作品一覧

  • 檸檬の棘
    4.0
    1巻704円 (税込)
    絶縁して10年――。 私はまだ、父に囚われ続けている。 歌手にして作家、唯一無二の才能がはなつ渾身の私小説。 こんなふうに鮮やかに世界を描写する言葉があったのかと、ページを繰るたびに衝撃を受けました。 澄み切った劇薬のような、忘れ難い物語です。――小島慶子(エッセイスト) 挨拶もなく消えた父。「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ――。空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。
  • 予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる
    3.0
    1巻2,035円 (税込)
    黒木渚、ベストアルバムと同名小説、ついに発売! 不純な動機から始まった音楽は、私のすべてになった。 「私の歌で、こんな世界ぶち壊してやる!」 誰にも話したことがないけれど、私は光と共に生きてきた。 未来について想像するとき、私の頭の中には必ず白い光のイメージが浮かぶ。 高校二年の「シッポ」は中学時代からの片思いの相手、森園太陽に接近するために軽音部に入る。 好きな音楽はパンク、好きなバンドはクラッシュ、セックスピストルド、ダムド、ニルヴァーナ…… これ、全部嘘。 だけど太陽に近づくためにシッポが周到に用意した「設定」は、徐々に彼女の中にあった「音楽の光」をとらえて、 追い越していく。 眩しくて白いーーあの光はスポットライトか、それとも恋か。 音楽を始める動機なんて、不純だっていいじゃないか! 音楽×小説×青春 歌手兼小説家・黒木渚が初めて描く青春と音楽。 青春はエゴイスティックで汚くて、生々しい。それでも眩しい一瞬の光だ。
  • 本性
    5.0
    1巻770円 (税込)
    「あなた、一年後に死ぬわよ」と告げられるも生き続けているサイコ。地蔵と「結婚」しているエリ。 二人が奇妙な生活の末に辿り着いた先にあるものとは?(超不自然主義) アーティストとしても活躍する黒木渚の、人間の“本性”を炙り出した衝撃の短編集。
  • 小説現代 緊急特集 この災厄に思うこと
    5.0
    1巻165円 (税込)
    未曾有、といわれる災厄がひたひたとやってきた。 新型コロナウイルスによる感染症。 気がついたら世界中を覆っていたこの疾病を広めないためには、 今のところ人と人を遠ざけるしか手立てがない。 このような災禍の前で、言葉は、物語はどんな力を持つのか。 私たちはどう向き合って、どう乗り越えていくのか。 緊急特集として、十四人の表現者たちに それぞれの想いを書き下ろしていただいた。
  • 呼吸する町
    3.6
    1巻1,320円 (税込)
    乳酸菌飲料ラクトルを配達するラクトママたちが見つけた、ちいさな奇跡とたしかな幸せ。配るのはラクトルだけじゃない、集めるのは代金だけじゃない……かもしれない、甘くてほろ苦い4つの物語。
  • 鉄塔おじさん
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    神崎あたりは田舎の役場の生活相談課でクレーム対応をしている。あたりを目の敵にする教育係の杉田さんからは、毎日暴言を吐かれる。あたりに好意を寄せる同じ職場の三浦からのアプローチを受け、付き合うことになりそうだった矢先、食堂で話す二人の姿を見つけた杉田から、信じられない告白をうける。あたりは混乱し、休職願いを出す。そしてあたりが逃げ込んだ先は、町の人々から疎まれているある人物の家だった。
  • 壁の鹿
    3.7
    1巻792円 (税込)
    壁に飾られた鹿の声が聞こえたとき、孤独な魂に革命が起こる。女子校の寄宿舎に暮らす少女結婚詐欺師二股の恋愛に悩む女性剥製職人彼ら、彼女らの心の解放を!あの孤高のミュージシャン「黒木渚」 初の小説刊行!
  • 檸檬の棘

    Posted by ブクログ

    レモンの木は見たことが無く、棘があるのも初めて知った。

    主人公の少女はほとんど家にいない父親をずっと憎み続けながら成長する。

    崩壊寸前の家族から逃げるため、全寮制の中学校へ行く。
    しかし、大人になっても「父親」という存在にいつまでも囚われている。

    離婚して出て行った父親を憎む記念として、
    弟と一緒にホームセンターで見つけた、
    枯れそうな弱いレモンの苗。

    いつしか庭でしっかりと成長し、大人になるころには大きな実をたくさんつけるようになる。

    0
    2023年07月05日
  • 本性

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    黒木さんの歌は前から聞いていて大好きだったんですけど、作家デビューしていらしたんですね。
    歌の方が好きだったので、別に小説に期待していなかったんですけど、結構びっくりしました。かなり…すごくない?

    作詞と作文って似ているようでかなり違うと思うんです。作詞はどちらかというと俳句とかに近いような。決められた文字数のなかで全て言葉で説明するのではなく、音やメロディにある程度たくして表現するっていうか。逆に作文は言葉しかないから、きちんと述べなくちゃいけないとか。黒木さんはどちらも双方の特性を理解して巧みに仕上げていてすごいと思いました。

    でも「ぱんぱかぱーんとぴーひゃらら」を最後に持ってきちゃう

    0
    2023年01月10日
  • 檸檬の棘

    Posted by ブクログ

    黒木渚の自伝的小説。
    もう読んでいてずっとチクチク痛かった。
    父との確執。
    父を敵とする中でギリギリ自分自身のメンタルを保ってはったんかな?
    作中で父に対する決別のために、弟と一緒にレモンの木を買いに行って植えるシーンがあるが、普通の学生には思い浮かばない発想のように感じて、辛いシーンやけどなんか感心してしまった。

    0
    2024年04月25日
  • 呼吸する町

    Posted by ブクログ

    乳酸菌飲料ラクトルを届けるラクトママ4人のお話。
    この設定を聞くと有名な乳酸菌飲料ヤ◯◯トが思い浮かぶ、、
    「八十ミリリットルの液体に何億個もの菌を忍ばせて人々の体内に送り込む。私達の仕事は菌を配ること。」
    確かにその通りかもしれないが、言い方に笑ってしまう。

    同じ仕事をしているのに売り方、仕事の考え方、私生活に抱えるものは、みんな全く違っており、それぞれのお話に違った面白さがあった。

    個人的には、ラッキーマチコさんのお話が好きだった。
    ちょっとしたラッキーが、とてつもない幸運が続いてるように話が進んでいく。
    くすっと笑ってしまう話も多く散りばめられているのも良かった。
    特に、パンクバンド

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    2023年09月30日
  • 呼吸する町

    Posted by ブクログ

     ある町で働く乳酸菌飲料販売員の女性たちの日々を描いた短編集。
     主人公の女性は各話で異なる。表題作は1話目に配されている。全4話。

          * * * * *

     出来のよいのはやはり表題作。

     主人公のベテランラクトレディの春子は明るく人好きする性格で、販売員としても優秀。毎朝出会うランニング中の年配男性や歴史好きの亭主のセリフなど、伏線の質がよくオチのつけかたも見事で、爽やかな読後感をいっそう引き立てています。
     何より軽やかなテンポで読みやすく、作品の導入にぴったりでした。

     第3話は、ガラリと趣を変え、現代版わらしべ長者のようなストーリー。なかなかうまく組み立てられていて感

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    2022年06月17日

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