哲学・宗教・心理 - 講談社現代新書作品一覧
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4.5プラトン哲学の「おもしろくて大切なところ」をあえて一言で表わせば、「批判と変革の哲学」だ、と言いたい。こんなふうに表現すると、プラトンを旧式の左翼の一員に仕立てているように聞こえそうだ。だが、これは特定の政治的立場を表わそうとしたものではない。 「批判」つまりクリティークとは、非難したり否定的な態度をとったりすることではなく、相手とする主張の論拠やそこからの帰結などについてよく考察し、事の是非を判断することを言う。 「変革」も、政治体制だけではなく、日常的な考え方や生活を含む人間の営みの全体がその対象となる。そしてプラトンは「批判と変革」を自身の思考についても実践していた。 これらすべての意味で、「批判と変革の哲学」なのだ。 プラトンは探究し、執筆し、そして教育した。そうしたなかで彼が直面していたのは、森羅万象を支える根本原理は何か、よい生き方とは何か、といった「哲学的」問題だけではない。 当時の人びとに人気を博したホメロスや悲劇・喜劇、あるいは幼年や少年時に施される体育や音楽の教育といった人びとの日常的営みに対してもプラトンは向き合っていた。いやむしろ、そこから哲学を考えていた。そして彼は、日々の暮らしから世界の根源にいたるまでの全体を相手に、批判的に、かつ包括的に考えたのだ。 同時に、そのような考察がたどり着いたところを広く伝えることに腐心した。彼は一般に人びとに何かを伝える媒体(メディア)のあり方にきわめて意識的だったが、とりわけ自分自身の思考が人びとに届くよう工夫を凝らした。 その著作に、それに触れる人びとの知性と感性にも訴え、反省的な思考だけでなく感情や想像力までも喚起し、そしてそれらを変更する力を与えたのである。 それが彼の哲学、「批判と変革の哲学」である。 【本書の内容】 第一章 プラトンはどう書いたのか、プラトンをどう読むか 第二章 プラトン哲学の原点 第三章 自己と他者を変える対話 第四章 魂・徳・知の関係 第五章 変革へと促すイデア論 第六章 魂の分割 『国家』その1 第七章 哲学者と善のイデア 『国家』その2 第八章 プラトン、その後に 知、真理、魂のあり方を徹底的に考え抜いたプラトンが導く、思考の冒険!
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4.3電車の中や部屋の中、気が付けばいつもスマホをスクロールしている。本当は何が知りたいのか、自分に何が必要なのかわからないままSNSの世界に浸り続け、気が付けば自分自身を見失ってしまった――。 スマホ時代の過剰な繋がりによって失われた〈私〉を私たちはどうやって取り戻すのか。気鋭の哲学者による現代を生き抜くための思考法! 【本書の主な内容】 第1章 デフォルトの〈私〉 ――――動物になるか、善い人になるか ・ミニオンズの憂鬱 ・パッケージ化された善に警戒せよ ・目を閉じて、〈私〉の声を聴く 第2章 〈私〉を取り戻すための哲学的思考 ・「新デカルト主義」宣言 ・判断しなくてよいという判断 ・批判的思考のプロトタイプ 第3章 ポスト・トゥルースを終わらせる ・SNSを気にする学生 ・「正しさをめぐる争い」は終わりにする ・陰謀論は理性と情動に訴える 第4章 ネガティブなものを引き受ける ・対話とネガティブ・ケイパビリティ ・アルゴリズムと自己消費 ・「弱いロボット」から考える
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4.3私たちはまだ、「自由」を知らない――。 覆される常識の先に、ありえたかもしれないもうひとつの世界が浮かび上がる。 気鋭の哲学者による、心揺さぶる倫理学(エチカ)入門。 ★現代人の「思考のOS」を書き換えるスピノザ哲学のエッセンス★ □すべての個体はそれぞれに完全である。 □善悪は物事の組み合わせで決まる。 □「力」こそ物の本質である。 □自殺や拒食の原因は人の内側にはない。 □一人ひとりの自由が社会の安定につながる。 □必然性に従うことこそ自由である。 □自由な意志など存在しない。 □意志は行為を一元的に決定しない。 □真理の外側に真理の基準はない。 □新しい主体のあり方が真理の真理性を支える。 *「NHK 100分de名著」『スピノザ エチカ』に新章を加えた増補改訂版* [目次] はじめに 1. 組み合わせとしての善悪 1)スピノザとは誰か 2)哲学する自由 3)神即自然 4)『エチカ』はどんな本か 5)組み合わせとしての善悪 6)善悪と感情 2. コナトゥスと本質 1)コナトゥスこそ物の本質 2)変状する力 3)多くの仕方で刺激されうる状態になること 4)コナトゥスと「死」の問題 5)万物は神の様態 6)神は無限に多くの属性から成る 7)コナトゥスと社会の安定 3. 自由へのエチカ 1)「自由」とは何か 2)自由の度合いを高める倫理学 3)自由な意志など存在しない 4)行為は多元的に決定されている 5)現代社会にはびこる意志への信仰 4. 真理の獲得と主体の変容 1)スピノザ哲学は「もうひとつの近代」を示す 2)真理は真理自身の基準である 3)真理と向き合う 4)物を知り、自分を知り、自分が変わる 5)主体の変容と真理の獲得 6)AIアルゴリズムと人間の知性 5. 神の存在証明と精錬の道 1)懐疑の病と治癒の物語 2)真理への精錬の道 3)精錬の道は自ら歩まねばならない 4)対話相手としてのスピノザとデカルト おわりに
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4.2本書でわたしは、「愛」の本質を明らかにした。性愛、恋愛、友愛、親の子に対する愛……。愛にはさまざまな形があるが、これらはいずれも、本来まったく異なったイメージを与えるものである。にもかかわらず、なぜこれらは「愛」の名で呼ばれうるのか?それは、そこに「愛」の、ある“理念性”の本質が通奏低音のように響いているからである。性愛も恋愛も友愛も親の子に対する愛も、その「愛」の通奏低音の上に、それぞれ独自の音色を響かせているのだ。本書の目的は、これら「愛」の名のもとに包摂されるありとあらゆる「愛」の本質を明らかにすることにある。「愛」とは何か、そしてそれはいかに可能か? これが、本書でわたしが挑み、そして明らかにした問いである。
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4.1トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか? それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。 そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。 またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。 民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。
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4.0何が「正しい」のか、わからなくなった時代に。 プラトン、カント、ベンサム、ロールズ……2400年にわたる知的格闘。 人生や社会に関わる切実な問いを、哲学者たちはこう考えた! 法哲学の第一人者があざやかに整理し、切れ味鋭く論じる、「正義」入門の決定版! 【本書の構成】 はじめに――いま、なぜ過去の正義論を見直すのか? 序章 正義論のさまざまなパターン――本書のねらい 第一章 正義とは魂の内部の調和である――プラトン 第二章 正義とは他の人々との関係において現れる徳である――アリストテレス 第三章 正義とは相互の利益になる契約を実行することである――ホッブズ 第四章 正義とは自然権の保護・実現である――ロック 第五章 正義とは慣習によって生じた財産権規則を守ることである――ヒューム 第六章 正義とは非難が適切であるということと権利の保護である――スミス 第七章 正義とは「定言命法」に従うことである――カント 第八章 正義とは功利の原理の一適用にすぎない――功利主義 第九章 正義とは社会制度の第一の徳である――ロールズ あとがき――文献案内をかねて
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4.0シリーズ「今を生きる思想」。 人民主権、近代民主主義の提唱者とされる思想家・ルソー。 そのラディカルな思考は近代の枠組みに大きな影響を与えた。 民主主義が機能不全に陥り、私たちの社会は閉塞感に覆われている。 行き詰まった近代社会を問い直すには、近代を準備した異端の思想家・ルソーに今こそ立ち返るべきだ。 『社会契約論』『人間不平等起源論』『エミール』『告白』……。 ジャンルを横断して刺激的な論考を残したルソー、そのラディカルな思想の核心。
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4.0人生を変える哲学が、ここにある――。 現代思想の真髄をかつてない仕方で書き尽くした、「入門書」の決定版。 * * * デリダ、ドゥルーズ、フーコー、ラカン、メイヤスー…… 複雑な世界の現実を高解像度で捉え、人生をハックする、「現代思想」のパースペクティブ □物事を二項対立で捉えない □人生のリアリティはグレーゾーンに宿る □秩序の強化を警戒し、逸脱する人間の多様性を泳がせておく □権力は「下」からやってくる □搾取されている自分の力を、より自律的に用いる方法を考える □自分の成り立ちを偶然性に開き、状況を必然的なものと捉えない □人間は過剰なエネルギーの解放と有限化の二重のドラマを生きている □無限の反省から抜け出し、個別の問題に有限に取り組む □大きな謎に悩むよりも、人生の世俗的な深さを生きる 「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する。それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。」 ――「はじめに 今なぜ現代思想か」より * * * [本書の内容] はじめに 今なぜ現代思想か 第一章 デリダーー概念の脱構築 第二章 ドゥルーズーー存在の脱構築 第三章 フーコーーー社会の脱構築 ここまでのまとめ 第四章 現代思想の源流ーーニーチェ、フロイト、マルクス 第五章 精神分析と現代思想ーーラカン、ルジャンドル 第六章 現代思想のつくり方 第七章 ポスト・ポスト構造主義 付録 現代思想の読み方 おわりに 秩序と逸脱
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4.0國分功一郎、青山拓央、千葉雅也、伊藤亜紗、古田徹也、苫野一徳…… 哲学の最前線の旗手たちが「いま考えていること」がこれ一冊でわかる! 私たちを縛りつける不自由と向き合う、本当の自由のための哲学。 * * * [本書の内容] 第一章 「する」と「される」の外部へ――國分功一郎『中動態の世界』 第二章 二人称のコミュニケーションと無自由の極北――青山拓央『時間と自由意志』 第三章 非意味的切断の実践哲学――千葉雅也『勉強の哲学』 第四章 身体のローカル・ルールと生成的コミュニケーション――伊藤亜紗『手の倫理』 第五章 常套句の思考停止に抗うこと――古田徹也『言葉の魂の哲学』 第六章 エゴイズムの乗り越えと愛する意志――苫野一徳『愛』
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4.021世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。彼の破天荒な生涯と哲学を知れば、今の便利な生活やAIの源流がよくわかる! 「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」 彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。 <本書の主な内容> 第1章 数学の天才 ――ママ、何を計算しているの? 第2章 ヒルベルト学派の旗手 ――君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しようか! 第3章 プリンストン高等研究所 ――朝食前にバスローブを着たまま、五ページの論文で証明したのです! 第4章 私生活 ――そのうち将軍になるかもしれない! 第5章 第二次大戦と原子爆弾 ――我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない! 第6章 コンピュータの父 ――ようやく私の次に計算の早い機械ができた! 第7章 フォン・ノイマン委員会 ――彼は、人間よりも進化した生物ではないか? ******** ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値を重視し、いかなる道徳基準にしたがって行動していたのかについては、必ずしも明らかにされているわけではない。さまざまな専門分野の枠組みの内部において断片的に議論されることはあっても、総合的な「フォン・ノイマンの哲学」については、先行研究もほとんど皆無に等しい状況である。 そこで、ノイマンの生涯と思想を改めて振り返り、「フォン・ノイマンの哲学」に迫るのが、本書の目的である。それも、単に「生涯」を紹介するだけではなく、彼の追究した「学問」と、彼と関係の深かった「人物」に触れながら、時代背景も浮かび上がるように工夫して書き進めていくつもりである。 ――「はじめに」より ******** ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」である。 ノイマンは、表面的には柔和で人当たりのよい天才科学者でありながら、内面の彼を貫いているのは「人間のフリをした悪魔」そのものの哲学といえる。とはいえ、そのノイマンが、その夜に限っては、ひどく狼狽(うろた)えていたというのである。クララは、彼に睡眠薬とアルコールを勧めた。 ――第5章「第二次大戦と原子爆弾」より ******** 人類史上 最恐の頭脳!
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4.0日本各地には「霊山」と呼ばれる、信仰の対象になっている山が数多くあります。そしてその山を信仰を対象とする、仏教とも神道ともつかない独特の宗教体系が、それぞれの地域で発展してきました。その形態は世界の宗教誌においても非常にユニークな位置を占めています。近年「山ガール」という新語まで誕生したように、日本人の山への愛着には非常に深いものがあります。しかしなぜ、日本人はこんなにも山が好きなのでしょうか、そのルーツはどこにあるのでしょうか? 本書は、日本人と山の「つきあい」の歴史をこれまでにない視点から辿る、ユニークな「山と人との宗教誌」です。
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4.0「生きるってなんだろう?」――誰もが一度は考えたことのある問いに、「時間」「存在」「私」「生命」の4つのテーマから迫っていく。難しいことばをほとんど使わず、「まんまるくん」と「先生」の二人の掛け合いの形から、哲学の根本問題をゆっくりと解きほぐしていく哲学入門書。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。(講談社現代新書)
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3.9人間関係が苦手だった私は、その原因を探ろうと、いつしか「脳」に興味を持つようになった。 親との葛藤、少女時代の孤独、男社会の壁…人間の本質をやさしく見つめ続ける脳科学者が、激しくつづった思考の遍歴。初の自伝! 「脳は一貫していることの方がおかしいのだ。自然ではないから、わざわざ一貫させようとして、外野が口を出したり、内省的に自分を批判したりもするのである。一貫させるのは、端的に言えば、コミュニティから受けとることのできる恩恵を最大化するためという目的からにすぎない。 私たちは、複数の側面を内包しながら、これらを使い分けて生きている。私たちの世代はこれを自覚的にできる人が旧世代よりも増えただろうが、人間というのは世代を問わず、そういうふうにできている。仕様だといってもよいだろう。 わたしのペルソナ(他社に対峙するときに現れる自己の外的側面)は、わたしがそう演じている役である、といったら言い過ぎだと感じられるだろうか? あなたが、わたしだと思っているものは、わたしではない。一時的に、そういう側面を見て取ってもらっているだけのことである。 わたしは存在しない。これは悲しいことではない。透明な存在であることを嘆く必要はない。だからこそ、来るべき変化に対応することができるからだ。もう変化のときは来ている」(中野信子) <主な内容> はじめに わたしは存在しない 無駄を肯定するということ/脳は一貫している方がおかしい 1章 サイコマジック――2020 脳は毎夜、夢を見ながら再構成されている/愛している、が伝わらない/「毒親」とはどういう存在なのか/アカデミズムは時代遅れの男性原理の象徴 2章 脳と人間について思うこと――2010~2019 『ホンマでっか!?TV』の洗礼/攻撃されたときの身のかわし方/ブレることは脳の高次な機能/メンサのこと/結婚するメリット 3章 さなぎの日々――2000~2009 世の中を良くしよう、にある胡散臭さ/専門家のアドバイスは脳の活動を停止させる/脳が作り出す微笑みのペルソナ/日本は「科学技術後進国」 4章 終末思想の誘惑 ――1990~1999 東大女子は第三の性別?/ネガティブな思考には独特の中毒性がある/バイオアートの可能性/脳研究を志した理由 5章 砂時計――1975~1989 他社の間違い探しをする人に発疹が出る/なぜ点数を悪く取れるのだろう/通知表に「利己的」と書かれて
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3.9人生は苦。それでも生きる。日々、生きづらさを感じているすべての人へ。ベストセラー『嫌われる勇気』の著者が送る力強いメッセージ! 人生は苦しい。苦しいこともあれば、楽しいこともある、ではなく、本来的に人生とは苦しいもの。それゆえ仏教は「生老病死」の苦しみを説き、聖書は人生を嘆きの谷になぞらえる。でも、それでも死んでしまうのではなく、この事実を認め、受け入れた上で生きていこう。いじめられている人も、会社でハラスメントを受けている人も、死んでしまうのではなく、とにかく生きよう。どんなに孤独に思えても、かならずどこかに「仲間」はいる。だから絶望することなく、希望を持って生きてゆこう。人生を「生きる」ことが、この世に生を受けたすべての人に課された課題だから。 仏教、キリスト教、ギリシア哲学--いにしえの知恵をたずね、アドラー心理学、三木清の『人生論ノート』など、さまざまな思想に学び、築き上げた、岸見一郎の総決算としての人生論!
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3.9何が分からないかが分かる――、これは素晴らしい技能と言える。ある学問分野において何が分かっていないのかを正確に説明できるのは、その分野を相当に理解している人だけだ。 本書では、「心にとって時間とは何か」がどれだけ未知であるのかを探る。私の専門は哲学だが、哲学だけでなく科学についても、さまざまな知見を参照していこう。だれにも分かっていないことを謎としてうまく描き出すには、それがどのような知識によって囲まれているかを示さなくてはならない。私たちの知識の地図に、未踏の地の「輪郭」を描き込んでいくわけだ。 あとで改めて言い添えるが、私はこの目的のために、章ごとに違うサブテーマを定めた。〈知覚〉、〈自由〉、〈記憶〉、〈自殺〉、〈SF〉、〈責任〉、〈因果〉、〈不死〉という、各章の章題がそれにあたる。つまり、少なくとも八つの謎が本書には描き出されており、それらの不思議さや面白さ、そして、一つの謎から別の謎への道が見えてくる高揚感とが、私なりの言葉で綴られている。 第一章 〈知覚〉――時間の流れは錯覚か 第二章 〈自由〉――私はいつ決めたのか 第三章 〈記憶〉――過去のデッサンを描くには 第四章 〈自殺〉――死ぬ権利は、権利なのか 第五章 〈SF〉――タイムトラベルは不可能か 第六章 〈責任〉――それは、だれかのせいなのか 第七章 〈因果〉――過去をどこかに繋ぐには 第八章 〈不死〉――死はいつまで続くのか 8つのテーマと謎を手がかりに、「心と時間の不思議」に迫る!
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3.9「自分をコントロールする力」が人生の成功を左右する! 近年にわかに注目を集める「非認知スキル」。そのなかでもとりわけ「自分をコントロールする力(実行機能)」は、どうやら学校の成績や仕事の業績、そして将来の健康をも大きく規定するようです。 果たしてその能力は、どのようにして身につくのでしょうか。あるいはどんなときに働かなくなるのでしょうか。発達心理学の最新知見から、その育て方・鍛え方を大公開します。 ――― 「非認知スキルがIQより大事って本当?」 「がまんが苦手な子どもの将来はどうなるの?」 「親の貧困や虐待は子どもにどんな影響を与えるの?」 「YouTubeを子どもに見せるのはやっぱりダメ?」 「理想の子育てって?」 「大人でも鍛えられるの?」 ……いま大注目の「非認知スキル」にかかわる”そもそも”の疑問に、最新の科学が丁寧に答えます! * * * [目次] はじめに 第1章 実行機能とは? 第2章 自分をコントロールすることの重要性 第3章 実行機能の育ち方 第4章 自分をコントロールする仕組み 第5章 岐路となる青年期 第6章 実行機能の育て方 第7章 実行機能の鍛え方 第8章 非認知スキルを見つめて おわりに
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3.8【すべての人はどちらかに分けられる】 空気を読みすぎる〈人格系〉。 空気は読まない〈発達系〉。 あなたは、どちらのタイプですか? 人間関係が悪化するのも、心のなかがつらいのも、 【人格】×【発達】の二つの傾向が激突することから始まっています。 この心のしくみを知ることが、 生きづらさから解放される一番の近道です。 *** 【人格系】とは? 空気を読みすぎるタイプ。周囲が気になり同調圧力に苦しみ、軽微な神経症的な状態でいる。 その傾向がよほど極端だと人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)と呼ばれるかもしれない。 そういう傾向が「人格系」です。 【発達系】とは? 空気を読まないタイプ。自由で正直で天真爛漫、後先を気にせず、いつも目の前のことに没頭しているユニークな人。 その傾向がよほど極端だと発達障害と呼ばれるかもしれない。 そういう傾向が「発達系」です。 空気を読むタイプは、空気を読みすぎて苦しみます。 空気を読まないタイプは、周囲と衝突して苦しみます。 どちらのタイプも結局は自分を押し殺して生きづらさを強くします。 そのうえ、どちらのタイプも、おたがいが嫌いになります。 人間どうしの不仲、争い、憎み合いは、たいてい二つのタイプの激突から発生しています。 二つのタイプは、どうして、わざわざ相手を嫌うのか? 人はどうして、必要以上に怒ったり、意味もわからないまま嫌われたり、必要以上に自分自身を苦しめてしまうのか? その謎を解き明かし、人間関係と心のつらさを同時に改善する一冊です。 ■本書の内容■ 第1部 心と性格のしくみ 【第1章】 すべての人は人格系と発達系に分けられる 【第2章】 天真爛漫な発達系 【第3章】 周囲が気になる人格系 第2部 生きづらさから解放される 【第4章】 私のなかの「もうひとりの私」 【第5章】 自分と仲直りする方法
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3.8●第1章 今の世界に至る道 19世紀~1970年 ・日本の戦後レジームからの脱却・グローバル経済へ・極端に分離する階層・身分制と不平等・新自由主義が社会を再組織していく・自由と管理の反転・アメリカにネオナチがいる・ヨーロッパと第一次大戦・国際連盟とILО・第二次大戦とフィラデルフィア・ド・ゴールと移民世代・EUとフランス・ル・ペンの国民戦線・フランス・ファースト・国民の解体と再接着・人権と身分制社会 ●第2章 アメリカの大転換 90年代末~対テロ政策へ ・アメリカという特殊形態・モンロー主義とアメリカの「解放」・『すばらしい新世界』・「例外国家」のスタンダード化・アメリカの標準化とネット・アドレス・アメリカ・バイアス・テクノ支配と一代成金・白人の不満と被害感情・平等と「差別」、「本音」を煽るトランプ・偉大な中国・征服王朝と中国・オランダとイギリスのヘゲモニー・帝国と平和・武器を売るアメリカ・ポスト・トゥルース・人権を求めて・西洋だけでなく世界にも・自由と平等は独り舞台 ●第3章 日本と朝鮮半島 ・米朝会談が不満・こじらせる近隣関係・日本に三権分立はない・問われなかった戦争責任・冷戦後と歴史修正主義・拉致問題と歴史没却の勝利・朝鮮半島ではどう思っていたか・なぜ北朝鮮は核を持つのか?・ベルリンの壁崩壊とドイツ統一・北の自立、南に呑まれないために・対米核武装の成功?・軟着陸のためには・悪い国でいてもらわないと困る・日本敗戦後の朝鮮半島統治 ●第4章 日本の明治一五〇年 ・西洋の世界展開と日本の参入・戦争で認知される・敗戦の世界史的意味・無条件降伏と自発的隷従・正当性の論理・民主制と交渉の主体(外交)・翻訳語をつくる・翻訳する独特の日本・日露戦争から国際連盟へ 逆のドライブ・一世一元制・天皇の権威・「…名において」治める・なぜ元号に固執するのか・時代意識の造形・政治と宗教の区別・義勇兵起源ではない・独自権力になっていく軍部・装置としての天皇制・近代化の流れと逆行していく・戦後のフィラデルフィア宣言・農地改革でつくられた基盤・占領下の改革の受け止め方・西洋的価値は絶対か・冷戦の終わりと市場開放・なぜ「新」自由主義なのか・平成の三〇年で起きたこと・あらゆるものを市場化する・国策としての新自由主義・神道国家派の大攻勢・米軍と一体化する自衛隊・自由の底が抜けている・失われた三〇年で何を失ったか ●第5章 現在の日本と世界のこれから ・西洋的世界の変質・国、政治、経済・民主、平等、自由・連携における自立・人権のない存在、テロリストの発明・フランスとアメリカの歴史否認・日本では民主主義がいらなくなっている・ポイント・オブ・ノーリターン・「身分制のほうがいいんじゃないか」
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3.8近年、「自閉症」について多くの書物が書かれ、論じられるようになっています。これは、21世紀になって突出してきた現象で、20世紀にはなかったものです。しかもこれは、日本に限った話ではないのです。 著者は、21世紀という時代の1つの特徴が、この「自閉的傾向」の突出化には現れているのではないかと考えています。その1例に伊藤若冲のブームがあります。前世紀まで若冲は「奇想の画家」として、美術史においてはアウトサイダー的な存在に過ぎませんでした。ところがその彼が、今では昨今の「日本美術ブーム」を引っ張る存在になっています。あるいは、『君の名は』『天気の子』が立て続けに大ヒットになったアニメ作家の新海誠。彼の作品もその「自閉症的」傾向が初期の段階からしばしば指摘されていました。 この2人に共通するのは、ディテールへの過剰なまでのこだわりです。それゆえに画面は異常なまでに高精密になり、と同時に非常にフラットなものになります。一言で言えば、非常にデジタルな感じがするのです。デジタルとは、完璧なコピーと同一なものの繰り返しが可能になる技術ですが、この「高精密」で「完璧に同一なもの」の繰り返しこそは、まさに自閉症者が大好きなものです。現代アートに革命を起こしたアンディー・ウォーホールを早い例として、「ミニマルアート」と呼ばれるものの現代美術、現代音楽における流行も、この同じ時代の「好み」に即したものなのではないでしょうか。 そしてこの時代精神をもっとも端的に表すのが、コンピュータの存在です。開発の祖に当たるチューリング、ノイマンから始まって、スティーブ・ジョブスやフェイスブックのザッカーバーグなど、IT、AIに関わる科学者、技術者に「自閉症的傾向」が強いことは、つとに指摘されている通りです。というか、そのような人たちの存在があってこそ、コンピュータ的なものは、ここまでの洗練を見たのです。いまや「デジタル的なもの」は、否応もなく21世紀人の感性の基盤になった感があります。とすればその底に自閉症的な美意識が伏在しているのは、むしろ当然ではないでしょうか。 本書は、上記の視点のもと、21世紀という時代そのものの「自閉症的傾向」を明らかにするものです。
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3.8普通「仏教入門」と言えば、広汎にして複雑な仏教の思想・実践の体系、そしてその変遷の歴史などを、要領よく整理して大方の便宜に供する、という書物になるだろう。ということを十分承知の上で、今私が提出しようとしているのは、著しく個人的見解に着色され、偏向極まりない視点から書かれた入門書である。私はこれまで、仏教の思想や実践について、何冊かの本で自らの解釈を述べてきてはいるが、それを全体的にまとめて読める書物は出していない。そこで、ここらあたりで、自分の仏教に対する考え方を見渡せるものを作っておきたいと思った、というのが本書上梓の正直な理由である。しかし、これは要するに自己都合である。そこで、あえて読者の益になりそうなことを述べさせてもらえば、仏教を「平たく」解説する本などは、ずっとふさわしい書き手が大勢いるはずで、私に書かせても役にも立たないし、読んで面白くもないだろう。さらに言うと、およそ「平たい」記述など、私に言わせれば幻想にすぎない。すべては所詮書き手の見解である。ならば、本書ではその「見解」の部分を極端に拡大して、読者の興味をいくばくか刺激し、仏教をより多角的に考える材料を世に提供できたなら、そのほうが私の仕事としてふさわしいのではないか。こう愚考した次第である。(「はじめに」より)
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3.7【もっとも易しいヴィトゲンシュタイン入門!】 なんで犬をイヌって呼ぶの? 地球人の数学と宇宙人の数学は似てる? 私とあなたの「痛い!」は同じ? 私たちを支配する「社会のふるまい」のルール=「言語ゲーム」。 そのヴィトゲンシュタイン哲学の核心を、36の練習問題を解きながら平易な言葉で解説! 「約束しよう。 この本は、ヴィトゲンシュタインに比べればまるでオモチャだ。小学校の算数だ。でもその問題が解けるかどうかで、自分の生き方も、ものの見方も、まるで違ってしまうという覚悟で考えよう。さもないと、ものを考えたことにはならない。 子どもは、真剣に遊ぶ。真剣に遊ばなければ、遊んだことにはならない。 おとなは、真剣に考えよう。考えることに、お金はかからない。その気になれば、誰でもできる。そして、真剣に考える大人が増えれば、この世の中はその分だけ、ちょっとましになると思う。」ーー第3章より 【本書の内容】 ・失われた文明の解読は、暗号の解読と同じ? ・言語を正しく使って、初めて人間は人間になる ・『論理哲学論考』と『哲学探究』の相違点 ・言葉の意味は、言葉では説明できない ・私を私たらしめる「固有名」と「確定記述」 ・人間は言語ゲームを抜けることができるか? ・クリプキの懐疑論と「くゎ算」という思考実験 ・規範(価値)は同時に「事実」である ……ほか 【本書の構成】 1、隕石衝突問題 2、世界の終わり 3、宇宙人を見分ける 4、言葉と意味 5、言葉と実物世界 6、固有名 7、ゲームとルール 8、数列とルール 9、偶然と自由と可能世界 10、感覚と内面 11、文の仕組み 12、嘘 13、ルール懐疑主義 14、確実性について 15、言語ゲームの応用問題
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3.7最強の水先案内人がプロに「読みどころ」を聞いてみた――。 『神曲』『源氏物語』『わが闘争』『資本論』……、名著を読まなくても楽しめる、虫のよいガイド本、誕生! 好きな女性とはセックスできず、添い寝しかできない男の悲哀――『源氏物語』 莫大な印税収入でヒトラーは自信をつけた――『わが闘争』 手に取ってみたけれど、挫折した……、でもあきらめるのはまだ早い! 聞き手=古市憲寿+構成=斎藤哲也の名コンビが贈る名著ショートカット。 『神曲』――都市市民が生まれて、煉獄が生まれた 原基晶 『源氏物語』――「宇治十帖」の不器用で流されやすい登場人物たち 大塚ひかり 『失われた時を求めて』――宝探しのように自分の読みたいところを探す 高遠弘美 「相対性理論」――時間も空間も一つではない 竹内薫 『社会契約論』――「明日からこの国を、この世界をどうしよう」と考えるヒント 東浩紀 『ツァラトゥストラ』――「神は死んだ」など好きなパワーワードを探してみる 竹田青嗣 『わが闘争』――大衆を小馬鹿にした第6章「戦時宣伝」 佐藤卓己 『ペスト』――「自分事」となると、一気に読みやすくなる 佐々木匠 『古事記』――縄文系と弥生系の世界観が混在していた 三浦佑之 『風と共に去りぬ』――単なる恋愛小説ではない 鴻巣友季子 『国富論』――啓蒙の時代にお金儲けは肯定された 野原慎司 『資本論』――「新しい世界」の秘密を明らかにしようとした 的場昭弘
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3.7『あの素晴しい愛をもう一度』『風』『戦争を知らない子供たち』……名曲が語る、日本人の生き方とは?『あの素晴しい愛をもう一度』が描く、「二人だけ」の濃厚な関係の終焉。『戦争を知らない子供たち』を生んだ、終戦直後の京都駅前という原風景。『帰って来たヨッパライ』に描かれた、人生の台本。『コブのない駱駝』という人間の二面性。『風』〈ただ風が吹いているだけ〉のはかなさ……いい加減に生きることを許されない現代、一度だけの人生を自分らしく創ってゆくためには、どうすればよいのか?作詞家でもあり、精神科医でもある、きたやまおさむ氏と、精神分析の世界の重鎮である前田重治氏が、精神分析というガイドを手に、人生物語を紡ぎ出す、遊びと創造に満ちた交流の旅。
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3.6歴史を学ぶにも、現代を考えるにも、これだけはおさえておきたい知識がゼロからわかる! 「聖書」、ゾロアスター教、北欧神話、『論語』…… 個性豊かな12人の専門家に、古市憲寿が読者に代わって理解の「ツボ」を聞いた! 各宗教・神話の基礎がわかる解説マンガ付き! 【本書の内容】 なぜキリスト教は「長持ち」したのか――佐藤優 ロシアの指導者はなぜ絶対的な力を持つのか――三浦清美 イスラム過激派のテロがなくならない理由――飯山陽 ゾロアスター教が世界宗教に脱皮できなかった理由――青木健 ヒンドゥー教にとっての「神」とは――沖田瑞穂 ジャイナ教はなぜ不殺生を徹底するのか――堀田和義 古い時代の儒教と朱子学はどう違う?――渡邉義浩 玄奘はなぜインドへ向かったか――吉村誠 北欧神話の巨人とは?――松本涼 『万葉集』が最も日本的で、最も中国的である理由――上野誠 日本仏教はなぜ多様なのか――碧海寿広 人びとは宗教から遠のいていくのか――岡本亮輔 構成:斎藤哲也 マンガ:ヤングみやざき 【本文より】 この『謎とき 世界の宗教・神話』は、「本」を通じて世界の宗教や神話の不思議を解き明かそうとする一冊だ。 なぜ「本」なのか。それは多くの宗教が聖典を持つからだ。何かの宗教を理解しようとする場合、『新約聖書』や『コーラン』などの聖典に当たるのがよさそうに思える。 だがここに大きなハードルが立ちはだかる。一人で聖典を読み通すのは、とんでもなくたいへんなのだ。何せ現代と常識や価値観の違う時代に書かれた文章である。現代人から見れば飛躍や矛盾も多い。特にその宗教の信者でないなら、なおさら取っつきにくい。 ではどうすればいいのか。大切なのは「補助線」だと思う。宗教書に限らないが、古典を読むには前提知識が必要である。前提知識という補助線があるかないかで、一気に難解な本も読みやすくなる。 というわけで、一二人の研究者に宗教書や神話の「読みどころ」を聞いてきたのが本書である。結果的に、一冊でキリスト教からイスラム教、ゾロアスター教から北欧神話まで一二の信仰についてざっくりと把握できる良質な入門書になったと思う。良質すぎて、実際の聖典に当たらなくても、読んだフリができるほどである。――「はじめに」より
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3.6これでいつ堕ちても安心!?「地獄の沙汰も金次第」というのは本当!?よくわかる【地獄の歩き方】!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・著者によると、大学で美術史の講義をしていると、風景画についてよりも、肖像画についてよりも、地獄絵をテーマにしたとき、学生たちはなによりまじめに耳を傾けてくれるといい、これは市民講座等でも同様のことがいえるという。なぜ、人は地獄に惹かれるのか。死の山、三途の川、賽の河原、閻魔王との対面、善悪所行の記録文書、判決、数々の責め苦、……。地下8階建てビルのような構造の地獄を訪ね歩き、厳格な文書行政組織・閻魔王庁の実像に迫り、「怖いもの見たさ」の正体を探ってみると、じつは、地獄は「暴力」と「エロス」の欲動に満ちた世界だった!はたして、もともと除病延命をかなえてくれる柔和な「閻魔天」は、いったいいつ、地獄を統括する威嚇的な「閻魔王」へと変貌したのか。なぜ慈悲深いはずの仏たちが、地獄を征服するべく攻撃を開始したのか。敗戦国・地獄が、戦勝国・浄土から求められた多額の戦争賠償金をまかなうためにとられた、涙ぐましいまでの緊縮財政策とは!?そもそも、地獄はどこにあり、閻魔とはいったい誰なのか――。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ、まさか自分が地獄に堕ちる? そんなことはないハズ。いや待てよ。ウソ、不倫、暴飲……もしかしたら……。そんな「心当たり」のあるあなたに贈る、いざという時に役立つ(かもしれない)「地獄のガイドブック」。地獄から生還した人たちの"証言"も収録!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・【本書のおもな内容】第1章 地獄の誘惑「暴力」と「エロス」の世界/私たちは地獄に堕ちる ほか第2章 地獄へ旅立つ生から死へ/死の山/三途の川/賽の河原 ほか第3章 地獄をめぐる地獄の場所と構造/互いに敵対心を抱く亡者 ほか第4章 閻魔王の裁き閻魔とは誰か/閻魔天から閻魔王へ ほか第5章 地獄絵を観た人たち菅原道真/清少納言/西行/後白河法皇 ほか第6章 地獄からの生還者たち臨死体験と社寺縁起/狛行光/白杖童子 ほか第7章 地獄の衰退と復興地獄を征服する仏たち/地獄の沙汰も金次第 ほか
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