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月のない夜、華奢な欄干を破り、一台のタクシーが崖下に転落した。運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。死者は顔いちめんに包帯を巻きつけていたものの、その下にはなぜか傷ひとつなかった。さらに死者の所持品からは探偵砧順之介の名刺が発見されたが、その名刺を死者が所持することは論理上不可能だった――奇怪な謎が読者を魅了する表題作ほか、書籍未収録の犯人当て短編などを所収。職業作家の道を選ばず、生涯に亙って緻密極まりない作品を執筆、巨匠鮎川哲也も畏敬した本格推理作家、山沢晴雄。その作風を一望できる作品を精選して贈る〈山沢晴雄セレクション〉。/【目次】砧最初の事件/死の黙劇/銀知恵の輪/金知恵の輪/見えない時間/ふしぎな死体/ロッカーの中の美人/密室の夜/京都発“あさしお7号”/編者解題=戸田和光
...続きを読むPosted by ブクログ 2021年08月04日
作者自身が自らのミステリ技法を「手品文学」と表現されていたようですが、読んで納得。
トリックを成立させるためにアレコレと繰り出されてくる情報に読者の注意を惹きつけつつ、最終的にあかされる解決篇での種明かしの展開が、まさに手品の「観客の注意を右手に惹きつけている間に左手で細工をする」といった赴きで面白...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月02日
惹句があんまり怖すぎて、恐る恐る読んでみたのだが、実物はいたって普通のミステリ。よく引き合いに出される天城一氏の作品などに比べれば遥に読みやすい。ついでに口を滑らせてしまうが、能書きばかりで看板倒れの感が否めない天城作品よりもミステリとしても上だと思う。
なおパズラーではなくトリックを愛でるタイプの...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月19日
知らない作家さんだったが、評判がよかったので気になっていた作品。
これは小説ではなくミステリだ。
トリックが先行するストーリーなので、小説として読むと期待外れかもしれない。また、登場人物がやけに多かったり、同じようなトリック・状況が堂々と用いられていたりと、ほかとはかなり異なる独特な作品だが、作者...続きを読む
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