新装版 海も暮れきる

新装版 海も暮れきる

小説・文芸
792円 (税込)

3pt

「咳をしてもひとり」「いれものがない 両手でうける」――自由律の作風で知られる漂泊の俳人・尾崎放哉は帝大を卒業し一流会社の要職にあったが、酒に溺れ職を辞し、美しい妻にも別れを告げ流浪の歳月を重ねた。最晩年、小豆島の土を踏んだ放哉が、ついに死を迎えるまでの激しく揺れる八ヵ月の日々を鮮烈に描く。(講談社文庫)

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    講談社文庫
  • タイトル
    :
    新装版 海も暮れきる
  • タイトルID
    :
    326716
  • 電子版発売日
    :
    2015年07月31日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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新装版 海も暮れきる のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    自由律俳句の代表例として「咳をしても一人」があることしか知らないまま読んだ。太宰治もびっくり?の尾崎放哉の生き様もだが、何より作者には放哉と同じ病気の当事者として自分のこれまでの著作の中では「死への激しい恐れ、それによって生じる乱れた言動を私は十分に書くことはせず、筆を曲げ、綺麗ごとに済ませていたことを羞じた(作者あとがきより)」という強い意志があったことに想いを馳せながら一気に読みしてしまった。
    尾崎放哉の残した書簡などの沢山の資料を研究された上での著作(伝記文学)であり、感銘を受けた。初発が講談社のPR雑誌「本」での連載ということにもびっくりした。
    是非小豆島にも行ってみたい。

    0
    2026年01月21日

    Posted by ブクログ

    読んでいる時と読後と、様々な感情が湧き起こる作品だと思った。そもそも『海も暮れきる』は、尾崎放哉の句の一部だが数ある句の中からこの語をタイトルにした理由を読みながら探したがわからなかった。
    何が放哉をここまで追い詰めたのか、なぜ酒に溺れるようになったのか。私は彼の激しい自尊心が自身を破滅に追いやったように読んだ。思うようにならない現実と芸術の狭間の苦しみが酒に溺れる結果ではないかと。そして放哉はとても気の小さい人間だとも思った。その感情の浮き沈みを吉村昭は見事に描いたと感動した。そして最後になってタイトルの意味がわかってきた。暮れきった海は真っ暗で底も見えない。底には死があってその恐怖にずっと怯えていたのではないか。そしてそれは吉村昭自身も同じ思いだったのではないか。寒くて冷たい海の底への恐怖を孤独に震える2人の男が見えた。

    0
    2023年12月03日

    Posted by ブクログ

    口語自由俳律で知られる尾崎放哉。その小豆島での最期の8カ月を描いた作品。享年41。
    酒乱で酒を飲めば攻撃的になる。人の施しによってしか生きられない。どうしようもない人間だと思うのだが、「結核」を病み、家族から疎んじられ、長くは生きられないと悟ると、そうなるのかもしれない。もっと句を詠みたかっただろうし。

    没後、放哉の師にあたる井泉水が「捨てて捨てきつて、かうした句境にはいつてきた」「大自然と同化していた」と表現したそうだ。俳人として名を残すには、この捨てきった8カ月が大切だったのかもしれない。

     はるの山のうしろからけむりが出だした

    春の訪れを誰よりも待っていた放哉だったのに。

    吉村昭氏は、やはり島に渡って、徹底した取材をされたのだろう。8月の蝉の声、島では咲かない梅や桃の花のこと、島の季節が細部にまでわたって描かれている。

    0
    2023年01月24日

    Posted by ブクログ

    人生の最晩年、肺を病み、小豆島に辿り着いた俳人・尾崎放哉。
    五七五にとらわれず、自由な作風で知られた。
    放哉の人生も作風と同じく自由であった。
    むしろ自己中心的である。
    俳人としては有能かもしれない。
    しかし、人としては最低だ。
    日に日に痩せ衰えてゆく放哉を冷徹に克明に描き切った大名作。

    0
    2019年01月31日

    Posted by ブクログ

    「咳をしても一人」が代表句の自由律俳人の尾崎放哉の最晩年を描いた伝記文学。

    彼の詠の自由さ、滑稽さから気になって本作を手にしましたが最期までを知ってしまうと、彼の詠んだ歌に深みが滲んでくるというか

    どう仕様もないくらい酒狂わされたダメ人間でしたが、永く愛される理由の一端を知ることができました

    今年は尾崎放哉が亡くなって丁度没後100年らしく、知らずにそのタイミングで本作を読んだことも勝手ながら運命めいたものも感じました

    0
    2026年03月09日

    Posted by ブクログ

    尾崎放哉の俳句に関心を持つうちに、吉村昭が伝記的小説を書いていると知り、読んでみた。
    あまり調べずに読んだので、てっきり人生が書かれているのだろうと思っていたら、死ぬまで過ごした小豆島での8か月間の記録であった。
    「死に際文学」とでも呼ぼうか。そういえば、あまりそういうものを読んだことがなかった。「イワン・イリッチの死」とか、少し毛色が違うかもしれないが「ラーゲリから来た遺書」くらいだろうか。
    アラフォーなので、そろそろ、こういうのを読んでいくのも必要なのかなと思った。

    放哉は、アルコール依存症だったのかと思った。惜しい才能をなくした。亡くなったとき、わずか41歳であった。私より少し年上なだけだ…。
    社会保障も十分ではない時代に、放哉のように当時は不治の病とされていた肺病を患っている人間は、どうやって生きていけばいいんだろうと思う。その結果が小豆島の庵主となるということか。
    金の無心を続ける放哉に、途中まで「放哉最低だな」と思いながら読んでいた。しかし、金の無心をするにも、プライドがズタズタになっているようだし、やはり健康的な肉体をもつひとが羨ましかったのだと思うと、憐憫に似た感情と、もしかして明日は我が身?という思いも出てきた。ここは多分吉村昭の技量のおかげだと思う。

    それにしても馨よ。ずっと離れて暮らしていたのに、そんなに泣けたのか。やはり情はあったのか。
    放哉が亡くなってからの周囲の親族に対する反応には共感できた。実際、こんな人物が転がりこんできたら迷惑だろう。シゲさん、ホントにありがとう。と、まったく無関係の私が感謝の意を表したくなった。

    尾崎放哉の句がどうやって生まれていったのか、吉村昭の想像で書かれているんだろうけど、追体験できて、とてもよかった。句集も読もうと思う。
    パウル・クレーやゴッホなども同様だが、死に際が迫った人間の創作物が洗練されていく様はやはり興味深かった。

    0
    2026年01月10日

    Posted by ブクログ

    新年早々、クズ男に出会ってしまった。
    男の名は尾崎放哉。
    俳人。
    一高から東大、大手保険会社に就職。役職に付く。
    エリート。
    私生活が破綻。酒癖は悪い。友人知人に金借りまくる。
    奥さんには一緒に死んでくれと言う。
    クズっぷりに付き合いきれない。

    最後まで付き合った。
    小豆島へ渡り寺男として庵で暮らし友人知人に迷惑をかけながら結核で死んだ放哉。
    海の波の音とお遍路の鈴の音が心に残る。
    別れた最愛の奥さんが来てくれて良かったねぇ。
    「こんなよい月を一人で見て寝る」
    人格的にアレだからこそ心に響く俳句が読めたのだろう

    0
    2025年01月18日

    Posted by ブクログ

    物語の半分(か、それ以上)は放哉のお酒の失敗エピソードなわけですが、“酒”というよりは“病”というものが、あるいは、“金が無い”ということがどれだけ人を卑屈にさせ、孤立させるものなのかと恐ろしくなった。

    最初に放哉の心に巣食った病はなんだったのか。
    物語が始まる頃には既に終わりが始まっていて、知る由もない。

    妻にも見捨てられ、彼には小豆島の寂しい庵しか、行くアテがない。
    徐々に衰えていく身体から削り出されたかのような言葉は、どれも骨のように白く軽い。
    放哉の句を読むことは、彼の骨を拾うような行為だと思う。

    圧巻は放哉絶命のシーン。
    ワンカット長回しのような臨場感、緊張感。
    これは吉村昭にしか書けない。

    0
    2021年08月31日

    Posted by ブクログ

    どうしようもないアルコール中毒の俳人、尾崎放哉の最後をいとおしく描いた吉村昭の小説。戦艦武蔵などの戦記物しか知らなかった吉村だが、この放哉への心の寄せ方にこちらも心を動かされた。

    0
    2020年04月05日

    Posted by ブクログ

    お酒は怖い…。一番の印象はこれ。才能があってもお酒に飲まれてしまう身体では、周囲も自分も損なってしまう。でも、お酒から離れられず醜い自分をさらし、あがきながらも生き永らえようとする放哉の姿は痛ましくも人間らしい。

    0
    2020年01月28日

新装版 海も暮れきる の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    講談社文庫
  • タイトル
    :
    新装版 海も暮れきる
  • タイトルID
    :
    326716
  • 電子版発売日
    :
    2015年07月31日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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