作品一覧

  • 精神分析とナチズム フロイト・反ユダヤ主義・ホロコースト
    -
    1巻2,420円 (税込)
    フロイトはなぜ、反ユダヤ主義が迫りくるウィーンに留まり続けたのか? 死因となった上顎癌の主治医との関係は? 精神分析はなぜナチズムを批判できないのか? 倫理をどうとらえていたのか? フロイトの生きた時代はヨーロッパ近代から現代への移行期で、多彩な出来事に満ちていた。そこでユダヤ人として生きたフロイトと、彼によって生み出された精神分析について、ナチスの時代を中心に、上記のような尽きない疑問に応える形で掘り下げていく。
  • 精神医学の近現代史 歴史の潮流を読み解く
    5.0
    1巻2,640円 (税込)
    近代精神医学が成立する契機となった精神病者の「鎖からの解放」は、なぜ可能となったのか? ナチズム期の精神障害者大量殺人は、なぜ引き起こされたのか? 本書の目的は、近代精神医学史の出来事を記述することだけではない。その出来事の背景、そこにどのようなアイデアや思想が、歴史の流れがあったのか、そしてそれがどのように現代につながっていくのかを明らかにしていくことを主眼としている。 戦争、安楽死、反精神医学、優生思想など、精神医学との関係が真正面から語られてこなかったテーマに深く切り込む。
  • 異常とは何か
    3.9
    「異常」「正常」という言葉を、我々は日常的に使っています。かつ、精神の異常と正常の区別も、線引きできるものだと当たり前に考えます。たとえば、統合失調症の患者や、認知症の老人に対して、「正常な感覚を失っている」「異常な世界を見ている」と認識します。しかし、それは「普遍的な真理」なのでしょうか? 本書では異常と正常の線引きがいかになされてきたのか、日本と西洋の古代までさかのぼって検証します。

ユーザーレビュー

  • 精神医学の近現代史 歴史の潮流を読み解く

    Posted by ブクログ

    旧優生保護法の問題を調べる中で、優生学と精神医学の関係を論じた著作は少なく、手にとった書物である。近代精神医学は主に欧州で発展してきたが、その背景に欧州の思想の流れが背景にあることを説明。それは古代ギリシア時代にも遡るが、それはさておきその思想的流れが精神医学の生物学的流れと心理学的流れに影響していることを説明されている。精神医学から哲学に転じた人もおり、哲学と精神医学の関係は多少なりとも知っていたが、大きな流れで思想と精神医学の流れを解説された点が特徴である。優生学との関係ではナチスへの精神医学の関わりが著述されているのが著者ならではのものと思う。反精神医学に関しても述べられることが少ない中

    0
    2021年05月31日
  • 異常とは何か

    Posted by ブクログ

    新書は難しい専門性の高い知見や話題を平明に広く還元することにその主眼があると思う。それを隠れ蓑に内容の薄い新書もあるがこれは違う。さにタイトル通りのことをいろいろと語っている。社会的な規範や慣習で決まってくる枠組みとその社会自体の移ろいにどういう分岐があったかそもそも今の認識はどうなのかといったようなことを丁寧に語っていると思う。情緒を排して冷静に問題点をえぐっている。文章は平明だが内容が重く、とても有意義な内容だった。

    0
    2017年12月18日
  • 異常とは何か

    Posted by ブクログ

    異常も正常も、その時々の時代で人間が作った概念でしかない。本当はどちらも、ただそこにあるだけ。読むと、世界に対する視野が広くなる本。

    0
    2013年04月16日
  • 異常とは何か

    Posted by ブクログ

    異常と正常の境目ってわかりにくい。
    正常を突き詰めることのある種の怖さは第4章の部分で理解できた。
    異常と正常はその時代によって、逆転することもある。
    異常と正常の普遍的な定義はない。
    合理主義を突き詰める事、効率化を突き詰めること、それ自体は人間が社会が豊かになるうえで必要な事なのだが、それが時と場合によって、異常に転ずることもあるのだとか。
    だとすると、時には節制、でも時には怠惰なことも、そうしたことを行ったり来たりしながら、永遠の微調整の如くバランスを取り続けることが大事なのかと思う。
    それが理解できる一冊。

    0
    2025年01月08日
  • 異常とは何か

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    発達障害当事者として、ずっと「自分は異常だ」という自覚があった。しかしうまく言語化できず、周囲と馴染めず衝突し、迷惑をかけまくって孤立した。周囲からは「個性的だが普通の人」として「普通たれ」というプレッシャーがあったし、病識のない頃は自分で自分にも「普通」を強い、40年適応できず二次障害的な精神疾患も発症していた。
    「異常」といわれるものは、時代や文化・見る方向などでいくらでも変化するというのは、経験から何となく知っていた。
    本書では、いくつも具体的な事実を専門家の客観的な視点で語られていたため、しっかり納得できた。
    何度も読み返したい。
    自分や他人、思想や嗜好に対して「異常」などと軽々しく口

    0
    2023年08月05日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!