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Posted by ブクログ
『雲をつかむ話』ではまさに雲をつかむようでつかめないようなそんなお話だった。しかも数々のエピソードは作者の経験談が多く入っているというのだから驚いた。そして言語というものに対してとても追求する感じなんだなと―初めて多和田葉子の小説を読んだけどーそう感じた。あとは普段は流してしまいそうな物事の意味や疑問みたいなものを小説内に入れていくのも個人的には好きだ。
例えば「雲たちはまるで日が暮れる前に家に帰ろうと急いででもいるかのように夕空を目に見える速さで移動して行く。雲たちは夜、どこで眠るのだろう。」
「箸は二本で筆は一本、と言う人がいる。だから物書きは食費の半額しか稼げない。でも、もし二本の鉛筆を持って、同時にものを書いたらどうなるだろう。左手は左から右へ、右手は右から左へ。両手は中央で交わり、また離れて行く。」など。
あとは解説が非常にわかりやすくてとても良かった。
Posted by ブクログ
初めて読んだ多和田さんの小説。本書には『雲をつかむ話』と『ボルドーの義兄』の二作品が収録されている。
「人は一生のうち何度くらい犯人と出遭うのだろう」との不思議な書き出しで始まる『雲をつかむ話』。ある日、作者の家に「あなたの本を買いたい」と言って男が訪ねてきたが、「プレゼントなので、それらしく包んでほしい」との依頼に応じるため離れていた間に男はいなくなってしまっていた。それから一年後、一通の手紙が届いた。その手紙には、あのとき自分は警察に追われていて、その後逮捕され刑務所にいる。そして今自分は日本語の練習を始めた、といった内容が書かれていた。
そこから、語り手である作者と色々な「犯人」との出遭いや、「犯人」の印象的な姿が語られていく。
それぞれの挿話が一編の短篇小説のように魅力があるが、小説の終盤、語り手の乗った飛行機、そしてパスポート審査の場面を読んで、そうきたかと唖然となった。
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