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何が分からないかが分かる――、これは素晴らしい技能と言える。ある学問分野において何が分かっていないのかを正確に説明できるのは、その分野を相当に理解している人だけだ。
本書では、「心にとって時間とは何か」がどれだけ未知であるのかを探る。私の専門は哲学だが、哲学だけでなく科学についても、さまざまな知見を参照していこう。だれにも分かっていないことを謎としてうまく描き出すには、それがどのような知識によって囲まれているかを示さなくてはならない。私たちの知識の地図に、未踏の地の「輪郭」を描き込んでいくわけだ。
あとで改めて言い添えるが、私はこの目的のために、章ごとに違うサブテーマを定めた。〈知覚〉、〈自由〉、〈記憶〉、〈自殺〉、〈SF〉、〈責任〉、〈因果〉、〈不死〉という、各章の章題がそれにあたる。つまり、少なくとも八つの謎が本書には描き出されており、それらの不思議さや面白さ、そして、一つの謎から別の謎への道が見えてくる高揚感とが、私なりの言葉で綴られている。
第一章 〈知覚〉――時間の流れは錯覚か
第二章 〈自由〉――私はいつ決めたのか
第三章 〈記憶〉――過去のデッサンを描くには
第四章 〈自殺〉――死ぬ権利は、権利なのか
第五章 〈SF〉――タイムトラベルは不可能か
第六章 〈責任〉――それは、だれかのせいなのか
第七章 〈因果〉――過去をどこかに繋ぐには
第八章 〈不死〉――死はいつまで続くのか
8つのテーマと謎を手がかりに、「心と時間の不思議」に迫る!
Posted by ブクログ 2023年02月07日
何かを議論しようとするとき、コメントしようとするときに、その領域でこれまで議論されてきたことがらをまず目の前に並べてみることが大事で、それはできれば複数の学問からの視点であるとなお良いです。本書は、時間とはどういうものなのか?について、論じていますが、なにか結論を出すようなことを目的としておらず、ま...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年04月19日
作者の学問と人生の謎に対する真剣な姿勢に尊敬する。
難解でしたが、すごく面白かった。
「今の錯覚」、「自由意志」、「塵理論」とか
過去に戻って選択し直すことができないから
その選択が偶然だったのか必然だったのかは証明不能である。
反証も不可能である。
人間は自分の脳と身体のセンサーに限られてい...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年11月29日
知覚 自由 記憶 自殺 SF 責任 因果 不死
八章からなる知的興奮を覚える一冊。
著者の青山氏は、時間の専門家である。しかし、変な癖がある。本書の第一章で、本人が自覚して書いているところもある。が、作為的なのかどうかわからないところもある。
文章表現で、「といった。」とか、「ような。」で文が切れ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月27日
これまで一度も考えたことのない見方をいくつも教えてもらった。
無理にそれらしい結論をつけずわからない部分はわからないまま書かれていたのが、(多少読みづらさやもやもやを抱えることにはなったが、)読者を信用してくれているようで好印象だった。
正直最後の〈不死〉の章はいまいち理解が追いついていないが、塵理...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月24日
時間という目に見えないものなので、想像しにくい部分もあり二度読んでようやく頭に入る内容でした。(とはいえ、まだ理解できてない部分もある)
自殺と責任についてが特に興味深かったです。
また、それぞれおすすめの本が紹介されているので、読んでみようと思います。
この方の講義を受けてみたいなあと思いました...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月01日
一読しただけの状態で、実のあるノートが書けるとはとても思えない本だ。
でも、時間についてわかっていないことがこんなにある、と知り得ただけでも十分自分には意味があった(と思う)。
行動の意志を起こす以前に、既に何らかの脳反応がある。
そんな実験が結果が発表され、その後も研究が継続されていることが紹...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年10月24日
特に〈自殺〉の章の話が印象的でした。
『自分自身に関してなら「理想の自殺」を思い描けるが、その細部の条件はしばしば他者には当てはまらない。
つまるところ人間は、自分と似た境遇にある他者のことしか、よく分からない。』
『「自分には十分に分からない他者の苦しみというものがある」と気づくことも、また、...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月12日
「心にとって時間とは何か」というテーマについて、「知覚」、「自由」、「記憶」、「自殺」、「SF」、「責任」、「因果」、「不死」という8つのサブテーマに沿って、どこまでが分かっているかを示し、何が分かっていないかを描き出す。
非常に面白い試みと思い、ワクワクして読み進めたのだが、自分に哲学的素養がない...続きを読む
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