【感想・ネタバレ】ふしぎなキリスト教のレビュー

あらすじ

【新書大賞2012大賞】 キリスト教がわからないと、現代日本社会もわからない――。キリスト教のすべてがわかる決定版入門書! なぜ神が一つなのか? 預言者とは何者か? イエスは神なのか人なのか? 聖書は誰が書いたか? 知っているつもりで実は知らないキリスト教の謎を解く。日本を代表する二人の社会学者が徹底対論! (講談社現代新書)

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Posted by ブクログ

これは宗教版の「銃・病原菌・鉄」ではないか!

なぜ、中世以前まで栄えていたイスラム圏を圧倒してキリスト教圏が近代文化の覇権を握ることになったのか。
いかに、私たち近代文化の思考の根底にキリスト教的な考えがあるか、がよくわかる。

キリスト教は厳格な宗教法を持たなかったため、柔軟に法律を作る、変えることができ、民主主義、資本主義の発展につながった。

解釈の余地があるということで、そこから自然科学や哲学が生まれ、科学技術の発展や産業革命に寄与した。
あらかじめ、法則が決められていたら、考える必要もないのだ。「なぜだろう?」がどれだけ素晴らしい魔法の言葉かがよくわかる。

さらに、人権についても、「神が自然を通じて人に与えたものだから国家はそれを奪えない」というキリスト教における自然法からのアイディアだったとは驚き。

これから、このキリスト教的な近代文化、資本主義文化がどう変わっていくのか。
エルサレムとパレスチナの問題が激化し、さらにイランへの攻撃が始まったいま、これらを包摂する文化がどう変容していくのか、日本も蚊帳の外ではなく主体的に議論していかなければいけない。

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2025年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかった。一神教の特徴や、キリスト教の疑問あれこれ、近代とキリスト教の関係などを、社会学的な視点から、橋爪先生と大澤先生が対談して分かりやすく説明してくれている。
世界三大一神教のユダヤ教・キリスト教・イスラム教。どれも同じ神を信仰しているが、やっぱりキリスト教だけ特異だ。イエス・キリストという「神の子」の存在がやはり異色で、神の子が存在しながらそれでも一神教であるために三位一体というアクロバティックな学説を出して乗り切ろうとしている。ユダヤ教もイスラム教も預言者を通して神の言葉を聞き、その唯一の神の言葉を律法なりイスラム法なりとして守っていくことになるが、キリスト教は神の子が自らこの世界に介入して一人の人格を持って自ら語り、周囲の人がそれを証言する形で福音書が書かれているため聖書の中でも言っていることが人によってバラバラになる。そして律法主義のユダヤ教を否定する形で成立したキリスト教は、法律を持たない。よって、宗教としての法を持つユダヤ教やイスラム教と違い、人々が自由に法律を作ることができる。それが、キリスト教圏が近代化を進めていける鍵になった、という点が目から鱗だった。合理的でスマートなイスラム教は、イスラム法が厳格で利子を禁じていたり、精神的なものに重きを置き過ぎてもの作りが下に見られ製造業が発展しなかったり、意外と近代化で遅れをとってしまっている。一方キリスト教はイスラム教経由でギリシャ哲学とも出会い、神学と結びついてそこも発展するし、自然科学も発展するし、結局近代世界のヘゲモニーを握る。
キリスト教のこととしては、贖罪思想のもとには「眼には目を歯には歯を」の同害報復の発想があるというのも目から鱗。A集団のaさんがB集団のbさんを殺した時、B集団は報復としてaさんを殺せるが、間違ってaさんの弟を殺してしまった、という場合、同害報復の考えに則れば、もうB集団の報復としては一人に対して一人殺したのだからそれで済ませなければならない。このとき罪を犯したaさんは、罰を受けずに助かったことになる。キリストの贖罪思想はまさにこれで、キリストが身代わりになったことで人類の罪が許されたことになるのは、この古代法に則っているらしい。なるほど。
あと、パリサイ派とサドカイ派ってよく分かっていなかったけれど、ユダヤ教には神と繋がり神の意に沿うために3つあって
①捧げ物をする
②神の言葉を聴く
③神の与えた律法に従う
このうち①を専門的に行う祭司をサドカイ派、③をパリサイ派と言い、②は預言者なんだけど、これらはそれぞれ対立しがちなので、イエスの時代には偽預言者と言われて殺されることがしばしばあり、洗礼者ヨハネもイエスも実際殺されている。当時山の中にこもって独身主義で祈りの生活を送るエッセネ派というのがいて、イエスはそれに近かった、というのは初めて聞いたけれど、遠藤周作の『死海のほとり』に似たような話が出てたな。
信仰の立場からの話ではないからなかなか教会では聞けない切り口で、十二使徒が出来が悪かったから、ローマ市民権もあってギリシャ語もできた国際人パウロが、イエスと直接の面識はなくてもキリスト教を大成する第一人者になっていったのだ、というのも、まあ言われてみればそうだよなぁと思う。というかパウロが偉大すぎる。パウロの手紙は「論文」というのも納得。
もともとは教義のすり合わせを、主教たちを集めた公会議で行っていたのに、東西のローマ帝国に分かれてからそれが開けなくなり、東の正教会と西のカトリックに分かれてそれぞれで変化していった、というところに世界史の流れを感じた。西ローマ帝国が早々に滅んだためにカトリックでは政治権力と宗教の権力が独立した。というか、早々にスポンサーを失って弱体化したカトリックは、西ローマよりも小規模なゲルマンの王権を頼るのではなく、聖書やミサにラテン語を使うことで超越性を醸し出し、終末論など人間には力の及ばない次元の話を武器にし、結婚を秘蹟として介入し、なんというかカトリックを守るために権威づけをしていったということか。
冤罪のような罪で惨めに死んだイエスを発端に、弱小な弟子たち、無理やり感のある三位一体説、すぐに倒れたスポンサーの西ローマ帝国、などなど、危なっかしい弱小感に溢れるカトリック・キリスト教が、西洋の文化文明ひいてはグローバリゼーションの中で世界の文化文明の基礎になっていることそれ自体が、神の業って感じがする。不思議。

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2024年08月28日

Posted by ブクログ

キリスト教圏の人達の底に流れる考え方を分かりやすくかみ砕いて対談形式で読むことができる。
キリスト教も仏教も儒教も実は神を殺しているという話や、日本人は神をたくさん置いていることで寧ろ神の力を殺いでいるという話など面白い話が盛りだくさんだ。
法律の考え方で、ユダヤ教やイスラム教はかっちりと律法が固まっている一方、キリスト教は律法がなく、「神が世界を作りその後世界からいなくなった」という世界観だから人間が頂点として法律を作っても良いという価値観であるという所も面白い。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

現代社会を深く理解するには、キリスト教について知悉するのが一番。それに応えてくれる名著。
キリスト教に造詣の深い橋爪氏に、大澤氏が鋭く、かつ、ピュアに問いを投げかける。二人の対談の場に居たかったなと思うくらい、楽しんで知的に会話している様子。これ一冊でキリスト教について広く深く知ることができる。本当に不思議なキリスト教だ。

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

この本を読んで、キリスト教の基本的理念と疑問、さらにはその教義が近代化にどのような影響を与えたか分かりやすく解説されている。僕自身キリスト教と関連のある生育環境にいたため、ずっと疑問を抱いたまま生活を送っていました。しかし著者たちによる複雑で難解なキリスト教の教義を社会学的に分析することで、キリスト教に対する自分のモヤモヤが明解になった(文章としてまとめるのは大変難しいが…)。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

めちゃめちゃ面白い。最初から最後までびんびんだった。キリスト教で疑問だったことが悉く語られている。キリスト教や聖書のおおまかな知識をつけてから読んでよかった。
著者2人の見識がすごいなあ。どれだけ深い知識があるのだろう。
でも、橋爪さんという人は学者でありながらクリスチャンであるようだが、教義が政治的な駆け引きに近いものによって決まるとか、イエスは歴史上ただの大工の息子であるとか信仰の立場から外れた発言がある一方、大澤さんという完全に信仰の立場にない人からの素朴な疑問に対する答えが???なこともあって。やっぱり信仰していると客観的になりきれないのか、、、?宗教を信仰する気持ちはさっぱり分からない。
一神教の考え方やイエスの言わんとしたこともまだまだ疑問だらけ。もっとキリスト教の本読もう。

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

もしこの対話の間に入っていたら、ずっと話を聴いていられる感じがする。
学校の授業で聴くには少し堅苦しく、かと言ってBarでお酒を飲みながら聴くにはお粗末な感じ。
読書で読みくだき、一人で悶々としながら思考を巡らすのがちょうどいい、ふしぎな本です。

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2022年09月21日

Posted by ブクログ

2回目。前回はざっと読んだだけであまり覚えていなかった。
『ゆかいな仏教』を読んで再度読んだ。
間違っている箇所もあるとの指摘もあるそうだが、全体に読みやすく切り口も面白いので、自身含めキリスト教のことが全然わからないという人が最初に読む本としてはとても良いと思う。

●概要
今当然にある世俗的な概念や制度(資本主義、自然・社会科学、民主主義、芸術)が出てきた背景や受け入れられた素地が実はキリスト教にある。日本人は一神教でもなく特にキリスト教への理解が薄い。キリスト教を知ればもっとその概念や制度、一神教の人々の通底する考え方が理解できるのではないか。
キリスト教がベース・前提としているユダヤ教(我々日本人はそれを踏まえないのでキリスト教がなかなか理解できない)の概要から始まり、それに対してイエスがどうアプローチし、さらにどう現在のキリスト教になっていき、現在どのような所にその影響が見られるのかを質問者大澤さん、回答者橋爪さん、という問答で深めながら展開される。

●知らなかった/面白かった話
第1部 ユダヤ教
・ユダヤ教もキリスト教も殆ど同じ。ちがうのはイエス・キリストがいるかどうか
・ユダヤ教では神との関係は「契約」による安全保障(よそよそしいもの)であったがイエス・キリストが「愛」を述べて大転換
・ユダヤ教にとっては律法(宗教法)が大事。ユダヤ民族の生活のルールを一つ残らず列挙して、ヤハウェの命令(神との契約)だとする。これを守っていれば国家が消滅してもまた再建できる。実際にイスラエルが建国されてその戦略の正しさを証明している。
・人間は神(ヤハウェ)に似ているが、神は人間似ていない。例えば、神を4次元の怪物みたいなものとし、それを三次元に射影したのが人間、というイメージ(橋爪さんの解釈)
・一般的に普遍宗教は王権と結びつき拡大していくものだがユダヤ教は権力を肯定しない。
-ユダヤ人は元々移動する民であり、外国人扱いを受けてきた(寄留者;ゲーリーム)。それにより貨幣経済や土地所有、都市化が進んでも原始的な部族共同体の態度が保存されている。安息日、債務帳消し、寡婦や孤児の権利、外国人労働者への保護など社会福祉的な規定(カリテート)がある。
-ユダヤ教では神と人間に絶対的な差別・差異があり、人間同士は平等である
→一般市民(預言者、長老含む)による王権のコントロール。民主主義発達。cf .儒教では徳の高い天子と徳のない民衆という差異
・神が作った世界の合理的な自然法則の完全な例外が奇蹟
・大事なのは「神を信じているか」というような意識できる宗教性ではなく、マルクス主義や科学者にすら現れる無意識の態度や行動のレベルの信仰である

第2部 キリスト教

・イエスは実在しているというのが大方の学者の共通見解
・キリスト教はイエスの死後パウロの書簡(イエスの十字架の受難を意味づける教理を考えたもの)によって成立し、その後イエスの原稿録として(書き手が複数であるがゆえ)内容が多少異なる4つの福音書作られた
・イエス自身は自分を「神の子」とは思っておらず、また新宗教を作るというよりはユダヤ教の内部の革新運動として行動していた
・イエスの振る舞いは預言者に似ていたが、神の言葉を伝えるのではなく、自身が話をしているようであったため、「神の子」と言われるようになった。神の子とは親である神とは独立した存在ではあるが、この完結した人間存在が100%神の意思と合致している状態。
・ユダヤ教にとっての神の国:異教の国々がのさばっている正しくないこの世界をヤハウェが直接管理下に置き、エルサレムを中心とするユダヤ国家が覇権を取り戻す。
キリスト教にとっての神の国:神の国は地上にはない。またユダヤ人含め、すべての人が救われるわけではない。そしてその基準は明確にはされない。人間の行為(業(わざ))は神の行い(恩恵)に影響を与えない
・ユダヤ教においてはノアの洪水で一度神の直接介入があり、契約(モーセの律法)により人間に規範を与えた。しかしその規範をみんなが守れておらず、多くの人が救われない、という状況を打開するため、神が再度直接介入をした(契約の更新)というのがキリスト教:イエスが人間として現れ人間の罪を背負って死ぬ(リセット)→復活→再臨のため天へ昇る→(今ここ。神はその呼びかけに人間がどう反応するか待っている)→イエスが再臨する「主の日」に最後の審判を行う。
・新しいルール:「律法」→「愛」へ
愛は律法が形を変えたもの。どちらも神と人間の応答であり、関係を設定する契約。神と人間の関係を正しくしようとする努力。たくさんあった律法のうち、大事なのは2つだけ。①主である神を愛すること②隣人を自身のように愛すること。隣人とは親しい人々ではなく、罪人や嫌いな人たち。
・隣人愛の一番大事な点は、人が人を裁いてはいけない、ということ
・人間にはわからない理由により神に愛されたり愛されなかったりする。それでもなお神をどう維持していくかというのが一神教の重要な課題となる。
・キリスト教はヘブライ語だけでなくヘレニズム世界の共通語であるギリシア語を話せたパウロによりヘレニズム世界へ広がるチャンスを得た

第3部 キリスト教と西洋社会との関わり、世俗的概念へどう繋がっていったか
・キリスト教はローマ帝国の東西分裂(395年)によって、東方教会(ギリシア正教)と西方教会(ローマ・カトリック)に分かれた
・西方教会は弱小王権に服属したくないので政治権力と結びつかず、教会の統一と独立を保つことに全力を挙げた(戦略例:典礼言語をラテン語に統一、政治権力を上回る人間の救済に関する権限の主張、結婚=王位継承や封建制度に大事な土地相続に介入、封建領主層から聖職者リクルート) →西ローマ帝国エリアがキリスト教を基盤とし、[政治的には統廃合を繰り返しながらも]EUに見出されるように独特の文化的・文明的な統一性を持っていて、影響を残し続けている
・宗教的な守備一貫性が高く信者の数も多いイスラム教よりキリスト教が近代化以降主導権を握れるようになった理由:宗教改革(聖書にない慣習は無意味→近代合理精神)、新大陸発見(宗教改革の負け組が外へ)、科学技術発展、産業革命、資本主義、最も大事なのは自由に法律を作れる点
・キリスト教はギリシア哲学からある「理性」を宗教的な意味で再解釈。神の法のうち、人間の理性によって理解することができる部分(自然法)がある。理性は、人間の精神能力のうち神と同型である部分、数学・論理学のこと。信仰を持ち、理性を働かせることが正しい態度となる。→哲学、自然科学、社会科学は信仰が理性を正しいものと是認したことでスタートし、キリスト教に反対することになってでも理性的に振る舞う理性主義を生み出した。cf. フランス革命
・宗教改革はの主題は神からのものと人間からのものを分けること。聖書中心主義。解釈の中で三位一体説まではプロテスタントも認めるが、聖書になく根拠の曖昧な聖人崇拝、煉獄、免罪符、告解、7つの秘蹟などは認めない。個人と神との関係が一番大切であり、教会は必ずしも必要ではない。
・プロテスタントのうち、カルヴァン派の教義:最後の審判で神の国に行けるかどうかは予め決められており、人間の行動によっては変えられないという予定説。これが行動により変えられはしないが神の恩寵を受けていると信じたい人々の勤勉さを促し、資本主義の発展に寄与したというのがマックス・ウェーバーの『プロ倫』
・自然科学がキリスト教、とりわけプロテスタントの中から出てきた理由は、①理性への信頼②神がこの世界を作ったと信じ、そこに神の痕跡を見出したかったから。聖書が曖昧であるがゆえ、神の意図を自然から汲み取ろうとした。
・近代国家の立法権は神のアナロジー、人権は神が与えた権利
・音楽は教会音楽から始まり、本来偶像崇拝禁止だがキリスト教徒はあまり聖書を読まなかったたため宗教美術が発展。カントの定言命法は宗教を全く前提にしていないにも関わらず、結果的にきわめてキリスト教的なものになる、カント流の隣人愛と見てとれる。ヘーゲルの弁証法も、マルクス主義もキリスト教的。
・日本人は主体性、努力が大好きで神に支配されたくない →カミが大勢いて一人一人のカミの勢力が弱い
・日本人がモノづくりに長けているのアミニズム(物神)と関連。中国やインドはモノを作る人より、何か考える人の方が偉い。イスラムは偶像崇拝禁止の精神で製造業見劣り?
・日本人は法律を作ることには抵抗がないが、自分の同意しない法律には従う必要がないと心底思っている。法の支配を実行できない。[理解不足、今後課題]

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2022年05月17日

Posted by ブクログ

一神教について、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の違いなど理解が深まった。私たちの生活の中で、知らずのうちにキリスト教的考え方に基づいていることが多いというのもよく理解できた。

何度か読み返して理解を深めたい本。

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2022年04月24日

Posted by ブクログ

橋爪大三郎による「キリスト教」の解説書。対談形式で解説が進む構成になっており、ユダヤ教からキリスト教への変遷から一神教とは何かにまで踏み込んだ宗教の包括的な理解を助けてくれる。

現代の先進国社会は殆どキリスト教文化圏だといい。にも関わらず一神教が浸透し切ることのなかった日本では殆どキリスト教は理解されていない。その意味で本著はキリスト教を中心に「宗教」というものを体系的に理解することに役立つ。
また対置的に日本社会ひいては「無神論」を置くことで、多くの示唆をくれる。
読みやすく、ためになる。良書。

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2022年01月17日

Posted by ブクログ

キリスト教を日本人の思想回路に沿って説明をしてくれる非常に分かりやすい一冊。前半はキリスト教の誕生から成立まで、後半はキリスト教と西洋世界の融和と哲学史への繋がりを紐解く。相当面白い。入門書から専門性を幅広く網羅していて他のキリスト教関係の書物を読んだあとだと更に面白さが増していく。
前半後半は地続きという訳でもないので、間隔をあけて読んでも支障がない。対談形式だから学術書のような固さがないのが読みやすさの要因か

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2021年12月29日

購入済み

興味がある人は必読!

個人的には無宗教ですが、マイケルムーア監督の西洋社会への風刺をかいた映画を見てから、
西洋社会が政教分離できていないことに驚きと関心があったので、この本を購入。

そもそも興味がないと読まないジャンルだと思いますが、社会学、心理学的にキリスト教にせまっていて
興味のある人にとっては大変おもしろいとおもうので★5つにしました。


今の西洋に影響を与えた宗教の成り立ちを中心に書いてあり、

(第1部ユダヤ教、第2部キリストについて、第3部まとめ、な感じでした)

なぜキリスト教に人々が特にハマることになったか、など心理的な部分もフォーカスされています。


対談形式なので、ある程度キリスト教などの基礎知識くらいはないと読みづらい部分もあるかもしれませんが、

このボリュームで、内容で、この価格は安い!

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2012年02月27日

購入済み

なるほどね―と感心しました

キリスト教の思想が現代の底流にあるというのは、なんとなく皆が感じているのではと思う。
この本はその辺の事をハッキリと感じさせてくれます。

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2014年06月17日

Posted by ブクログ

キリスト教を通じて西洋社会の成り立ちを理解することが、現代を知る上で重要になる、という前提のもと、
•多神教と一神教の神様の違い
•イエスとは何者なのか
•科学技術や哲学との関連
•権力とキリスト教の距離について

などなど、様々な切り口からキリスト教について議論が進められていく。
対話形式なので読み易く、智の巨人たちのあそびみたいな空気を感じられて面白かったです。


同じ一神教でも、聖書を読み解く視点や見解に多様性があるキリスト教と、ムハンマドがほぼ直接神の言葉を受け取ることから聖典に多様性や多義性は入りようがないイスラム教という違いがある。

ただ、キリスト教社会が寛容かと言われればそうではなく、その時々で最も力を持つ者の解釈が正統となりそれ以外は異端とされるなど、権力との関係も独自性があるという面も興味深い。

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2025年04月15日

Posted by ブクログ

キリスト教について学ぶために読んだ。
キリスト教を学ぶことで感じる疑問を丁寧に解説してくれるため非常に面白く学びになる。また、キリスト教だけで無く、ユダヤ教やイスラム教についても学ぶことができる。また、キリスト教が現代に与えている影響も知ることができ、よりキリスト教を学んでいきたいと思えた。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

キリスト教を日本人目線で理解するには非常にわかりやすい本。厳密性や深い部分は難しくとも、何も知らないより本書によりキリスト教の概要を理解するには大切だと考える。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

西欧だけでなく、世界中で現代社会に大きな影響を与えているキリスト教。本書はキリスト教を社会学的な切り口から解説した画期的かつわかりやすい1冊。
ユダヤ教、イスラム教と比較しながら、なぜキリスト教が広まったのか、やや強引ともいえるような考え方が成り立った背景はなにかなどを解き明かす。橋爪大三郎さん、大澤真幸さんという大先生の対談形式で、とてもわかりやすく楽しみながら読めました。

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2024年10月24日

Posted by ブクログ

キリスト教の成り立ち、ユダヤ教、イスラム教との関係性の大枠を理解するのにうってつけの良書だと思う。聖書という書物の不完全さ、様々な解釈の余地があることが、著者2人のやりとりから感じられ、その理解、解釈しようとする努力こそが、現代の西洋文明の礎になっていることが分かった。宗教なんて、キリスト教なんて、と思っていたが、自分が恩恵を受けている近代文明が、実はキリスト教があったからこそのものだったとは。面白かった。

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2023年11月30日

Posted by ブクログ

2023.01.24 本にも書いてあるけど、本当に面白かった。傑作だと思う。前提となるこの本のコンセプト(現代社会を生きる上では、キリスト教の理解が必要だ)が、本当に素晴らしいと思う。

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2023年01月24日

Posted by ブクログ

キリスト教に興味を持ったので読んでみた。
腑に落ちない部分もあるが、総じて「よくできているな」という印象。特に、西洋でなぜ科学が発達したのか、分かった。
私は日本人的価値観に染まっているから、まだ一神教の考え方について怖いと思う部分もあるけど、こっちがマジョリティでベーシックなんだな、という位には理解が深まった。

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2023年01月04日

Posted by ブクログ

宗教、特に「神様を信じる」ということがどういうことなのか理解できないので、初歩的な質問も含んでいるというこの対談本を読んだが、いい意味で自分にはやはり宗教は理解できないと思った。
聖書は矛盾に満ちていて、遥か昔からそれをどのように解釈するか論争を繰り広げてきたとあったが、その過程で西洋の近代化の手助けのような働きをしていたと考えるところが興味深かった。

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2022年11月23日

Posted by ブクログ

不思議なキリスト教

東方正教会
布教には現地の言葉でよかった
カトリック ローマ教会は、あくまで聖なる語のラテン語で教えたい
けど学がない民衆には伝わらない
から、宗教画が許された
 だれでもどこでも伝わる語だと、一神教の神の超越性、権威が弱まる、特別性なくなる



カトリック プロテスタント
カトリックはラテン語
読めんやつもいた
プロテスタントは俗語訳OK ドイツ語とかでも
カトリックは雰囲気神聖だが、プロテスタントはあくまで聖書の内容を読めることが重要なので、誰でも読めるように訳した
カトリックは逆に聖書至上主義ではなくて、教会とか聖職者に重きを置いた
これ宗教画に関係ある?
カトリックの方がより派手で分かりやすそう

キリスト教において、聖書は曖昧(律法なし、だけど自然は真実、だから自然科学の追求がトレンドになった
イスラム、ユダヤは確固たる法があったからそこに依存?

キリスト教はいろんな意味でガバガバでゆるゆる
だから西洋からいろんなものが発展した

やっぱ対談は読みやすい〜!

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2022年05月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イエス・キリストの存在のため、同じ一神教であるユダヤ教、イスラム教と決定的に異なるキリスト教。キリスト教にあけるイエスは預言者であり「神の子」である。
福音書はそれぞれイエスに対する証言であり解釈。聖典が神の言葉ではないのは特殊。
さらに、そもそもイエスの母語(アラム語)ではないギリシャ語で書かれたので、聖なる文字もない。
ローマ帝国が分裂したのち、東方教会とカトリックに分かれ、東方教会は現地語に訳して布教をしていく(○○教会が増えた原因)。
カトリックは権威づけのためラテン語に限定。
イスラム教由来で伝わったギリシャ哲学も導入。
宗教を否定するマルクス主義はキリスト教的終末論の再現。

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2022年04月19日

Posted by ブクログ

近代化とは西洋文明化とも言える。近代的とは西洋的ともいえる。そこで近代化を達成した我々日本人は、近代つまり西洋の世界とは何かを考える必要がある。西洋世界=キリスト教世界であるため、近代社会の問題点を見つけるにはキリスト教への理解が不可欠なのだ。本書はキリスト教の概要にとどまらずキリスト教が現在の我々の社会に与えた影響について語られているため、現在の社会問題を考えるにあたり非常に参考になる点も多い。キリスト教という宗教は一見我々の暮らしには無関係に思えるが、科学技術や資本主義など近代社会の根幹をなす部分で深い影響を受けているのだ。その近代社会に生きる我々はキリスト教を知ることで現在の社会問題をより把握できるし、近代化の限界というものに立ち向かう知恵が得られるのだと思う。

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2021年11月14日

購入済み

日本を見つめ直せる

キリスト教を中心に世界の宗教の根本が、簡単にさらっとわかります。
対談形式なので、気になることが質問されていたりで、とても読みやすい。

文化のベースとなっている宗教的な対外比較で、日本の独自性を再認識できる。
当たり前に理解している気になっていることが言語化された形で、改めて海外との違いの根本に気付けるナイスな新書です。

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2019年11月19日

Posted by ブクログ

言うまでもなく、今、世界を席巻しているのは、
欧米由来のルールや習慣、文化などだったりします。
欧米の様式をデファクトスタンダードとして、
世の中は成り立っているところがある。
つまり、欧米のやり方が、世界のあらゆる場面の常識になっているということです。

そんな欧米の考え方を成り立たせているのは、
近代になって世俗化し、一部ではもはや形骸化してきているなどとも
言われているキリスト教だったりするのです。
哲学や科学が発展し、人間の理性を重視して宗教への態度が希薄になったことで、
キリスト教の考え方に縛られなくなったかといえば、
それはまったくそうではなく、その根本に、キリスト教の考えかたから、
順にも逆にも影響を受けていたりしている。

それだけ、すごい宗教なのがキリスト教であり、
そしてふしぎな宗教なんだということを本書では大澤さんが質問者として
橋爪さんに教えてもらっている。

本書は3部構成で、第1部ではキリスト教の下敷きとなっている旧約聖書を、
つまりユダヤ教をみていきます。
第2部では、新約聖書を中心にキリスト教そしてイエス自身に注目しています。
そして第3部では、キリスト教成立後のようすから、現代にいたるまでを
扱っています。

大きなテーマは、大澤さんのセリフから抜き書きするとこうです。
「近代社会の最もベースになるような制度やアイデアや態度が、
一見キリスト教を脱してるようでいて、いかにキリスト教的な
前提の中でつくられていたか」
それを確認するべく、いろいろ見ていくのです。

面白いのは、イスラム教やユダヤ教と違って、
キリスト教はあいまいでゆるい部分があることです。
そして、それゆえに、信者たちはクリエイティブに
頭を使うことになっているんだと思うんですよね。
その結果、西欧社会は発展していき、いまや世界を席巻している。
そこから学ぶことって、がんじがらめのルールでは人は成長しずらいんじゃないだろうか
ということです。

えーと、日本人だからキリスト教は関係ないやってことじゃないんですね。
最初に書きましたが、世界の常識になっているものは西欧のキリスト教由来の常識です。
この国の憲法や芸術や民主主義や市場経済や科学技術というものも、
キリスト教社会からもらってきた子どもなんだ、とあとがきで書かれていて、
その子どもたちが自分たちのルーツを知りたい、知ることで何かしっかりできそうだ、
ということで、本当の親であるキリスト教に会うようなことが、
この本を読むことにあたるのです。
これは橋爪さんの喩えですが、じょうずですね。

大澤さんについては、「正義」についての著書を読んだことがあり、
すごく知識を積んでいる方だという印象がありました。
橋爪さんの名前は来たことがある程度でしたが、
今回読んでみて、また一人、リスペクトできる学者の方を見つけたな、
という感想を持ちました。

現代社会に対する基本的な認識を持つために、
読むとすっきりするところのある本です。
キリスト教やユダヤ教などをほとんど知らなくても、
本書でそのエッセンスを享受できると思います。
面白かったです。

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2025年06月24日

Posted by ブクログ

対談形式でわかりやすくライトに読める本。私自身の宗教への理解が深いわけではないので、この本の内容がどれだけの強度なのか判別できませんが、わりと知りたかったことが知れました。他の本とも繋がることも多くていい感じ。
特におもしろいな〜と思ったところは宗教と科学について。むしろ科学的であるからこそ、その先に宗教を信仰している、と。個人的には納得感あってよかったです。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

『(前略) その大澤さんが、やっぱりキリスト教だよ、と言う。キリスト教を踏まえないと、ヨーロッパ近現代思想の本当のところはわからない。現代社会もわからない。日本人が、まず勉強すべきなのは、キリスト教ではないだろうか。
まったくその通り!と私も思った。
「キリスト教入門」みたいな本なら、山ほど出ている。でもあんまり役に立たない。
「信仰の立場」を後ろに隠して、どこか押しつけがましく、でもにこにこ語りかける。さもなければ、聖書学あたりの知識を、これならわかるかねと上から目線で教えをたれる。
人びとが知りたい、いちばん肝腎なところが書かれていない。根本的な疑問ほど、するりと避けられてしまっている。
そこで大澤さんと相談して、対談が実現した。ボケとツッコミの要領で、ふつうのクリスチャンなら怖くて言えない話題もとりあげた。「信仰の立場」を尊重しつつも、自由にそこから出たり入ったりする、「社会学的な」議論をくりひろげた。』(p.345橋爪大三郎あとがき)
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「旧約聖書を知っていますか」
「新約聖書を知っていますか」
阿刀田高著
「名画と読む イエス・キリストの物語」
中野京子著

と本作の四本立てで読むと、キリスト教界隈さっぱりちんぷんかんぷん勢でも、ザザザーッと雑ながら頭の中にキリスト教界隈モノサシが備えることができるかも。
そして、宗教や信仰としての話だけではなく、人間が生きる世界を見つめる違う目線が一つ、いや複数増える。と思う。

※ちなみに私はクリスチャンではありません。
※ゆえにキリスト教布教目的の推薦でもありません。

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2025年06月09日

Posted by ブクログ

キリスト教を信仰している人には、
聞きづらい純粋な問題に答えてもらって
スッキリした感じになる
難しい部分もあるが、違う角度から宗教に
接することが出来た

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2025年04月19日

Posted by ブクログ

・話してる内容は抽象的で小難しいけど、対談形式だから文章が読みやすくて助かる。
・「キリスト教の〇〇って変じゃない?」っていう単純な疑問に回答してくれて、楽しく読み進められた。
・ユダヤ教からキリスト教への変遷とか、すっきりまとめてくれてありがたい。
・対談形式だから読みやすいけど、その分、どの部分が主観で、どの部分は引用なのかちょっと混乱した。
・なるほど!となる回答もあり、なんか腑に落ちないな〜となる回答もあり。そこも含めて、興味を持つきっかけをくれる楽しい本でした。

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2024年06月19日

Posted by ブクログ

社会学的な観点から見たキリスト教については半分も理解できなかったが、それでも現代の西洋文化においていかにキリスト教の影響が大きいかは十分理解できた。

もう少し知識をつけてから再読したい。

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2023年12月14日

Posted by ブクログ

一神教のgodと多神教の神様との違い
日本人にとって、神様は仲間(自分の支え)
godは人間を創造(所有物) 絶対的存在

なぜ神様が創造した、この世界が欠陥だらけなのか?

イエスが起こした奇蹟の真相  

ユダの裏切り

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2023年01月20日

Posted by ブクログ

大澤真幸が最初に、この本はとても素晴らしいと自画自賛してて、橋爪大三郎も最後で同様に自画自賛してるんだけど、本人たちが言ってるほど、おもしろくはなかったぞ。

でも、分かりやすい部分もあって、読んで良かったと思ってる。
分かりやすかったのは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の関係。どこまで一緒で、どこからが違うのか?それが、クリアーに整理されてた。

イスラム教の方が、論理的に矛盾が少なく、キリスト教は矛盾がいろいろあるので、ギリシャ哲学みたいなものを通じて「三位一体」という、どう考えても、理解しにくい理屈をつくりだした。

ところが、前近代までは、イスラム世界や中国のほうが文明的にリードしてたのに、宗教革命くらいから?キリスト教文明の中で、自然科学が抜群に発達し、民主主義が誕生し、市場社会が生まれた。

オレとしては、自然科学の発達と、民主主義という政治システム、そして、市場社会の誕生と言う、こういう人類にとって画期的なことが、どうして、イスラム社会や、仏教の合理的な考え方をもった土壌から生まれなかったのか?それが特に知りたかったんだけど。
2人とも社会学者なんだから、そこのところこそ、明晰な説明をしてほしかった。

ユダヤ教には律法主義があり、イスラム教徒にも厳格な宗教法があるけど、キリスト教にはそれがなくて、自分たちで法律を作る自由があったから、そこから近代が生まれた、という説明には、いまいち、納得できなかった。
だって、中国文明にもインド文明にも日本にも、ユダヤ教のような律法主義は無いし、自分たちで法律を作ってたのに、人類の歴史を変えるほどの自然科学の発達も、民主主義や市場社会の誕生も、無かったんだから。

橋爪大三郎の説明って、肝心なところで、マックス・ウェーバーの古典的な説明に頼りきりになってる印象。
ウェーバーの、特に宗教社会学に関する分析は、現代でも使えるくらい正確ってことなのかな。

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2022年01月07日

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