Posted by ブクログ
2020年12月13日
近代化とは概して欧米化であり、その欧米のエートスにキリスト教があるのは否めない。
科学も哲学も芸術も、キリスト教に掣肘されそうなものだが、逆に後押しされた面がある。(牽引していない。あくまで後押し)。これが「ふしぎ」。
一神教として首尾一貫性の強いイスラム教の文化圏が、キリスト教文化圏の後塵を...続きを読む拝しているのも「ふしぎ」。
本書はそれらの謎を平易に解き明かしてくれる。
「神が四次元の怪物で、三次元に射影すると人間みたいなかたちになる」という解釈はツボに入った。(神の似姿アダムはよいとして、イヴをどうやって創造したのか疑問は残るのだが……)。
イエスの不可解な発言の解釈も興味深い。マリア(聖母とは別人)とマルタをめぐる逸話について「こんな些細な出来事がずっと伝えられ、正典にまで書き込まれているということは、まわりで聞いていた弟子たちも当惑したからではないでしょうか」という指摘は正鵠を射抜いていると思う。
なお、「世俗の権力と宗教的権威の二分化」に関する部分を読んでいて、日本の天皇はローマ法王とかカンタベリー大主教に類するスタンスなのではないかと考えた。