作品一覧

  • 滑らかな虹 上
    -
    1~2巻740~799円 (税込)
    柿埼先生に、手紙を書こうと思う。中学三年になる春、山坂百音は、かつて通っていた小学校の元教員・田児あやめにそう伝えた。その言葉通り百音は、三年半前に起きたできごとについて、五年三組の担任だった柿埼に向け当時の思い出を綴ってゆく。すべては彼の謎めいた提案から始まったのだ。「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」――『ニンテイ』と名づけられた、柿埼の考案した奇妙なゲーム。それが彼らの未来を大きく左右することを、このときは誰も予想していなかった。
  • 亜シンメトリー
    3.7
    1巻1,815円 (税込)
    バスの中で知り合った女性から、ゲームを持ちかけられた亜樹。シンメトリーな文字に強いこだわりを持つ彼女の人生に興味を持ち始めるが、何度か会う内、その言動にどこか違和感を覚え……(「亜シンメトリー」)。張り巡らされた緻密な仕掛けに気づいた時、世界は突然、姿を変える。めくるめく謎と驚きに満ちた全四篇。
  • ゴースト≠ノイズ(リダクション)
    3.9
    1巻693円 (税込)
    ぼくが1年A組の幽霊になって、一月が経過した――高校に入学したばかりのころの失敗によってクラス内で孤立し、いまでは幽霊扱いされている一居士架(いちこじかける)。惨めな日常を過ごしながらも限界を感じていた架は、十月の席替えで前の席になった玖波高町(くばたかまち)に突然話しかけられる。それは彼の苦しみに満ちた毎日に変化をもたらす、小さくも確かな予兆だった。時を同じくして、校舎の周辺では蝶結びのメッセージを残した動物の死骸が相次いで発見され、休みがちになった高町は何かに思い悩むような様子を見せはじめる……。圧倒的な筆力と繊細な技巧が紡ぎ出す、静謐な感動に満ちた青春ミステリ。/解説=大森望

ユーザーレビュー

  • ゴースト≠ノイズ(リダクション)

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    主人公とヒロインのありがちとも思える設定から、それぞれに予想の斜め上をいく展開で意表を突いてくる。青春の痛みを新たなかたちで描き出して、最後には晴れやかな世界が広がる。

    0
    2017年06月25日
  • 亜シンメトリー

    Posted by ブクログ

    中熊美緒と千日顕に紫子(ゆかりこ)が絡んで、年代不明のトラブルを取材した高校生の書き起こしたテキストの解明をたどる「枯葉に始まり」と「三和音」はそのテキストが共通していたが、やや複雑であまり楽しめなかった.「薄月の夜に」では染谷亮輔から巧みに逃げ出す大島英里と保村の作戦が面白かった.表題作では文字の対称性にこだわる花田早由里と津村亜樹のやり取りだが、夫になる花田から早由里が貰った手鏡がストーリーの中でなぜか光っていた.

    0
    2021年07月03日
  • 亜シンメトリー

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    ネタバレ

    『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』『滑らかな虹』でミステリに新風を吹き込んだ著者による初の短編集。帯に「求む挑戦者。」とあるものの、本格推理の色は薄く、独立して謎があるというよりは、物語そのものに謎が組み込まれている印象。長編の多い著者だけに、短編の読み味が気になったが、長編と遜色ないほどの密度の濃さを感じた。



    「枯葉に始まり」

    ジャズサークルに所属する先輩から持ち込まれた謎と、その背景で三者三様の思惑が交錯する一本。それぞれの内心を交えながら語られる三人称は当初はややとっつきにくさを感じたものの、丁寧に紡がれる人物描写の巧みさに無意識のうちに飲み込まれてしまった。以前『滑らかな虹』

    0
    2021年03月22日
  • ゴースト≠ノイズ(リダクション)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    謎を核として展開するミステリではなく、そうなるだろうという予測を気持ちの良いくらいひっくり返す展開で魅せるミステリ。そして、それが一度だけではなく、何度も何度もなのだ。各エピソードだけで短編が書けるのではというネタを惜しげもなく注ぎ込み幽霊と呼ばれる主人公の男子高生と彼が見えて話しかける女子高生の2人の物語を加速度的に盛り上げていく。衝撃の死から以降、終盤に明らかになる感情の発露は衝撃的。下卑た想像を容易に超えていく真実は彼女だからこそ痛いのだろう。家族と青春を語りによって見事に描き出している傑作。ただ、内容の素晴らしさに反して、このタイトルだけはちょっとどうかと思うのだよ。

    0
    2018年10月09日
  • ゴースト≠ノイズ(リダクション)

    Posted by ブクログ

     不思議な読後感だ。

     読み終わったときには、なんかよく分からないミステリーだったと印象だ。
     次の日の午前ごろ、あぁ、そういうことだったのかと思い出して徐々に分かってくる。

     読者へのミスリードを繰り返して筋がわかりにくくなっているが、よくよく思い返すと筋が通っている。

     話の構造は良い。もったいないのは、話がもやっとしていて結局よく分かりませんでしたで終わってしまう人が多いだろう。俺も完全にはよく分かってないし。

     特にずるいのは主人公が握手したとき、自分の手が透けて見えたという表現は読者の混乱を招いただろう。結局、こいつは何なんだ。
     それが最後まで見えてこない。


     そして、

    0
    2016年08月20日

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