「あなた」の哲学

「あなた」の哲学

ビジネス・実用
770円 (税込)

3pt

5.0

この本はおそらく日本ではじめての「あなた」論です。少なくとも日本語で書かれた「あなた」についてのたぶん唯一の、最初の徹底した考察でありましょう。ギリシア以来、哲学は「わたし」を問い続ける反面で、とても大事なものを取りこぼしてしまいました。それが「他者」ではない「あなた」を考察することで見えてきます。

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    Posted by ブクログ

    本書は、児童文化を専門とし

    現在は、同志社女子大学教授であるである著者が

    「あなた」という概念について論じる著作です。


    筆者は「おひとりさま」ブームなどに疑問を呈した上で、

    それらが前提とする哲学的な「他者」概念とは異なる

    日常の感覚に根ざす「あなた」概念の重要性を解説します。


    「あなた」概念が、「怪物」としての「他者」とは対極に位置するという指摘や

    フーバーやニーチェの訳をめぐる考察など

    興味深い記述は多くありました。

    なかでも、個人的に印象深かったのは、

    認知症の妻との生活を描いた、

    耕治人の小説『そうかもしれない』に関する箇所です。


    著者は「あなた」という観点から、

    当事者に寄り添うような、温かみのある「読み」を展開しますが

    そうした解釈とは異なる「読み」も紹介されています。

    私はその作品を読んだことがなかったので、

    この機会に読み、自分がどの解釈をとるのか決めようと思います。


    「あなた」概念を通じ、人と人とのつながり説きつつも、

    家族は大切という安易な一般論に帰着しない本書。


    いわゆる「哲学」的な議論に疑問を持つ方はもちろん

    多くの方におススメしたい著作です。

    0
    2010年06月27日

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