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Posted by ブクログ
帯に「最初から最後まで捜査をするだけ」「なのに抜群に面白い」とあり、いや内容のネタバレじゃねーか!と思いつつも読んだら、目から鱗。まさにその通りで、抜群に面白かった。
「警察捜査小説」を確立した里程標的傑作らしいが、そう言われるのにも納得。「警察小説」ではなく「警察捜査小説」というのがポイント。
探偵小説の警察と言えば得てして探偵役の主人公を引き立たせるための無能役として描かれる、というお決まりのパターンがあるが、本作を読むと「本気になった警察の凄さ」がよくわかる。
文章が読みやすく、上司と部下の掛け合いが面白く、「無駄な風景描写」「もってまわった台詞回し」「複雑すぎる人物相関」「暗い雰囲気」「暗い心理描写の掘り下げ」「ふわっとしてわかりづらい進行」等が一切なく、わかりやすくサッパリと読みやすく、そして捜査の過程を読んでいるだけなのに極めて面白い、という本作でした。
Posted by ブクログ
米マサチューセッツの女子寮からふっと消えてしまったのは、美しく聡明で落ち着いた女正徒だった。気まぐれというのも彼女に合わない、深い付き合いのボーイフレンドもいなかった。
すぐに帰ってくるだろう、突然消えた娘は周りの願いむなしくいつまでも帰らなかった。
全寮制のカレッジからいなくなった18歳、美しく聡明な娘は失踪か誘拐されたのか殺人か。
1952年発表の警察小説の嚆矢となる本格推理小説だという、ここから「警察捜査小説」が始まったということだが。今も全く古くなく優れたミステリの一つのジャンルをしっかり守っている。そんな警察小説は嬉しくて読まずにはいられない。かっちり出来上がっていてエンタメといえど少し姿勢をただして読むような力がある。
正しく犯人当てのフーダニット小説で、そこに特殊な背景や、人間関係があり、警察側には頭脳明晰のボス警察署長フォードがいて、脇に切れるが少し癖のある嫌味な奴や凡庸に見えて細かい気が付きよく働く部下が定石のように揃っている。気の利いたウィットに富んだ会話もよくできている。読んでよかった☆5つの名作だった。
ところが、読み始めてすぐ、あ!と気がついた(まだ一ページ目なのに)これではないか。彼女はこうしていなくなったのではないか。この何気ない一行が気になった。
捜査はなかなか進展しない。同室の寮生も、少し気分が悪そうで途中で授業を抜けたということしかわからない。
部屋からは着替えが少し無くなりハンドバックも見えない、出かけたらしいが姿を見たものもいなし、駅でも見かけられていない。
もう調べ尽くし訊き尽くし打つ手もなくなった。
だた一つ、一冊の日記帳を穴のあくほど読んでいた署長が疑問を持つ。
読みながら次第に思い通りの方向に進んでいくと、読者として緊張する。この小さな一言の手掛かりは、あそこに続くのかな。
しかしそうやすやすと問屋は下ろさないだろう。もし私の推理通りなら、なんと巧みに話を膨らまして警察官たちをへとへとになるまで働かせることか。親の嘆きの深いことか。
寮長の驚きや関係者の保身や男友達の慌てぶりや、すり寄ってくる記者たちや。
これで決まりかと思う容疑者たちを追い始めると、私の推理も揺らぎ始まるが、容疑も晴れて解放されてしまうとひょっとしたらひょっとして推理通りかも、、、と何か緊張して、またドキドキ緊張が始まる。
と、こんな感じでこの作品は心臓に悪いほど楽しませてくれた。久しぶりの大当たりで作者にはその話の迷路を構築した力に改めて驚いた。
Posted by ブクログ
失踪当時の服装は
「64」を読んで警察小説がむしょうに読みたくなった時にたまたま見つけた小説。
女子大生が謎の失踪を遂げ、地元警察のフォード署長がその行方を探すというあらすじでトリックはなし。
部下キャメロンと毒舌の応酬を繰り広げながら少しずつ地道に彼女の足取りをつかんでいきます。
地道に足を使って追っていく、それだけの物語なんだけど、証明したりマスコミの名の下知る権利というノコギリを振りかざす記者や被害者の弱った気持ちを食い物にしようとする私立探偵から、被害者の家族を守っても、苛立ちをぶつけられたり捜査の妨害をされたりしてやってられない状況が続きます。
この踏んだり蹴ったり感は64に通じるものがあり。
ラストシーン、えっそこでおわるの!とびっくりしたけど、この小説は犯人の物語なのではなく、警察の捜査の物語だからこれでいいのだろう。
Posted by ブクログ
1952年出版というから、実に74年前の作品である。
1950年3月、1人の女子大生、ローウェルが忽然と姿を消す。午前の授業に出席した後、寮に戻り、体調が悪いから昼食は採らずに少し横になると友人に告げた彼女は、しかし、その後、黙ってどこかに出かけたようだった。そのまま、夕食の時間になっても、門限の時間を過ぎても帰ってこなかった。
友人たちも不審に思い始め、寮母や学寮長にも騒ぎが届く。ローウェルの実家にも連絡がいったが、彼女はそこにもいなかった。
昼日中、キャンパスを後にした女子大生はいったいどこへ行ってしまったのだろうか。
本書では、この女子大生失踪という1つの事件を実に丹念に追っていく。
捜査にあたることになったフォード署長は、部下のキャメロン巡査部長らとともに、雲をつかむような事件に挑んでいく。
とにかく、この件、手掛かりがないのだ。ローウェルは、美人で、家族との関係もよく、成績もまずまず、性格もよかった。時々デートをする相手も複数いたが、深い関係ではなく、特にふしだらというわけではなかった。
果たして彼女はどこに向かい、今、どこにいるのだろうか。
フォードはローウェルの日記を何度も読み返し、部下に命じて思いつく限りの人から証言を集め、ローウェルの足跡を追おうとする。
仮説は何度か覆され、そのたび、軌道修正がされていく。
捜査員が時間外に署長の自宅に呼び出されたり、署長が部下を強圧的に叱りつけたり、捜査の進展を議論しながら酒を飲んでいたり、といった時代を感じさせる描写もある。が、一方で、地道な捜査というのは、基本的には昔も今も変わらないのではないか、と感じさせる普遍性もある。
タイトルの「失踪当時の服装は(Last Seen Waring)」は、ローウェルの失踪人手配書の文面から。消えた女子大生の面影を浮かばせる、うまいタイトルだと思う。
本作では、こうした手配書のほかにも、新聞記事も挿入され、また事件や捜査の進行に合わせて日付も入れ、実在の都市や施設名にも触れている。女子大学の様子も生き生きと描写され、ノンフィクションのようなリアリティを作り出している。
フォードの捜査は天才型というより努力家タイプである。派手な展開はないが、綿密で濃厚な読み味。
終盤に向かい、明かされていく真相や事件の犯人に、納得の吐息が漏れる。
Posted by ブクログ
熱い警察官のお話。ある登場人物のセリフ。「警察の仕事がどういうものかは、わかっているだろう?歩いて、歩いて、歩きまくる。そして、あらゆる可能性について調べ尽くす。一トンの砂を篩にかけて、ひと粒の金をさがすような仕事だ。百人に話を聞いて何も得られなければ、また歩きまわって、もう百人に話を聞く。そういうものだ」
この小説には結果的に事件に関係ない情報が多く語られる。途中まではそういうのを読むのが面倒くさく感じるが、やがてそれらが物語のリアリティを高め、読者と物語の警官たちとの一体感を生んでいることに気づく。天才探偵や伏線はりまくりトリックなどに食傷気味の方は一読を。
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小説・文芸
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