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1980年のバルセロナ。弁護士のマリアは数年前に、悪徳警官セサルが情報屋を制裁した殺人未遂事件で、セサルを刑務所送りにしたことで脚光を浴び、名声を得た。だが今、その事件が何者かの陰謀によって仕組まれていたと判明する。マリアは服役中のセサルに面会して事件の再調査をはじめ、自らの血の桎梏と体制側の恐るべき策略を知る。次第に明らかになる、マリアが背負わされた想像を絶する罪とは。殺人、偽証、復讐に運命を狂わされた人間たちの悲哀が胸を打つ。欧州読書界で絶賛された圧巻の大河ミステリ。ヨーロッパミステリ大賞受賞作。
...続きを読むPosted by ブクログ 2019年05月15日
スペイン、1980年、弁護士マリアは警官セサルが情報屋を暴行した時間で警官を刑務所送りにし、売れっ子弁護士へ。しかしセサルは娘を拉致されていた。大物政治家が裏にいて、暗躍している。マリアはセサルに話を聞きにいくと・・・1941年、フランコ政権下、ファランヘ党幹部の妻イサベラ・モラは息子を連れて夫から...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年04月11日
スペイン現代史にさほど詳しいわけではない。ヘミングウェイや逢坂剛の作品を齧った以外、あまり勉強していないのが実情である。それゆえ、スペインの作家がスペインの現代史を題材に書き上げたネイティブなこの作品には惹かれるものがある。しかも、フランコ没後、独裁制から民主化に移行したこの国にとっては大転換となる...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年10月10日
ある誘拐事件に関して口を割らないケチな情報屋を執拗なまでに拷問し、命の危険にまで追い込んだ悪徳警官セサルは塀の中に収監されていた。セサルを刑務所送りにしたのは弁護士のマリアだ。フランコ軍事政権下にはびこっていた強欲な警官に違いないと、被害者の弁護を請け負ったマリアは、セサルの非人道的な行いを徹底的に...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年04月12日
とても重たい。漂う空気は常に緊張して喉が渇いて、口臭がする。そういう緊縛した世界で描かれる人の命の重たさがずっしり。主に三家族の不幸が重なり絡まり全ての人達を苦しめ続け、権力という吸い上げ気により、人生を狂わされた人々の物語。暴君の家族ですら、本人以外、むしろ一番悲劇を植え付けられている。それを後世...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年04月01日
スペインを舞台に、フランコの独裁政権下の1940年代に端を発した事件が、時代の流れを伴って民主化直後の1980年代のさらなる事件へとつながっていく。
スペインの陰鬱な時代背景が大きく作用するストーリー展開のおもしろさはあるものの、復讐をベースとした拷問、監禁、殺人など、全編をおおう残虐さには閉口す...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年07月01日
病室のテレビは国会が襲撃されたクーデター事件を放送している。一九八一年のスペイン。弁護士のマリアは三十五歳。バルセロナの病院で死にかけている。複数の事件に関わっているらしく病室には監視がついている。事件は一応終っているのだが、逃亡中の容疑者がいて、刑事が時折訪れて尋問めいた話をしていく。マリアは脳腫...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年04月11日
1980年代のバルセロナが舞台でそこから40年前に起きた殺人、策略、嘘、憎しみ、復讐。家族三代にわたって引き継がれることとなった憎悪。そして始まる復讐。全てはそのためというような人生を生きてきた者。それを止めようとする者。そこには法や社会を超えたそれぞれの正義があって悲しみの連鎖がある。憎しみから始...続きを読む
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