講談社文庫作品一覧

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  • 肉食の食客
    -
    身寄りのない叔父を居候させる事になった、甥夫婦。幸せな家庭を蝕む叔父に、業を煮やした甥は、ある行動に出る……。という表題作をはじめ、子供の純粋な気持ちから生まれた犯意を描く「共犯の瞳」、絶体絶命のところを助けられた男が、命の恩人に驚くべきお返しをする「燃えつきた蝋燭(ろうそく)」など、初期発表の、粒ぞろいの傑作短編11編を収録。色と金に欲を出すと、人間は良心を失う!
  • 孤高を恐れず 石橋湛山の志
    4.0
    徒党を組まず、大衆に媚びず、大衆を無視しない政治家・石橋湛山。民権派リベラルの真髄を体現し、権力政治に抗した良心の軌跡を追う。いま、日本の政治は混迷のかぎり、将来への危惧は、日ましに高まるばかり。あらためて良日本主義のすすめを説いた「志」をさぐる。<『良日本主義の政治家』改題作品>
  • 古代史私注
    3.5
    飛鳥の酒船石は、7世紀、イラン人たちの薬酒製造施設である、とする大胆な意見をはじめ、市井に埋もれた研究家の活躍にまで及ぶ、作家ならではの、古代史研究余語。古代史ブームに一石を投じた名著『清張通史』全6巻を遺して逝った筆者が、5年にわたり書きつづったコラム49編。東から西へ、文化交流の足跡をさかのぼる、名随筆。古代史の謎に挑んだ、清張史観の精髄。古代史のアカデミズムに挑む、大胆な仮説、そして精緻な論証!
  • 完全無罪
    4.0
    21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢された期待の女性弁護士・松岡千紗。しかし、千紗はその事件で監禁された少女の一人だった。間一髪で自分を殺めたかも知れない容疑者に千紗は敢然と対峙する。罪を作り出す罪「冤罪」法廷が迎える衝撃の結末。大ベストセラー『雪冤』を超える慟哭の「冤罪」ミステリー。(文庫書下ろし)
  • ウォーク in チャコールグレイ
    -
    都の西北にある大学の新聞学科に入学した山木信子は、新しい大学新聞の創刊を志す男子学生たちに交じって、キャンパスの周辺で新聞作りに励み始めた。蔦の緑濃くなる頃、初恋に心揺らぎ、悩みながらも信子は、ひたむきな学園生活を送る。60年代の青春群像を描いて今に甦る、早世した作家の自伝的長編小説。学生新聞の創刊にかける男女の愛と苦悩の日々は、チャコールグレイだった!
  • いつのまにやら本の虫
    3.3
    汗でぬれたお金を本屋の主人に差し出し、本を見つめる少年の目の輝き。こういう少年の姿は、今や、ない――無類の本好き、筋金入りの「本の虫」である著者が、本にまつわるイイ話、古本屋の謎、本が縁で知る人の心の温かさ……などなど、「面白くて奥が深い」読書人生を語り尽くす、最新書物エッセイ172編。本と対話する男、無類の本好きが語り尽くす、軽妙洒脱な書物人生。面白すぎて深すぎる、読書ワールドへご案内!
  • 大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ
    3.8
    南町奉行所の最底辺、牢屋見廻り同心・川瀬若菜に吉原随一の花魁から相談が舞い込む。英国人の恋人からプレゼントされた大切な指輪が盗まれたという。江戸の二分する泥棒寄合・川衆の棟梁という素顔を持つ若菜は、盗難事件の背後に、天敵陸衆の蠢きを察知する。天保の江戸を舞台に華麗な殺し合いが今始まる!
  • 玲子さんの好きなものに出合う旅
    -
    アンティークの宝の山に、狂喜乱舞したプロヴァンス。1枚のリネンから、しっかりシンプル&モダン党に寝返ったニューヨーク。そして、30年憧れ続けた北欧のルイジアナ美術館に、ハワイの優しい雨、バリの黄泉の世界……。今日も旅心がフツフツ。旅は発見、いつまでも、どこまでも続けたい!  イラスト満載のトラベル・エッセイ。いつまでも、どこまでも「自分旅」したい!
  • 秋と黄昏の殺人
    -
    「人が殺された。あなたのせいよ」……別れた妻からの突然の電話。放送作家の岩城浩平は、姿を消した元妻を探すが、何者かに襲われ、持っていた原稿を奪われた。残酷で淫らなビデオに映された「生け贄のイブ」という都市伝説の少女が、岩城を危険な迷宮へ引きずりこむ。愛と官能が渦巻く、長編サスペンス・ハードボイルド。殺人レイプ・ビデオに仕組まれた罠!
  • プロ野球英雄伝説
    -
    川上哲治、別所毅彦、藤村富美男、青田昇、中西太、稲尾和久、広岡達朗、長嶋茂雄、王貞治、村山実、江夏豊、掛布雅之、そして野茂英雄、イチロー……。戦後球界で燦然と輝き、記録と記憶に残る名選手・ヒーローたち52人から、直接見聞きしたエピソードと素顔や人柄に迫る、おもしろ人物評伝! 戦後球界で光った男52人の逸話と素顔!
  • 百合の心・黒髪 その他の短編
    -
    九州高速道路パーキングエリアに始まる、バラバラ死体遺棄事件。交友関係のもつれによる事件の経緯を私は「黒髪殺人事件」として書こうとしていたが、その企画は打ち切りとなってしまった。しばらくして届いた亡き友の講義録「黒髪考」をひもとくうちに……。というブッキッシュな作品「黒髪」を含む、初期傑作短編自選集。
  • きままな絵筆
    3.0
    カラフルで楽しい、絵入り身辺エッセイ集。 パリの小さな広場に出ている花売りのマダムが、あまりにきれいだったので、広場の端からスケッチをした。マダムはそれと気づいたが、少しも嫌な顔をせず、婉然たる微笑を送ってよこした──。幼いときから絵を描くことが好きだった池波正太郎が、「うまく描けたかしらん」と、はにかみながら発表した、絵と小文。
  • 若様とロマン
    3.8
    明治二十三年、ミナこと皆川真次郎は西洋菓子店を開いた。店には、旧幕臣の「若様組」の面々や、女学校に通うお嬢様・沙羅が甘い菓子と安らぎを求めてやってくる。しかし平和そうに見える世の中に、不穏な空気が漂いはじめていた。数年以内に“戦争”が始まるかもしれない――。 明治になって現れた「成金」のひとり、小泉琢磨は、戦へと突き進む一派の意向を押さえるべく動いていた。が、このままでは開戦派のやりたいようになってしまうという懸念から、今いる仲間以上に人を集めようと考える。 その秘策がなんと、「若様たちのお見合い」だったのだ! はたしてその成り行きは――?
  • ソウル マイハート 背伸び日記
    -
    映画『タンポポ』への思いがけない出演、『世界ふしぎ発見!』リポーターへの大抜擢、企画から携わった韓国報道、取材と編集に没頭したソウル・ガイド作り、被災地・神戸での貴重な経験、そして感動の数々……。すべては素晴らしい出会いから始まった。新しい世界へ全力で挑戦し続ける、行動派女優の15年間の記録。夢はきっとかなう、私の挑戦の旅!
  • オグリの子
    -
    勝つぞ、絶対に勝つぞ。勝って、あいつはダービーに出るんだ。優等生のユウ、悪ガキのナオト、そして落ちこぼれのコージ。3人が憧れつづけてきた馬が今日、走る。ひなびた競馬場から中央デビューを果たすべく、メインレースに挑む。伝説の名馬の子に託した子供たちの夢を描く表題作ほか、全3編を収録。
  • 旅猫 MEET THE CATS AROUND THE WORLD
    3.7
    この猫、とまれ! ロンドンの紀元前猫、ブダペストの薔薇猫、ヴェニスの放心状態猫、マレーシアの仕立屋猫……。猫たちとの熱い出会いをもとめて、地球を駆けめぐる旅人が贈る、純正・猫物語! 街角の猫と自由きままに語り、世界の猫おばさんの内緒話もこっそり教えてくれて、もう、「ひょうたんから猫」のワンダーブック。世界の街角で出会った、猫たちの素敵な物語。
  • 十津川温泉殺人事件
    3.0
    日韓W杯で日本中が熱狂する夜、都内で黄金色に彩られた男性の左足首が見つかった。その秋、八咫烏(やたがらす)で知られる紀伊半島の那智・熊野へ温泉旅行に出た志垣警部と和久井刑事は、山深い十津川村で、こんどは金色の右足首を見つける。さらに北海道の小樽で第3の足首が……。足にこだわる猟奇的な分解殺人の真相は? 日韓W杯と同時進行の世にも奇妙な分解殺人! 死者は3本の足を持つのか?
  • 蒼氓の大地
    -
    日本人であることを一枚一枚削ぎ落とされてゆく一世。多民族国家ブラジルに根を張ろうとする二世、三世。そして四世たち……。移民の野村峯夫一家が苦闘の末、やがてテーラ・ローシャの大地にゆたかな実りをもたらしてゆく足跡を、たしかな筆力で書きあげた渾身の力作。第13回講談社ノンフィクション賞受賞。明治政府によって推進された南米への移民政策の光と影を、日系4世の妻の一族の夢と挫折の軌跡を克明に追うことで解明。移民とは棄民ではないかと問う!
  • 加治隆介の政治因数分解
    -
    地盤、看板、カネがものをいう選挙。政党と派閥力学、新党結成と組織の作り方。官僚の体質と政治の本質。アメリカの極東政策、米中関係の狭間で沈下する日本。この国の「実態」を明らかにし、「あるべき姿」を真剣に問う。政治記者が知っていても書かなかった、永田町の真実、亡国の仕組みとは?――絶好の政治教科書。……これが、この国の本当の姿だ。このままでは「第二の敗戦」になる
  • IP/NN 阿部和重傑作集
    3.5
    時代を小気味良く射抜いた峻烈なマスターピース、『インディヴィジュアル・プロジェクション』と『ニッポニアニッポン』。過激で真摯な言葉が吼えるように奏でるストーリーは、今なお新しく、その奇妙で暗示的な読後感は、当代無二のものがある。代表作2編を同時収録した贅沢な一冊。<解説・古泉智浩><収録作品>●『インディヴィジュアル・プロジェクション』最後の一文字に驚愕する、知的スリルに満ちた現代文学の金字塔渋谷で映写技師として働くオヌマは、かつてスパイ養成塾に在籍していた。オヌマの日記から伝えられる、プルトニウム爆弾を巡るヤクザとの攻防や、その撮影フィルムの存在……次第に気味悪く変調する日記は、一体何を明かすのか?●『ニッポニアニッポン』滑稽にすら映る少年の孤独が、テロルの可能性に変わるとき――引きこもりの童貞・鴇谷春生(とうやはるお)は、世間に対する嫌悪と怨念を一身に漲らせた17歳。「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる……」そう誓った春生はネットを渉猟し、情報で武装。そして、ある復讐計画を企てる。文句なしに面白い! ストーリー至上主義のマンガ家であるオレが言うから間違いない!――古泉智浩氏(漫画家)なにもしないでいられない。けどなにしたいかわかんない。それならこれ読むっきゃない!――やついいちろう氏(エレキコミック)※本書は、2000年6月に新潮文庫より刊行された『インディヴィジュアル・プロジェクション』と2004年7月に新潮文庫より刊行された『ニッポニアニッポン』の合本です。
  • 波

    -
    憐れな境遇にある教え子・きぬ子と結婚した、小学校教師・見並行介は、妻の不貞、生まれた子に対する疑惑など、「永遠回帰」の波にも似た、生の悩みの繰返しに直面する。――ヒューマニズムと理想主義を貫いて生きる、真摯な人間像を追求した名作として、海外でも大きく評価される作品。
  • 戦国の風
    4.3
    織田信長と武田勢の決戦は、刻一刻と近づきつつあった。漢方問屋・倶梨伽羅屋弥九郎こと若き小西行長は、信長の密命を帯び、自由貿易都市・堺の命運を担って、黒潮猛ける大海原を一路マラッカへ向けて押し渡ってゆく、壮大な航海に出発。苛酷な宿業の綾に翻弄される戦国の貴婦人や、青雲の野望を一剣に託した武芸者を乗せて……。歴史の転換期を描く壮大な戦国ロマン。乱世の戦さを根底から変えた信長に、三千挺の銃をもたらした小西行長の航海記録!
  • 方丈記
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 失意の鴨長明が、日野の山奥、方丈の草庵に隠遁し、世の変遷と心の不安のなかに、自らの救いを求めようとする心境を、自伝的につづった、わが国随筆文学史上の不朽の名作。参考資料として、長明真跡の方丈記巻首、方丈庵遺跡を口絵に、現代語訳、解説、年譜、語彙索引を付し、川瀬一馬の名現代語訳でよみがえる。
  • 切り裂きジャック 闇に消えた殺人鬼の新事実
    3.0
    1888年の8月末日から11月9日にかけて、5人の娼婦を次々と惨殺し、世紀末のロンドンを恐怖のどん底に突き落とした「切り裂きジャック」。逮捕されることなく歴史の闇に消えた殺人鬼の正体を、日本のリッパロロジスト(研究家)の第一人者が、豊富な資料と図版を駆使して追究する、マニア必読の1冊。いま甦る、ロンドンの恐怖伝説!
  • 帰りなん、いざ
    3.0
    自称・翻訳家の稲葉が、2年契約で借りた民家は、美しい山里の奥にあった。東京の地上げ屋の魔手が伸びる中で、村人たちの他所者(よそもの)に対する目は厳しい。謎めく稲葉の存在も、彼らには目ざわりのはずだ。やがて稲葉も巻き込み、奇妙な事件が続発する! 恋と冒険の物語を見事な文体で描き、鮮烈な感動を呼ぶ傑作長編。美しい山里が招く冒険と恋!
  • ダイヤモンド殺人事件
    -
    掟やぶりの結末を書いた推理作家志望の学生が狙っていたものは? 芥川の「鼻」をラストまで読まなかった悲劇とは? 高速道路の大渋滞が決めた男の運命とは? 如月透という偽名を用いた殺人者が陥った意外な罠とは? 6つのミステリーすべてが衝撃のどんでん返し。あなたは物語の終幕を推理できるか? 逆転、逆転、また逆転。アッと驚く結末の連続。あなたは6度裏切られる!
  • オンリィ・イエスタデイ
    3.0
    雨の海辺で、何者かに追われる人妻を救った池内峻介は、彼女を自宅にかくまう。彼女の夫は、重大秘密を握って逃亡中。そのため彼女も、或る勢力の追及をうけているらしい。そして池内の周辺にも、敵方の手が……。意外な伏線を秘めて、事件は目まぐるしく動く! 男の特質を鮮烈巧緻に描く冒険小説。追われる女が握る秘密とは? 男の愛と闘い!
  • 枕草子(上)
    -
    1~2巻770円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『源氏物語』が「あはれ」の世界なら、『枕草子』は「をかし」の世界という。才たけた美貌の中宮・定子の豊かな文芸サロン。その自由で対等な、エスプリに溢れ、遊び感覚の男と女の交歓を、とりわけ中宮への深い敬慕をこめ、清少納言が、鋭い感性と知的批評的精神で活写した。平安の華麗な中宮生活の実態をつづった、唯一の記録文学。原文の巧みな表現を生かした、川瀬一馬の全訳付き。
  • 他国の死
    -
    1952年夏、佐世保米軍基地の地下監房。朝鮮戦争に関係した日本人や朝鮮人を執拗に〈訊問〉することで、戦争と日本人との関係、その背後に潜むアメリカの戦争犯罪――捕虜虐殺・生体実験・細菌戦などを剔出。鋭く豊富な想像力と独自の表現方法で、時代の隠された暗部を照射する、井上光晴の文学的達成点を示す傑作。
  • 密室殺人講座
    4.3
    地下室に人工的に造られた「孤島」の扉が、再び開かれるのは、72時間後。そこで、ミステリー講座が開校された。参加者は、ミステリー講座を主催する立案者の推理作家と、若い教え子7人。だが、密室状態になった初日の夜、推理作家は死体となって発見された。異常な心理状態に追い込まれる参加者たち。それは、次々と起こる事件の幕開きにすぎなかった! 孤島での密室殺人講座・実践編の答えとは? 真犯人は誰だ?
  • ヘッドハンター
    -
    バブル経済がはじけ、業界の再編・変動がはじまっている。いかに優秀な人材を集めるか……ヘッドハンターの動きは巧妙をきわめる。「W・W・R」本社の人材課課長・高村泰生は、銀行や証券会社の若手に狙いを定めた。鋭い嗅覚と型破りな手で誘いをかける。人材スカウト会社の知られざる実態を描く、経済情報小説。
  • 流砂
    3.0
    突然の病をきっかけに、仕事一途の人生につまずいた私。不如意な休職中の旅で訪れたのは、奥能登の海沿いの小さな宿だった。結婚に破れて東京から戻り、姉の女将を手伝う志津子は、疲れた男を包む、翳のあるやさしい女。終わりある恋と知りながら、情欲の炎は静かに燃え上がる。冬に咲いたおとなの恋物語。
  • 銀行頭取(上)
    -
    1~2巻770円 (税込)
    巨大銀行のワンマン頭取が、老人ボケに! 次期頭取の椅子を狙い、幹部たちが動きだす。盗聴・誘惑・罠……泥沼化する権力争い。権力への執念は、人間をこうも変えるのか。望月竹盛は思い迷いながらも、すでに引き返せないところまで来ているのを感じた。「えい、行くのみだ!」――銀行内部に展開する権力の知られざる醜い実態=ドラマを描く長篇小説。<全2巻>
  • 花まつり殺人事件
    -
    襟裳岬発、哀しみのトラベル・ミステリー。姉が遺した謎の言葉、冬の花まつりとは? ……冬の北海道から「花まつりを見に行きます」という絵ハガキを遺して死んだ姉。上着のポケットには1匹の蜂の死骸が……。姉は何を伝えたかったのか? 姉の死に不審を抱いた岡田美沙緒は、その足跡をたどって襟裳岬から広尾、帯広へと真相を探る旅に出た。哀切な愛の行方を追うトラベル・ミステリーの傑作!
  • 「物」の思想「人間」の思想 小田実評論集1
    -
    たくましい精神と行動力で、「蒼ざめた」現代文学に衝撃を与え、「ベ平連」のリーダーとして、戦後の反体制運動に新しい方向を打ち出した、〈行動する思想家〉小田実が、激動する歴史と現実の渦中から、あらゆる非人間的なものを拒否し、状況の変革をめざす人びとにおくる、新編評論集の1巻目。65年から70年にかけての代表的評論とルポルタージュ13編を精選。
  • 陸奥こけし殺人事件
    -
    東北は鶴岡名物の化け物祭りの夜に起きた、凄惨な殺人事件から10年。美貌の女流棋士・小柳カオリは、ひょんなことから「犯人」の母親に真相の再調査を頼まれるが、今も事件は尾を引いていて、次々と奇怪な連続殺人が起こり……。愛らしい陸奥名産のコケシにまつわる大掛りなトリックに挑み、不思議な人生の謎を追う、長編傑作旅情ミステリー。
  • 今日も君は、約束の旅に出る
    3.8
    何度だって、飛んで行くよ。笑わないで聞いて欲しい。これは、“絶対に約束を破れない”体質になった男の、一生に一度の恋の話だ。全てを賭けて臨んだオーディションに落ち、女優になる夢を諦めようとする国木アオ。自室で失意に暮れる中、突如地震が発生、目の前に一人の男――幼馴染の森久太郎が現れた。聞けば久太郎は、約束を果たす時が来ると、その場に瞬間移動する体質になってしまったと言う! 極上の感動を約束する傑作恋愛小説。
  • 銀行合併
    -
    合併のためなら、どんな手段を使ってもよいのか……。金融摩擦を避けるため、アメリカの銀行との合併を画策する大蔵省。女子行員を誘惑・利用する仕事屋。政財界にとり入る大物フィクサー。頭取の追放を企む若手専務。おぞましいほどに野望が交錯する。銀行内部に通ずる著者が、迫真の筆致で描く長篇問題小説。
  • 丹後半島鬼駒殺人
    -
    府中の古刹・真光山三界寺で、バラバラ死体が発見された。右手には、酒呑童子伝説にまつわる埋蔵金のありかを示す「鬼駒」と、「鬼殺し」という奇怪な棋譜が握られていた。また被害者は、坂田の公時の子孫を自称していた。やがて、大江山で第二の殺人が発生する。そして丹後半島に、奇怪な怨念絵図が浮かぶ。猟奇殺人の主犯は、はたして「鬼」なのか? 女流棋士名探偵が解く、長編伝奇ミステリー。
  • 雪に舞う剣
    3.5
    激しく揺れた幕末・日本。明治という夜明けに向かって、若者たちは命をかけて立ち上がる。高杉晋作ら歴史に名を残す人物から、討ち死にし忘れ去られた数多くの武士、愛する人と刃を交えなければならなかった娘まで……。維新期の日本を生きた人々を、その心の葛藤までも見事に描いた、感動の歴史小説集。幕末を生きた武士たちの、真の姿が明らかに!
  • ことばで「私」を育てる
    3.5
    人の心に届くことば。良い関係を育てることば。自分を豊かにすることば。……NHKアナウンサーとして、芸術家や作家、俳優、そして市井の人々と出会った経験をもとに、ことばにまつわる大切なことを綴ったエッセイ集。人生を豊かにする「やさしく深いことば」「自分のことば」を手に入れるために、ことばを磨こう! 人生を豊にするやさしく深いことばの重み。
  • 随想集 光と翳の領域
    5.0
    詩、絵、音楽を愛し、そして自然の中に思索を求めてやまぬ著者が、自らの手で、愛着深い作品のみを選びあげた珠玉の随想集。冒頭の「牧歌」と最後の「霙の降る林」の間には30年の歳月が流れている。〇北杜夫 過去、早春の林や秋山の路傍で、私は自分にとってかりそめならぬ書物の何頁ずつかを、繰返し読んだものだ。串田さんのこの本は、久しぶりにそうした誘惑を私の心にひき起す。透徹した眼差、しんとしてまたふくよかな抒情。ここには稀な詩人と思索人とのまじわりがある。
  • ヨーロッパの祭り 新年から大晦日まで
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ヨーロッパの四季をいろどる、祭りの歳時記。春を告げるカーニバル・復活祭。夏を謳歌する夏至祭。秋の実りを祝う収獲祭。そしてクリスマス。ヨーロッパ各地に残る、祭り行事ベスト100を、写真と文で紹介した名著。甦る生命の春、歓喜の夏、収穫感謝の秋、悪魔のような冬──四季折々の人間の営み。ながい歴史と古い伝統。それらが融合して生みだされたヨーロッパ独特の祭り行事を、新年から大晦日まで現地取材で再現した「祭り歳時記」。「ヨーロッパ年中行事一覧」付。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • ベラウの生と死
    -
    美しいベラウの島々で、餓えて死んでいった男たちがいた。戦争末期、孤立した南の島で、男たちの生と死をわけたのは何だったのか? ひとつの資料から取材を重ね、戦闘を描かずして「戦争」の顔を浮かび上がらせる……。もの言わぬ死せる人々を、そして、幼いいのちが担う地球の未来を、静かに見つめる必読の書。戦争は終わらない!
  • 「更級日記」を旅しよう 古典を歩く 5
    3.0
    都から遠い上総の国で育った少女は、父親の帰任で京へ戻ると、かねて憧れの「物語」に読みひたる。「源氏物語」の夕顔や浮舟のようになれたら、と密かな望みを持ったが、現実には地味で平凡な結婚生活と、夫の死が待っていた……。ゆかりの土地に、王朝の女心を訪ねる好読物。古典の旅シリーズ『更級日記』改題作品。
  • 「好色五人女」「堀川波鼓」を旅しよう 古典を歩く 10
    -
    元禄文芸の二大作家、西鶴と近松の人気作品の舞台を各地に訪ね、女と男の命がけの恋を実感する旅。姫路のお夏、大坂のおせん、京のおさん、江戸のお七、薩摩のおまん、因幡(いなば)のお種──実際の事件をもとに生れた名作の、恋人たちの哀切な息づかいが胸をうつ名著。古典の旅シリーズ『好色五人女/堀川波鼓』改題作品。愛を守り切った心中死、激しく胸をうつ命がけの恋!
  • 風雅の虎の巻
    -
    花の名前は知らなくたって、鳥のように風の音に耳をすまし、月を見れば心は千々に乱れてしまう日本の魂とは? 由緒正しい日本の男たち――大人たるもの、いかに生きるべきか? 古典から現代政治、芸術や遊び心まで、この橋本治直伝「虎の巻」を読めばよくわかる。明解で正統な日本のノウハウこそ、これです! 橋本治流・明解・日本美学入門。
  • 富士山殺人事件
    3.0
    夏の終わりの土曜日、捜査一課の志垣警部は、部下の和久井とともに富士登山に挑んだ。雲海をはるか眼下に臨む七合目の山小屋で御来光を拝んでいた頃、山頂では殺人事件が起きていた! さらに同日、東京の下町では女性の変死体が見つかる。日本最高地点と海抜0mでの殺人を結ぶ共通項は「奇妙な叫び声」だった……。なぜ日本一高い場所で殺人は起きたのか?
  • 修善寺温泉殺人事件
    -
    渋谷区内のアパートで、OLが顔じゅうにウルシの樹液を塗られて殺された。数日後、同じ会社から2人目の犠牲者が……。第2の現場は伊豆修善寺温泉にある露天風呂《独鈷(とっこ)の湯》。猟奇殺人の背景には、「修禅寺」幽閉中に謀殺された源頼家(よりいえ)にまつわる呪われた古面の伝説があった! 温泉殺人事件シリーズ記念すべき第1作。夜叉王の仮面が巻き起こした惨劇は、前代未聞の全身ウルシ塗りでの殺人。運命の皮肉が犯人を狂わせたのか、呪われた伝説ふたたび!
  • 算数・国語・理科・殺人
    -
    南の島・サイパンのプールに浮かんだ男の死体は、なぜか冬物の背広を着ていた……。妻に先立たれた大富豪・渋川康次の周辺で怪死事件が続き、渋川家の子供たちに勉強を教える軽井沢純子のもとにも脅迫状が届く。そして第三の殺人でも、死体は奇妙な格好だった。ウサギよりもカメのように遠回りな犯人の計画とは? 意表を衝く一文字の謎、犯人を示す漢字のトリック。
  • 回転寿司殺人事件
    3.8
    心が読める超能力者として売り出し中の蓮台寺翠は、和久井刑事が小学生のときに想いを寄せた転校生。16年ぶりの対面で、実際に心を読まれてガク然とする。さらに、回転寿司チェーンを経営する男の愛人と知ってボウ然となる。そして彼女が、東京と北陸を結ぶ殺人事件の容疑者になったとき、和久井は私情を捨て、苦悩の真相解明へと向かう。和久井刑事、悩む。回る回る、殺意は回る。初恋の人は殺人者か?
  • ランプの秘湯殺人事件
    3.0
    殺人の真相は、このランプに隠されている……、志垣警部はそう確信した。宮城県の山中にある湯ノ倉温泉は、電気のこない一軒宿の秘湯。唯一の照明器具は、ランプ。その温泉宿へ写真集の撮影にやってきた一行を、悲劇が待ち構えていた。露天風呂で男が殺されたのだ。執念の減量に成功し、復活の野望を抱く女性タレントは、はたして惨劇の真犯人なのか? ランプだけが犯人を見ていた!
  • カミの人類学 不思議の場所をめぐって
    -
    われわれは、カミという言葉を忘れようとしている。しかし、未開とよばれる人びとは、夢に実体を見て、日々草木虫魚と語らいつつ、カミとともに生きている。近代文明が切り捨ててしまった不思議の世界にメスを入れ、移りゆく森羅万象の闇の底に、初源の生の姿をとらえる。野性の眼・耳・心をとり戻す、衝撃的な原点の書。自然界に拡がる、人類が創り出す「カミの空間」を探り、失われた心を求める意欲作!
  • 私家版 かげろふ日記
    4.0
    「私は身分違いの相手に想われ、玉の輿に乗った女である。」――並外れた美貌と作歌の才に恵まれた平安朝の一女性が、浮気の絶えない夫との生活から女同士の確執、一人息子への溺愛ぶりまでを赤裸々に綴る。無類に面白い千年前の記録を、大胆かつしなやかな日本語で生き生きと再現させた現代人必読の書。平安朝日記文学の傑作を、しなやかで優美な現代語で甦らせた名篇。女の人生、夫次第。古典のおもしろさ、新発見!
  • 同時代を撃つ(1)情報ウオッチング
    4.0
    警世のジャーナリストが、明快な理論と分析で迫る話題の社会時評集。毎日、さまざまなメディアからさまざまなニュースが供給されている。そんな情報に疑問を感じないだろうか? 第2次情報を中心に扱う著者がウォッチングする主たる対象は、目に見える現象の背後に隠された、より高次の現象ないし構造である。あふれる情報の背後に隠された真実を抉った名著!
  • 否認 どうして言わないの
    3.0
    父が贈賄罪で逮捕・起訴された! 会社のためにしたことなのにと、父の身を案ずるジュンの前に2人の青年弁護士が……。否認との闘いである汚職事件の捜査を通して、被告人とその家族の揺れる心情、企業の思惑、法廷での攻防を描く。元東京地検特捜検事にして初めて書きえた法廷サスペンス。汚職事件の実態追及、渦中の人間模様と恋愛感情、息づまる法廷内の攻防……。
  • 石川節子 愛の永遠を信じたく候
    3.0
    石川節子は、夫である石川啄木の愛と才能に命を賭けて生きた、果敢な女。天才詩人と謳われた啄木の多くの詩歌も、病気と貧困にめげぬ妻の献身なしにはありえない。だが、その晩年、節子は生活に疲れ、思想的に大きく成長していく啄木から、決定的に取り残されていく……ひとつの愛に殉じた、明治の女の哀切な生涯。
  • 聖なる死の塔
    3.3
    神戸の名門校・マリア女子学園で、高さ25メ-トルの塔から一人の若い修道女が転落し、不審な死をとげた。高梨洋子は、親友の不可解な死の謎を探るため、学園に駆けつけた。そして、いっけん平和そうな女の園の奥深くに、邪悪な意志と策謀を知る。学園のペットの無惨な死、女学生たちの不可解な行動、さらに続く修道女の不気味な死……。サントリーミステリー大賞読者賞の気鋭女流による、傑作推理長編。修道女を殺そうとする者がいるのか? 名門女子学園に起きた、奇怪な連続殺人事件。闇に葬られた過去の謎は? 愛と憎しみがよみがえる。
  • 吉岡清三郎貸腕帳
    3.7
    依頼人からの無理難題を解決するのは、おのれの腕1本のみ。京流の剣の達人にして、まだ見ぬ伝説の強敵と対峙することを夢想し、胸を踊らせる。だが普段は、ひたすらに不機嫌。「2」という数字とお人好しは、大嫌い。雇われるのはもちろん、我慢ならない。豪快すぎる男の生き方を描いた、7話を収録。期待の新鋭が放つ、痛快時代小説。剣の達人にして、ひたすら不機嫌な男が己の力で無理難題を解決する!
  • 13歳の黙示録
    4.3
    札付きの非行少年・幸雄の閉ざされた心に、中学教師の千佳は献身的に向き合おうとする。少年の内にあった驚くべき葛藤とは?  そして周囲の心配どおり、13歳の幸雄は千佳にナイフを向けた! 彼はなぜ、人を殺してしまったのか? どの教師も手を焼く非行少年の心を、千佳はこじ開けようとしたが……。少年向けに物語を紡ぎ出してきた著者が世に問う「人を殺めることの重さ」。親も子も読みたい、胸に迫る感動の傑作、心に突き刺さる衝撃作!
  • 文明の逆説 危機の時代の人間研究
    4.0
    地球というのは、刻々と増え続ける40億の人間と、150万種にも及ぶ生物を乗せた、満員の宇宙船だ。どこかで戦争があり、自然が破壊され、犯罪が頻発する。人は心身ともに病んでいる。これから現代人を乗せた宇宙船はどこへ行くのか? その先は破滅か、復活か? 現実に進行中の地球の危機の実態を示し警告する、衝撃のレポート。地球の破滅は、SFではない。宇宙船「地球号」は、破滅へ向かっている!
  • 雪のコンチェルト
    -
    雪を求めてゲレンデからゲレンデへと1年中放浪の旅を続けるタヌ公こと田沼義晴と白人のジムは、伊能御子と由香利という女子大生と、立山のスキー場で知り合う。由香利はジムに熱を上げ、放浪の旅に同行、御子は由香利の親から頼まれて彼女を東京へ連れ戻すが、自分が二人と旅に出てしまう。自由を求めて生きる青春群像を描い名作。風間トオルや石田純一らで映画化された、スキー場で燃え、スキー場で散ってゆく、切なくも美しい恋の物語。白いゲレンデにしか咲かない恋もある!
  • たった一度のポールポジション
    -
    鈴鹿に一瞬の光芒を放って逝った、トオル23歳の青春。星野一義、中嶋悟らを追いつめ、鈴木亜久里と競った天才ドライバー・高橋徹。「もし生きていれば」というなら、モータースポーツの新時代を築いていたにちがいない。あまりにも激しく生き急いだ現代の青春を、若い感性で描いた注目のノンフィクション作品。天才ドライバーの激しい青春を描いた名著!
  • 魔法使ひ
    4.3
    空襲で市街の九割が焼けた青森。闇市を仕切る香具師の親分、江藤家の双子の令嬢が、惚れた男のため「魔法使ひ」に近づいた。あまりに危険なその代償とは。がれきの街の混乱の中、たくましく生き抜く人々の、壮絶で妖しい物語。<文庫書下ろし>
  • 美と宗教の発見 創造的日本文化論
    -
    西洋哲学に専念していた著者が、ひとたびその眼を日本の思想・文化に向けたときに見た、正しい日本文化論の不在。日本人の心に根深く巣食うさまざまな偏見から我々を解放し、日本の文化を見つめる正しい眼をつちかうため本書は書かれた。物質主義に対し、自然にも生命を見、生きとし生けるものの魂の復活を求める、みずみずしい創見と熱情に満ちた著者の処女論文集。
  • 夜はまだあけぬか
    3.5
    突然の失明。しかしなお、闘病に仕事に趣味にと新たな挑戦の日々。初代民博館長・梅棹忠夫の凄絶なる生き方を見よ!老年の域に達して、学問・研究のしめくくりをつけなければならない大事な時期に、突然の視力障害におちいった筆者。くる日もくる日も夜がつづく。目が見えないのではどうしようもない。何かよい方法はないものか。闘病・リハビリ、さまざまな試みを経て、新たなる知的生産に立ち向かう、元民博館長の感動の名エッセイ。「そのうちにわたしはどういうわけか、著作集をやろうという気になった。それは病院のベッドのうえでのことだった。なぜこういう気になったのか、よくはわからない。なにかしら、やろうとおもい、やれるとおもった。目がみえないままでも、この仕事はやれるのではないかとおもった。それにはもちろん、たくさんの友人たちのたすけにたよらなければならないが、みんなにたのんでみよう。わたしは決心した。」(本文より)
  • 戦後政財界三国志
    -
    経済大国への道を二人三脚でひた走った、保守政治家と財界人。彼らの創意と気骨は、焦土からの復興と高度成長をなしとげ、オイルショックを乗り越えた。しかし権力と浮利を追う者たちは、バブル経済を破裂させ、10年の混迷を生み出す。戦後60年、「永田町と大手町」の蜜月と相剋の功罪を問う。
  • 生還への飛行
    -
    故障、錯覚、突風……緊急事態に遭遇したとき、墜ちるパイロットと生還するパイロットがいる。危機に瀕し、なおかつ生還したパイロットには、かなりの共通点がある。有能なパイロットは、非常に短時間の出来事でも、あらゆる細部に適確に対応し、それを正確に記憶している。世界の一流パイロットを徹底取材。墜落を回避できたパイロットの条件とは?
  • 「平家物語」を旅しよう 古典を歩く 7
    -
    祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす──。熊野、住吉を訪ねて、平重盛の栄華の中の空しさを、宇治、富士に平維盛の運命を、宮島、屋島、そして大原に、流転の王妃・建礼門院の悲しみを知る。琵琶法師に導かれて、日本人の心を訪ねよう。諸行無常の安らぎ。日本人の心の旅。熊野大社へ、厳島神社へ、大原へ琵琶の音が導く、新しい発見の旅。古典の旅シリーズ『平家物語』改題作。
  • 金雀枝荘の殺人
    3.9
    金雀枝(えにしだ)の花が満開に咲くころ、一年に一度、かれらがこの館を訪ねる。また、あの季節が巡ってきた……。完璧に封印された館で発見された、不条理極まる6人の死。過去にも多くの命を奪った「呪われた館」で繰り広げられる新たなる惨劇、そして戦慄の真相とは? 息をもつかせぬ、恐怖と幻想の本格ミステリー。
  • 愛しすぎなくてよかった
    4.3
    なんの取り柄もない25歳のOL・高沢なつみ。「結婚という選択肢」のない恋愛に破れ、彼女が選んだのは海外留学だった。一歩踏み出すために、いま必要なことはなに? みずから輝くためには、男をそして自分自身をどう愛したらいいのか? 夢をあきらめないすべての女性に贈る、せつない、それでいて元気が湧いてくる物語。「愛しすぎると愛は死ぬ」「輝きたいのに輝けないの」ーー自分を生かす世界を探し求めるすべての女性に贈るメッセージ!
  • 極北クレイマー2008【電子特典付き】
    4.3
    1~2巻770~902円 (税込)
    財政破綻がささやかれる極北市民病院に赴任することになった今中良夫。極寒の北国、経費も人材も削減された医療現場に未来はあるか!?
  • 「今昔物語」を旅しよう 古典を歩く 6
    -
    都も夜更けは真の闇、一条戻橋で百鬼夜行に行き合った若侍の味わった恐怖。羅城門の楼上で、死人の髪まで盗む老婆から、一切を強奪した下人の豪胆。陸奥へ攫われた姫君の悲歎。……歴史に名を残した有名人から庶民まで、面白い多彩な人生の様相。物語や噂の形で人々に届いた情報。……生ぐさく、たくましく、面白く書かれた説話の風土を訪ねて、今昔の男女と心情を共有する好著。心おどる物語の世界へ! 古典の旅シリーズ『今昔物語』改題。
  • 暗黒告知
    3.0
    明治40年の栃木県谷中村。足尾銅山鉱毒事件をめぐり、官憲と立ち退き反対の農民側とが激しく対立するさなか、反対派の巨頭・田中正造の側近で谷中村土地収用反対派の残留農民の勝野が殺された。凶器は、鉱毒事件の告発者・田中正造の杖。はたして正造が犯人なのか、それとも巧妙なデッチあげによる官権の策謀か、はたまた反対派の内部抗争か……。歴史推理に社会問題を鮮やかに導入した傑作長篇。第20回江戸川乱歩賞受賞作。
  • 元禄歳時記(上)
    -
    オカラ先生の異名をとる貧乏学者・新井勘解由(白石)は、ふとした縁で姿をやつして江戸市中を微行する甲府宰相・綱豊(後の六代将軍・家宣)と友情を結ぶ。綱豊には、彼を憎む現将軍・綱吉の刺客が差しむけられ、勘解由も事件の渦中へ……。元禄期の世相を背景に、二人の青年の波乱万丈の青春を描いた、長編時代小説。
  • ボヴァリイ夫人
    -
    凡庸な田舎医者・ボヴァリイとの日常生活に倦んだ、美しい妻・エンマは、持ち前のロマンティックな人生観から、情熱のおもむくまま、不倫と虚栄に身を滅ぼして行く……。愛を夢み、愛に裏切られて破滅する、悲劇の女性像を、鋭い眼と精緻な文体で描いて、光芒を放つフランス文学の名作の魅力を余さず伝える、清新な決定訳。近代小説への道を拓いた不朽作の香気を、あますことなく伝える中村光夫氏の訳。
  • χの悲劇 The Tragedy of χ
    4.2
    トラムに乗り合わせた"探偵"と殺人者。Gシリーズ転換点となる決定的一作。後期三部作、開幕!!香港のトラムで起きた密室殺人と、果てしなく広がるバーチャル空間での光速の追跡劇。天才を追い、天才に追い詰められる。「そう。ここが私の世界だ」香港で仕事をする島田文子のもとに男が現れた。島田が真賀田研究所にいた頃に起きた飛行機事故について質問があるという。その日、走るトラムの中で殺人が起き、死者の手に「χ」の文字が遺される。乗客として警察の捜査に応じた島田だったが、そこである交換条件を持ちかけられ……。Gシリーズ後期三部作開幕!
  • 洛陽の姉妹
    3.4
    動乱の時代、姉妹を襲う苛酷な運命……。ときの皇帝の正后で、世間で最も恐れられるという南風(なんぷう)。その異母姉である春暉(しゅんき)は、斉の国から洛陽へと、妹に会うためにやってきた。だが、春暉には会おうともしない南風には、姉への複雑な思いがあった……。時代が生んだ姉妹の運命を、力強くまっすぐな視線で描く表題作など、抒情あふれる中国短篇小説5編を収録。
  • 不義にあらず
    -
    武家の奥向きにふさわしくない卑賎の女と、その女・やすを憎悪する隠居。親に押しつけられた妻を離別し、やすを手許に置こうと望む当主。かたくなな父子を和解させようと、いじらしく知恵を絞るやすの身は……。体面にしばられる武士の家庭を描いて、人間らしい幸せを求める男女の、愛憎の果てを語る秀作短編集。
  • 愛の灯籠
    -
    松江藩・松平出羽守御茶道頭の妻・登与には、不幸な過去があった。冷やかな夫は妻を愛さず、外に女を置いていた。夫の弟子・池田文次は、美しい登与を慕い、二人は結ばれるが、登与は身籠ってしまう。どこまでも一緒にと、二人は大坂へ逃れるが、追手の夫に討たれてしまう。――愛に生きた男女を切々と描く、傑作時代長編小説。
  • シーナイトを救出せよ
    -
    ケネディ大統領の暗殺前夜、英仏独ソによるアメリカ壊滅作戦を託された英国潜水艦が、大西洋の深海に消えた……。それから25年、米海軍深海調査艇・シーナイトが謎のメッセージを残し、同一ポイントで消息をたった。必死の捜索活動をする米海軍、それを妨害しようとする英仏独ソ連合国の大戦争! 超大国の機密を巡る、迫真のハイテク軍事サスペンス。
  • 歴史を彩った悪女、才女、賢女
    -
    古代の女王・卑弥呼から、坂本龍馬の熱血の妻・お竜まで、忍従の生活に埋没せず、愛の選択と魂の自由を求めた個性的な女たち。身動きも不自由な時代の制約の中で、力の限り生き抜いて、人々に重んじられ愛された女たちは、どのような人間であったのか? 円熟の作家が共感をこめて描き出した、輝く26人の肖像。古代の女帝から江戸の町娘まで、強大な支配者と女たちの激しい愛憎の物語。時代を超えてよみがえる女たちの真実!
  • 平成永田町劇場
    -
    経世会の軛(くびき)を脱して、久々に成立した清和会系の小泉政権。空前の支持率を背景に構造改革をさけぶ小泉だったが、「盟友」田中眞紀子の更迭をきっかけに、永田町に大乱の予兆が……。角福戦争以来の愛憎もあって、福田康夫、小沢一郎、鳩山由紀夫、鈴木宗男ら、与野党入り乱れての政界大バトル! その舞台裏をあまさず描いた、傑作実録小説。さあ、役者はそろった!
  • 自民党・ナンバー2の研究
    4.0
    日本政治の失われた10年。その原因は秀れたナンバー2の不在だ。剥出しの権力欲が激突する自民党内で、無念にもたおれた者、あえて補佐役に徹して身をまっとうした者……。彼らが「戦後」を動かしたのだ。保守合同の立役者、緒方竹虎、三木武吉、大野伴睦から平成の小沢一郎、加藤紘一まで、30人の列伝。出でよ、平成の「寝業師」そして「策士」。忘れられぬ政治家たちの物語!
  • たそがれやくざブルース
    3.0
    電柱の上の老婆は有線放送の女社長、商売敵のやくざに対抗して電線をすりかえる……。しみじみした人情話が奇想あふれるアイデアで展開する標題作はじめ、人工授精児、雷同嫌会の作曲家、吸血鬼にプロ野球の美少女投手などなど、井上ひさし小説ワールドの登場人物は奇妙奇天烈、抱腹絶倒。幻の大爆笑ナンセンス小説集!
  • エーゲ海 ギリシア神話の旅
    3.0
    透き通るように碧く、どこまでも広がるエーゲ海。ギリシアの神々は、ここでどんな午睡を楽しんだのだろうか? またオリンポスの山の中で、どんなドラマを繰りひろげたのだろうか? ギリシアの旅は神話を手がかりに、心身の癒しを求めて歩くのが最高。ストレスだらけの現代人にピッタリの一味違った旅ガイド。旅が2倍楽しくなる!
  • 「万葉集」を旅しよう 古典を歩く 1
    3.0
    万葉集の4500余首の歌には、同じ風土に生き続ける日本人の心が息づいている。そこには、脈打つ生命の響きがある。のびやかに麗しく、切なく悲しい、いつの世も変わらぬ生きざまがある。心に残る歌に誘われ、飛鳥へ、大和へ、筑紫へ、越中へ、東国へ、西国へ……。日本人の心に出会う旅に出てみよう。古典の旅シリーズ『万葉集』改題作品。万葉の舞台を巡り、時空を越えて、日本人の魂を訪ねる!
  • 「枕草子」を旅しよう 古典を歩く 3
    -
    「春はあけぼの」と機智縦横の才能の、凜々として澄んだ響きを醸す名文が導く世界――。美しい土地の美しい風物、自然の優美さ、人々の生活の楽しさを情緒豊かに綴った、王朝女性の夢と憧れと心の軌跡を、四季おりおりに訪ねる。名エッセイを道づれに、古典の舞台を歩こう。古典の旅シリーズ『枕草子』改題作品。
  • 忍びてゆかな 小説 津田治子
    -
    少女時代にハンセン病を発病した津田治子は、終生その苦しみの中に生きた。現代では特効薬が発見されてハンセン病は治る病気となったが、彼女がその恩恵に浴するには発見が遅きに過ぎたというほかはなかった。みずからの生命に精いっぱい執着し、聖書と短歌を支えに、痛ましくも強い生涯を終えた女流歌人を描く、感動の名作。
  • 日本の半導体開発 超LSIへの道を拓いた男たち
    4.0
    熾烈に展開される、日米半導体戦争。半導体こそ、その開発の初期から日本が大きな関わりを持ち、欧米を相手にまわし、リードしてきた最高の技術である。電子工業の分野で世界に大きな力を発揮した、この経験と実績は、将来に大きな教訓を残している。本書は、超LSIへの道を拓いた男たちの、壮大なドラマを描く。半導体戦争に日本は勝ちの残れるのか?
  • 小説 角栄学校
    -
    永田町で日本を動かす者たちは、この男を「師」と仰いだ。竹下登、細川護熙、羽田孜、橋本龍太郎、小渕恵三と5人の首相を輩出し、娘・眞紀子へと連なる「角栄学校」とは何だったのか? 戦後最強の政治家の実像と、門下生たちの分裂抗争を描く。橋本退陣、自自連立の2章を書下ろし、「角影政治」の実態を抉る実録小説。永田町を牛耳った天才の物語。
  • 樹の上の草魚
    4.0
    ペニスのことなんて、いったい誰に相談すればいいんだ? 僕は、男なのか女なのか? いや、そもそも僕はなんなのだろうか? アンドロジナスな主人公、そして登場人物の温かく細やかな心のゆらぎは、読む者の内面にやさしく触れ、本当の自分を気付かせてくれる。温かく比類なき感動をよぶ、吉川英治文学新人賞受賞作。
  • カナリアが囁く街 警察庁が震撼した七日間
    -
    バブル経済が崩壊し国内が混乱すると予言した、極秘のレポートが作成された。それを受け取った内閣情報調査室は、治安強化を求める世論の喚起を目的に、ある組織を使って、各地でテロ事件を頻発させる。それを阻止するため、一人の捜査官が首相官邸に呼ばれ、動き始めた……。危機迫る、情報サスペンス小説。警視庁が震撼した7日間。首相の特命で、極秘捜査官が凶悪テロに挑む!
  • 「百人一首」を旅しよう 古典を歩く 8
    -
    日本人の美と感受性をはぐくみ、花開かせた「百人一首」。歌に詠まれた舞台――桜花咲きほこる吉野山、朝靄に包まれた天の橋立、菜の花咲く天の香具山、千鳥鳴く淡路島、白雪いただく富士の山、悲話をひめた隠岐などなど、我々の血となり肉となった古典、我々の心の郷里を旅しよう! 古典の旅シリーズ『百人一首』改題作品。美と感性の精華である百人一首の舞台を旅する名随筆。
  • ビジネス人生・幸福への処方箋
    -
    会社と心中するなんて、もう真っ平ごめんだ! 仕事は一種のゲームと割り切れ! 転職を恐れるな! 良き仲間と刺激と身体を大切にしよう……。長いビジネス人生、男の大幸福を、おめずおくせず堂々と考えてみようではありませんか? 「さようなら会社人間、こんにちは男の幸福」のために、実体験を基に贈る、時宜に適したカルテ。「会社人間」脱出への、サラリーマン大改造計画!
  • トム・ソーヤーの冒険
    -
    遊びのことならまかせとけ! わんぱく少年トムのいたずらは、いつだってゆかいでスリル満点。海賊になろうと家出をしたり、洞窟を探検して迷子になったり……。おかげでポリーおばさんは、はらはらどきどきの連続です。ミシシッピ川沿岸の小さな町を舞台に、少年の夢と冒険をいきいきと描いたアメリカ文学の最高傑作。何度でも読みたい、腕白トムのスリルと笑いあふれる愉快な物語。子供の世界の楽しさ、のびやかさを描いた名作。
  • この生命を凛と生きる
    4.0
    障碍はあっても出来ることはたくさんある! 30年も車椅子の娘を支えた、気丈な母がぼけ出した。母のため、初めて食事を作り、風呂に入れ、カテーテルの処置をする。「オイツメテハイケナイ」呪文を唱え、時に「鬼の邦子」になって、老いに寄り添う。悔いのない別れなんて、あるんだろうか? 万朶の桜の中、看取った母への癒し難い思いが、胸に痛い。老い・介護とは?を問う、著者みずからの体験を綴った名篇。
  • ディーリングルーム25時 「円」の戦士の栄光と挫折
    3.7
    世界の金融市場を舞台に、「神の支配する確率」との孤独な戦いをくりひろげる野望にとり憑かれた、男たちの栄光と挫折。ハイテク機器を駆使し、地球上に張りめぐらされた情報ネットワークを通じて、ビジネスをする。ディーリングルームで目のあたりにした光景は、まさに、高度資本主義の最前線のように映った。苛烈なるマネー戦争を徹底取材!
  • 燃えるだけ燃えよ 本田宗一郎との100時間
    4.1
    戦後日本を驚異的なエネルギーで突っ走った、創造的経営者・本田宗一郎。その独特な発想力と人間的哲学の、よってきたる源泉はどこにあるのか? 歴史や経済をテーマに優れた作品を書き続ける作家が、密着100時間の取材を通して、「世界のホンダ」を創った男の魅力のすべてを、生き生きと伝えてくれる人間紀行。戦後日本復興のパワーを明らかにする傑作。
  • 燃えよ! 経営魂
    -
    「儲かりまっか?」を合言葉に、敗戦後の混乱の中から業を興し、石油ショックや円高など、40年間の経済変動をのりこえ、未知の分野に挑戦して、商売を成功させた秘密は何か? 持ちまえの鋭いカンとド根性と夢を経営に注ぎ、多くの友人の知恵を活用し、明るく爽やかに社業を営む〈男の魂〉を描く経済小説。陽気で憎めない関西商法、ここにあり!

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