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「異常」「正常」という言葉を、我々は日常的に使っています。かつ、精神の異常と正常の区別も、線引きできるものだと当たり前に考えます。たとえば、統合失調症の患者や、認知症の老人に対して、「正常な感覚を失っている」「異常な世界を見ている」と認識します。しかし、それは「普遍的な真理」なのでしょうか? 本書では異常と正常の線引きがいかになされてきたのか、日本と西洋の古代までさかのぼって検証します。
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Posted by ブクログ
医学の立場から広く社会を見ての「異常」論。基本的に数が少ないものを異常として排除する差別のメカニズムであることが前半で述べられる。またこの本の白眉は、正常を追求していくと異常になるとか、正常と異常の裏腹の関係について述べている部分だ。正常と異常を対立するものとする弊害を取り除くためにグラデーションで説明するモデル(たとえばセクシュアル・マイノリティについての説明などでは頻繁に用いられる)だと、結局ものごとに序列がついて排除の対象になるので、メビウスの輪のように片方の極からもう片方の極へいつのまにか行ってしまうようなモデルで考えよう、というところは、まだ説明としては煮詰まっていないけれども、そうだよなぁと思ってしまう。実例としては精神医学などでの異常の病理化について、ホロコーストについて、など読み応えのあるところがいくつもある。ナチスの中枢にいた人々が、めちゃめちゃ鬼のような異常者とかではなくて、むしろ小心なまじめな人(ただし、もう必死にまじめな「メランコリー型性格」と言われる人々)である話など。議論の中で必要な書籍を紹介してくれるところがうれしい。
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