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「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!
留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。
誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。
「国はもういい。個人が大事。そこをいともたやすく、悲壮感など皆無のままに書かれたのがこの小説とも言える」
――池澤夏樹氏(文庫解説より)
Posted by ブクログ 2022年11月19日
本屋で帯を見て、留学中に母国が消滅!?自分で作った言語!?と突飛な設定が気になって手に取ったんだけど、とても面白かった!!!
ふわふわ浮遊しているんだけど、読み進めるうちに旅の道連れが増えて、離れて、最後にまた集まってとRPGのようなワクワク感もあり、心地良い所在無さだった。
日本生まれ日本育ち...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月14日
言語がテーマということもあってか、巧みに直喩と隠喩が織り交ぜられた文章表現、読んでて唸らされる。
あまりオムニバスという感じでもないが、複数の視点からストーリーを追いかけることで徐々に謎が解き明かさていく感じが面白い。惹き込まれる。
日本を見る視点が独特で、日本と日本語、文化のことを改めて学び直した...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月07日
未来の、日本列島がもはやなくなってしまい、そして国境が今よりも曖昧になった世界を舞台に、言語が持つ意味を問う作品。
北欧を舞台に、日本語を母語とする主人公Hirukoが移民にとって大変に便利な独自言語「パンスカ」を発明しそれを操りながら生きる。
その周りにドイツ語、スウェーデン語、英語を話す様々な...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月24日
言語とはなにか。国とはなにか。
我々の存在以前に規定されているものではあるにも拘らず、そのしがらみは育ってきた土地を離れれば新たに更新・変容していかなくてはならないものと化す。非ネイティブはユートピア。これは多和田自身母語を離れた執筆活動に取り組むことがあるからこそ言える言葉なのかもしれない。
ロー...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月15日
祖国が消滅し流浪の民となったHirukoが欧州で知り合った友人たちと日本語を話す人を探しながら、折々に言語を様々な角度から考察する物語。各章で七人の登場人物の出自や現在に至るまでの経緯が語られ、友を増やしながら旅が続く。 作者の言葉への頴敏な嗅覚を楽しみながらも、国家内で古来の独自言語を持つ少数民族...続きを読む
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