【感想・ネタバレ】心にとって時間とは何かのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年07月23日

素晴らしい本と感じた。
研究手法についての考察や物事の思考過程と思考実験に際しての洞察、参考文献など食い入るように読んでしまった。
何度も繰り返し読みたい本でした。
特に責任について、現在について、不死についてがもっとも読んでいてハマってしまった章でした。

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Posted by ブクログ 2023年02月07日

何かを議論しようとするとき、コメントしようとするときに、その領域でこれまで議論されてきたことがらをまず目の前に並べてみることが大事で、それはできれば複数の学問からの視点であるとなお良いです。本書は、時間とはどういうものなのか?について、論じていますが、なにか結論を出すようなことを目的としておらず、ま...続きを読むずは情報共有、整理をしようと進んでいきます。青山氏は理科系も哲学系も、それぞれを縦横無尽に並べていきますが、その際に、言い過ぎたり否定しすぎたりを避けるよう、慎重に進んでいきます。世の中には、センセーショナルなデータが出ると、それが全てかのように言う人と、それを全て否定しようとする人の無用の対立が出ることがありますが、それは避けるべきなのです。読者はひとつひとつ(仮に納得しなかったとしても)理解しながら読み進めることができます。

さて、トランスの議論では「心の性」なるものがいつも取り沙汰されますが、そもそも心とはなにか整理してあるのでしょうか?

同性婚を語るとき、結婚とはそもそもどういうことか、整理してあるのでしょうか?

まだまだ世の中には不毛な対立があるように見えます。氏のように理解を深めていけたらいいですね。

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Posted by ブクログ 2021年04月19日

作者の学問と人生の謎に対する真剣な姿勢に尊敬する。

難解でしたが、すごく面白かった。
「今の錯覚」、「自由意志」、「塵理論」とか

過去に戻って選択し直すことができないから
その選択が偶然だったのか必然だったのかは証明不能である。
反証も不可能である。

人間は自分の脳と身体のセンサーに限られてい...続きを読む
「真理とは何か」を聞くのは答えようがないが、
「限られている人間の枠の中に真理’’とは何か」は無意味な問題とは思わない。
人間の枠の中から、その真理’が有限で認識可能と保証されたのだと思う。

限定語をつけて”心にとって”時間とは何かを問い続けることで
簡単に虚無と無限という深淵に食わられないような気がする。

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Posted by ブクログ 2020年11月29日

知覚 自由 記憶 自殺 SF 責任 因果 不死
八章からなる知的興奮を覚える一冊。

著者の青山氏は、時間の専門家である。しかし、変な癖がある。本書の第一章で、本人が自覚して書いているところもある。が、作為的なのかどうかわからないところもある。
文章表現で、「といった。」とか、「ような。」で文が切れ...続きを読むる落ち着かない印象を与えるところがあるし、また、時間の系列がレコード盤のように飛んでいくという傾向は処女作の「タイムトラベルの哲学」から変わらない。これは癖とは違うのだろうか?

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Posted by ブクログ 2023年08月27日

これまで一度も考えたことのない見方をいくつも教えてもらった。
無理にそれらしい結論をつけずわからない部分はわからないまま書かれていたのが、(多少読みづらさやもやもやを抱えることにはなったが、)読者を信用してくれているようで好印象だった。
正直最後の〈不死〉の章はいまいち理解が追いついていないが、塵理...続きを読む論はおもしろい考え方だと思った。

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Posted by ブクログ 2021年09月24日

時間という目に見えないものなので、想像しにくい部分もあり二度読んでようやく頭に入る内容でした。(とはいえ、まだ理解できてない部分もある)

自殺と責任についてが特に興味深かったです。
また、それぞれおすすめの本が紹介されているので、読んでみようと思います。
この方の講義を受けてみたいなあと思いました...続きを読む

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Posted by ブクログ 2021年08月01日

一読しただけの状態で、実のあるノートが書けるとはとても思えない本だ。

でも、時間についてわかっていないことがこんなにある、と知り得ただけでも十分自分には意味があった(と思う)。

行動の意志を起こす以前に、既に何らかの脳反応がある。
そんな実験が結果が発表され、その後も研究が継続されていることが紹...続きを読む介される。
筆者によれば、現時点ではまだ人間の自由意思を否定するほど強い結果ではないそうだが、私にはそういう研究さえ、かなり驚いた。
本書では、その直後にチョイス・ブラインドネス(選択盲)の話に発展する。
自分が選択したものをすり替えられていても、気がつかず、すり替えたものを選んだ理由さえ述べる。
こういう現象も、きっと「今」が把捉しがたいからなのだろうか、とも思ったけれど。
いずれにしても、意志とか、主体とかは、掘り崩される方向に進むのだろうか?

その流れからの自殺論、死ぬ権利は認められるかという議論も興味深かった。
自殺には、未来の自分という他者を殺害する他殺性があることを指摘するものの、それですべての自殺の善悪を判断できるわけではないとも書かれている。
なるほど、確かにそう考えると時間論にも関わってくるのだなあ。
ただし、この本は自殺論をメインとしたものではないので、自分の考えを持つにはやはり別の本を読む必要があるようだ(そして親切にもピーター・シンガーらの本が紹介されている)。

少し時間を置いて、もう一度読み直してみよう。

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Posted by ブクログ 2021年07月07日

1章5章の内容(時間の流れとは?)と4章8章(死と時間について)の内容が特に面白かった。
最終章で死と時間について取り上げているのがしっくりきた。
塵理論についても面白く読めた。
飛ばし読みしたような箇所も多かったが、タイトルに惹かれたなら読むのをおすすめできる一冊。

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Posted by ブクログ 2020年10月24日

特に〈自殺〉の章の話が印象的でした。

『自分自身に関してなら「理想の自殺」を思い描けるが、その細部の条件はしばしば他者には当てはまらない。
つまるところ人間は、自分と似た境遇にある他者のことしか、よく分からない。』

『「自分には十分に分からない他者の苦しみというものがある」と気づくことも、また、...続きを読む想像力による。想像力の及ばない領域が存在するということについての、想像力があるわけだ。』

誰もが納得するような条件の自殺は難しいです。
安楽死が認められてる国が数カ国あるみたいですが医師の判断はすごく重そうですね…

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Posted by ブクログ 2021年09月12日

「心にとって時間とは何か」というテーマについて、「知覚」、「自由」、「記憶」、「自殺」、「SF」、「責任」、「因果」、「不死」という8つのサブテーマに沿って、どこまでが分かっているかを示し、何が分かっていないかを描き出す。
非常に面白い試みと思い、ワクワクして読み進めたのだが、自分に哲学的素養がない...続きを読むためか、結局、何が分からないのかよく分からなかった。ただ、「責任」についての章はまだとっつきやすく、現実世界にも示唆深い内容と感じた。

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Posted by ブクログ 2020年09月20日

“自由”や“記憶”など大きなテーマに一石を投じる一冊。
普遍的と思われている概念を良い意味で“疑う”とこで心の視野狭窄に陥ることを避けられると思った。

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Posted by ブクログ 2020年05月19日

テーマは興味深いが「時間とは何か」の前にそもそも「心とは何か」が私にとっては問題なのだけれど、そこは共通認識がある前提で書かれている…のかな?一通り読んでも「心」の定義(著者がどう定義して書いているのか、そもそも定義しているのか)がわからない。
「心」というよりは「意識」や「脳」に近いような気がした...続きを読む。確かに近いものではあるように思うが、イコールではないと私は捉えている。サブテーマを見る限り「意識」とも違うのだろうけれど、その辺りが何とも言えず、モヤっとした。


あとは、分かりやすい本ではないが難解な内容というより読みにくい文章だと感じた。まぁ慣れなのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2020年02月09日

 まず真っ先に指摘したいのはこの本の章立ての独特さだ。もちろん意欲的な試みだとは思うのだが、扱っている題材の重さと新書というメディアからするとやっぱり複雑すぎると思う。奇数章で時間の認識論及び存在論、偶数論で理論の現実世界への適用のあり方を扱うというのはいいとして、これをさらに前半と後半で2分割する...続きを読む必要があるのだろうか。結果として議論がぶつ切りになってしまい、僕には一つの統一した書籍として処理することができなかった。仕方なく本書を断章の集積としてエッセイ的に読んだのだが、やはりフラストレーションは否めない。ただ各章の内容それ自体は極めて示唆に富んでおり、興味深く読めるのは間違いない。

 有名なリベットの実験を初めて知ったのは多分ノーレットランダージュ「ユーザー・イリュージョン」だったと思うが、その時に感じた素朴な疑問を本書の第2章がダイレクトに扱っているのが嬉しかった。件の準備電位の実験は「自由意志の発現時点」が確定可能であるという前提を所与として行われているのだが、これを読んだ時「そんなの被験者の自己申告なのにどうやって客観的に確定させるの?」と思ったのだ。こんな素人考えは僕だけのものだろうなあと思っていたのだが、改めて本書の「自由意志に明らかに対応する心理現象などあるのだろうか?」という疑問に接して再び意を強くした。仮にそういう心理現象が確定されたとしても、さらにその原因となる前駆現象を探さねばならないという無限後退に陥る。脳神経科学の唯物論的な議論に一定のシンパシーを覚える僕だが、ひょっとして脳神経科学はプロセスを解き明かすのには至便だが、自由意志の原因にリーチするという目的からは離れてしまうのでは?とも思ったりした(ただし、本書でも触れられている「脳と時間(ディーン・ブオノマーノ著)」では、脳内ニューロンの電位変化から prospective に被験者の動作を予測できたという実験結果が紹介されている。これが事実ならリベットの実験にも hindsight 的な側面はないことになるのだろうか?)。

 1章の議論も、僕が抱いてうまく言語化できなかった疑問をストレートに表現してくれている。時間を測ることの奇妙さだ。物理的な質量・大きさなどの他の概念と異なり、時間を測るときだけはなぜだか「物差しの長さをその物差し自体を使って測る」ようなトートロジーを感じるのだ。なお本章で扱われる「バーバーポール説」も、時間の流れとはあらゆる時空が並存する「多元宇宙」の各ブロックを連続して認識した時に生じる錯覚であるというブライアン・グリーンの説を想起させ興味深い。どちらも「この今」という概念を捨象し「今」性というべき時間の一般性を扱う点で共通している。

 ラッセルの「5分前仮説」に関連し、個人的に好きな野矢茂樹氏の議論が扱われる第3章。著者の主張は「5分前仮説は確かに危険だが、1秒前仮説や1億年前仮説と同等の危険性しかない。無数に挙げられる懐疑論の一つでしかなく、そこには深刻な個別の懐疑はないため無視しても無害」というもの。うーん、確かに小気味良いけど、果たしてそれでいいのか…。「無数に挙げられる懐疑論が全て致命的に危険」という可能性はないのか。仮にこれが「個別の危険性」を唯一の評価軸にしてよいという意味なら、思考実験の大宗は無意味ということになりそうな気がするが、違うのだろうか。ただこの章を踏まえた、なぜ我々が眼前の「スケッチ(5分間仮説における懐疑の出発となる土台)」を出発点とせざるを得ないかを論ずる第7章は、エピソード記憶をメタ的に分解することで眼前の景色の蓋然的な確からしさを身体論にリンクさせており、なかなか面白い。

 あと印象に残ったのは第6章。イーグルマンのように有責性を脳の器質的要因に帰属させるとなると、それは確かに未来志向的(予め規定された犯罪の類型=タイプとの照合で有責性を判断)ではあるが、個別の(=トークンとしての)犯罪には他行為可能性が認められないことになり、その犯罪者に修正可能性がなければ責任は問えないこととなる。かなりラディカルな決定論をとっているといえるが、これに対する著者の反論が気が利いている。犯罪について環境と遺伝を重視するのであれば、ことの善悪を問わず社会制度全般に同じ評価軸を当てざるを得ず、倫理に与える影響が甚大だというのだ。つまり器質的決定論は正しいかもしれないが、現実社会への適用の場面で問題を生じる。「認識における未来志向」と「効果における未来志向」を衡量し、倫理の進化過程に鑑みれば後者に天秤が傾いているため前者は放棄して良い、というのが著者の考えであり、プラグマティズム重視と言えよう。ただ、発生主義で決定論と自由意志のコンフリクトを調停しようというのはよくある手筋。本書では量的な制限もありそこからの深い議論はなされていないのがやや残念。

 読み終わってみると「あれ、これって時間の本なんだっけ?」と思うほど扱われている領域が多岐にわたっていることに気がつく。やや不親切な章立てには不満を覚えたが、時間のもつ圧倒的な奥深さを実感できたことは収穫だったと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年06月15日

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