらせを始めたのだ。恋人は不自然に萎縮し、交番の警官はまともに取り合おうとしない。一方、都内に住む若夫婦が老人に襲撃され、夫は過剰殺傷の末に死亡、妻が攫われるという事件が起きる。幼い頃に姉を殺害されたことがきっかけで刑事になった“事件マニア”の佐坂湘は、くせ者ながら優秀な警視庁捜査一課の捜査官・北野谷輝巳と組み、妻の行方を追うが……。老人による不可解な犯罪、その先に待つ衝撃の結末とは。戦慄のサイコサスペンス。/解説=古山裕樹 -
終着点
ロンドンの集合住宅に住む女性モリーのもとへ、娘のように親しくするエラから電話がかかってくる。駆けつけると、エラのそばには死体が転がっていた。見知らぬ男に襲われ、身を守るために殺してしまったのだという。警察の介入を望まず、死体を隠すふたり。しかしその後、モリーは複数の矛盾点からエラの「正当防衛」に疑問を抱く……冒頭で事件が描かれたのち、過去へ遡る章と未来へ進む章が交互に置かれ、物語はたくらみに満ちた「始まり」と、すべてが暴かれる「終わり」に向けて疾走する。英国ミステリ界の俊英が放つ、衝撃と慟哭の傑作。/解説=三橋曉 -
修道女フィデルマの慧眼 修道女フィデルマ短編集
聖人の亡骸が眠る地への巡礼に加わったフィデルマ、そこで心臓をひと突きされた修道女の死体が見つかり捜査することに……「祝祭日の死体」。ラーハン王国で催される大祭を訪れたフィデルマとダロウの修道院長ラズローンが、エールの飲み比べ競争の最中に死んだ闘士の事件に挑む「夜の黄金」。ドーリィーとして殺人および窃盗の罪で告発されている少年の弁護を引き受けたフィデルマが真相に迫る「撒かれた棘」など全5編を収録。法廷弁護士にして裁判官、アイルランド全土を旅する修道女探偵フィデルマが、事件を鮮やかに解決する。短編集第6弾。/【目次】祝祭日の死体/狗のかへり来りて……/夜の黄金/撒かれた棘/尊者の死/訳註/解説=♪akira -
修道女フィデルマの采配 修道女フィデルマ短編集
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ修道女フィデルマが、アイルランドの各地を巡り難事件を解決する。修道士が占星術で自らの死を予言して死んだが、犯人と名指しされたのは修道院長だった事件「みずからの殺害を予言した占星術師」。ダロウの修道院で客人に供する魚料理が消え、料理長が死体で発見された。犯人は外部の人間か、内部の者の犯行か?「魚泥棒は誰だ」。小王国の族長の跡継ぎを選ぶための会合で、有力な候補者が死亡、どうやら毒を盛られたらしい。犯人を推理する「法定推定相続人」など5編を収録。日本オリジナル短編集第5弾。/【目次】みずからの殺害を予言した占星術師/魚泥棒は誰だ/養い親/「狼だ!」/法定推定相続人/訳註/解説=石井千湖 -
修道女フィデルマの挑戦 修道女フィデルマ短編集
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマ。彼女がまだ修道女になる前、モラン師が学院長をつとめるタラの学問所に入学した時に出合った、フィデルマ最初の事件「化粧ポウチ」、フィデルマが学問所の最終試験として出された事件の謎を解く「痣」、ドーリィーの資格を得、修道女になってからの事件、三晩続けて聞かれた死を告げるバンシーの声の正体「バンシー」、有名なローマ第九ヒスパニア軍団の鷲の謎にフィデルマが挑む「消えた鷲」など全6編を収録。若き日のフィデルマに会える、人気シリーズ日本オリジナル短編集第4弾。/解説=大矢博子 -
将棋殺人事件
窓ガラスいっぱいに、口紅を使って描かれた落書き。無言の電話。白紙の手紙。冷たい視線。そして彼女は悲鳴を絞り出した。きちんと揃えてあった彼女の靴が五、六足、今はことごとく、裏返しにされて置かれていたのである――そういえば先生、最近六本木界隈で流行っている噂、知ってる? お墓から少し離れた場所に一枚の紙が落ちているのを見つけ、何だろうと思って拾ってみると、それには謎々が書かれてあって――土砂崩れのせいで、地中に埋まっていた屍体が見つかったんだってさ。おや、屍体はふたつだ――いったい何が進行しているのか? 五里霧中の展開に眩暈を覚える異様な力作。少年探偵・牧場智久、第二の事件。 -
少女地獄 夢野久作傑作集
書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、唯一無二の怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門書にふさわしい四編を収録した傑作集を贈る。ロシア革命直後に語られる数奇な話「死後の恋」。南の島に流された幼い兄妹の悲劇を綴る「瓶詰の地獄」。満州を舞台に、日本兵と異国の少女の逃避行を描く「氷の涯」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にしたオムニバス「少女地獄」。『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並ぶ、不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示すベスト・オブ・ベスト。/解説=戸川安宣 -
少女の鏡
「おまえ一昨日、旧校舎に行ったりしてないよな?」クラスメイトに言われて驚いた。美弥は旧校舎に足を踏み入れたことはない。学校の七不思議では旧校舎の鏡に姿を映すと、鏡の中の自分が抜け出て襲いに来るらしい。その後も覚えのない場所で彼女を見たという目撃者が続出、ついに美弥自身も出会ってしまった。そのとき、助けてくれたのは大きな犬と、その犬を兄と呼ぶ少年朱鷺だった。朱鷺は各地を旅して呪物を集めているらしい。半信半疑のまま美弥は自分に起きている奇妙な出来事を彼に打ち明けるが……。『魔導の系譜』の著者の新シリーズ開幕。 -
少女の時間
月刊EYESの小高直海経由で、ある未解決事件を調べ始めた刑事事件専門のフリーライター・柚木草平。2年前、東南アジアからの留学生支援のボランティアをしていた女子高校生が殺害され、都内の神社で発見された事件だ。しかし、話を聞き始めた翌日に、ボランティア施設と同じビルにある雑貨店の店員が急死してしまう。事故か殺人か、2年前の事件との関連を疑う柚木だが……。当時から女子高校生殺害事件を追う所轄の女性刑事、ビルオーナーの母と娘など、調査で出会う女性は美女ばかり。二つの事件に隠された真実にたどりつけるのか――。“永遠の38歳”柚木草平の軽やかな推理。/解説=大矢博子 -
菖蒲狂い
柳橋の船宿に居候する、“若さま”と呼ばれる謎の侍がいた。姓名も身分も一切不明だが、事件の話を聞いただけで真相を言い当てる名探偵でもあった。扇に秘められた暗号の謎を解く「舞扇の謎」。菖蒲作りの名人の娘が殺され、些細な手がかりから犯人の異様な動機に辿り着く「菖蒲狂い」。祭りで同じ酒を飲んだ4人のうちひとりが毒殺された。犯人がどのように毒を仕込んだのかを暴く「面妖殺し」など、250編近い短編から厳選した25編を収録。「五大捕物帳」の一つにして、〈隅の老人〉に連なる、伝説の安楽椅子探偵シリーズの決定版、登場!/【収録作】「舞扇の謎」/「かすみ八卦」/「曲輪奇談」/「亡者殺し」/「心中歌さばき」/「尻取り経文」/「十六剣通し」/「からくり蝋燭」/「菖蒲狂い」/「二本傘の秘密」/「金の実る木」/「あやふや人形」/「さくら船」/「お色検校」/「雪見酒」/「花見船」/「天狗矢ごろし」/「下手人作り」/「勘兵衛参上」/「命の恋」/「女狐ごろし」/「無筆の恋文」/「生首人形」/「友二郎幽霊」/「面妖殺し」/編者解説=末國善己 -
処刑人
ナタリーが大学に入学するまで三週間ほどを残して迎えた初秋の日曜日の午後。鼻持ちならない文筆家の父と、夫への軽蔑を隠さない母が催したホームパーティでの“悪夢”を経て、初めての寮生活を迎えた17才のナタリーは、大きく変わった生活環境に戸惑いを隠せないでいた。同年代の少女への優越感と劣等感の狭間で揺れ動く中、風変わりな女生徒トニーとの出会いによって真の安寧を手にしたかに見えたが……思春期の少女の危うい精神の揺らぎを、残酷さと一掬の愛情を交えて描く。『ずっとお城で暮らしてる』の著者の初期を代表する傑作長編小説。/解説=深緑野分 -
書店猫ハムレットのお散歩
ダーラが経営するニューヨークの書店では、最近、店のマスコットの黒猫ハムレットの元気がない。愛想がないのはいつもどおりだけれど、お客をひとりも追い出していないし、買い物袋を爪で引き裂いたりもしていない。これはおかしい。“猫の行動の共感力者”と名乗る猫のセラピストによると、自分を出来損ないのように感じているという。あのふてぶてしいハムレットがそんなふうに思っているとは! 愕然とするダーラだったが、通っている武術道場で、さらに驚きのできごとが……。名探偵(かもしれない)黒猫が大活躍するコージー・ミステリ! シリーズ第2弾。 -
白雪姫には死んでもらう
ドイツ、2008年11月。空軍基地跡地にあった空の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明する。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、生まれ育った土地へ戻ってきていた。彼はふたりの少女を殺害した罪で服役したが、寃罪だと主張しつづけていた。だが村人たちに受け入れてもらえず、正義という名の暴力をふるわれ、母親までも何者かに歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。閉塞的な村社会を舞台に、人間のおぞましさと魅力を描き切った衝撃の警察小説! -
知りすぎた男
「我々は知りすぎているんです。お互いのこと、自分のことを知りすぎている。だから、僕は今、自分の知らない一つのことに本当に興味をおぼえるんです──あの気の毒な男がなぜ死んだか、ですよ」新進気鋭の記者ハロルド・マーチは財務大臣との面会に向かう途中で出会った奇妙な釣師とともに自動車が断崖から転落するさまを目撃する。後に残されたのは車の残骸と男の死体だった。なぜ彼は昼日中見晴らしの良い崖から転落したのか? 国際情勢への鋭い眼差しが光る、英国的諧謔精神に満ちた連作ミステリ集を新訳にて贈る。創元推理文庫初収録作。/【収録作】「標的の顔」/「消えたプリンス」/「少年の心」/「底なしの井戸」/「塀の穴」/「釣師のこだわり」/「一家の馬鹿息子」/「彫像の復讐」/解説=大山誠一郎 -
白い雌ライオン
春の祭典を目前にしたスウェーデンの田舎町で、不動産業者の女性が行方不明になった。良き妻、幸せな母、教会の熱心な信徒がなぜ? 失踪か、それとも事件か、事故か。ヴァランダー警部らは彼女の足取りを追い、最後に向かった売家へ急いだ。ところがその近くで謎の空き家が爆発炎上、焼け跡から発見されたのは、黒人の指と南アフリカ製の銃、ロシア製の通信装置だった。二つの不可解な事件の関連は? スウェーデンとロシア、そして南アフリカを結ぶ糸は? EU各国で爆発的な人気を誇るベストセラー作家の、CWAゴールドダガー受賞シリーズ。/解説=吉野仁 -
白銀の巫女 紐結びの魔道師2
悪意に満ちたイスリルの魔道師に呼び覚まされた過去の化物と、もとコンスル帝国軍人率いる侵略軍の両方に追いつめられた紐結びの魔道師リクエンシスたち一行は、トゥーラの暮らすオルン村に難を逃れる。村で冬を越すことになったエンス、星読みのトゥーラ、もと拝月教の巫女エミラーダ、知恵者のリコに、ウィダチスの魔道師エイリャも加わり、トゥーラがさがし求める、1500年前にかけられたオルン魔国の魔女の呪いを解く方法を調べる。だがそこで浮かんだのは、オルン魔国最後の女王の血塗られた真の姿だった。〈紐結びの魔道師〉3部作第2弾。/解説=三辺律子 -
白の祝宴 逸文紫式部日記
時は平安。都の人々の注目を集めているひとりの女性がいた――その名は紫式部。かの『源氏物語』の著者だ。式部には、あまり知られていない顔がある。彼女は都の謎を鮮やかに解き明かす名探偵でもあったのだ。折しも、帝が寵愛する女性が待望の親王を出産し、白一色で飾られ沸き立つ土御門邸。しかし、そのきらびやかな祝宴のさなか、都を騒がせている怪盗が逃げこんだとの報が入る。彰子にこわれて出仕していた式部は、『紫式部日記』編纂のかたわら、推理をめぐらせるのだが……。怪盗の行方は? そして書物にこめた式部の思いとは? 第13回鮎川哲也賞受賞作家が描く王朝推理絵巻、第2弾。/解説=細谷正充 -
白の予言者
六公国の王子デューティフルと、かつての宿敵である外島人の族姫エリアニアとの婚約。互いに根強い恨みと反感を抱く二つの国に平和を打ち立てんとするこの縁組みを成立させるためには、黒いドラゴン、アイスファイアの首を落とさねばならない。約束を守るために、王子は神呪字諸島に向け出航する。お供は王妃の顧問官シェイド、王子の従者シック、身分を隠したままのフィッツ。さらに古き血族のウェブや〈気〉をもつ貴族シヴィルも乗りこんでいる。航海の行く手に待つものは。壮大な異世界ファンタジー〈道化の使命〉最後の幕があがる。 -
白薔薇殺人事件
ミステリ作家の卵であるアニーは、大叔母の住むキャッスルノール村に招かれた。大叔母は16歳のときに占い師から告げられた、いつかおまえは殺されるという予言を信じつづけており、大邸宅に住む奇妙な老婦人として知られている。屋敷を訪れると、大叔母は図書室で死んでいた。両手には血の痕があり、床には茎の長い白薔薇が落ちていた。予言が的中して自分が殺されてしまったときのために、大叔母は約60年をかけて親族や村人たちを調査していた。その膨大な調査記録を手がかりに、アニーは犯人探しに挑む。新鋭が贈る犯人当てミステリの大傑作!/解説=千街晶之 -
真紅の城砦
30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第5集。本集には新訳となる3編を収録した。宝物を狙う海賊たちとの死闘を描いた「黒い異邦人」。最初に発表されたシリーズ作品として読者の熱狂を呼んだ、王となったコナンの物語「不死鳥の剣」。強大な敵の手に落ち囚われの身となったコナン王が、獄中で伝説の魔道士と遭遇する――一大合戦絵巻が繰り広げられる表題作等傑作揃い。/【収録作】「黒い異邦人」/「不死鳥の剣」/「真紅の城砦」/資料編「ハイボリア時代の諸民族に関する覚え書き」/「西方辺境地帯に関する覚え書き」/「辺境の狼たち(草稿)」/解説=中村融 -
新宿なぞとき不動産
新宿の不動産会社に勤める営業マン・澤村聡志。知識はあるが駆け引きが苦手な彼のもとにある日、成績優秀な後輩・神崎くららがパートナーとして異動してきた。以来、気が強く先輩使いの荒いくららに澤村は振り回される毎日に。さらに、担当していた大家に突然冷たくつき放されたり、入居者から部屋に現れる宇宙人を退治してほしいと無茶なクレームを入れられたり……物件に絡む謎の数々を解き明かすため、くららと二人、大忙しで走り回る! 新しくて古い街“新宿”に住む人々の悩みと謎を解決する、心あたたまる不動産ミステリ。『ツノハズ・ホーム賃貸二課におまかせを』改題文庫化。/【収録作】第一話 大家の事情/第二話 入居者の事情/第三話 入居申込人の事情/第四話 その土地の事情/エピローグ -
死んだレモン
酒を飲んで運転し、自損事故で下半身の自由を失ったフィンは、心機一転、ニュージーランド最南端の町へ引っ越す。住居は人里離れたコテージで、26年前にその家に住んでいた少女が失踪していた。彼女が消えてから6週間後、不気味な三兄弟が住む隣のゾイル家の土地から、骨の一部が発見された。住人は逮捕されたが結局未解決となっていた。ゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすれば? 事件を詳しく調べ始めるフィン。だが5か月後、彼は三兄弟に命を狙われ……。最後の最後まで読者を翻弄するナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。/解説=吉野仁 -
真鍮のむし
相も変わらずの天才的なテナーサックスの演奏と、鮮やかな推理を披露するいっぽうで、世事にはうとい永見緋太郎だが、クインテットを活動休止にして、海外で原点を見つめ直すという唐島に同行することになった。ニューヨークを皮切りに、シカゴ、そしてジャズの聖地ニューオリンズで永見と唐島が出合った不思議な出来事。あこがれのミュージシャンが遺した楽器を手に入れた唐島を襲った災難、ニューヨークで管楽器の盗難事件に巻き込まれた永見が見いだした真相など、全7編を収録。ジャズと不思議に満ちた、日本推理作家協会賞受賞シリーズ第3弾。/解説=法月綸太郎 -
深夜の市長
昼とは全く別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人事件をきっかけに、彼の存在を知った僕。果たして深夜の市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。祖父とも思う資産家の老人が亡くなった後、少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮をグラフにした“興奮曲線”によって、殺人犯を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など珠玉の11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想で彩る作品を描いた著者の真髄を示す、傑作ミステリ短編集。