ユーザーレビュー 7は秘密 リンジー・フェイ / 野口百合子 「ニューヨーク最初の警官」の第2弾。 「ゴッサムの神々」の続編です。 1作目の勢いと熱気は健在。 ティム・ワイルドは、小柄ながら頭の切れる元バーテンダー。 兄のヴァルは大柄で町の顔役的な男。創設されたばかりの警察の分署長となっています。 そのヴァルに強引に警察に入れられ、腕を証明したティムは、殺人...続きを読む事件捜査を期待される立場となっています。 1846年の真冬。 黒人奴隷問題で、アメリカは南北に意見が割れていました。 解放された黒人は北部では自由だが、逃亡奴隷は南部に引き渡すことになっています。 黒人の血を引く美しい女性ルーシーが訴えにやって来ます。悪辣な奴隷捕獲人に家族をさらわれたと‥ 兄の家にルーシーを匿ったのですが‥?! 多感なティムが、大きな陰謀や悪意に立ち向かいます。 孤立しているかのようだった警察でも、しだいに認められていくのが嬉しい。 前作で遠いロンドンに渡ったままの初恋の娘マーシーも、微妙に揺れる様子を伝えてきます。 売春宿の主人で心がない女・シルキーも、あざやかな印象。 何といっても、葛藤のある兄と弟の、実は互いに命をかけて守るという間柄が熱っぽい。 濃い空気感ある時代の雰囲気が独特で、読ませてくれます☆ Posted by ブクログ ゴッサムの神々 下 リンジー・フェイ / 野口百合子 面白かった! ティムとヴァルの確執(というか、一方的にティムがヴァルを憎んでいた)は、成る程、そういう事だったのか。 そしてその、真相が判った後のティムの心境の変化、これは上手いなぁ。 これを書いたのが男性作家だったら、とてもとても嬉しかったろうと思う。 女性の性に対して、この話のような...続きを読む見解を持つ男性が増えて欲しい。 Posted by ブクログ ゴッサムの神々 上 リンジー・フェイ / 野口百合子 主人公・ティモシーの一人称で語られているが、それがこの物語には確かに一番の方法だと思わせる人物描写。 マーシーがどうにも捉えどころのない人物に思えるけど、それはティムの目線で彼女を見ているからなんだろうな。 また兄のヴァレンタインに対する気持ちもとても面白い。ティムはとても公平な人間で好感が持...続きを読むてるのだけど、兄の事となるともう(笑)。 マーシー側、ヴァル側から見たティムはどんな感じなんだろう。 ティムと私自身を同化して読んではいないのだけど、「相手から見た自分」はどうなんだろう、と思うのと同じ気持ちになる。 下巻も楽しみ。 Posted by ブクログ ゴッサムの神々 下 リンジー・フェイ / 野口百合子 19世紀半ばのニューヨーク。 創設されたばかりの警察で働く新米警官の奮闘を描きます。 ティム・ワイルドは、殺人事件の捜査に当たりつつ、逃げてきた少女バードを下宿にかくまっている。 下宿の女主人もバードを可愛がっていたが、その身に危険が迫る‥?! 移民が殺到し、治安が悪化するニューヨーク。 移民排...続きを読む斥運動もおき、プロテスタントとカトリックは激しく対立し、流言も飛び交う。 プロテスタントの牧師の娘マーシーがカトリックの貧民の慰問に行くのは、当時としては常識はずれなことだった。 いきいきした女性マーシーの意外な側面も。 バードが逃げてきた売春宿の女主人シルキーは、兄のヴァルに恋していたことがあったらしい。 早くに両親をなくした二人だけの兄弟だが、大柄で強引な兄のヴァルと気が合わないティム。 だがその理由には、互いの誤解が‥ 兄の放蕩の理由も、じつは切ない兄弟愛だった‥ 警察の権威も捜査方法も確立していない時代。 独特な隠語があって、同じ英語圏から来た人間同士でも、ろくに言葉が通じないこともあったとは。 うねるような街の情勢が熱っぽく描かれ、読み応えがありました。 センチメンタルな部分も貫かれて、いい読後感です。 作者はシャーロッキアン(シャーロック・ホームズのファン)だそうですが、ティムの人間像は「卑しい街を行く高潔な騎士」というハードボイルドの探偵のようでもありますね。 Posted by ブクログ ゴッサムの神々 上 リンジー・フェイ / 野口百合子 ニューヨークの黎明期。 創設まもないNY市警察の警官となったなったティムの遭遇した血まみれの少女。 映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』の時代をシャーロキアンな女流作家が描く兄弟萌えミステリー。 まぁ、あれですよ。 序盤は序盤なんで煽るだけ煽りますね。 スラングでの言い回しはスゴクカッコイイです。 Posted by ブクログ リンジー・フェイのレビューをもっと見る