「現実」って何だろう? 私たちが知覚している世界と「現実」は、実はかなりズレている!? 「現実」ではノイズとしてカットされているかすかな五感のささやきに、異能の作家・坂口恭平が耳を澄ます。そこで浮かび上がってきたものとは? 驚きの(そしてどこか懐かしい)世界をありありと体験できる本。私たちは本当は、見えないものたち、触れることのできないものたちに包まれて生きているのだ。(講談社現代新書)
Posted by ブクログ 2016年12月04日
「現実を見ろ」「現実は甘くない」といったような説教でよく使われる「現実」を脱臼させ、がんじがらめになってしまった私たちの生き方に自由の息吹を吹き込もうとする試みです。
現象学や哲学的人間学に通じていれば、もう少し厳密な仕方で同じような発想を扱うことも可能なのかもしれませんが、本書では哲学的な概念に...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年11月07日
『僕たちは、簡単に知覚しうるものだけで構成された「現実」という名の立体空間を、無意識下で作り上げた。さらに集団を形成することで、「社会」と呼ばれる、言葉をもとに人間を管理し、抑制する空間も生み出した。
もちろんそれらは、個では生きることができない人間にとって欠かすことのできない装置である。普通や常...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年12月09日
○平方キロメートルという空間でも、その時によって広く感じたり、狭く感じたりする。
同じ一分でもその時によって、長く感じたり、短く感じたりする。
どうやら現実という一つではない世界で、我々が「現実さん」と付き合っていくには……。
坂口恭平さんの「現実脱出論」読み終わる。
現実というのは結局 人が生き...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年01月20日
異端の建築家・坂口恭平の「現実脱出論」は、徹底して「感覚」に疑問符を投げかけ続けている一冊だと思います。
時間によって変化していく空間、匂いとともに蘇る記憶、見える「色」の違い、現実の社会という共同体の中で画一化され非連続に区切られたカテゴリーを疑う著者の言葉は、脳科学の本を読んでいるかのような発...続きを読む