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【新書大賞2012大賞】 キリスト教がわからないと、現代日本社会もわからない――。キリスト教のすべてがわかる決定版入門書! なぜ神が一つなのか? 預言者とは何者か? イエスは神なのか人なのか? 聖書は誰が書いたか? 知っているつもりで実は知らないキリスト教の謎を解く。日本を代表する二人の社会学者が徹底対論! (講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
キリスト教圏の人達の底に流れる考え方を分かりやすくかみ砕いて対談形式で読むことができる。 キリスト教も仏教も儒教も実は神を殺しているという話や、日本人は神をたくさん置いていることで寧ろ神の力を殺いでいるという話など面白い話が盛りだくさんだ。 法律の考え方で、ユダヤ教やイスラム教はかっちりと律法が固ま...続きを読むっている一方、キリスト教は律法がなく、「神が世界を作りその後世界からいなくなった」という世界観だから人間が頂点として法律を作っても良いという価値観であるという所も面白い。
現代社会を深く理解するには、キリスト教について知悉するのが一番。それに応えてくれる名著。 キリスト教に造詣の深い橋爪氏に、大澤氏が鋭く、かつ、ピュアに問いを投げかける。二人の対談の場に居たかったなと思うくらい、楽しんで知的に会話している様子。これ一冊でキリスト教について広く深く知ることができる。本当...続きを読むに不思議なキリスト教だ。
この本を読んで、キリスト教の基本的理念と疑問、さらにはその教義が近代化にどのような影響を与えたか分かりやすく解説されている。僕自身キリスト教と関連のある生育環境にいたため、ずっと疑問を抱いたまま生活を送っていました。しかし著者たちによる複雑で難解なキリスト教の教義を社会学的に分析することで、キリスト...続きを読む教に対する自分のモヤモヤが明解になった(文章としてまとめるのは大変難しいが…)。
めちゃめちゃ面白い。最初から最後までびんびんだった。キリスト教で疑問だったことが悉く語られている。キリスト教や聖書のおおまかな知識をつけてから読んでよかった。 著者2人の見識がすごいなあ。どれだけ深い知識があるのだろう。 でも、橋爪さんという人は学者でありながらクリスチャンであるようだが、教義が政治...続きを読む的な駆け引きに近いものによって決まるとか、イエスは歴史上ただの大工の息子であるとか信仰の立場から外れた発言がある一方、大澤さんという完全に信仰の立場にない人からの素朴な疑問に対する答えが???なこともあって。やっぱり信仰していると客観的になりきれないのか、、、?宗教を信仰する気持ちはさっぱり分からない。 一神教の考え方やイエスの言わんとしたこともまだまだ疑問だらけ。もっとキリスト教の本読もう。
もしこの対話の間に入っていたら、ずっと話を聴いていられる感じがする。 学校の授業で聴くには少し堅苦しく、かと言ってBarでお酒を飲みながら聴くにはお粗末な感じ。 読書で読みくだき、一人で悶々としながら思考を巡らすのがちょうどいい、ふしぎな本です。
2回目。前回はざっと読んだだけであまり覚えていなかった。 『ゆかいな仏教』を読んで再度読んだ。 間違っている箇所もあるとの指摘もあるそうだが、全体に読みやすく切り口も面白いので、自身含めキリスト教のことが全然わからないという人が最初に読む本としてはとても良いと思う。 ●概要 今当然にある世俗的な概...続きを読む念や制度(資本主義、自然・社会科学、民主主義、芸術)が出てきた背景や受け入れられた素地が実はキリスト教にある。日本人は一神教でもなく特にキリスト教への理解が薄い。キリスト教を知ればもっとその概念や制度、一神教の人々の通底する考え方が理解できるのではないか。 キリスト教がベース・前提としているユダヤ教(我々日本人はそれを踏まえないのでキリスト教がなかなか理解できない)の概要から始まり、それに対してイエスがどうアプローチし、さらにどう現在のキリスト教になっていき、現在どのような所にその影響が見られるのかを質問者大澤さん、回答者橋爪さん、という問答で深めながら展開される。 ●知らなかった/面白かった話 第1部 ユダヤ教 ・ユダヤ教もキリスト教も殆ど同じ。ちがうのはイエス・キリストがいるかどうか ・ユダヤ教では神との関係は「契約」による安全保障(よそよそしいもの)であったがイエス・キリストが「愛」を述べて大転換 ・ユダヤ教にとっては律法(宗教法)が大事。ユダヤ民族の生活のルールを一つ残らず列挙して、ヤハウェの命令(神との契約)だとする。これを守っていれば国家が消滅してもまた再建できる。実際にイスラエルが建国されてその戦略の正しさを証明している。 ・人間は神(ヤハウェ)に似ているが、神は人間似ていない。例えば、神を4次元の怪物みたいなものとし、それを三次元に射影したのが人間、というイメージ(橋爪さんの解釈) ・一般的に普遍宗教は王権と結びつき拡大していくものだがユダヤ教は権力を肯定しない。 -ユダヤ人は元々移動する民であり、外国人扱いを受けてきた(寄留者;ゲーリーム)。それにより貨幣経済や土地所有、都市化が進んでも原始的な部族共同体の態度が保存されている。安息日、債務帳消し、寡婦や孤児の権利、外国人労働者への保護など社会福祉的な規定(カリテート)がある。 -ユダヤ教では神と人間に絶対的な差別・差異があり、人間同士は平等である →一般市民(預言者、長老含む)による王権のコントロール。民主主義発達。cf .儒教では徳の高い天子と徳のない民衆という差異 ・神が作った世界の合理的な自然法則の完全な例外が奇蹟 ・大事なのは「神を信じているか」というような意識できる宗教性ではなく、マルクス主義や科学者にすら現れる無意識の態度や行動のレベルの信仰である 第2部 キリスト教 ・イエスは実在しているというのが大方の学者の共通見解 ・キリスト教はイエスの死後パウロの書簡(イエスの十字架の受難を意味づける教理を考えたもの)によって成立し、その後イエスの原稿録として(書き手が複数であるがゆえ)内容が多少異なる4つの福音書作られた ・イエス自身は自分を「神の子」とは思っておらず、また新宗教を作るというよりはユダヤ教の内部の革新運動として行動していた ・イエスの振る舞いは預言者に似ていたが、神の言葉を伝えるのではなく、自身が話をしているようであったため、「神の子」と言われるようになった。神の子とは親である神とは独立した存在ではあるが、この完結した人間存在が100%神の意思と合致している状態。 ・ユダヤ教にとっての神の国:異教の国々がのさばっている正しくないこの世界をヤハウェが直接管理下に置き、エルサレムを中心とするユダヤ国家が覇権を取り戻す。 キリスト教にとっての神の国:神の国は地上にはない。またユダヤ人含め、すべての人が救われるわけではない。そしてその基準は明確にはされない。人間の行為(業(わざ))は神の行い(恩恵)に影響を与えない ・ユダヤ教においてはノアの洪水で一度神の直接介入があり、契約(モーセの律法)により人間に規範を与えた。しかしその規範をみんなが守れておらず、多くの人が救われない、という状況を打開するため、神が再度直接介入をした(契約の更新)というのがキリスト教:イエスが人間として現れ人間の罪を背負って死ぬ(リセット)→復活→再臨のため天へ昇る→(今ここ。神はその呼びかけに人間がどう反応するか待っている)→イエスが再臨する「主の日」に最後の審判を行う。 ・新しいルール:「律法」→「愛」へ 愛は律法が形を変えたもの。どちらも神と人間の応答であり、関係を設定する契約。神と人間の関係を正しくしようとする努力。たくさんあった律法のうち、大事なのは2つだけ。①主である神を愛すること②隣人を自身のように愛すること。隣人とは親しい人々ではなく、罪人や嫌いな人たち。 ・隣人愛の一番大事な点は、人が人を裁いてはいけない、ということ ・人間にはわからない理由により神に愛されたり愛されなかったりする。それでもなお神をどう維持していくかというのが一神教の重要な課題となる。 ・キリスト教はヘブライ語だけでなくヘレニズム世界の共通語であるギリシア語を話せたパウロによりヘレニズム世界へ広がるチャンスを得た 第3部 キリスト教と西洋社会との関わり、世俗的概念へどう繋がっていったか ・キリスト教はローマ帝国の東西分裂(395年)によって、東方教会(ギリシア正教)と西方教会(ローマ・カトリック)に分かれた ・西方教会は弱小王権に服属したくないので政治権力と結びつかず、教会の統一と独立を保つことに全力を挙げた(戦略例:典礼言語をラテン語に統一、政治権力を上回る人間の救済に関する権限の主張、結婚=王位継承や封建制度に大事な土地相続に介入、封建領主層から聖職者リクルート) →西ローマ帝国エリアがキリスト教を基盤とし、[政治的には統廃合を繰り返しながらも]EUに見出されるように独特の文化的・文明的な統一性を持っていて、影響を残し続けている ・宗教的な守備一貫性が高く信者の数も多いイスラム教よりキリスト教が近代化以降主導権を握れるようになった理由:宗教改革(聖書にない慣習は無意味→近代合理精神)、新大陸発見(宗教改革の負け組が外へ)、科学技術発展、産業革命、資本主義、最も大事なのは自由に法律を作れる点 ・キリスト教はギリシア哲学からある「理性」を宗教的な意味で再解釈。神の法のうち、人間の理性によって理解することができる部分(自然法)がある。理性は、人間の精神能力のうち神と同型である部分、数学・論理学のこと。信仰を持ち、理性を働かせることが正しい態度となる。→哲学、自然科学、社会科学は信仰が理性を正しいものと是認したことでスタートし、キリスト教に反対することになってでも理性的に振る舞う理性主義を生み出した。cf. フランス革命 ・宗教改革はの主題は神からのものと人間からのものを分けること。聖書中心主義。解釈の中で三位一体説まではプロテスタントも認めるが、聖書になく根拠の曖昧な聖人崇拝、煉獄、免罪符、告解、7つの秘蹟などは認めない。個人と神との関係が一番大切であり、教会は必ずしも必要ではない。 ・プロテスタントのうち、カルヴァン派の教義:最後の審判で神の国に行けるかどうかは予め決められており、人間の行動によっては変えられないという予定説。これが行動により変えられはしないが神の恩寵を受けていると信じたい人々の勤勉さを促し、資本主義の発展に寄与したというのがマックス・ウェーバーの『プロ倫』 ・自然科学がキリスト教、とりわけプロテスタントの中から出てきた理由は、①理性への信頼②神がこの世界を作ったと信じ、そこに神の痕跡を見出したかったから。聖書が曖昧であるがゆえ、神の意図を自然から汲み取ろうとした。 ・近代国家の立法権は神のアナロジー、人権は神が与えた権利 ・音楽は教会音楽から始まり、本来偶像崇拝禁止だがキリスト教徒はあまり聖書を読まなかったたため宗教美術が発展。カントの定言命法は宗教を全く前提にしていないにも関わらず、結果的にきわめてキリスト教的なものになる、カント流の隣人愛と見てとれる。ヘーゲルの弁証法も、マルクス主義もキリスト教的。 ・日本人は主体性、努力が大好きで神に支配されたくない →カミが大勢いて一人一人のカミの勢力が弱い ・日本人がモノづくりに長けているのアミニズム(物神)と関連。中国やインドはモノを作る人より、何か考える人の方が偉い。イスラムは偶像崇拝禁止の精神で製造業見劣り? ・日本人は法律を作ることには抵抗がないが、自分の同意しない法律には従う必要がないと心底思っている。法の支配を実行できない。[理解不足、今後課題]
一神教について、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の違いなど理解が深まった。私たちの生活の中で、知らずのうちにキリスト教的考え方に基づいていることが多いというのもよく理解できた。 何度か読み返して理解を深めたい本。
橋爪大三郎による「キリスト教」の解説書。対談形式で解説が進む構成になっており、ユダヤ教からキリスト教への変遷から一神教とは何かにまで踏み込んだ宗教の包括的な理解を助けてくれる。 現代の先進国社会は殆どキリスト教文化圏だといい。にも関わらず一神教が浸透し切ることのなかった日本では殆どキリスト教は理解...続きを読むされていない。その意味で本著はキリスト教を中心に「宗教」というものを体系的に理解することに役立つ。 また対置的に日本社会ひいては「無神論」を置くことで、多くの示唆をくれる。 読みやすく、ためになる。良書。
キリスト教を日本人の思想回路に沿って説明をしてくれる非常に分かりやすい一冊。前半はキリスト教の誕生から成立まで、後半はキリスト教と西洋世界の融和と哲学史への繋がりを紐解く。相当面白い。入門書から専門性を幅広く網羅していて他のキリスト教関係の書物を読んだあとだと更に面白さが増していく。 前半後半は地続...続きを読むきという訳でもないので、間隔をあけて読んでも支障がない。対談形式だから学術書のような固さがないのが読みやすさの要因か
橋爪大三郎と大澤真幸との対談形式で進む、キリスト教の起源から、イエスの謎、近代社会への影響まで解説した本。とても面白く読みました。本書を読むとよく解らなかったキリスト教の考え方がストンと入ってきます。日本のアニミズムの考え方と一神教の考え方は肌感覚レベルからかなり異なるので、キリスト教に馴染みが薄い...続きを読む人にとってはなかなか理解できないことが多いですが、本書はそう言った細かな部分まで丁寧に語られているので凄く楽しく読めました。引き続きキリスト教関係の本を読んでいきたいです。
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