Posted by ブクログ
2017年11月20日
観察と推理というやりかたをするホームズが携わった事件をワトスンが記録した、という形式の作品です。“日常的な謎を扱っている作品が多い(p519)”です。
『ボヘミアの醜聞』
ボヘミア王家を揺るがした一大スキャンダルをホームズが解決しようとするのですが、ホームズが“あの女性”の機知の前に破れ去ります。...続きを読むまさかホームズが負けるとは、意外でした。
『赤毛組合』
赤毛の男子ならばちょっとした仕事で週給四ポンドもらえるという“赤毛組合”、質屋の店主に勧める店員、最初からとにかく怪しいです。奇妙で、重大な事件でした。
『花婿の正体』
結婚式当日に消えてしまった花婿は、血も涙もない悪党でした。こういった悪党は、許せません。
『ボスコム谷の惨劇』
マッカーシーという男が殺されます。状況証拠から、ワトスンやレストレード警部は犯人はその息子だと考えてしまいますが、ホームズは違いました。
『五つのオレンジの種』
五つのオレンジの種をK・K・Kから送られた伯父、父が次々と殺されます。自分のもとにも種が届いたジョンは、ホームズに相談に来ます。ホームズは犯人を見つけ、報復も仕掛けたのですが、謎が残ってしまい、もやもやする事件でした。
『くちびるのねじれた男』
ネヴィル・シンクレア氏がいなくなり、シンクレア氏が最後に目撃された部屋にいた物乞いヒュー・ブーンが捕らえられます。単純そうに見えながら、難問をつきつけてくる事件でした。
『青い柘榴石』
使丁(コミツシヨネア)が街で手に入れた鵞鳥の餌袋から、青い柘榴石(ブルー・カーバンクル)が出てきます。神々しい宝石だからこそ、犯罪の核心にも標的にもなるのです。
クリスマスーひとを許す季節のため特に、ホームズの優しさが見えました。
『まだらの紐』
ロイロット家の姉は、死の間際に“まだらの紐”という謎めいた言葉が叫びます。その意味とは…。
昔読んで忘れてしまった話も多いのですが、一番印象に残っていました。この事件が奇々怪々な様相を呈しているからかもしれません。
『技師の親指』
技術が親指をなくした事件です。“本来、親指のあるべき箇所には、毒々しく赤い海綿状のものが見えるだけ。(p349)”という描写には衝撃を受け、想像するだけで恐ろしく感じました。
『独身の貴族』
結婚式後の披露宴で、花嫁が消えてしまいます。不可解で奇妙な事件ですが、確かに、自然な成り行きなのかもしれません。
『緑柱石の宝冠』
民営銀行の頭取が、イギリスの高貴な方から担保として緑柱石(ベリル)の宝冠を預かりますが、その一角が盗まれてしまいます。宝冠を持って立っていた息子のアーサーが怪しまれますが、口を割ろうとしません。それには立派な理由がありました。
『橅の木屋敷の怪』
よすぎる給料を支払う家庭教師先に不安になりますが、やはり、背後には強力な動機がありました。家庭教師先のルーカッスルは恐ろしい人物でしたが、雇われたハンター嬢は独力で人生を切りひらいてきた強い女性で、惹かれました。