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何が分からないかが分かる――、これは素晴らしい技能と言える。ある学問分野において何が分かっていないのかを正確に説明できるのは、その分野を相当に理解している人だけだ。
本書では、「心にとって時間とは何か」がどれだけ未知であるのかを探る。私の専門は哲学だが、哲学だけでなく科学についても、さまざまな知見を参照していこう。だれにも分かっていないことを謎としてうまく描き出すには、それがどのような知識によって囲まれているかを示さなくてはならない。私たちの知識の地図に、未踏の地の「輪郭」を描き込んでいくわけだ。
あとで改めて言い添えるが、私はこの目的のために、章ごとに違うサブテーマを定めた。〈知覚〉、〈自由〉、〈記憶〉、〈自殺〉、〈SF〉、〈責任〉、〈因果〉、〈不死〉という、各章の章題がそれにあたる。つまり、少なくとも八つの謎が本書には描き出されており、それらの不思議さや面白さ、そして、一つの謎から別の謎への道が見えてくる高揚感とが、私なりの言葉で綴られている。
第一章 〈知覚〉――時間の流れは錯覚か
第二章 〈自由〉――私はいつ決めたのか
第三章 〈記憶〉――過去のデッサンを描くには
第四章 〈自殺〉――死ぬ権利は、権利なのか
第五章 〈SF〉――タイムトラベルは不可能か
第六章 〈責任〉――それは、だれかのせいなのか
第七章 〈因果〉――過去をどこかに繋ぐには
第八章 〈不死〉――死はいつまで続くのか
8つのテーマと謎を手がかりに、「心と時間の不思議」に迫る!
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Posted by ブクログ
何かを議論しようとするとき、コメントしようとするときに、その領域でこれまで議論されてきたことがらをまず目の前に並べてみることが大事で、それはできれば複数の学問からの視点であるとなお良いです。本書は、時間とはどういうものなのか?について、論じていますが、なにか結論を出すようなことを目的としておらず、まずは情報共有、整理をしようと進んでいきます。青山氏は理科系も哲学系も、それぞれを縦横無尽に並べていきますが、その際に、言い過ぎたり否定しすぎたりを避けるよう、慎重に進んでいきます。世の中には、センセーショナルなデータが出ると、それが全てかのように言う人と、それを全て否定しようとする人の無用の対立が出ることがありますが、それは避けるべきなのです。読者はひとつひとつ(仮に納得しなかったとしても)理解しながら読み進めることができます。
さて、トランスの議論では「心の性」なるものがいつも取り沙汰されますが、そもそも心とはなにか整理してあるのでしょうか?
同性婚を語るとき、結婚とはそもそもどういうことか、整理してあるのでしょうか?
まだまだ世の中には不毛な対立があるように見えます。氏のように理解を深めていけたらいいですね。
Posted by ブクログ
作者の学問と人生の謎に対する真剣な姿勢に尊敬する。
難解でしたが、すごく面白かった。
「今の錯覚」、「自由意志」、「塵理論」とか
過去に戻って選択し直すことができないから
その選択が偶然だったのか必然だったのかは証明不能である。
反証も不可能である。
人間は自分の脳と身体のセンサーに限られている
「真理とは何か」を聞くのは答えようがないが、
「限られている人間の枠の中に真理’’とは何か」は無意味な問題とは思わない。
人間の枠の中から、その真理’が有限で認識可能と保証されたのだと思う。
限定語をつけて”心にとって”時間とは何かを問い続けることで
簡単に虚無と無限という深淵に食わられないような気がする。
Posted by ブクログ
心にとっての時間というものを色々な角度から考察している本。とても興味深く全体的には面白く読めた。
一見、時間とはあまり関係のなさそうなテーマでも、「あーそういう風に考えるのか」という学問的な面白さを味わう一方で、特に最後の2章に関しては理解が追いつかず、「同じところをもう5分も繰り返して読んでるけどよく分からん」状態になった笑。
別の哲学の本を読んだ時にも思ったが、哲学は科学や数学と対極にあるふわっとしたのもの、思想、みたいなイメージだが、実際にはむしろ科学や数学的な考え方に近い学問なのかなと感じた。
時間をあけて、もう一度読んでみたい本。
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