あらすじ
「盗まれたんです。家族を」1846年の真冬。創設まもないニューヨーク市警の警官ティムは、黒人の血が混じった女性ルーシーから助けを求められる。妹と息子が悪辣な逃亡奴隷捕獲人に拉致されたのだ。ティムは兄ヴァレンタインの助けを得て彼女たちを助け出し、兄の家に匿った。だが翌々日の朝、その家で首にローブの紐が巻きついたルーシーの死体を発見してしまう。兄に嫌疑がかかることを恐れたティムは死体を移動し、犯人を追って捜査を開始する。弱者への暴力や黒人奴隷売買が横行する苛酷な時代に、青年警官はただ一人真実を求め奔走する。/解説=酒井貞道
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Posted by ブクログ
「ニューヨーク最初の警官」の第2弾。
「ゴッサムの神々」の続編です。
1作目の勢いと熱気は健在。
ティム・ワイルドは、小柄ながら頭の切れる元バーテンダー。
兄のヴァルは大柄で町の顔役的な男。創設されたばかりの警察の分署長となっています。
そのヴァルに強引に警察に入れられ、腕を証明したティムは、殺人事件捜査を期待される立場となっています。
1846年の真冬。
黒人奴隷問題で、アメリカは南北に意見が割れていました。
解放された黒人は北部では自由だが、逃亡奴隷は南部に引き渡すことになっています。
黒人の血を引く美しい女性ルーシーが訴えにやって来ます。悪辣な奴隷捕獲人に家族をさらわれたと‥
兄の家にルーシーを匿ったのですが‥?!
多感なティムが、大きな陰謀や悪意に立ち向かいます。
孤立しているかのようだった警察でも、しだいに認められていくのが嬉しい。
前作で遠いロンドンに渡ったままの初恋の娘マーシーも、微妙に揺れる様子を伝えてきます。
売春宿の主人で心がない女・シルキーも、あざやかな印象。
何といっても、葛藤のある兄と弟の、実は互いに命をかけて守るという間柄が熱っぽい。
濃い空気感ある時代の雰囲気が独特で、読ませてくれます☆